知事定例会見録
平成19年10月23日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目
- 知的障がい者(※)を対象とした三重県職員の採用について(発表)
- 県立美術館での液晶絵画展開催について(発表)
- ㈱赤福における食品衛生法違反及び不適正表示について(報告)
- 全国和牛能力共進会での宮崎牛の成績について(報告)
※三重県では、「障害者」の表記における「害」という漢字のイメージの悪さを考慮し、平成19年6月から公文書・広報紙等において「障がい者」と表しています。
(知事)まず、発表項目を2項目、続けてコメントとして2項目申し上げます。お手元にお配りをいたしております資料にありますとおり、知的障がい者の方々を対象といたしまして、三重県職員の募集を10月26日から行います。県では現在、身体障がい者の方の採用は行っておりますが、知的障がい者の方の雇用拡大に向けましても積極的に取り組む必要があると考えておりまして、既に平成16年度から重点プログラム事業といたしまして「障がい者のチャレンジ支援事業」を立ち上げまして、知的障がい者の方々の県庁舎での職場実習に取り組んできたところでございます。その取り組みを通じまして、知的障がい者の方を県で職員として雇用することにつきまして検討を進めてまいりましたが、個々の適性に配慮しまして、その人の適性に合った仕事を考え、そして仕事のやり方を工夫していけば、県としても継続的に就労の場を用意できると判断をいたしたところでございます。そこで知事部局としては、初めて知的障がい者の方を対象に、職員として採用するということにしようというものでございます。また、知的障がい者の方を採用するということは、共に仕事をいたします県職員の気づきや思いやりの心を育みまして、人にやさしい職場風土づくりを進めるということにもつながると考えております。また、今回の採用でございますが、まずは非常勤職員として任用をいたしますが、徐々に担当する事務の範囲を拡大いたしまして、一定の事務を担当するということが可能と考えられます場合には、次年度以降、常勤職員として任用するということを考えているところでございます。次年度以降につきましても、職場実習の拡大を図りながら引き続き採用を行いまして、障がい者にやさしい県庁づくりを進めていきたいと考えているところでございます。1点目は以上でございます。
2点目、県立美術館での液晶絵画展開催について申し述べます。県立美術館におきまして、平成20年2月14日(木)から4月13日(日)まで「スティル/モーション 液晶絵画展」と題する展覧会を開催いたします。この展覧会は、現在国内外で活躍中の作家14名が、静止した「絵画」と動きを伴う「映像」という従来の枠組みを取り払った斬新な発想の下で、時間芸術と空間芸術とを融合させた新しい芸術表現を紹介しようというものでございます。展覧会におきましては、大型ディスプレー装置等を多数必要といたすのでありますが、シャープ亀山工場で製造されております大型液晶ディスプレー等の製品を同社からご提供いただくということになりました。そういう意味では、芸術文化と先端的な産業の融合を本県から情報発信をする、ということの事業になります。なお、この液晶絵画展でございますが、三重県を皮切りにいたしまして、大阪市にございます国立国際美術館、その後、東京都写真美術館におきましても巡回展示をされる予定でございます。これまで開催されたことがない新しいコンセプトの展覧会ということでございますので、多くの県民の方々あるいは県外からもご鑑賞に来ていただくことを期待いたしているところでございます。
次に、今回の赤福の件についてコメントをさせていただきます。今回、株式会社赤福の件につきましては、去る19日に営業禁止処分を行ったところでございますが、その後、立入調査で新たな事実が明らかになってきておりまして、極めて遺憾に思っているところであります。県民の食の安全・安心に対する信頼が揺らいでいるということから、昨日、副知事を対策本部長といたします「食の安全・安心危機対策本部」を設置いたしたところでございます。対策本部を中心にいたしまして、食の安全・安心確保体制というものを再構築してまいりたいと思います。なお、昨日、食品関係事業者の方々へコンプライアンスの徹底を呼びかけます啓発文書を発出したところでございます。さらには11月には、「食品の適正表示セミナー」を県内3地域で開催をいたしまして、食品業界自らの適正な食品表示への取り組みというものを推進してまいりたいと考えております。
