知事定例会見録
平成20年 6月26日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目
- 岩手・宮城内陸地震について(報告)
- 知事と市町長との「膝づめミーティング」の開催について(発表)
まず発表項目に入ります前に、岩手・宮城内陸地震について、これにつきましては本会議でも申し上げたところですが、改めて触れさせていただきたいと思います。6月14日に発生をしました岩手・宮城内陸地震におきまして、尊い命を奪われました皆様に深く哀悼の意を表しますとともに、避難生活を余儀なくされている方々をはじめ、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、行方不明の方々の一刻も早い救出を祈念申し上げたいと思います。なお、三重県におきましても東海・東南海・南海地震や活断層によります地震の発生が危惧されているところでございまして、今後とも地震対策を着実に進めていかなければならないと、そういう思いを、今回の地震でも思いを強くしたところでございます。
それでは発表項目について申し上げます。お手元にお配りをしております資料のとおり、今年度も「知事と市町長との膝づめミーティング」を7月中旬から8月上旬にかけまして、4会場で開催をいたします。「膝づめミーティング」につきましては、私が直接地域に出向きまして、県政の最大のパートナーであります市町の首長の皆さんとの対話を通じましてお互いの理解を深めるために、知事に就任して以来、実施をしてきたところでございます。今年で6回目を迎えるということで、この場で忌たんのない意見を交換できる、そういう場として定着をしてきていると考えております。今年度、県から提案をさせていただきますテーマについてでありますが、1つ目は「美(うま)し国おこし・三重」でございまして、現在進めております基本計画中間案につきまして、各市町の首長の皆さんからのご意見をいただくということにしているところであります。あと、地球温暖化対策につきましても提案をさせていただきまして、7月に開催をされます北海道洞爺湖サミットを受けまして、今後、市町と県がどのように連携して取り組んでいけばいいのか意見交換をさせていただきたいと、こう考えております。また、今年度はミーティングの後半部分につきまして、これまで別の場で開催をさせていただいておりました「県と市町の地域づくり支援会議」、ブロック会議でありますが、これを兼ねた形で開催をさせていただくということにしておりまして、各市町の首長さんからそれぞれの地域課題につきまして幅広くご意見をいただきまして、議論をさせていただけるものと期待をしているところであります。なお、先般5月20日に三重県地域づくり推進条例が公布、施行されたところでございますが、今後この条例に規定をされております「多様な主体の意見が反映された地域づくりが円滑かつ効果的に行われるよう必要な仕組み」というのがございますが、これの構築につきまして、今後検討を進めていくことになるわけでございますが、市町の意見を把握するためのシステムの一つとして位置付けております、この「膝づめミーティング」も含めまして、地域主権社会における個性的で魅力的な地域づくりを進めていくための新しい仕組みの検討をしていきたい、このように考えているところでございます。私の方からは以上でございます。
2.質疑応答
(質)谷本整形の事件について、何かお考えになっていることがあればお願いします。
(答)今回起こりました谷本整形の件でございますけれども、お一人の方が亡くなられ、そして被害者の状況についても29名、また「異常あり」という方、これは29名の方も含めまして64名も出ているというようなことでございます。私としては大変遺憾に堪えない、残念なことでございます。これにつきましては、まず詳細に詰めて原因究明を進めていくということが必要であると考えておりまして、それにつきましては、かなりセラチア菌による院内感染というようなことが濃厚になっているところであります。こういう原因をまずきちっと究明した上で、改善策につきまして該当の医療機関に対し指導をしていくということ、これが第一であろうということで、私もそういう指示をいたしているところであります。なお、他の医療機関への周知・啓発というものを行うということも必要でございます。感染予防を含めました医療安全対策を推進するという観点から、県の方としても今後、県内全ての診療所に対しまして7月中に、医療安全管理体制を中心としました緊急の自主点検等の実施をまずお願いしていこうと、こういうふうに考えているところであります。
(質)緊急の自主点検を要請するということなんですけれども、それを県へ報告を求めるということだったんですが、その結果について公表はどのように考えておられるのか、お願いします。
(答)具体的にまだ事務当局の方で、どういう形でやるのかということまで詰めて聞いておりませんので、また担当の方へご取材いただいたらどうかと思います。
(質)対象になる診療所は、大体何件ぐらいになるんですか。
(答)2,500件程の診療所ということです。
(質)知事はこの内容について公表すべきだというふうにお考えですか。
(答)この自主点検をまずお願いしていくということでありますけれども、その点検結果によって立入検査等、県の必要な指導を行っていくということは、これは当然しなければならないことであります。
(質)では公表され・驍ニいう?しなければいけないものについては公表すると?
(答)県民の皆さんに、やはり谷本整形の件でいろいろご不安を持っておられる状況があるかと思います。したがいまして県としては、そういった判断についてはきちっとしながら、必要なものについては公表しなければならないと、こういうふうに思います。
(質)現時点では必ずしも公表するとは限らないということでしょうか。
(答)ですから必要、状況を見て判断をきちっとしなければならないということです。
(質)点検項目とかは、具体的には?
