知事定例会見録
平成18年 5月22日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目
- 三重県地方自治危機突破総決起大会の開催について
明日5月23日に実施する予定であります国家予算要望に関しまして、緊急に発表したいことがございます。既に報道されておりますとおり、現在、政府の経済財政諮問会議等におきまして、今後の地方財政の改革に関する議論が白熱しております。地方交付税の総額の削減や新型交付税、地方債発行の自由化など様々な議論がなされておりますけれども、現在の国の改革の内容は、国の財政再建のために地方を犠牲にし、国の関与を残したまま、地方の自主性と自立性を損ねる極端な格差を地方自治に持ち込むものであり、本来の分権改革の理念とは大きくかけ離れた極めて問題のある内容だと考えております。このため、三重県として、お手元にありますとおり、明日の国家予算要望に併せまして、今後の地方分権改革について三重県としての考え方をまとめ、緊急に提言を行うことといたしたところです。また、5月26日には県内の地方6団体で構成をいたします三重県自治体代表者会議によります「三重県地方自治危機突破総決起大会」を開催いたしまして、今後の地方分権改革、特に県及び市町の財政運営に直ちに大きな影響を及ぼす国の地方交付税の一方的な削減でありますとか、税財政に関する改革の議論につきまして、県及び県内29市町の総意をまとめて決議をいたし、緊急に抗議と提言を行いたいと考えております。地方分権改革は、国と地方の役割分担を明確にしながら地方の権限と責任を拡大いたしますとともに、国によります過剰な関与や規制を撤廃して地方の自主性・自立性を確保し、地域主権の社会に必要な真の地方自治の確立を実現していくものでなければなりません。これから6月中旬には政府の骨太方針が決まり、政府の改革の方向性が決まってまいります。現在議論されております地方交付税や地方税財政制度の改革につきましては、今後の我が国の地方自治のあり方の根幹に関わる問題でありまして、改革の議論は今まさに正念場でございます。地方自治を実践する我々の意見をしっかりと伝え、政府の改革に反映をさせていきたいと考えているところでございます。
2.質疑応答
(質)この緊急提言は、総務省とか財務省とか、あとどこに行かれるんでしょうか。
(答)提言先は、総務省はもちろんですが、財務省にも参ります。それから、向こうで国会議員の方々にも説明をさせていただき、要請をする予定でありますので、その際にもこれをお示しし、説明をいたしてまいりたいと、こう考えております。
(質)これは県単独なんですか。他県との連携というのは。
(答)他県については承知しておりませんが、こと中身が非常に重要な問題を含んでおりますので、三重県としてちょうど国への要望・提言のこの時期に、併せてこれについては緊急要望を提言していこうと、こういうことにしたところであります。
(質)政府の動きというのは、いつ頃からあったんですか。
(答)政府の方では、改革についてのいろんな考え方がこれまで示されたりしてまして、その辺りはなかなかまだ議論の煮詰まりだとか、そういった中身につきましても学者の方々が言われたりして、定かにまだ分かりにくいところがございました。最近、竹中総務大臣の方からもかなり積極的な発言が行われるようなりまして、その辺りからだいたい、政府がどういうふうなことを考えているのか、今後どういうことが議論されて改革の方向付けが決まっていくのかということが分かってまいりましたので、かなりこれらの問題については深刻に考えているところでございます。
(質)その竹中発言を始め、意図しているのは新年度からですか。
(答)これはスケジュールも含めて、いろんな言い方がされております。例えば、5月10日開催の経済財政諮問会議におきまして、竹中総務大臣からは「新たな地方分権改革」というものを自ら提唱されまして、今後の改革スケジュールとして「分権改革工程表(試案)」という形でありますけれども、提示をされたところでございます。その中で皆さんもご承知のとおり、新型交付税の創設ということが1つございました。これについては、人口・面積を基本に配分をするんだと。それから19年度から予算化をして5年後には5兆円規模までもっていこうとか、それから2つ目に、地方債発行の完全自由化を10年後にやるんだと。しかし改革には来年度から着手をして、地方債発行条件の統一交渉を廃止するとか、公庫資金は平成20年には廃止するとか、政府資金についても廃止をしていくんだというようなことについて触れております。それから3点目には、地方債の償還財源への交付税措置を10年後に廃止をするとか、4つ目には、歳出削減・税源移譲によって交付税不交付団体を拡大していくとか、それから再生型の破綻法制を3年以内に整備するとか、新・分権一括法を3年以内に制定するとか、そういったことが提示をされているところでございます。