知事定例会見録
平成18年 9月 20日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目
なし
2.質疑応答
(質)今日は自民党の総裁選で結論が出ます。新総裁はほぼ安倍さんに行くだろうという動きはございますけれども、新総裁が決まりますと当然地方にも新総裁の考え方というものが反映されてくるかと思いますが、新総裁に対する地方の代表者としての期待、どのようなものを期待されるのかということをまずはお話いただきたいと思います。
(答)今日、決定されますけれど、今まだ決定されている状況ではございません。ただ今回選ばれる自民党総裁は、日本の首相に間もなくなられるということでございます。そういう意味からいきますと、危機的な財政状況の中、山積する国の課題、いろいろございます。そういったことに対し、しっかりと取り組みをやっていただきたいと、こう思っています。特に小泉首相の後を受けてやられるということでございます。小泉総理につきましては、これまでの自民党の総裁、そして首相になられた方と比較いたしまして、全く違うタイプの方でありましたし、これまでの体制について多くの批判を受けながら、壊すべきものは壊すんだということで、そういう意味ではこれまでの総理とは全く違う、極めて精力的にそのことに打ち込まれました。ただ小泉総理の改革につきましては、非常に単純明快な言葉で表現されていましたけれども、中身につきましては何のためにということがいささか分からない、政策のビジョン、改革の後にどういう日本を作っていくんだということは、いろいろな議論を通して明確にならなかった点が多かったと思っております。そういう意味では例えば地方から見た場合に、地方分権、三位一体改革、こういったものにつきましても、本来の地方分権のあり方ということから、必ずしも評価できるものではなかったと、こういうふうに思います。また、改革の後に来るべき日本がどういう日本かということについても、しっかりしたイメージが出されないまま、アメリカのような弱肉強食の国を目指しているのか、ヨーロッパのような、いわゆる福祉だとか公的な社会保障というものをどの程度取り入れた国を目指しているのか、そういったところが見えないまま進展をいたしました。そのために今、光と影であるとか、あるいは格差拡大だとか、というようなことが言われているところであります。私はやはり国民全体がこの国を誇りに思い、そして自らの幸せをしっかり追求することができる、そういう国であるためには、これまでの小泉内閣の改革の下で十分に見えなかったこれからの日本のあるべき姿というようなものをしっかり提示をし、そして議論をする中で、着実に進めていただきたいなと、このように思います。それから小泉内閣の目指した改革も極めて中途半端、あるいは効果が実際にはないようなものも多くありました。特に地方分権についてはそういう形になっているところであります。やはり本来あるべき方向というものをしっかりと持っていただいて、次の総理はそれこそ21世紀の日本をしっかり描きながら取り組んでいただきたいなと、こういう期待を持っています。
(質)今、知事の言葉の中で、光と影、格差という言葉をおっしゃいましたけども、昨日、地価が公示されたところでも反映されましたが、都心部と地方、あるいは県内でも北と南というところで格差の拡がりというものが現実化しています。そういった中で、三重県の場合のこの南北の格差、地域差、地価に限らず生活水準、労働賃金あるいは全てにおいて拡がりが出ている中での解消策、こういったものを国全体から見れば都市部と地方ということになりますけれども、知事からすれば地域間格差も北と南あるいは伊賀ということになってきますが、こういった面の解消、そういったものを、国も含めて取り組んでいかれると思うんですが、どういったものを今度の総理に、そういった部分の解消を期待されるんでしょうか。その辺お考えがあれば、こういったものを提案したいとか、こういったことをして欲しいというのものがあれば、あるいは知事独自でこういったことをやっていこうという思いがあれば改めてご見解をお伺いしたいんですが。
