知事定例会見録
平成19年 2月21日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目
- 平成19年「県民の日」記念事業について(発表)
- 「山の一句」審査結果発表及び平成19年度全国俳句募集の実施について(発表)
平成19年「県民の日」記念事業について発表いたします。明治9年4月18日に旧三重県と度会県が合併しました。旧三重県については、その前には安濃津県と申した時期がありました。そして、明治9年の合併で現在の三重県が誕生いたしました。そのことを記念いたしまして、100年後の昭和51年に、条例によりまして4月18日を「県民の日」と定めたところであります。以来、「県民の日」を中心としまして、記念事業などを実施してきました。平成19年にありましては、4月14日(土曜日)、三重県総合文化センター文化会館中ホールにおきまして、県民功労者の表彰と、そして記念事業として、県立上野高等学校出身の芥川賞作家の伊藤たかみさんによる記念講演、伊藤さんの著書にちなんだロックバンド演奏、伊藤さんと県内高校生の皆さんによるトークセッション、県立白子高等学校吹奏楽部によります「熊野古道賛歌」等の吹奏楽演奏を予定しています。また、県内59の公共施設の無料開放等を行います。次代を担う世代の皆さんに、県民功労者の表彰を通じて人生の先輩の功績を知っていただき、また若い人たちがトークセッションやロックバンド・吹奏楽演奏に出演する様子を目にしていただく中で、三重県の持つ「文化力」に気づいていただき、それをさらに発展させていただくことを期待しています。
次に全国俳句募集についてでございますが、平成18年度全国俳句募集「山の一句」、これの結果発表、そして平成19年度全国俳句募集の実施について報告をいたします。平成18年5月16日から11月19日まで実施いたしました全国俳句募集「山の一句」につきましては、マスコミ各社を始めとする皆様方のご協力を得まして、全国さらには海外から、111,815句もの作品をお寄せいただきました。厚く御礼を申し上げます。今回の集計結果の特徴についてでありますが、1つは、全体としての句数は昨年より7,000句程度増加したということ、2つ目に学校単位の応募が昨年度に引き続き増加をしたこと、3つ目に県外からの応募が本年も全体の6割を超えているということ、4つ目に、自由題部門への投句の割合が昨年に比べて大きくなったこと、などが挙げられます。投句の増加の要因としましては、一つは伊勢志摩を中心とした宿泊施設へのチラシ・応募用紙・投句箱の設置があるのかと思います。もう一つは、近畿日本鉄道の駅構内でのポスター掲示・チラシの設置、こういったことがあるのかと思いますが、こういったことなどによりまして、新規の応募者が増えたのであろうと考えております。さて、最優秀賞を受賞された方でありますが、テーマ部門におきましては、千葉県千葉市にお住まいの紺野百合子(こんの・ゆりこ)さん、自由題部門では三重県津市にお住まいの野田利勝(のだ・としかつ)さんのお二人でございます。この受賞されたお二人には、3月8日の午前10時から、県庁3階プレゼンテーションルームにおいて表彰する予定でございます。また、19年度についてでありますが、これについては「光の一句」と題して募集を行います。募集期間は、本年と同じく5月16日から11月19日までとする予定でございます。引き続き皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
2.質疑応答
(質)俳句の新しい募集テーマの「光」というのは、今までのと比べるとちょっと抽象的な感じがするんですが、前に「音」というのもありましたけど、これに決まった経緯とかは。
(答)私の方で聞いていますのは、今まで過去からずっとやってまいりまして、そのテーマあるいはイメージというものと重複しないものがいいのではないか、ということが選句していただく先生方の議論でございました。例えば「川」というようなことも一つ考えられたわけでありますが、しかし過去の俳句募集のテーマとイメージが重複するということで採用を外されたということがあります。それから「火」はどうかという話になりまして、「火」ということでありますとネガティブなイメージも想起をされるということで、「火」を含む「光」ということにしたところであります。実は、芭蕉さんも光に関する俳句を詠んでおりまして、奥の細道におきましては地名の日光、これは光が入っていますね。それから自然の日の光を詠んだ、こういう歌がございます。「あらたふと青葉若葉の日の光」、あと「荒海や佐渡に横たふ天河」などがございます。俳句の題材というのは身近な所にありまして、四季の彩りを感じさせるものが適当であると、こう言われております。そういう意味では、この「光」というのを入れました「風光る春」とか「蛍日の夏」とか「送り火の秋」とか「初明かりの新年」といったように、季語にも含まれていますように、「光」というのは、それにふさわしいと言えるということで、以上のようないろんな状況の中で、今回「光」というテーマを設定したということでございます。