しかし、私ども知事会等地方6団体におきましても、神野東大教授を委員長とする委員会を設けまして、「分権型社会のビジョン」というものも、いろいろ検討した中で作ってきております。多分この後、30日の知事会において議論をした上で、知事会並びに6団体としての考え方をまとめていくと、こう思っております。その中では、分権改革への地方の参画を協議の場として法制化をするようにとか、あるいは地方交付税については、これは本来地方の固有の税であるから、これを「地方共有税」という形でしっかり置き換えていったらどうだとか、あるいは分権改革の推進方法についても、新しい新・地方分権推進法を作ったらどうだとか、あるいは公営企業金融公庫について、今回出されております行財政改革法案の中で、2年後(平成20年)に廃止というような方向が出されております。そういったことの影響が極めて強いというような状況がございますので、それについて新たに地方が債券発行機関を設けなければならないとか、一定のセーフティネットが必要だとか、こういった、ビジョンの中でも謳われ、あるいは私どもが意見として持っているものがございます。明らかに今回、総務大臣を始め、総務省というのではなくて総務大臣、という言い方がいいと思いますが、考え方とは落差がありすぎるところでございます。極めて私ども、これについては重視をしているというようなことでございます。
(質)県知事としての動きは、おそらく初めてになるんでしょうか。
(答)他県の動きについては、承知しておりません。
(質)が、言われてすぐの要望ですよね。竹中発言の後を受けて、地方が動くというのは。
(答)私の方では、他の動きは存じません。
(質)昨日、石原産業が愛知県に対しまして、瀬戸市にあるフェロシルトの撤去命令を取り消すように提訴をしました。その件に関して、三重県に今のところ石原から連絡はしていないというふうにこちらは聞いていますけれども、率直なご感想と、それからもしそういうことが三重県にあった場合、どのようにお考えになるかというところと、併せてお願いします。
(答)今の段階では、私も詳しくは存じ上げないところでございますけれども、愛知県の言われております事案については、現実的に全量撤去という方法を考えたときに、例えばトラックでの運び出しだとか、そいういうことをやった場合にも、それは大変なトラックの台数になるというようなことで、大気汚染だとか周辺住民への環境の逆影響、そういうことも出るというような、少し現実的でないという状況もあるように聞いているところでございます。私どもとしては今の段階では、例の愛知県の瀬戸市の幡中町の事案以外については、石原産業は自主撤去の方針には変わらないということでございます。なかなか、この撤去量につきましては、フェロシルトが販売された量に土砂等を混ぜて、2倍、3倍の量として使っていたり、それから境界線の所は土砂ももちろん余分に取らなければならないというようなことがあります。そんなことから、全体の撤去量というものは相当多くなって、現実として多くせざるを得ない、多くなっているというようなことのようでございます。ここは私どもとしては、とにかく最大限努力をさせてやっぱり現実的に撤去計画、これは可能な状況の中で早急な撤去を求めていかなければいけないと、こう思っているところでございます。
(質)先程、現実的でないとおっしゃいましたが、石原がトラックを動かすことによって大気汚染の被害があるとかいう主張、そのことに対して現実的でないということですか。
(答)そうではなくて、撤去期限は撤去命令のもとで出されているところでありますが、それがなかなか現実的に撤去が難しいという状況の中で出されたんだろうと、こういうふうに思います。これは愛知県に、どうぞ向こうの方へお聞きいただきたいと思います。
(質)他の地域は三重県内を含めて、一応予定どおり全面撤去するという石原産業の言われていることを知事は信じられてるということでよろしいでしょうか。
(答)三重県内においてもご承知のとおり、亀山市の事案であるとか、それからいなべ市の事案、これは着手が非常に遅れてきているところであります。近々、撤去が開始されるんではないかということは聞いておりますけれども、それにいたしましても当初計画の撤去期限である8月末までの撤去というのは、先程の例にもありますように、三重県においても物理的に困難ではないかなと、こういうふうに思っております。ですから現時点では、最大限努力をした上で、現実的な撤去計画、修正計画を提出させるということであろうと、こういうふうに思ってます。
(質)それは瀬戸のように封じ込めのような、そういうことも含めて可能ということですか。
(答)いや、そういう検討をしているということは聞いておりません。
(質)石原産業が、言ってみれば出してきた撤去計画に間に合わないから、逆に提訴してやれと、僕らから見たら「逆ギレ」みたいなところがあると思うんですけど、これに関してどう思われるか、そういう石原のやり方に対してどう思われますか。