次に、宮崎県知事の全国和牛能力共進会に関しての発言につきまして、少しコメントを申し上げます。10月11日(木)から14日(日)まで鳥取県で開催をされました第9回全国和牛能力共進会で、宮崎県の牛が大変優秀な成績を収められたということで、このことはお喜びを申し上げるところであります。このことで、宮崎県知事から発言があったようでございますが、松阪牛との対決という話について多少誤解があるようでございますので、申し上げたいと思います。と申しますのは、この共進会は主に和牛の遺伝的な能力改良のために開催をされまして、子牛生産に大切な母牛や父牛の血統でありますとか効率的な生産技術を競うものでございまして、雌牛の肥育技術そのものを競う大会ではないということでございます。雌牛を未経産で、つまり子牛を生産しないで、じっくり時間をかけて飼育するという松阪牛につきましては、これは出品対象になっておりません。もっとも、松阪牛は兵庫をはじめ全国から優秀な子牛を導入しているということで、実は宮崎県産の子牛も相当あるところでございます。三重県は、日本一と言われる松阪牛や、また伊賀牛など、伝統的に他の地域から雌子牛を導入し、肥育をしている産地でございます。したがいまして、宮崎とか兵庫におきまして能力の高い子牛を生産してもらうことは、三重県にとりましても大変ありがたいことでありますので、がんばっていただきたいと、こう思っております。以上2点、発表項目と、そして2つのコメントを申し上げました。
2.質疑応答
(質)赤福の偽装問題についてですが、昨日また新たに明らかになった事実というのは、また別の食品衛生法違反の疑い、消費期限切れの「むき餡」「むき餅」を再利用していたり販売していたりした疑いがあるというところなんですけれども、証拠が残っていないとか、いろんな調査上の課題もあるようですけれども、悪質性等を鑑みて、今後捜査機関の方に、まださらに石原産業の時のように捜査を求めるというような考えはありますか。
(答)県においては、9月19日・25日の立入検査におきましては食品衛生法上の違反を見抜くことができなかったということでございました。それで10月19日に営業禁止処分を行うまで、食品衛生法上の問題がないと判断してきたことにつきましては、まず県民の皆さんに行政に対する不信と食に対する不安を与えたということに大変申し訳ないと、こう思っております。そこで、今回ああいう食品衛生法に対する違反ということが出てまいりましたので、徹底的な調査を行うよう関係部署に指示をいたしたところでございます。そして先般から調査をいたしてまいりまして、今お話のありました新たな事実というものも確認をしてきたところでございます。1つ目は、回収した赤福餅の再利用ということでございまして、その中には消費期限切れのものも含まれていたということで、この行為については平成19年1月12日まで行っていたということです。2つ目に、「先付け表示」すなわち製造日の翌日以降の日付を謹製日として付して、消費期限を延長して販売していたということ。3つ目に、「まき直し」が行われた赤福餅の中には、冷凍工程を経ずにそのまま再包装をして、再包装した日を謹製日としたことに伴う消費期限の延長があったということで、冷凍工程のない「まき直し」が行われていたということ。4つ目に、表示に記載をしていない糖類加工食品、いわゆるトレハロースを含む成分の糖類加工食品、これを寒い時期の11月から4月頃の期間に使用していた、これが記載をされていなかったというような、そういったことが出てきたところでございます。まだ調査というものは徹底的に今、行ってきているところでございまして、今後この件について例えば告発とか、そういうことについては、今後慎重にしっかり検討をいたしまして判断をいたしていきたいと、こういうことを考えております。
(質)ちょっと以前のお話で繰り返しになるかも知れませんが、創業300年の老舗が長年にわたってああいう幾つもの偽装行為を重ねていたということについて、改めて一言お願いできますか。
(答)もう事実が最初判った時にも大変ショッキングなことだと申し上げましたが、その後次々と新たな状況が判明してまいりまして、しかも随分昔から長年行われていたというような事実を聞くにつけまして、もう大変残念というようなことを通り越して、本当に遺憾に思うし、また消費者を騙してきたということについて憤りを覚えるところでございます。
(質)今回、県の体制不備がある意味で指摘されていて、これのすぐ前に、やっぱり四日市のこめかみ肉の問題でも県の立入検査の体制が甘いんじゃないかということが指摘されてます。これが連続して続くということで、県に対してこの食品衛生法というものを国が負託しているということに、非常に不信感というか、県に任せておいて大丈夫なのかという意見があるんです。当然、対策本部の本体は設置されますけれども、その部分で新たに県としての決意というか、そういうものがありましたらお聞かせください。