(質)応募数はいいんですけど、内容、最優秀賞の感想はどうですか。
(答)私に聞かれましても、俳句の文化力をまだ十分に持っておりません。まず紺野百合子さんの「シュプールを追ふシュプールを描きつつ」、私はこの句は同じ語が2回出てくる、これは非常に俳句としても珍しいのではないかと、こう感じたところでありますが、実は選者の先生、中原道夫先生によりますと、以下(県ホームページの報道発表資料に掲載)のように言っております。なるほどと私としては感じたところであります。
(質)もう一つの方は。
(答)もう一つも、「新しき菜籠」というのが、やはり、春に向けての胸膨らむ、そういう味わいがとても良かったのではないかな、それが選者の先生にも選ばれたのではないか、というふうに私は思っております。
(質)募集テーマは「光」ですけども、長期計画に合わせて「わくわく」とか「元気」とか、そうすれば政策一致になるんですけれど。「文化力」しかり、「トータルマネージメント」しかり。「公」でもいい。
(答)私の言っておりますのは、2~3歩先でありますので、もう少し時代が掛かるかもしれません。
(質)伊藤たかみさんへの感想は。
(答)伊藤たかみさんが芥川賞をとられましたという新聞報道を見まして、それですぐ私も「八月の路上に捨てる」、その小説を読みました。私としては文学を評する能力はありませんけれども、非常に日常的な生活をストレートに、しかし新鮮な感覚で書き表しておられるなと、要するにああいうのを見ますと、若い人たちの、伊藤たかみさんなんかもそうでありますが、若い人たちの感性というものも大変な感性を持たれているな、またそうであるからこそ、伊藤たかみさんは芥川賞を受賞されたのかなと、こういうふうな思いを持ちました。
(質)山の一句の方、全体では感想はどうですか。読んでないでしょうが。数の増えたのはめでたいとして。全体講評、まだ見てないから言えませんか。
(答)まだ見てないので言えません。
(質)知事と伊藤さんとのトーク的なものというのは普通やると思うんですが、今回はそれを避けられたんですか。
(答)この行事の役割は、さっきちょっと申し上げましたけれども、三重県の「文化力」を表現するにふさわしい人に出ていただかなければなりません。そういうことで芥川賞をとられた伊藤さん、実は受賞された後すぐに、ぜひそういう機会があったらと言っていたところでありまして、今回、その伊藤さんの記念講演、それから伊藤たかみさんの著書でロックバンド演奏、ご自身もやられますけれども、そういうのを小説にされております。そういう意味ではロックバンド演奏というのも、その関係でやっていただくということです。そして同時に先般多くの人に感銘を与えました「熊野古道賛歌」、特に白子高校の吹奏楽部、非常にうまく演奏されておりますが、それもやろうということ。それから伊藤たかみさんは、やはり若い高校生、若者の題材を取り上げて小説を今日まで多く作られております。そういう意味で地元の高校生とのトークセッション、こういったものを組み合わせて、この記念事業としようということになったところであります。
(質)知事とのトークショーとかいうのは、案段階でも出なかったんですか。
(答)全然出なかったです。
(質)この地元高校というのは、ご出身の上野高校という意味ではなくて、県内の高校選抜ということですか。
(答:生活部)今、調整中でございますが、上野高校にもお願いをしているところでございますけど、まだ確定はしておりません。男性2人、女性2人ということで、上野高校も含めて4名の高校生に出ていただく予定です。
(質)県内高校生と表現してもいいですね。
(答:生活部)はい。
(質)新進女流俳人とツーショットで喜んでおられた知事もおられたんですけれど。伊藤さんとはお話されたいとは思われないですか。
(答:生活部)受賞されましてすぐに5月頃だったか、お会いさせていただいて、あと知事とはこの表彰式に行かれますので、その前に少し時間を取ってお話ししていただこうと思っております。
(質)選挙に関しての態勢、この前の会見で伺いましたけれども、その後どのような形で進んでおられるか伺えますか。
(答)まだ、あれから具体的な形で決めるまでに至っておりません。鋭意、今、いろんな方にお願いをしながら、特に「みえけん愛ネットワーク」、これが選挙の際の基本的な応援部隊、後援の中心となる核になるものだと、こう思ってこれを鋭意詰めていってもらっているというところです。
(質)選対立ち上げの時期的なものは。もう「みえけん愛ネットワーク」も立ち上げたんですか。
(答)「みえけん愛ネットワーク」は、正式な発足は3月になってからになりますが、いずれもとにかく告示までに間に合うよう段取りしてまいります。
(質)選対も3月ということでしたか。「みえけん愛ネットワーク」も選対も3月初めに立ち上げるということですか。
(答)選対は、準備はいろいろしておりますが、正式には22日以降になるでしょう。
(質)事務所開きは?