(答)人口減少時代に入っていく中で、これまでのように人口が拡大し、あるいは経済そのものが拡大してきた、パイが拡がってきた社会ではなくて、今後パイが縮小していくという時代に入っていくわけであります。その時にわが国の活力を維持し今後も適正な成長を遂げていくためには、やはりその中で非常に先進的な有効な活動を展開している人たちというものを大事にしなければならないことは事実でありますけれども、しかし同時にパイが拡がらない社会では、そういった勝ち組がパイの多くを占めるということは必然的に、いわゆる弱者にとってはパイが狭まっていくということになります。地域間においても強い地域が、よりその経済的な発展を多く享受すれば、実はパイが狭まっていく社会では、弱い地域、なかなか条件不利地においては、より地域の経済力等が低下をしていかざるを得ないというようなことがあります。しかし今ほど環境が強く言われ、森林の大切さ、あるいは農地等の多面的な機能というものを維持しなければならない、そのためには、やはりそういった地域でのコミュニティをしっかりと維持していかなければならないということも強く言われているところであります。地域間格差を認めるのかどうなのかという議論の中で、明らかに住みにくいのであれば住みやすい都会に出ればいいではないかというような極論を吐く論者も見受けられるわけであります。長年暮らしたふるさとを捨てて出て来いというような極論に通じるような展開については、私はこの国の国民の全体の幸せを願っている声とはとても思えないところであります。したがってそれぞれの地域が最大、地元の住民の皆さんと一緒に努力を続けるということは、これは必要でありますけれども、しかし絶対的な条件不利というようなものを考えるならば、そこに対してどういった光の当て方があるのか、こういった責任は国としてしっかりと考えてもらわなければなりません。私ども地方公共団体では、特に三重県においてはご指摘があったような南北格差の問題等があります。私どもとしては国の一つの全体の動きの中で、三重県としては独自に取れることについては取り組みをやってまいりますけれども、しかし国全体が私どもの期待する方向でない方向に行くとすれば、これは地方の努力というものはなかなか効果を挙げることができないわけであります。そういう意味では、まずは基本的にパイが減少する中での個人間の格差問題あるいは地域間の格差問題、こういったことについてしっかり議論を積んでほしいなと、今の時点ではそういうことを申し上げたいと思います。
(質)総裁選の次は、知事ご自身の知事選についてです。毎回、定例会見でもお伺いしていますが、この間の土曜日に民主党の会見の中で、もし野呂知事が立候補を表明するならば、前回の選挙で推薦した経緯もあるので推薦しても、というような考え方を打ち出されましたけども、その点に関して知事ご自身のお考えはいかがなものかという点をお伺いしたいのが一点、それから、政党からそのような意見が出たということについて、当然向こうも知事の出馬表明を待っているのではないかということもございますので、いつ頃にお考えを明言されるのか、もしよろしければご見解をお願いします。
(答)民主党の方と選挙のことについて話をいたしておりませんので、先般の会見の事柄については新聞で少し拝見したというところであります。私自身は今後、これまでの3年半も振り返りながら、考え方を整理しながら、今後一定の時期にはこの問題について自らの意思を明らかにしていくことが必要でありますから、いろんな方々にご意見をいただきながら整理をしてまいりたいなと、こう思っております。
(質)知事ご自身はこの4年間で、まだ3年半ですけれども、ご自身の考えている県政構想というものは確立できたとお考えでしょうか。
(答)私は、この国は変わらなければならないし、地方もそういう中で厳しい対応をやっていかざるを得ないわけであります。そういう中で、自分としての展開の仕方というのを私自身はある意味で自分なりに持っておりますので、そういう意味では自分なりの表現の仕方、自分なりの変えていく方法というものをこの3年半、努力をしてきたつもりであります。ただ問題は、やはり県民から期待される方法でなければなりません。県政を考える際に、私はやはり県民党という立場で取り組んでいかなければならない、というのがこの間の選挙後の自分の姿勢でもありました。そういったこともいろんな方にそういう評価についてのことは伺っておりませんので、今後いろいろ、そういったことについてもご意見を求めていきたいなと、こう思っています。
(質)9月議会で議員から質問されても同じような答弁になりそうですか。
(答)質問が出るかどうか知りません。
(質)出ればどうですか。
(答)出たらまたその時の考えを申し上げます。
(質)日にちもないでしょうから、今の発言と同じような考えになるのでしょうか。
(答)基本的には、同じような考え方の延長です。
(質)今の話でいくと、仮に出るとした場合、推薦なしで例えば県民党という全く純粋無所属でいうこともあるということですか。
(答)そういう政党を意識した話とかそういうのではなくて、いったい誰のための、何のための県政か、こういうことを一番基本にまず置いて展開するということで、これは私の県政運営の基本の中に入れているところであります。そういう意味合いが私にとっては一番重要だというふうに思います。