(答)私ども県としては、やはり県民の食の安全・安心というものを行政でできる限りしっかり確保していくということでございます。今回、少なくともこのことについて信頼が揺らいでいるということ、そしてやはりこれまでも食の安全・安心ということについて、いろいろ対策をしてきたのでありますけれども、やっぱりそのことについての徹底ができていなかったということを私も強く感じているところでございます。したがいまして、今県政の中で私どもがどういうことをやっていくべきなのかということでございますけれども、一つは食の安全・安心に係る監視体制というものについて、もう一度しっかり整理をしていくということが大事だと思っております。そしてその際、現行の組織とか、あるいは検査体制、これを検証いたしまして、県の組織や、あるいはシステム等について再構築を図っていきたいと、こう思っております。それから、今の食品の安全・安心ということについては、例えば表示基準は食品衛生法に基づくものとJAS法に基づくものとがあって、これは県民にとっても分かりにくいものとなっているという点があろうかと思います。この点は、国においても縦割り行政の中でありますから、私は法律もこの際考えていくべきなのではないかなということも思います。しかし、少なくとも県におきましては2つの表示基準というものをやはり合わせて、分かりやすい表示基準を示す必要があるのではないかなと、こう考えております。したがいまして、「食の安全・安心に関する県民の信頼確保のためのガイドライン」、特にこれは「三重県信頼表示ガイドライン」というような形で作成をいたしまして、今後の安全・安心の再構築に向けて取り組みを進めていきたいと、このように思っているところであります。そんなことから、先般から検討してまいりましたが、今回、副知事を本部長といたします食の安全・安心危機対策本部につきましても、例えば総務あるいは企画も入っておりますが、特に危機管理の防災危機管理部、ここも入って、全体の検証もしっかりできるようにしていきたいと、こういうふうに思っております。
(質)今、打てる手はもう既に打たれたという感じですか。
(答)どういうことですか。
(質)対策本部を立ち上げられて、この前のぶら下がり会見の時にも指摘がありましたけど、フェロシルトの時も含めて性善説・性悪説とか、そこのところが全然改まってないんじゃないかという話でしたが、何か事ある度に対策本部ができるんですけれども、実効というのか効き目というのが成果として見えてこないというのは、知事が推し進められてる「みえ行政経営体系」とか、その辺の経営品質の問題とか、それがやっぱりまだ成果が出てないんじゃないかという感じがするんですけど、その辺はいかが思われますか。
(答)これは言い訳めいて聞こえるかも知れませんけれども、この種のことについては行政は捜査権を持っているとかそういうことではありませんから、ある意味では現場の確認とそれから聞き取りということが主体になっていくわけでありますから、その中で真実が出て来ずに隠されているということになりますと、なかなか限界はあるのかなというふうには思います。しかし私自身、今回のことを通じまして、そうは言え、その辺が県民の安全・安心の確保ということから、徹底されていたのかということについては、まだまだ検討の余地があるのではないかという、私自身も不安を感じるところでありまして、そういう意味で今回さらに徹底をさせていこうと、こういうことにしたところでございます。今回、この対策本部でやってまいりますことにつきましては、昨日第1回対策本部をやりましたが、今回の赤福の件等もその調査状況、こういったことももちろん参考にしながら、2週間に1回程度開催をいたしまして、この対策本部での一定の成果というものを出していく、これが出てくることを期待いたしているところでありまして、どういうことに結果として県の体制が再構築されたのかについては、その上で皆さんにもお知らせをいたしたいと思いますが、それにつきましてはまだ少し時間をいただきたいと、こう思っております。今は同時に赤福問題がありますので、これにつきましては特別調査班を設けて、今徹底的な調査を継続してやっているというところでございます。
(質)特別調査班というのは対策本部の中にあるんですか。
(答)いや、これはそれとは別でございます。特別調査班につきましては、健康福祉部の薬務食品室や健康危機管理室、それから伊勢保健所、それに今回JAS法と食品衛生法とのいわゆる縦割りの弊害というようなことも指摘をされましたので、農水商工部の農水産物安全室も入りまして、約10名程度でチームを編成して一連の調査に当たっているというところでございます。もちろん、東海農政局とも連携を密にしながら、この特別調査班は今、調査に当たっているというところでございます。
(質)発足はいつですか。
(答)これは例の新しい事態が出てまいりまして、私の方から徹底調査を指示いたした段階で、すぐに編成されて対応しているというところでございます。
(質)10月19日?