(答)事務所開きは、今のところ予定していません。
(質)やらないと言うのですか。
(答)3月22日に選挙事務所は開きます。
(質)政党の関係の方は、「みえけん愛ネットワーク」も入られないということでよろしいですか。
(答)それぞれがどこの党に所属しているのかとか、そんなことは分かりませんが、国会議員とか、県会議員という肩書の付いた方は入りません。
(質)「みえけん愛ネットワーク」が3月になってからとは、3月初めと解釈してよろしいわけですか。
(答)それぐらいまでにはあらかた大体は。だけど、それ以降も徐々に、3月の初め頃には一応、正式に立ち上げていくという形が必要かと思ってます。
(質)マニフェストの方は今、どのような状況になっていますか。
(答)マニフェストについては、今回、公職選挙法の改正で、市長選、知事選でも選挙ビラが使えるということになりましたので、それは活用したいと、こう思っております。マニフェストについても今、準備中でありますので、A4版1枚にどうやって落とし込むのかということがありますが、選挙ビラとして当然活用したいと、こういうふうに思ってます。
(質)A4版2枚でしょう、表裏。
(答)表裏、もちろん使いますけれども。
(質)どういったような訴えが中心になってくるんでしょうか、今言える範囲でかまわないのですけれども。
(答)まだ、全くA4のイメージができてません。まだこれからなので、できあがったら告示までには見ていただく機会があると思います。
(質)ネットワークに入られる後援会の会員数で、何か数値目標的なものはおありなのでしょうか。180万人の1%だとか。
(答)全くありません。
(質)そういった、ざくっとしたものもないのですか。
(答)はい。
(質)マニフェストはA4版1枚ということで、非常に限られてはいるのですけれども、これを首長も配れるようになることについての候補者、有権者のそれぞれメリットというのはどういうふうに考えますか。
(答)もちろん選挙は、民主主義に基づく政治制度の最大のものでありますから、その選挙というものが、有権者から選びやすい、その候補者の訴えができるだけ伝わるということが大事であります。そういう意味で、有権者の側にとっても大変有効なものだと思いますし、また候補者にとりましても訴える手段が多くなり、有効なことだと思います。ただ選挙ビラとしては、私はもっと首長選だけではなくて、地方議員にも認めていっていいのではないかと、こういうふうに思います。地方行政というものの比重は非常に増してきているだけに、地方自治体における首長選挙だけではなくて、議員選挙でも私はやはりそういうものがあっていいのではないかと、こういうふうに思います。それからマニフェストとは、私も頭の中でこう、ざあっと描いていきますと、だいたいA4に書いてもやはり相当ページ数に表現していこうと思うと、ていねいにきちっと表現しようと思うと、数ページから10ページ、あるいは場合によっては書き方によりますが、もっともっとになる可能があります。ですから選挙チラシ1枚にということになると、かなりきつい制約ということも言えます。しかし、選挙ビラとして認められたということは、大きな前進であるかなと、こう思っています。
(質)枚数は16万枚なのですけれども、多いか少ないか?