(答:健康福祉部)現在、詳細については部の方で詰めさせていただいています。それから今、診療所の数を2,500件と申し上げましたが、正確には2,350件でございますので、若干数字が間違っておりました。
(質)聞くんだったら大体どういうことを聞くのかくらいは決まってるとは思うんですが。詳細まではいいんですが。
(答:健康福祉部)基本的には安全管理ですから、手洗いの実施であるとか様々な、酒精綿とかそういうふうな物についての使用であるとか、それから基本としては医療法の施行規則の中で院内感染を含めた指針を作るとか、そういうことがベースにありますので、まずは法律に基づいたベースをしっかり見させていただいて、具体的な内容についても少し項目を入れさせてもらって自主点検をしていただきたいと。大事なことは、やはり自主点検ですから、ちゃんと医療機関の方でしっかり、今回の事案を受けて様々な対応をとってもらうということですので、ご理解願いたいと思います。(質)
公表の件で、全体の割合としてどれぐらい指針を作ってるのかとか、そういうことはトータルで見たら重要な項目だとは思うので、差し支えない範囲で公表した方がいいんじゃないかというふうには思うんですが。
(答)今、担当の方からもお答えしましたように、子細これから7月中に実施をしようとお願いしていこうということで詰めておりますから、必要に応じてまた担当の方から、そういった点について報告させたいと思います。
(質)保健所とかの医療機関に対する医療監視の問題ですけれども、診療所であれば5年に1度程度やるというようなことになってるんですが、それが実際のところできていないというような指摘が出てましたが、その辺の要員も含めた監視体制についてどうお考えですか。
(答)私もこの県の監視体制ということについて、少し担当の方にも聞いてきたところであります。実は医療の監視体制の中でも、特に今回起こりましたような院内感染対策、こういったことについて確認・指導を行うようになったのは、実は昨年度からでございます。したがいましてそれ以前はこの院内感染対策のような、こういったことについての立入検査での確認というようなことが行われなかった、また行う状況になかったというところでございます。昨年からそういうふうになったんでありますけれども、実は行政監査の中でも指摘もございまして、今後きちっと体制がとれるようにさらに改善をしていきたいと、こう考えているところでございます。いずれにしましても、昨年から実施を始めたその中には、谷本整形は該当しなかったわけであります。私どもとしては、5年で大体全体が監視できるように、立入検査の実施を限られた要員の中でどういうふうにやっていくのか、今、行政監査の指摘もありましたので、検討をさせているというところでございます。
(質)昨年からやっておられる?昨年に何かあったんでしょうか。
(答)昨年、特にあったということは聞いておりません。
(質)昨年にそういう何かを作られたということですか。
(答)それは、国の方からの通達がありまして、そういうふうになったということです。
(答:健康福祉部)昨年、医療法が改正されまして、平成19年から院内感染の防止についても診療所の努力義務になりましたので、そういう視点を含めて医療監視をするというふうな形になったということです。
(質)今、2,300ぐらいの診療所があるということでしたけれども、それを監視していくというのは物理的に非常に困難な状況なんですけれど、その辺りは何か実効性のあるものというのは考えられるんですか。
(答)今それで、これは大変なことなんでありますけれども、5年に1回ぐらい、そういった立入検査をできるようにするために、可能な方法をいろいろ知恵を出しながら検討しているというところです。今の保健所にいます監視要員だけではなかなか対応できない、その部分をどういうふうにやっていくのかということで、今そういう検査の補助をどういう形で求められるのかというようなことを検討しております。
(質)谷本整形の、今、県が調べている範囲というのは今年の5月から6月の被害の状況だと思うんですけれども、それ以前にもいろいろあったという話があります。それに対して県は調査する予定などはあるんでしょうか。
(答:健康福祉部)その件につきましても、今お話があったように、特に6月9日前後を中心に調べておりますけれども、様々な中身と言うかデータもありませんから、そういうふうな部分では6月9日のような形ではできないかもわかりません。一連の流れをしっかりと見た中で、必要な調査であるとか、指示をしていきたいと考えております。
(質)一連の流れというのはどれ位の?
(答:健康福祉部)基本的には、今回5月9日ぐらいから少し様々な事案も出ていますので、そういう前後関係を含みながら、全体としての調査をしたいというふうに考えております。
(質)5月以前は?