(答)愛知県の事例ですか。私は詳しいことは分かりませんので、ご指摘のとおりの状況なのかどうか、判断つきかねます。
(質)愛知県の方は、撤去が現実的に無理なら提訴の前に話し合いをすればいいのに、というようなことをおっしゃってるんですが、そうではなくていきなり提訴というのは、それについてはどう思われますか。
(答)それもよく分かりません。ただ、愛知県の方ではいろいろ現実的な方法について、県も含めていろんな協議が行われつつあるということはちょっと聞いておりましたけれども、詳しいことは分かりませんし、これは愛知県の方へ聞いてもらわなければ、私の方から答えられることではありません。
(質)亀山、いなべを始め、8月までの撤去は現実的には不可能という、困難だというふうに知事は今お考えということですけれども、そうしますと現実的な撤去計画というのを提出させる、これはいつまでにしてもらわないと困る、というふうにお考えですか。
(答)これもちょっと、時期だとかそういうことについては分かりませんけれども、また担当の方から報道の皆さんにご報告できることがあれば、させていただいたらいいと、こう思ってます。ただ、この2つの地域は特に地権者との交渉がなかなか進まなかったというような状況もございました。したがって、早く着手できればかなり撤去は進んできた、もう既に進んできているはずであったわけでありますけれど、まだこれからというような状況でありますから、さっきも申し上げたように、物理的にそれは期限内にということは無理な状況にあると、こう思ってます。
(質)さっきの知事のご発言だと、愛知県の撤去命令というのは少々無理があったということなんでしょうか。
(答)私の方から、それについて論評することはできません。
(質)三田処分場の受入量ですが、以前も「今後のことを考えて検討する」と言われたような気がするんですが、今だいぶいろんな所で間に合わないことが分かってきて、そのお考えに何か変化はありますか。
(答)三田処分場でも、受け入れに限りがあることでありますし、それから搬入方法だとかそういうことを考えてますと、今、現実的にやっているのが、その能力いっぱいという状況なのかなというふうに思ってます。
(質)国の19年度予算に明日から陳情に行かれるということですが、今回の陳情のポイントをいくつか教えてください。
(答)提言・要望活動については、毎年5月と11月に実施をしているところでございますが、5月につきましては国が来年度予算の概算要求でありますとか税制改正の議論を開始する時期でもありますので、それに合わせて三重県の実状に応じました制度の改正とか、あるいは充実が必要な事項を中心に提言・要望活動を行っているところであります。三重県としては「県民しあわせプラン」がスタートしましてちょうど3年目、戦略計画の最終年度を迎えております。そういう意味では、「県民しあわせプラン」を着実に推進して県民の皆さんにその成果を実感していただく、ということが最も重要であると考えております。そういう趣旨に基づきまして、今回の要望を行っていきたいと考えています。そこで今回の要望につきましては、特に重点要望事項として4項目を挙げているところでございまして、その1つが「地震防災対策」でございます。それから2つ目に「幹線道路網の形成」ということ、それから3つ目に「高度部材産業中核人材育成」、それから4つ目に「医師確保」となっております。これはどれも非常に重要なものでございますが、総じて「安全・安心を実感できる暮らしづくり」だとか、あるいは「元気・絆社会」といったことにも配慮いたしまして、この4点を重点的に、提言・要望活動を私自身の方で直接、関係省庁に出向きましてやってまいりたいと、こういうふうに思っております。
(質)高度部材の人材育成に関してなんですけれども、経済産業省が昨年度、北勢地域に教育機関を立地するにあたって、県との調査で好適地だということの結論に達したようなのですけれども、これは実現、設置の見通しというのはどれくらいあるのですか。
(答)高度部材産業中核人材育成ということでありますけれども、経済産業省のお話が今ございましたけれども、わが国の化学産業などの高度部材産業につきましては、国の産業全体の国際競争力の源泉にもなっておりまして、今後の国の産業の成長を持続させていくという観点からいきますと、高度部材の開発に関わる人材の育成ということが不可欠になっているところでございます。そうした認識のもとで経済産業省ではこういった人材育成に適した所を抽出していこうということで、全国で10地域ぐらいというようなことが報道されておりましたが、私どもは、例えば昨年度につきましても経済産業省と四日市市、それから化学工業会という社団法人がございますが、そういった所と共同でいろいろと調査を実施いたしました。そういう中でこうした人材の専門教育機関の整備が必要であると、確認をしてきたところでもございますし、また、そういう状況ということについては、経済産業省等、関係機関からもこの三重県の四日市を中心とした北勢地域をその好適地、非常にポテンシャルの高い所ではないかと、こういうふうにご判断をいただいてきていると、こう思っております。したがいまして今の状況の中で、どこがどれくらいということは分かりませんけれども、三重県としてはそういう意味では最も国のご理解が進んできている所ではないか、というふうに思っているところであります。