(答)枚数は確か衆議院の小選挙区の1つ増える分ごとに、1万5千とかいうような形ですね。
(質)10万+1万5千×4。
(答)難しいところだと思いますけれども、他の選挙とも比較されて出されてきたものなのかなと、こういうふうに思います。無制限にということは弊害も起こりうるので、やはり制限するのはある程度やむを得ないのかなと、こういうふうにも思います。
(質)ホームページは立ち上げておられるのですか。
(答)ホームページはできたら当然、3月22日から始まりますから、それ以前にできるだけ早くと思ってますけれども、立ち上げて少しマニフェストの詳しい中身を見られるようにできたらなと、こういうふうに思ってます。
(質)ブログとかは考えておられない?
(答)考えてません。
(質)マニフェストですけれども、タイトルとしてローカルマニフェストと、知事としてはどう呼んでいきたいですか。マニフェストとされますか。
(答)できた後見てください。ローカルマニフェストというのは、多分に政党を意識した言葉ではないかなと思います。私にそういうご質問はあまり適当ではないのかなと、こう思います。
(質)ご自身はマニフェストとして捉えて?
(答)分かりません。マニフェストという言葉を使うか使わないかもまだ決めていません。
(質)いわゆる期限とか財源とか、そういうものを示したようなものを考えているということでしょうか。
(答)そうですね、書けるものは表現の中に入れていいのではないかなと思いますけれども、これもあまり多岐にわたったのでは量が多くなるので、ごく代表的なものの中で、その中でそういうものが入れられるものについては、大体期限ぐらいは入れていいのではないかなと、こう思います。
(質)先程、地方議員にも認めてもいいんじゃないかというお話がありましたけれども、そういう予算の執行とか編成という点で首長さんとはずいぶん違うとは思うのですが、そういう地方議員でもそういう数値目標とか期限とかというのを、マニフェストで出していくというのはご賛成なのですか。
(答)数値目標とかそういうようなものに、何もこだわらなくてもいいと思います。要するに選挙ビラとして、マニフェストとは要するに選挙の公約という意味で捉えたらいいことで、その表現の仕方というのは、自分の表現の仕方で責任を持ってやればいいことであろうと、こういうふうに思います。流行に追われたマニフェスト、マニフェストといっても中を見ると実に様々あるのではないですか。もっと素直に選挙公約としてどう訴えていくのか、それに対して候補者は責任を持っていくということです。分かりやすくするために、期限・財源を入れたりするという知恵・工夫もあるでしょうが、議員については、自ら責任の持てるものなのかどうなのか、ということがありますから、したがって議員の場合には、例えばローカルパーティがローカルマニフェストとして出すような、そういう共通のものを共有しながら出すとか、いろんなやり方があるのではないかと思いますが、残念ながらまだ、ローカルマニフェストも認められていないというような状況ですから、ちょっとこの面での議論は、国の議論もまだ遅れているのではないですか。
(質)先日、民主党県連がローカルマニフェストを公表されたのですけれども、その折、座長として代表で進められた中川衆議院議員にお聞きしたのですけれども、期限はあっても財源が示されてないと、中川さんは残念ながら示すことはできなかったけれども、可能ですとは言われたのですけれども、そのローカルマニフェストは読まれましたか。
(答)詳しく読んでいませんけれども、あれは民主党の三重県連として、今回行われる春の統一選挙に向けて作られたものであるという認識を持っています。市町に対して言っているものなのか、県に対して言っているものなのか、そういうことは明記されていませんけれども、作られた努力は敬意を表しながら、国としてはしかし、まだきちんと認めていないという、非常にこの辺が制度として十分に整っていない、あるいは成熟していないと、こういうふうに感じます。
(質)政党推薦のことをお伺いしたいのですけれども、社民党も野呂知事の推薦を決められて、これで共産党を除く4党、事実上の相乗りという形が決まったのですが、4党の推薦を受けて選挙を戦うことについて、知事は今どういうふうにお感じになってらっしゃいますか。