(質)民主党が野呂さん以外に候補の擁立を考えずに、出られるのだったら推薦しますよ、と早々におっしゃられたことに対する率直なご感想としてはいかがですか。
(答)かつて一緒に仕事をした仲間でありますので、そういう意味での友情を感じているところです。
(質)先だって、岩名座長から議会基本条例の素案が我々の前に説明がなされたわけですが、それについては当日、記者クラブの方にもいただきましたが、改めてこういった議会基本条例というものを県単位としては全国で初めてという話ですが、こういうものを議会側が独自で出すということに関して、改めて知事のお考え、ご感想をお願いします。
(答)県議会が県民に期待される議会として議会の活性化をし、機能を高めていこうということで、自ら議会が取り組まれているということは非常に敬意を表するところであります。私も議員経験もしてきておりますだけに、議会自らがそういう取り組みを行っているとについての評価をしているところであります。しかし、今回出されました素案につきましては、拝見したところ非常に問題点もいろいろある、ということを感じているところであります。そういう意味では、前々から議会の方でいろいろ議論をされておりまして、1年半前に、これは記者の皆さんにも公開で行ったと思いますが、議員の方と意見交換をいたしたところであります。あの時行った議論というものが、その後全然行われないまま、今日ああいう形で出されました。しかし、向こうから十分に意見交換をしたいと、こういうお話もございますので、私としてはそこのところをしっかり議論させていただきたいなと、こういうふうに思っているところです。地方議会などでは基本条例の先行事例があり、北海道の栗山町の基本条例を少し調べてみました。栗山町の基本条例は、前文に「地方自治法が定める概括的な規定の遵守の下に」というようなことが謳ってありまして、現在の地方自治法というものが、良い悪いは別にして現に規定しているところのものを、やはりまず基本として受けざるを得ないというところがあろうかと思います。それを踏み越えて考えるということであれば、これはやはり法律議論の中で議会として働きかける、取り組まれることであろうかなと、まず基本的にはそういった課題があるのではないかなと、こう思います。それから地方自治法では、議会は議決、監視、評価が本来の任務ということで規定をされているところであります。しかし、これまでこういった中ではあまり馴染んでいない政策の提言、立案、決定といった表現がございまして、これらについては現行の地方自治法との兼ね合いからしっかりした定義を持っていかなければ、なかなか分かりにくいところがあるのかなと思います。それから、現行の選挙で選ばれている議員につきましては、現行の地方自治法の制度内の権限を住民から信託されたものでありますので、それを越えるようなものがあるとすれば、やはりこれは現行地方自治法との整合性というものも問題があろうかと思います。また、出された素案では、前文に「議会と知事等及び県民との関係を明らかにし、」ということが謳われているところであります。したがいまして、知事等とか県民との関係ということが出ておりますので、こういうものの策定の議論の中では、県民も含め、また私ども執行部も入った中でこういったことについては検討されるべきものであると、こういうふうに思っております。それから併せて言うなら、議会の本来の機能というものについてはどう考えていくのか、ということも明確にしなければなりません。1年半程前に出てまいりました議会の政策サイクルの考え方というのは、これは私も厳しく間違っているということを申し上げたところであり、少なくともそういうものが前提にあって出てきたものであるならば、これは全く承服できないものであると、こういうふうに思います。しかし今の段階では、素案ということで出されているところであります。これだけ基本的な、大きな問題でありますから、今後十分に議論をさせていただきたいし、本当はやはり、県民を代表する議会そのもののあり方の問題ですから、少なくとも公募で県民を何人か選ばれてしっかり議論すべきもので、パブリックコメント等で済ますようなものではないと、こういうふうに思います。しかしそうは言え、議会の取り組みの、この熱意については敬意を表するところであります。
(質)今回、基本条例の勉強会で、保留で今検討中みたいですが、執行部側の反問権というか反論権みたいなものも入れ込むと、素案には出なかったですが、その辺は評価はされますか。これは既に1年半前に知事もおっしゃいましたが。
(答)栗山町の基本条例を見ていますと、議会と町長の関係というのは丁寧に書かれている上に、さらに反問を認めるということになっております。こういったことも議論していくということは大事なことだと思います。