(答:健康福祉部)19日でございます。
(質)事務局は健康福祉部にあるんですか。
(答:健康福祉部)私(庄司 正 健康・安全分野総括室長)が班長でございます。
(質)突っ込むつもりはないんですけど、知事はよく「行政には限界がある」あるいは「捜査権限がない」とおっしゃるんですが、ただし今回の件を見てると、国と地方の違いはあるにしても、どちらかと言うと農水省、東海農政局が主導して調べ上げて、結局JAS法違反から次に食品衛生法の部分まで向こうが嗅ぎ付けたと。しかも東海農政局自身にも捜査権限があるわけじゃなくて、国だから赤福さんはそういう形で正直に言ったのか、県だからその辺では許してくれるだろうと思ったか、それは分からないですけど、その辺の違いというのはどういうふうに思われますか。
(答)法律は別体系になっておりまして、あの段階では謹製日というのが打たれておりました。それがいわゆるJAS法によるところの表示違反ということについては、すぐに東海農政局の方からの調査の結果というものは出てきたわけです。食品衛生法では、どちらかと言うと今度は健康に対する被害ということに重点を置かれておりますので、いわゆる法律の違いということがあったかと思います。しかし先程も言いましたように、今回こういう事態になったということについて、県の調査段階で、そういう意味では県民の安全・安心という観点から、やっぱり厳しく徹底して調べていくという姿勢が仮にも抜けているということがあれば、これはやはり問題だと言わざるを得ません。私もそういう意味では今回、そういった所を徹底して再調査するように命じたところでございます。今回のこの件を、先程申し上げました副知事をトップといたします「食の安全・安心危機対策本部」、この中でしっかり検証いたしまして、今のようなご質問に対応できるようにしたいと、こう思います。
(質)宗教神事じゃなくて、伝統文化行事としての式年遷宮なんですけど、その側面から考えて、それと伊勢志摩の観光とか、まだ観光客数が減ったとか、そういう数字は出てないと思うんですが、今後の懸念について何かお考えになることはありますか。
(答)神宮そのものの存在とか、あるいはそれに関する行事そのものには、直接的なものではない、したがってそこは赤福と軽々に連動させて観光客に大きな影響をもたらすということは私も想定しておりません。けれども、しかしこれだけ大きな騒ぎになった、しかも赤福という誰もが知っている老舗の店での今回の・膜盾ナございますから、したがいましてどういうふうな影響が今後出てくるのか、それも軽々に分かりませんので、推移をしっかり見守って、行政の立場から何か考えなければならない点があるならば、手を打っていかなければならないと、こう思ってます。私としては、直接的な影響が出ないよう期待をしているところであります。
(質)昨日の県の会見で、いわゆるこの一連の赤福の偽装行為というのが組織的なものであったというようなことを言われたんですけど、知事としてはこういった一連の偽装行為や虚偽の報告というものに対しては、赤福のどういった体質に問題があったというふうに考えてらっしゃいますか。
(答)まだちょっと子細にそこまではよく分かりませんし、今、事実関係の調査がいろいろ出てまいりました。今後、そういった赤福としての会社の管理システムなり、あるいはマネジメントシステムそのものについてのいろんな評価というものもまた出てくるのかと、こういうふうに思っております。今の段階では、私としてはその辺のはっきりとしたことは申し上げられませんけれども、結果としてこういうことになったのでありますから、ほめられた管理システム、マネジメントシステムではなかったということは言えるかと思います。
(質)赤福側の会見で社長は、自分は指示していない、ということを言っているようなんですけれども、いわゆる一般論でも結構ですが、企業のトップがそれに対して責任を負わない、自分は知らない、ということについてどういうふうにお考えですか。
(答)一般論とか何とかと言うよりも、これはこの件ですから、そうおっしゃってることは社長の発言として言われていることでありましょう。そういったことの判断は、まだまだこれからいろいろ事実が、あるいは状況が判ってくる中で判断されるべきことだろうと、こういうふうに思います。
(質)いわゆる冷凍行為が始まったのは、その前の、現在の会長の頃からだと思うんですけれども、その会長についてもまたそういう?