(答)私はこれまで4年間、県政をやってきたわけでありますが、そのことについてそれぞれがご評価を下さったからこそ、またご推薦もお決めいただいたんだろうと、こういうふうに思います。そういう意味では、今後もこれまでの4年間に取り組んできたこと、種まきをしてきたこと、それからもちろん残された課題も多くありますし、新たな時代背景による課題として出てきているものもありますから、そういったことへしっかり取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。そういう意味では、基本的な軸は「県民が主役の県政」という、これを「県民党」というような表現も使ったりもしたわけでありますが、そういう立場で取り組んでいきたいと思います。その思いを、ご推薦いただいた政党の期待を裏切らないように選挙戦でも訴えさせていただきたいと、そしてその後、取り組みたいと、こういうふうに思ってます。
(質)政党がこれだけ、自民・民主も含めてなんですけれども、推薦がくることによる弊害、知事の動きがとりにくくなるとか、そういう弊害もあると思うのですが。
(答)今、私にとりましてはそういうものは感じておりません。大変ありがたいことだと、こう思っております。もちろん選挙は、それぞれ戦い方があるんだろうと思いますけれども、私の場合にはいずれの政党からも推薦を受けないという方法もあるいはあるのかも知れないし、しかし私自身はやはり地方行政は地方行政だけで成り立っておりませんから、そういう意味では国政の皆さんともやはり、信頼関係あるいは理解、こういったものが必要だと、こういうふうにも思っております。自分も中央政治にも携わっただけに、中央政治のあるいは政党の良さ、それから私にとっては批判的な面も両方それぞれ持ち合わせてますし、頼りにするほど頼りになるのかというとそうでもないし、かといって、また頼りにしなけれならないところも大いにあるし、というようなことで、是々非々のところがあるのかなと、こう思ってます。したがって、我々地方からいくと、今、国の体制と戦わなければならない課題もずいぶんありますから、そういう意味では、その応援団として政党の皆さんにもぜひご理解をいただくようにお願いをしていかなければいけないと、こう思っております。
(質)そうすると、なおさらやはり、その中央の政党というものからは外れた方が地方自治という、地方主権という考え方は貫きやすいと、素人考えとして思うのですけれども。
(答)私はそういう意味では、全く何の遠慮もなく地方の立場をこれまで相手が誰であれ申し上げてきましたし、今後も全く政策に影響されることはありません。
(質)3月22日以降、直接県民に、どんなふうに次期に向けて考えてらっしゃることを伝えていこうと考えておられますか。今の段階でどんなふうに主張していこうと?
(答)まだ具体的な選挙期間中の行動だとかそういうものも決めていませんので、今、お答えできません。
(質)昨日、代表質問でちょっと出てましたけど、国土形成計画法で1月末に出されたという中身で、答弁はされておりましたが、中身についてもう少しお願いします。
(答)国土形成計画全国計画というのは、平成19年、今年の中頃の策定を目指して国土審議会の計画部会で検討が進められているところです。それで、昨年の11月末に、全国計画の基本的な考え方となります中間取りまとめが出されました。そして、実は今年の1月末を期日として、都道府県並びに政令指定都市に対して、計画に対する提案・意見を求められました。それに対しまして、三重県としてはかなり、中身として10項目21事項について提案を提出したものでございます。提案については、国の考え方の方向を見直していただきたいというようなこととか、あるいは国の積極的な取り組みを求める課題、こういったことについて提案をまとめましたが、具体的に中身がどういうものだったのかという、主な点で言えば、まず中間取りまとめの考え方への懸念といたしまして3点ほど挙げております。1つは、計画実現のための社会システムに触れられていない、特に今後、地方分権が進められていく、そういう前提で、そういう社会システムというものが非常に大事になってくるということについて触れられていないということです。2つ目に、経済的な視点に偏っているのではないかということ、すなわち今後もっと「心の豊かさ」といったような観点が必要ではないかということから、視点が偏っているということも言えます。それから広域ブロックの考え方が前面に出ているけれども、やはり広域ブロック間の交流・連携の視点というものが希薄ではないかということ、以上3点について、考え方への懸念を示しました。具体的な提案内容としては、1つは、新しい国土像を実現するためには地域主権の社会の実現が不可欠であり、現在の社会システムを変える必要があるということです。これは先程言った1点目と関連するものでございます。2つ目に、経済的な豊かさなどを追求した競争の社会だけではなくて、絆を大切にした共生の社会を築くべきであり、また新たな「公」の考え方を前面に出すべきであるということ、これは先程の2点目に対応するものであります。3点目に、単なるブロックが並立する国土像ではなくて、交流・連携の軸とブロック化を2つの柱とした国土像を目指すべきであるということ、これは昨日、県議会の中でも答弁で触れたことであります。そのほかに、地震対策であるとか道路網の整備であるとか首都機能移転などの個別課題への対応ということで挙げまして、国に対して申し上げているところです。これを受けて国の方では今後、今年の5月頃までに5回程度、計画部会で調査・審議がなされるということでございます。その上で最終報告、これはいつ出るのか分かりませんが、最終報告がまとめられる予定であるということを伺っているところであります。