(質)あと素案発表の時に、議会基本条例、それと行政基本条例、それで最終的に自治基本条例という筋道を議会はお持ちのようですが、最終的に自治基本条例まで行くような後押しをしたいというように三谷副座長はおしゃったのですが、その辺はどういうふうに執行部としてはお考えですか。
(答)非常にこのあたり、地方自治法を巡る議論というのは、まだまだ議論の最中だと思います。私は基本的にそれを変えていく議論というのは大いにすべきだと、こう思います。地方自治の制度のあり方そのものについて、今、二元代表制という、議会と首長を別々の選挙で選ぶということになっておりますけれども、こういった制度が良いのか悪いのか、あるいは地方独自で選択できるようにするのかどうなのか、こういったことも大事なことだと思います。そういう展開の中で、地域の独自性というものをやはり認めていくならば、議会のあり方について議会の基本条例あるいは行政の基本条例なり、あるいは自治そのものの基本条例といった展開の仕方もあるのかなと、こう思います。ただ、今は現行の地方自治法があるわけで、これを遵守するということは、今与えられている最高の制約、制度です。そういう状況の中で運用をしていくのであれば、条例が必要なのかどうなのかという議論も専門家の中にはあろうかと思います。なにも基本条例でなくても、要綱なり議会の運用規則とか、いわゆる条例化することしかないのかどうかということについても一つの考え方としてあろうかと思います。それから自治基本条例だとかそういったこととの兼ね合いということも考えていくなら、やはり総合的に併せて考えていくべきだと思います。今回の素案の問題点の中にも、例えば27条に「この条例は、議会に関する基本的事項を定める条例であり、他の条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。」という最高法規としての条例の置き方になっておりまして、中身が非常に他の条例とぶつかってしまうという恐れが非常にあります。非常に問題な条文のところであります。これを最高法規とするならば、二元代表ではなくて議会が上位ということになります。もしもそういう制度がいいということならば、二元代表制ではなくて国のように議員内閣制、要するに議会が議員の中から知事を選ぶという制度にその展開方向を考えていくというような方法があるかと思います。いずれにしましても、熱い思いというのは感じますけれども、しかし、ちょっと今の現状の中でかなり危なっかしいことが書いてあるなと、こう思います。
(質)敬意は表しつつも問題点をかなり挙げていただいている感じがするのですが、最終的に知事がどうしてもこれだけは譲れないというのは、1年半前に論議された時の、サイクルで最終的に政策決定をも全て議会がやって、執行部側はそれに基づいて予算を組むだけだというふうな、あの考えですか。
(答)あれはもう完全に現行地方自治法の考え方に反するものです。
(質)この、政策の立案、提言、決定のサイクルですが、やはり議会の責任の取り方というか、その辺の曖昧さということですか。
(答)そうですね。この条文の中で、知事の行っている事務執行の評価ということが書かれてありますけれども、議会が政策を立案し、あるいは県政の方向性をまず基本的に決めていくのだということになった時に、県は監査委員がおり、包括外部監査も受け、そしていろんなチャンネルを通じて県民の評価というものをしっかり受け止めようとしていますけれども、議会の場合には選挙で選ばれたからそれでよいのだというわけにはいかない、やはりきちっとした評価の仕方というものがなければいけないということになるでしょうね。そういう意味で、評価あるいはその上に責任のあり方という議論が、今の議論の展開をしていくのならば免れるものではないと、こう思います。それから、栗山町の基本条例でも、議会そのものがいろんな意見を持ち合って、そして議員同士が活発な議論を行う場なのだと、例えば表現としては「議会が言論の府であること、及び合議制の機関であるということを十分に認識をし、議員相互間の自由な討議の推進をしなければならない。」というようなことが謳われておりまして、基本的には三重県議会のいわゆる質問者が、執行部に向かって質問をするという形になっており、どうも今の地方議会はそれが正しいというような考えですが、本来は議員の発言は議員に向かって自ら自分の考えを申し述べていく、そしてそれを議員間の討議によって積み上げ、一定の方向付けをやっていく、こう議論をもっていくということが求められております。そういう意味で、今こういう大きな変化の時であります。地方自治体の役割も非常に問われている、同時に議会の役割ということについてもいろいろ問われているわけでありますけれども、しっかり、本来求められる機能というものを追求していくべきだと思います。議会と行政が同じ権限を取り合いするとか、そういった次元の話ではなくて、それぞれが県民から付託されたその本来の機能というものを発揮をしていく、その中で緊張ある関係を持っていくということが大事なことではないかなと、こういうふうに思っています。