(答)会長の発言そのものも全くないですよね。ですから先程申し上げたように、そういったことについての評価というのは、まだまだこれから状況がもっと明らかにされてきてから言えることではないかなと、こういうふうに思います。
(質)商工会議所会頭の益嗣会長が退かれた件については、事前には式年遷宮があるので続投ということだったみたいですけども、急遽退かれたことについて何かご感想はありますか。
(答)世間をこれだけ騒がせたところであります。赤福の社長以上に象徴的な存在として言われた会長の立場でありますから、今回の事の重大性を考えると、会議所の会頭を退かれるというのは適切な判断であろうと、当然の判断であろうと、こういうふうに思います。
(質)県民の中には、県は早く告発をして毅然とした態度を示すべきという声もあるんですが。うがった見方をすれば、地元の大企業なので刑事事件にはしたくないんじゃないかという声も聞こえてきますが、その件に関してはどうお考えですか。
(答)北海道の白い恋人とか不二家等の、ああいった件もございました。あの両件においても告発という状況には至っていないのではないかなと、聞いているところであります。したがいまして、今回、食品衛生法の観点あるいはJAS法に関連しましても、告発とかそういうことに該当するのかというようなことについては、今後しっかり判断をしていかなければいけないことだと、こういうふうに思っています。
(質)和牛共進会の関係で一つだけ。この件に関して、宮崎県知事と何かお話をされましたか、もしくは今後お話をされるおつもりはありますか。
(答)いや、そういうつもりもありませんし、今まで話をしているわけではありません。ただ、ご発言についてマスコミで取り上げられておりまして、私としては松阪市長をやり、BSEの対策もやってきた、そういう私なりに松阪牛のことをよく知っている立場からいくと、勘違いをされているんじゃないかなと、こういう思いで、今回は若干コメントを出させていただくということにしたところであります。
(質)知事の多選禁止の件なんですが、以前知事は、法律でしっかり決めるべきであるというようなことをおっしゃっていましたけれども、神奈川県の動きに関連して、改めてどんなことをお考えですか。
(答)私は、この知事の多選禁止ということにおいては、何も神奈川県の知事が言っておられるように、神奈川県だから長期に知事職にあると腐敗に結びつくということではなくて、松沢さんそのものが言っているように、権力の座に長く居れば必ず腐敗していくのだということは全国どこでも指摘できることになりますから、そういう意味では地方分権という、地方に委ねられる裁量権というものから考える問題ではなくて、制度として国がしっかり多選問題について判断をしていくということが大事ではないかと、こういうことで、私は国が法律で一律に禁止をするということが大事であると、こういうふうに思って今日まで申し上げてきました。神奈川県において今回、地方自治法の改正を前提とするような条例が作られたところであります。地方自治法等でこの多選問題を国がどういうふうに判断されるのか、これは国に係る課題でございます。私としては、地方自治法の多選禁止についての議論というものを見守りたいと思います。仮に、私が言っているように全国一律という法制化ができるならば、これはそれでいいわけでありますが、もしも、多選禁止と言いつつ、しかし最終的にそれぞれ都道府県の条例に委ねるというような法律改正になりましたならば、それはそれで三重県としても対応を考えていかなければならないと、こう思います。いずれにしろ、これは国の判断に対応して、適切に今後、私としての判断をしていきたいと、こう思っております。
(質)一つ確認なんですが、知的障がい者の方の採用で、国自身が身体障がい者、知的障がい者の行政への人数枠といった指示があったと思うんですけれども、三重県レベルでどの位の枠ですか。
(答)いわゆる、障がい者の雇用については法定雇用率というものが出されているところであります。
(答:総務部)数字は2.1%です。