(質)知事が直接、予算要望をする例は年々減っているのではないかと思うのですが、今回、知事が直接トップセールスに行かれるのは何県ぐらいあるのか把握されていますか。
(答)それは知りませんが、私どものこの三重県においては、前の知事の時もその前の知事の時もそうだと思いますが、ずっと三重の要望・提言活動をやっております。特に、昔は個別の要望というのが多かったかも知れませんが、近年ずっとやっているのは、むしろ制度への提言も含めた、県としての要望活動になっているわけであります。これは項目も結構多くありますけれども、その中でも特に重要なものを毎年抽出して、4項目あるいは5項目、これは時によって違いますけれども、そういう形で要望しているところであります。私は他の県の状況はよく分かりませんけれども、ちょうど要望活動に参りました時に、他の府県の知事さんと関係省庁の玄関、エレベーター等でばったり鉢合わせるということもしばしばありますから、皆さん結構な形でやっておられるのではないかなと、こういうふうに思います。
(質)かつては陳情行政でお土産を持って行ってたくさんの予算をもらってきたが、昨今は向こうの方もお金がなくなってきたのでそういうこともないようになったし、県としても政策要望等々に変わってきているのですけれども、その辺のスタンスの変化について自身の評価は。知事はそれはそれで当たり前でしょうか。
(答)私どもは、例えば経済に関わる産業政策についても、三重県としての独自の展開を総合的にいろいろやっているところであります。今般は知識集約型の強い産業を作っていこうということで、三重県版の「知的財産戦略ビジョン」も作りました。かねてからバレー構想を中心に戦略的な工場誘致であるとか、あるいは技術的産業集積も進めてまいりました。また、ベンチャー育成についても、三重県としてのトータルな支援のあり方というのを追求しております。燃料電池であるとか、あるいはいろんな新しい新産業創造に向けても取り組んでいます。観光というのも産業の柱にしようということで、取り組みをやっております。したがってこれは、三重県には三重県としての特色ある取り組みになるわけですね。これは「安全・安心」の面からいきますと、例えば地震対策でも東海地震にも、あるいは東南海・南海地震にも両方に関係しながら一番大事なのは、例えば両方が連動して起こった場合にどうなるのだと。今、国のこういった巨大災害、巨大地震が起こった時の対応というのは、東海地震に関係する法律と、東南海・南海地震に関する法律と2つに分けられていて、それが連動して起こった場合の防災対策というのは国も今、示していないところであります。そうしますと三重県にとってみると、むしろそれが連動した時にどうなるのだ、というようなことが、より重大な影響をもたらすことでございまして、そういうことに向けてやはり三重県はそういう立場から今の国のあり方、政策についても十分ではありませんよ、ということも指摘もできるところであります。そういう意味では、国が霞ヶ関で全国を眺めながら考えてくることと、やはり私どもはこの地方から三重県という立場から「こうあるべきだ」と、国の支援としても「こうやるべきだ」、国の政策としても「こうあるべきだ」ということが我々の視点からいろいろと指摘できることがございますので、そういう意味では私は非常に大事なことであるし、意味のあることだと、こういうふうに思っております。
(質)15年に当選されて、要望活動に何年か行っておられて手応えはいかがですか。
(答)なかなか噛み合わない、例えば三位一体改革等、地方分権改革に関わるようなことについては、全く期待が裏切られるようなところもございます。しかし一方では、「安全・安心」に関わるいろんな観点、あるいは警察官の増員問題だとか、直接やはり私が出向いてやってきたことによる成果も手応えとして感じたりしているところでございます。三重県としてはどれだけ成果があがったかという観点ではなくて、やはり国に知ってもらわなければならない「こうあるべきだ」という方向については、しっかり言い続けていくとうことも大事だと、こう思っています。
(質)手応えの別の質問ですが、成果主義の立場等々で言えば何割くらい成功しているのでしょうか。
(答)分かりません。
(質)幹線網の整備で、何か文化政策というか、その辺と結びついたような要望の仕方というのは今回されていないのですか。例えば文化力を生かしたような要望の仕方とか。