(質)知事はこの最終報告というのが、いわゆる道州制ともリンクしているとお考えなんですか。それとも、これとは全く別物とご理解されてるんですか。
(答)この国土計画そのものでは、道州制そのものが前提になっているというものではありませんから、リンクしていると考えることは、正しくないと思います。ただ、広域連携そのものの考え方として、昨日は例えばこういう国土形成計画でも、やはり地域をブロックで考えるよりもやっぱり連携で考えていくということもひとつ必要だと、そういう国土像というものを言ったわけです。道州制とリンクしているものということは受け止めておりません。
(質)以前からおっしゃってる「国が先に形を示すべきだ」というものの一助にはなりますか。
(答)逆です。
(質)国土形成計画法の中間報告では最終答申が来ますよね。計画部会を経て最終答申ですが、それが結局、知事がずっとおっしゃってた「1つの国の形」の一助にはなるとお考えですか。「この国のあり方を示すことが大切だ」とおっしゃってたんですけど。
(答)その議論とは、やっぱり直接イメージするものというのが少し違うのかなと、こう思います。我々としては、そういう意味では社会システムだとかそういうことについて、今後例えば地域主権の社会を前提としてこういう全国計画も立てるんですよ、ということになれば別でしょうが、結果としてこれを見ていかないと、どこまでイメージできるのかということは分かりません。それから各県も、国土形成計画、これは全国計画とそれから地方計画があります。地方の広域計画は今、三重県の場合には、中部の方とそれから近畿の方にも議論に入らさせていただいてやってます。そういう意味では、例えば北陸だとかそういう所も、この国土計画のブロックというものについてはいろんな立場でそれぞれで物を言っておりますが、これが道州制だとかそういうものにリンクしているとふうにも思っておりませんから、そういう意味では直接リンクしていないという前提であれば、今後、地方分権の議論をしているこの国のあり方、この国の形ということにどれだけ踏み込んでくれるかというのは、なかなか定かではないと思ってます。特に先程の点で言うなら、これは国土交通省が中心となって検討してますから、この国の形のあり方というのには、これはとても権限が及ばない部分、議論です。
(質)関連ですけど、昨日、県議会で道州制セミナーを同志社大の石川さんを招かれてやった時に、質問の中で、ある議員が「野呂知事との懇談の中で、最終的に道州制の枠組みというのが県民の意に沿わないものであるならば三重県全体を政令指定都市にして、という手もある、そういう選択肢もあるんじゃないかということをおっしゃってたが、そういう選択肢はあり得るのか」という質問があったんですけど、その辺はそうなんですか。
(答)答えはどう言われてましたか。
(質)市川さんは、「今の都道府県制というのは、ある意味優れてるので、それを全く違う形の選択肢で考えるというのは考えない」というふうにおっしゃってました。
(答)いろんな場面で議員の人たちと気楽な形での会話を交わしてます。それは私どもが道州制というものについて理解が十分にいかないまま、もしも国が強引にそういうものを導入していくということになったら、県として、例えばどういう考え方ができるのかというようなことで、私の思い付きの中には幾つかあって、その中の1つとしてそんなことを申し上げたこともありましたが、公式の場面での発言としては、とてもそんなことは言えないことであります。
(質)安倍さんになってから、それについて3年以内に答えを出すという話もありますから、進んでるという感じは知事会などにもご出席されててお感じになるんですか。
(答)全然感じません。国自体、変わろうとしてるのかどうなのかということも、よく分かりません。入札談合でも地方に非常に厳しいことを言ってますが、あんなことを言う前に、国が率先して模範を示すほど立派なことをまずやるべきでしょう。地方に対して立派なことを言っても駄目ですね。だからそういう意味では、国は言っていることとやっていることがまだまだ信用できませんから、まだ道州制の議論も状況をよく見ていかなければなりません。