(答)2.1%という数字が出ているところであります。これまで三重県庁におきましては、その法定雇用率を上回る雇用を今日までやってきているところでありますが、実は教育委員会であるとか、あるいは病院事業庁については、それを下回っているではないかというようなご指摘もありましたので、これにつきましては、少し前、そういう指摘がなされた時点で、今後しっかり対応をしていくように申し上げたところでございます。そういう中で、実は病院事業庁におきましてはこの8月に、知的障がい者に関係いたします所において、業務補助職員という任用形態で、知的障がい者の方を1名採用いたしているところでありまして、非常勤ということでありますが、知事部局よりも先行して採用をしたというところでございます。しかし、いわゆる常勤職員への任用を視野に入れた採用という、そういう点では知事部局が今回初めてであるということでございます。なお、他の県等の状況を聞いてまいりますと、既に知事部局では過去の実績も含めまして、8府県で知的障がい者の方が採用されているということであり、また教育委員会では11府県採用の実績があるということでございますけれども、採用状況については、業務は現業職員としての採用とか、非常勤の採用というような状況が多いところでございます。三重県としては、事務職員として今回採用するということにおいても、他の府県と違うところではないのかなと、こう思っております。
(質)法定雇用率2.1%の中には、身体障がい者の方も入っての数字ですよね。
(答)そうです。
(質)最終的に2.1%をまだ完全に充足していないと思うんですけれども。
(答:総務部)現在、知事部局におきましては2.4%でございます。
(質)しているわけですね。
(答)しています。前から身体障がい者雇用については、率としては上回っています。
(質)知的障がいの方も増やしていくという意味ですか。
(答)そうです。知的障がいにつきましても、障がい者の方々の取り組みをぜひしていきたいということで、平成16年から職場実習という形で取り組み、その対応に取り組んできたところでございまして、そういう職場実習を通じまして、今回その人に合った適性を考えて仕事のやり方を工夫すれば県としても就労の場をきちんと提供できるのではないかという判断に至ったということでございます。
(質)知的障がい者の方の、正規でも非常勤でもいいんですけれど、採用枠としての達成年度、目標としてはどの位ですか。
(答)今回1名を採用ということにしたところでございますが、これは初めてのことですから、まずは第一歩ということで、これをとにかく実現していこうということでやりました。それで今、職場実習についてもいろいろやっておりまして、今年5名が職場実習で参加をしております。こういう職場実習については今後どんどん増やしていこうと、こう思っておりますが、採用ということにつきましては今回の1名採用というような状況をよく検証しながら、評価をしながら、今後できましたら受け入れ体制についても増やしていきたいという思いでおります。
(質)増やしていきたいという意向はあるけれど、例えば平成20何年度に3名とか、それはないですか。
(答)今の時点ではまず非常勤職員として採用して、それで補助的な業務から始めまして徐々に担当する事務の範囲というものを拡大しながら、そして勤務状況を評価し、一定の事務を担当するということが可能と考えられる場合には常勤職員として1年後に任用をしていくという考え方でございます。したがいまして、そういった状況もしっかり見ながら、今後判断をしていかなければと思っています。
(質)液晶絵画展ですけれど、三重県から始められるのはなぜかということと、液晶の受像機そのものというのは貸与ですか、それとも寄贈ですか。
(答)まず開催に至った経緯につきましては、これは三重県の県立美術館として、アイディアとして出てきたものであるということです。県内では先端的な県内産業が活気を呈しているということでございますけれども、そういう県内産業と融合した新しい形の芸術というものが表現できないかということを、県立美術館においてアイディアとして打ち出し、そして今回、具体的には液晶産業と芸術文化というものを融合させた新しい斬新な芸術というもの、これが表現できるのではないかということで提案し、そして企画されてきたということでございます。そこで、実はこの県の発案につきまして、実現可能かどうかということで、技術的にそのことの可能性を調査いたします過程において、シャープさんに対して協力要請をさせていただきました。そうしましたところ、シャープさんの方のご厚意がありまして、機材提供の協力が得られるということになったところでございます。資料にもありますように、提供機材も大型液晶ディスプレー32台はじめ、そういった大変高価な機材をご提供いただくということで、今回の美術展も実現可能になったということでございます。