(答)私が直接出向く要請についてはもっと基本的な部分でありますが、例えば文化力等に関すると思われるようなものについては、かねてから「シーニック・バイ・ウェイ」、いわゆる幹線道路網との整備と併せて、そこから横に派生しているバイ・ウェイについてのそういう景観観光的な側面も含めた整備、こういった事業も当然県としてお願いをしているところであります。また景観等については、県の方で今、力を入れているということも、文化ということとも密接に関係するわけであります。ただ、本格的には文化力指針等で新たにこういうことが出てきたということについては、まだこれからの施策の中でいろいろ検討していきますから、これからの部分がほとんど多いのではないかなと、こう思っています。
(質)直接大臣に会われるのはどこの役所になっていますか。
(答)今日の時点で明日直接どなたに会えるのか、国会開催中でもあり当初予定をしていても会えなかったり、こちらも日にちを決めて参りますので、どれくらいになるのか運不運と言いますか、直接会える会えないということについてはその時の運ですね。ただ、要望活動として大臣にお伝えいただくような、あるいは大臣に会えない時にも事務次官に会えれば事務次官に会ったり、あるいは審議官や局長に会ったり、副大臣、政務官ということもあります。今、東京事務所を中心にそれぞれ調整中ですので、多分、流動的なので明日の間際までいろいろ調整しながらやっていると思います。
(質)医師確保で川崎大臣とお会いになるということも流動的ですか。
(答:政策部)夕方国会の状況で、それが終わってからアポが取れればということで、それも明日でないとはっきりしたことが申し上げにくいのですが、厚生労働省へ行く時間を午前中に取ってあるのですが、大臣も国会の関係がございますので、それが終わってから夕方の時間なら何とかなるかなということで申し入れをしておりますが、確実に今、取れているということではございません。それから、文部科学大臣も当日直前まで未定ということで今申し入れてはおります。経済産業大臣や財務大臣等は、今の時点では難しいと言われております。
(質)川崎厚生労働大臣就任以来、要望活動で会われたことはあるのですか。
(答)去年の秋もそうですし、何回か会ってます。
(質)大臣の立場として?
(答)大臣室へ行って会ってます。
(質)ご自身の衆議院議員の経験もふまえて、県出身の代議士に要望されるということの手応えはどうですか。成果はありますか。
(答)もちろんそれぞれ国会議員の皆さんは、国全体のことを考え、議論をされますけれども、そうは言え、三重県という県民の持っている生活実感を背景にそこで選出され、国会に行かれているところであります。したがって三重県民が日頃感じている生活実感からくる国のあり方についての思いというのを、皆さんは一番敏感に汲み取れる立場にございますから、そういう観点から私どもとしても、やはり地元を知りつくしているこの方々にご理解をいただき、ご協力をいただいていく、あるいは国の法律や制度の審議の中で生かしていただく、このことは極めて大事なことだと、こう思ってます。
(質)成果はあるのですね。
(答)もちろん、例えば昨年の実績を申し上げますと、昨年は東海、東南海・南海地震の防災対策の強化、推進について春、秋にお願いしました。その中で、例えば今年の3月31日で本来なら施行期限が切れてしまう恐れのありました地震の特別措置法について、5年間の延長をお願いし、これが実施されました。それから住宅に係る耐震改修の促進税制についてもお願いをしてきまして、これも創設ができたところであります。それから私どもとしては海溝型の巨大地震でありますから、津波対応の海底ネットワークシステムの構築、こういったことについても要請をしましたが、こういったことについても方向が打ち出されたところです。それから例えば第二名神高速道路整備促進につきまして、特に四日市~亀山間につきまして未着工区間でありましたが、これを強く要請してまいりました。そういう意味では、四日市~亀山間についても時期が明示され、建設が中日本高速道路株式会社で行われるということになりました。それから警察官の増員についても例年やっておりますけれども、昨年の要請に対しまして三重県分として60人の増員がなされたところでございまして、全国の他の配分からいってもはるかに三重県には少し厚い配分をしていただいたと、こう思ってます。それからご承知のとおり、三重大学の医学部の再編整備等、救命救急センターの設置ということは極めて大きなことでございました。したがいまして三重大学が国に対して要請をしているだけではなくて、県の方からもしっかりこの点は要望していこうということでやったところでございまして、その三重大学医学部の附属病院の再編整備については、採択が決定をされたところでございます。そういうふうに申し上げると、極めていろいろ成果を得てきていると、私としてはそう思います。