(質)熊野古道センターが10日にオープンしまして、三重県は21億円をかけて建てたものなんですけれども、南部の活性化について地元からはちょっと観光ということにあまり期待できないんじゃないかという話も聞かれるんですけれども、知事として改めてこの古道センターが南部の活性化につながるのか、期待とか課題とかがありましたら教えていただけますでしょうか。
(答)私は、熊野古道センター、これは世界遺産に登録をされた熊野古道いわゆる紀伊山地の霊場と参詣道、これは日本の原風景を持ち、そして熊野の人たちが古くから自然と共に培ってきた生活・文化・伝統、こういったものが感じられる、そういう意味では貴重な文化的景観として認められた世界遺産であります。これをどう表現し、また発信をしていくのか、これは三重県にとっても、また隣県との連携においても、また地元にとっても大事な課題であります。一方でそれをしっかり保存していくということも併せてやっていかなければなりませんから、そういう意味で地元の人たちと熊野古道センターをその情報発信の拠点として、また活動の拠点として大いに活用していく、このことが大事だと、こう思ってます。まだスタートしたばかりでありますけれども、指定管理者としてNPOの皆さんにお世話いただくということでありますし、それから尾鷲市は尾鷲市でセンターの隣に今後、施設を4月からオープンされるし、来年以降は温浴施設も付いてくると聞いております。そういったことも含めて、市やあるいはその市の施設を運営される会社、それから熊野古道センター、これらが連携してしっかりこれから知恵を絞りながらやっていただいくということが大事ではないかなと、こういうふうに思います。私どもは古道センターだけではなくて、東紀州については観光政策においても、あるいは地場産業を含めた産業政策においても、東紀州対策としてやはり県の中でも課題多き地域・地区として県議会でもご理解いただいておりますように、東紀州対策局を中心に、そういった対応をしています。観光局ももちろんそうです。そういう施策等を総合的に展開していくのがいいのではないかと、こういうふうに思います。それから、熊野市には交流拠点施設もいよいよこの4月から建設にかかりますから、これが完成しましたら、それとも連携していくということだと思います。基盤整備としては今、だんだん高速道路も東紀州に迫りつつある状況でございまして、ご遷宮の時までには熊野市まで予定している所は完成できるように目指していくということにしています。そういう中で、総合的にいろいろ力を発揮していただければと、こういうふうに思います。
(質)熊野古道センターが21億円で、今度の熊野市の施設には30億円の補助をするということですけども、そういった補助というのは東紀州の活性化の起爆剤につながっていくと思われますか。
(答)これは田川県政の頃から長い間議論してきて、そしていろんな議論をやってきた中で、今回世界遺産に登録された熊野古道の、そういった情報・活動拠点としてよかろうということ、それから熊野の集客交流施設については、やはりこれまでいろいろ議論してきたけれどもなかなか踏み込めなかった、そういう状況の中で全国でも全く珍しい、要するに予算、事業費そのものを用意するけれども、民間の発想による計画、そしてまた運営までそれでやってもらう、自由度を持たせながら、また地域と連携しながらやってもらうということで、出してまいりました。それに至る議論までに、もうこの部屋で本当に何度も議論し合った結果、ようやく我々としても1つの方法かなということで結論付け、私もゴーサインを出したということがございました。そういった議論の中でもやってきたことが十分、今後生かされるように期待しているところです。
(質)4月に尾鷲市の施設ができるので、その時に同時オープンというお考えはなかったんですか。とりあえず展示館だけでやってますよね。今、展示館と交流館と資料庫がありますけど。
(答)いろいろ事情があったみたいで、私は報道記事を読んで「そういう事情があったのか」というぐらいしか知りません。
(質)飲食施設もできるみたいですし、同時オープンの方がいいんじゃないかと思ったんですけど。
(答)同時オープンできたら、その方が良かったんでしょうね。だけどその状況は知りませんし。
(質)先程も知事がおっしゃったように、議論と合わせて、先にここだけ先行オープンしようという話でお決めになったということではないわけですか。
(答)直接そのことは、事業そのものを「これでいこう」という議論の中では、別段そこまでは議論してないです。それを核として、その後いろんな議論を詰めながら、市の方もあります。県だけの話ではありませんから。
( 以 上 )