(質)昨今、昨日は愛知県で高校生が飲酒運転と、最近飲酒運転の話が続いてますけど、それを受けて名古屋市は確か飲酒運転事故の場合は即懲戒免職、飲酒運転でも免職あるいは停職、それを知りながら同乗した職員に関しても免職・停職と、その時と場合を考えるというのが付いてますけど、非常に各自治体で飲酒運転に関する規定が、このところずっと、明確にきつくなっているという動きがございます。茨城のように、誓約書まで出すというのはいかがなものかというのもあるんですが、三重県では前回の会見では、もともと三重県は厳しいものを持っていると知事はおっしゃいましたけど、改めてそれを見直して、明確な基準を職員に伝達するというようなお考えはございますでしょうか。
(答)今、公務員のそういった飲酒運転等にかかる不祥事が非常に多く報道されており、これについては私どもも大変重く受け止めなければならないと思います。さらに三重県は、やはり事故の発生が全国に比しても極めて多い、人口単位の死亡者数も極めて多いわけであります。その中に悪質な飲酒運転等による死亡事故、これらがまた多く見られるところであります。飲酒運転についてはこれまで、免職、停職又は減給ということで、1つのルールを当てはめて運用してきておりますけれども、この際、そういう意味では、より厳しく対処しなければならないと、こう思いまして、先般からそれについての検討を担当部の方でさせているところであります。基本的には、免職というものを基本としながら、今、中身を詰めてもらっているところであります。全国のいろんな事例もあります。それから、あくまで法律というものがまず、基本にもございます。そういう意味では弁護士や、あるいはこれまでの最高裁の判例であるとか、いろんなものを見ていかなければなりません。ただ単に免職というだけでは、例えば昨年度、大阪あたりでは酒気帯びで免職にしたけれども、人事委員会がそれは駄目だ、停職だというようなことで訂正をされたとか、青森でもそういうふうになったとか、時の感情で勢いだけでやってしまうというだけのものではありません。その辺も、三重県としてはやっぱりしっかり考えながら、しかし最大限厳しくしていくという考え方で臨みたいと、こう思ってます。
(質)今、担当部に検討をさせているということですが、これから年末に入ってきますとお酒の時期になってきます。それまでには、というお考えでしょうか。
(答)基本的な考え方をなるべく早く整理して、それからこの28日から、一連の不祥事等もありましたので、綱紀につきましては庁内の幹部職員に研修を行うようにしているところであります。28日から10月の末までかけて、6回に分けまして、課長補佐級室長以上約900名、これは県立高校の校長や事務長も含みますけども、そういった幹部職員を対象に、管理職員等への公務員倫理等についての研修会というのを実施いたします。28日初日は、9時30分から県庁講堂で行います。その中で、コンプライアンスについて全般的な話とか、公務員の倫理であるとか、それから不正行為事例の検討であるとか再発防止の取り組み、それからその中に飲酒運転に対する懲戒基準の厳格化等についても触れていきたいと、こういうふうに思っているところでありますので、できるだけそれまでに、一応の考え方をまとめておかなければいけないと思います。
(質)28日の初日までに、現在定められている決まりを改定して即日実施という可能性というのはあるんですか。
(答)今、そういったことも含めて、検討させているということです。
(質)課長補佐級室長以上900人を集めて、公務員倫理などについての研修をやるというのは、初めてですか。
(答:総務部)ここまで大々的に、幹部職員を集めて行う取り組みというのは今回が初めてだと思います。
(質)これは、どういう理由で行うことになったんですか。今回、大々的にというのは。
(答:総務部)不祥事がございましたので、職場にもう1回、コンプライアンスと言いますか、その辺を徹底したいという趣旨でございますので、まずは補佐級室長以上の幹部職員を全部集めまして、そこで研修させていただいて、その幹部職員がまた職場の中で、室の中で研修をするというような形で、全庁的な研修という形で取り組みたいと思っております。
(質)研修を受けられて、持ち帰ってまた室内で研修をすると?