(答:健康福祉部)それにつきましては様々な情報もありませんので、現段階ではその部分についてはとりあえず調査するというようには考えておりません。これは、警察も今現在、調査に入っておりますので、警察との連携も含めながら全体の全貌につきましては様々な意見交換をしながら対応していきたいというふうに思っております。
(質)院内感染対策について確認するようになったのは去年からということですけれども、谷本整形に立ち入りしているのが6年前で、通常であれば去年入っていたかもしれないと。もしかしたら去年入っている段階で何かをつかめていたかも知れないと思うんですけれども、その辺りについて知事はどうお考えですか。
(答:健康福祉部)なかなか現実、今、医療監視というのはマニュアルが作られているとか指針が作られているかという体制の部分が現実に多いわけですから、なかなか今回医療監視に入って、今ご指摘があった形で100%それを防止できるような形でチェックできたかどうか、非常に難しいというふうに考えております。ただ医療監視をすることによって、一定の抑止力であるとか、様々な診療所が自主的な努力をされる部分について県としても支援していくということはできるかなというふうに考えます。
(質)その中でも手洗いの状況とか、そういうのは見れば分かるところもあるんじゃないかと思うんで、「できない、できない」ではなくて、県の方がむしろちゃんと見るという姿勢を示すべきじゃないですか。
(答:健康福祉部)そういう視点も含めて医療監視の中で、具体的にどういうふうな実効性がある監視が、非常に数が多い中で短期間でできるのかということも含めて、十分検討して医療監視に当たりたいというふうに考えております。
(質)先程、保健所にいる監視要員だけでは対応できないということで、どういうふうにやっていくか検討中だということですが、それは人的な補充とかも含めて検討中ということですか。
(答)そうです。
(質)最近、たばこを千円にしたらどうかという議論がありますけれども、もし知事のお考えがあれば。
(答)税収不足をどういうふうにして確保していくんだという議論の中で、いろんな議論が行われているところであります。今の国の危機的な状況ということを考えますと、抜本的に税財政構造についてどう変えていくのか、これをまずしっかり議論すべきことでございます。したがいまして、たばこ税というのはそういった議論が進んでいく中で、より具体的に出てくるということならば一つの考え方なのかなと思いますけれども、私はその大本の抜本的な方向というものがきちっと議論されずに今、小さな税の項目について特定のものを取り上げて議論をするということは感心できないなと、こういう感想です。
(質)知事は仮にたばこが千円になったら買われますか。
(答)変わった時点でないと、どうもお答えできませんね。
(質)ご承知かと思いますけれども、岐阜県で食肉がクローズアップされていますけれども、県内産、特に松阪牛は知事もいろいろ携わってらっしゃいますけれども、安全性について改めて。
(答)岐阜県の場合には、飛騨牛というブランドを偽ブランドで出したというようなことで問題になりました。松阪牛のことで言えば、BSEが発生をしました平成13年当時、私は松阪市長でありました。松阪牛そのものが問題になったわけでは全くありませんけれども、全国の肉牛業者は大変な危機に見舞われたところであります。そういう中で一番大事なことは、ああいうBSEだとかそういうことで消費者が全く信用できないというようなことで、牛肉から離れていくわけであります。そういう意味では、消費者の信頼をどう確立するかということがとても大事なことであります。ベースにあるのはコンプライアンスの問題、これもあるでしょう。それから例えば健康にかかわるような、そういった安全性ということで問題があったりしてはもちろんいけません。そういうことを消費者に、「これは本当に安全な肉ですよ」と、そしてプラスして「おいしいんですよ」ということを着実に分かるように情報発信していくということが大事だと思います。松阪の場合には、当時まだ全くなかった松阪牛の個体識別管理システムというのを、国よりもずっと早く導入を決めたわけです。そしてその中には、県にも協力を求めてDNA検査、当時もそれでやるぞということをこの管理システムの中にも入れたわけであります。それから例えば飛騨牛などの場合には、岐阜県全体どこであっても飛騨牛という一つの基準に合えば飛騨牛として出せるわけです。ただ松阪の場合も、じゃあ三重県産で規定に合えばいいのかというわけにいかないのは、松阪という名前を付けている以上は、松阪の近辺でなければならないだろうということで、松阪牛の定義もし直したところであります。やはりそういう消費者から見て分かりやすい、そして個体識別管理システムのように、いつ、どういう血統の牛で、どこで生まれ、そしてどういう餌を食べ、どこでどれぐらい飼育されたのか、それがいつも明確になり、そしてそれは肉と共に精肉店等にも配布され、そして松阪肉の場合にはシールをきちっと貼って、それで販売に当たるというような、そういうシステムが確立されていてこそ消費者の信頼というものは確立できるのではないかなと、こういうことであります。岐阜の場合にはブランドを偽ったという、もうそれ以前のコンプライアンスの問題があったかと思います。私は、このことによって岐阜県内の他の優良な精肉店の皆さん等は大変迷惑をしているかというふうに思います。ただそういう時というのは、私は一方でチャンスに変えるということができるのではないかなと、こう思います。松阪の場合を振り返りましても、BSEというピンチがあったからこそ、非常に旧来の利害関係があって改善しにくい部分というのが危機感に見舞われた時にこそ、実は改革できるチャンスなのです。ですからそういう意識で当たっていただくということが、ピンチをチャンスに結びつけていくということになるのではないかなと、こう思っているところでありまして、ぜひ、こういう件が起こりました時には、これに携わっておられる皆様方には、さらに一層、消費者に対する信頼が高まる努力をしていただいたらと、こういうふうに思っております。
( 以 上 )