(質)提供はその期間貸してもらえるのか、寄贈されるのですか。
(答)今そのことについて確認しておりませんけれども、私の聞いているところでは多分、三重県から大阪、そして東京、3会場ずっと回していくという中で、シャープさんとしては、いわゆる製品価値としてはもうかなりなくなっていくのではないかというようなことでありますから、したがいまして、それに使った機材がまだ使用できるということでありますならば、有効活用についてシャープさんとまたご相談をさせていただくということになろうかと思います。
(質)要は寄贈受け入れの意向があるから、そこは協議したいということですか。
(答:教育委員会事務局)一応お返しさせていただくというようにはなっておりますけれども、今申し上げましたように使用が可能かどうかということもございますので、そういったものを寄贈いただいても使用できませんので。一応お返しさせていただくという方向でございます。
(答)一応、基本はその期間内お借りするという形になっているようですね。 (質)
美術館からということは、今の館長さんが主に発案をされた形なんですか。
(答)今、大阪の国立美術館の館長をしておられる 建畠さん(建畠晢(たてはた あきら)氏:国立国際美術館館長)という方がおられますけれども、この建畠さんにつきましては、私が知事に就任した後ご要請をしまして、美術館の特別顧問としてご就任をいただいておりました。私としては、将来の三重県の美術館長としては大変いいのではないかという期待を持っていたのでありますけれども、国立美術館の方に引っ張られてしまったと、国立国際美術館の館長に就任されたということであります。建畠さんが特別顧問をしていただいておりました時に、いろいろと美術館内で検討、企画を進めさせていただきましたので、その後もこの企画実現までには建畠氏とも熱心に連携を取って構築をしてきたところであります。なお、東京都の写真美術館につきましては資生堂の福原さん(福原義春氏:㈱資生堂名誉会長)がここの館長をされておりまして、福原さんは何度も三重県においでいただき、三重県のファンにもなっていただいているという関係から、ぜひにということで、会場を探しておりました段階で、なかなか会場がどこにするのか見つかりにくかった状況の中で、この東京都写真美術館ということに決定したという経緯があると聞いております。
(質)都市と地方の税収格差に関しまして、地方法人2税の見直しが浮上してきていますけれども、それについて知事のお考えは。
(答)今回の法人2税の問題についていろいろ議論されておりますけれども、私としては、国が今、打ち出そうとしているのは確か人口であるとか、それから事業所数であるとか、そういった基準で法人2税の見直しをやろうではないかというようなことのようでございますが、見直しをやるならば基準としてはやはりそれぞれにあります、例えば工場の規模の大きさ、それだと面積というようなこと等、あるいはそこの従業員数、それは地方にとりましては工場にいろんな公的なサービスに係ることで道路の使用だとか、そういうのも大きく影響してきます。ですから私は、今、国のそういった検討よりも、もっと合理的な物差しを考えるべきだということを思います。ただ、今回の法人税の改変については、どちらかというと地方交付税であれだけひどい仕打ちをした、その穴埋めを地方間でさせようということでありまして、その動機そのものについては、私は抜本的な改革が伴わないとなれば、これは少し疑問に思わざるを得ないというところがあります。私としては、やはりこの際もっと地方で本当にどういう行政サービスが必要なのか、それに見合った財政を確保すると同時に、今起こってきている地域間格差というものをそういう制度の中でしっかり埋め合わせていくということが大事だと思います。そういう意味からいけば、やはり地方にとっても安定的な消費税というような、そういった財源によります手当てがなされていくということが大事だと、こう思っております。
(質)三重県議会で定例会を年2回にするという案が出されましたけれども、改めて知事のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。