(答:総務部)受けた幹部の職員が自ら講師になって、室の中でまた研修をするということでございます。
(質)事実上、幹部クラスの研修は10月末で終わりますが、それを入れると11月いっぱいぐらいまで全庁的にそういう公務員倫理の研修をする、みたいな仕組みですか。
(答:総務部)幹部職員が受けたら順次やってもらいますので、今のところ10月ぐらいまでには終わるような格好でいきたいなと思っております。
(質)全体が10月末までに終わると?
(答:総務部)はい。
(質)8月にシャープの第二工場が稼動を始めまして、これから本格的になると思いますけども、それに対して地元でのあるいは県内での、経済効果が一番大きいのかなとも思いますが、その辺の知事の期待も含めたご感想と、それから昨日シャープの工場で発表されましたけども、給水の話が出ましたが、今、1日6,000トン、それから追加分として2,500トンの計8,500トンでとりあえずはいけると、10,800トンまで県に対してのオーダーはあって、それは一応下回ったということですけども、これに関して、これでとりあえずは稼動できるのかなというところではございますが、給水等の問題に絡んでのシャープとの動きに関して知事のご感想と、この2点をお願いします。
(答)シャープへの、まず給水問題を先に申し上げますけれども、先般から亀山市それからシャープ等と暫定給水についていろいろ取り組みをやっているところで、基本的に亀山市の方も対応していただけるということであります。当面は、そういう形でやっていくということですが、本格給水へ向けて検討して、どう対応していくかということを今後詰めていかなければならないということであります。それから、シャープ等の企業活動の三重県全体への経済的効果というようなことでありますけれども、三重県におきましては最大の業種は、やはり自動車運送関係でございまして、この自動車関連が平成16年に28%ぐらいを占めているところです。この関連についても、ホンダが全国あるいは世界に向けての基幹となる配送センター、物流基地、これを鈴鹿に持ってくるとか、あるいはトヨタ車体が追加投資をするとか、あるいはデンソーがさらに工場を拡張するというようなことで、ほぼ順調に拡大していると、こう思っております。しかし、やはり電子・電気関係の動き、これは三重県でも最大の動きをしているんではないかと思います。電気機械器具製造業という分野であります。これはシャープや東芝を含めて、主要法人13社程ありますけれども、非常に活発なことは、例えば県の法人事業税の額を見ても、かなりの拡大が見られるところです。おおよそ前年の倍近い、例えば16年から17年については、この関係だけでほぼ倍近い伸び率になっています。全体からいくと、まだとても自動車やそういうところに及ばないにしても、この関係というのは極めて大きくなってきているというようなことが言えます。それから、雇用についても今日の新聞で、来春高卒者について60人を採用するとシャープが発表しておりますけれども、例えばシャープだけで見ますと、関連企業を含めて約6,000名の方が亀山工場の関連企業として働いておられるということですが、うち県内出身の方が約4,000名ぐらいを占めているんではないかと、こう言われているところでございます。それから、もちろん関連企業も立地が本当に盛んに行われてきたわけでありまして、凸版印刷は久居のニューファクトリーひさい工業団地に新工場を建設中でもございます。こういった経済関係について、シャープも非常に大きな経済効果を収めております。東芝もシャープを上回る投資が決定され、動いているわけでございます。こういった効果というものは多分、今年、来年、まだしばらく非常に大きく続いていくんではないかなと、こう思います。これらの企業は、世界の最大拠点工場として、三重県内で稼動しているということであります。それだけに、企業にとってはまた、企業の社会的貢献だとか、いろんな面での企業の価値付けを考えているわけで、そういう意味では県内のいろんな環境・文化方面にもたらす影響は大きなものがあるんではないかな、というふうに期待しています。
(質)給水面でいくと、現段階で暫定給水分を入れて手当てしていけるという話なら、マックスで使うのが8,500トンなら企業庁の水は要らない状態になってると思うんですけど、その辺はまだ県庁内では検討になってないですか。
(答)今回の暫定給水は、亀山市の方で上水をああいう形で提供ということで、暫定的な対応として協力いただくということになりました。しかし、それはあくまでも、亀山市としても暫定的な措置であり、本来、県がやはりきちっと責任を持って対応していくと、亀山市は上水については、やはり上水としての今後の安定的な確保という観点から必要だと感じているところであります。したがって、県としての本格給水への対応は約束をしているところであり、きちっとやらなければならないという立場です。
(質)本格給水へ向けて、今後ルートの検討になると思うんですけど、亀山市も、なるべく早く本格給水してくれというご意向のようですけど、ルートを選定する上で、条件というのは今考えてらっしゃいますか。
(答)今後、本格給水ということになれば、いろんなルート、方法があるんではないかなと。幾つか考えられる中で、今後どうしていくのかということについて検討をやっていくことになります。その上で、今おっしゃったようなことについては、担当部でいろいろと検討の中で解決をしていくことだと、こう思います。具体的にどういう検討になるのか、まだ私も担当部の方から詳しく聞いてません。
(質)知事は第二工場をご覧になったんですか。
(答)第二工場は見てないです。第一期の最初の工場は見ましたけれど。
(質)シャープ亀山工場がこれまでもたらした三重県への波及効果なんですけれど、三重県は90億円の補助をしてるわけですが、それだけ補助しただけの効果というのはあったというふうに考えられますか。
(答)さっき申し上げたように、シャープ関連だけで雇用を6,000人、その中で県内在住者が4,000人と申し上げましたが、さらにこれは増えていくものだと思っておりますし、特に若者の就業ということは今日の大きな課題ですけれども、そういったところへもシャープとしてもしっかり考えていただいているということ、このことを見ただけでも大変な効果だと思います。したがって、県がいろんな政策に対して投資をしていく、その投資をしてきたことの成果を何で測っていくのか、これは非常に難しいことであり、抽象的な言い方をするならば、「県民しあわせプラン」は、やはりそれぞれの県民の価値観に基づいた幸せ追求ということに、本当に資していったのかどうかということだと思います。そういう意味では、そういった考え方でも私はいろんな側面をとらえて、効果を見ることができると思います。ご質問が、多分90億円を、税だとかそういうもので取り返したのかというようなことであるならば、多分、法人事業税やそういうところから入ってくるお金というのは、遥かに超えるものがあるだろうと、こう思います。ただ、実は私が嘆くのは、そういった県税収入の増加が、国の危機的な財政的状況の下で補助金を減らされ、交付金を減らされ、という中で、県全体の歳入増加に結び付かないわけです。そういう意味では、実は行政の中ではその成果を県民にきちっと、別途これはこれだけ増えたんですよ、という形で示せないという、辛いところがあります。しかし、ではそういうものがなかったときと比べてどうなんだといっても、確かに交付税やそういうものは減らされる分はそんなに減らないかも知れない、けれども減らされたといっても、実はその効果というのは現れており、特に県では自主財源というものについては、安定的な県政展開をする上で非常に大事ですから、その割合も増えているというようなことは言えるかと思います。
( 以 上 )