(答)今回、議会でのご議論は、県民との意見交換をできるような、あるいは県民の意見を聞けるような、そういう機会を多く持つということや、また議会にとって最も大事な議員間討議というものを充実させていくというような、そういう趣旨から会期の見直しをやっていくのだというふうにこれまでお聞きをしてきたところであります。今回、2回定例会というような形で議会の方では意見をまとめられたと伺っているところでございますが、それについてはその目的としたところが、やはり県民に分かりやすくしっかり提示をされるように、今後子細を詰めていかれるということが大事であろうかと、こういうふうに思っております。なお、私の方は、議会そのものはこの執行部側が多く関わっている、あるいは実際に議会活動そのものが、実は私ども執行部の大きなウエイトを占める、そういう負担をどうしても伴うものでございますから、そういったことについては私どもとしてもやはりきちっとしたルールを設け、私どもが、県庁の職員が、県議会に顔を向ける時間が多くなって、県民に向けてのサービスというものが低下をしていくというようなことがあってはいけません。そこで、このことについては既に副知事から議会の方には意見を申し述べているところであり、議会もそれについては受け止めていただいて、その上でご検討もいただけるのではないかなと、こう思っております。なお、今度11月2日でしたか、予算決算常任委員会が行われるその日に、その後で私との意見交換を設定するという、そういうことを決めていただいたと伺っているところであります。私としてはまだきちっとした細かいところまで分かりませんけれども、今後、やはり議会運営のどういう具体的なやり方になるのか、子細についてぜひルール化を進めていただき、私どもとしても決して県民サービス低下にならないような、そういう、より効率的、合理的な、いろんな事務手続きについても簡素化を図るとか、やり方についての工夫を付け加えながら、ぜひそういったルールを確認していきたい、明文化してほしいということで、いろいろと意見交換をさせていただきたいと、こう思っています。議会の目指すところについては、敬意を表するところであります。
(質)赤福問題に戻るのですけれども、JAS法と食品衛生法、国の方もこの際考えていくべきというお考えを示されたのですけれども、具体的にこれを一緒にして考えていくとか、そういうことですか。
(答)これは国の方でしっかり考えてもらうことだと思います。やはり、国の法律も国民から見て、あるいはその法律に特に関係の深い所から見ても分かりやすいということ、これがしっかり運用、適用されていく際に大変重要なことだと思います。そういう意味では、ぜひ考えていただきたいことでありますけれども、国の方も省庁が違いますからどういうふうにご判断されるのか、ただそういう状況であっても県としてはそれを総合的に両方合わせてこうしていただくということでないと、どちらかで法律に引っ掛かってきますよ、コンプライアンスを守っていただくということは、関係するその法律両方を通してこうあるべきだというガイドラインをご提示するということが大事であろうと、こういうふうに考えています。
(質)1点、手短かでいいのですけれども、議会関係ですが、県久居庁舎の津南署使用問題で、総務部長が議会に補助金の返還というのは後で気付いたという話をされて、一応議会に謝罪されましたけれども、それについて一言感想はいかがですか。
(答)久居庁舎に以前ありました保健所が、あれは6年程前だったかと聞いているのですが、その際にこの補助金の返還という問題が既に国との議論の中であったというふうに聞いております。その際に、実は久居保健所は場所が変わるけれども、しかし、こころの健康センターがあるということから補助金の返還に至らなかったという事情があったということでございます。今回、津南警察署整備に係る問題で久居庁舎そのものを空けるということでありますから、こころの健康センターも当然そういう意味で外に出るという状況でございます。これまでの検討の中で、そういう意味では6月議会においてそのことも併せ、きちっとご説明すべきであったのだろうと、こういうふうに私も思います。しかし、それにつきましては、実はそのことに気付かずにと言いますか、説明もできなかった、総務部長の言葉では気付かなかったということでございますから、誠に申し訳ないことだと、こう思っております。
(質)遺憾の意と取っていいのですか。
(答)今後こういうことがないように、しっかり督励をしていきたいと、こう思っております。こういう事態そのものについては、遺憾でございます。
( 以 上 )