(質)知事の衆議院議員時代の働きと、現在の県選出の代議士の働き具合はどうですか。
(答)時代環境も最近の国会等の状況、現場の中での状況がどうなのかというのは分かりません。したがって、単に比較できるようなことではないのだろうと、こういうふうに思っております。
(質)先日、県議会の方で、6月議会で条例を変えて退職金等、県議会の方は議員、議長報酬等の改定を申し入れたということがありましたけれど、知事自身のお考えとして6月には改定したいとおっしゃっていましたが、知事ご自身の退職金についてはどのようなお考えをお持ちですか。
(答)新聞報道がなされて、私自身もああいうことについては、存じなかったところでした。早速、確認をいたしましたところ、三重県も退職をする場合には、次の選挙に出ないということを含んでいるということですが、49カ月ですか、何かそういうふうになっているということを聞きました。それで実は、昨年の三重県特別職報酬等審議会での議論の中でもそういう周辺のことについて、ご議論をいただくのがいいのじゃないかなと思ったんでありますが、なかなか少し設置の目的だとかそういうのが違うということなので、その方向についてはいろいろと今後、検討していかなければいけないなと、こういうふうに思っておりました。しかし、さっきのような具体的な中身までは私はよく知らなかったんですが、具体的なああいったこともございましたので、さっそくそれについては改善をするように指示をしたところでございました。そうしておりましたところ、議会におきましても先般、いろんな新聞報道がきっかけだったんだろうと思いますが、議会の方から私の方にぜひ議員の報酬について条例改正をやるようにというお話でありました。したがって私どもとしては、当初から私どもの方もそれについて改善をしていこうという考えでございましたので、議長、副議長等、県議会議員に関わるこういったもの、それから特別職に属する非常勤職員の報酬等にも関連をするということなので、今そういった全体を検討しまして、この6月の第2回定例会に条例改正を出させていただくべく、準備作業を進めているところでございます。
(質)まだ具体的に金額等をどうするかとか、そういうふうなお話はまだありませんか。
(答)多分、改正の対象となる条例につきましては、「三重県議会議員の報酬等費用弁償及び期末手当に関する条例」というのが一つあります。それからもう一つ「特別職に属する非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例」というのがございます。それからもう一つ、「知事、副知事及び出納長の給与及び旅費に関する条例」というのがございます。こういう中で、例えば49カ月について、48カ月にするとか、本来あるべきそういう形にするということが一つございます。それから今後、私としては、やはりこういった私ども特別職なり県に関わる給与の問題、議員に関わる給与の問題はもちろんそうだと思いますけれども、そういったことについては、県民にしっかりと説明責任を果たしていかなければなりません。したがいまして、そういう意味では特別職報酬等審議会等がございますので、直接、諮問できる事項かどうか分からないんですが、そういうところでのご議論、意見を求めていくということをやる必要があるのではないかと、こういうふうに思ってます。
(質)参考に、知事職の退職金を廃止するようなお考えは全くないわけですね、現時点では。
(答)そういうことは考えておりません。
(質)自分の時代だけでも減らそうとか、そういう考えはないですか。
(答)県民から見てどうあるべきかということについては、意見をきちっと求めてそれらを参考に考えていくべきものだろうと、こういうふうに考えております。
(質)その県民の意見というのは、どこでお聞きになるんですか。
(答)だから特別職報酬等審議会というのがあります。あそこはいろんな所の代表者が入ってまして、これまで休眠状態みたいなところがありましたのを、昨年12月に久しぶりに開催していただきました。今後はこういう問題というのは、いろんな所でいろんな議論がありますから、できるだけ頻繁に開催をして、こういったものについて適正にあるべきところを議論していただこう、あるいはご意見をいただこう、こういうことが必要ではないかなと、こう思ってまして、私としては昨年、久しぶりに再開をする中で、そういう運用にお願いしていきたいという気持ちを持ってきているところです。今後もそういう考え方で、今年もお願いしていくべきではないかと思います。
(質)国の医療制度改革法案で、厚生畑にいらしたということで、国の医療制度改革法案についてどのように今、感じていらっしゃいますか。高齢者負担が増えるということですが、それに関してはやむを得ないというお立場か、それとももう少し見直す余地があるのではないか、どのように思われますか。
(答)私自身は社会保障制度改革というものが今、非常に大きく変わりつつある中で、国が財政政策の失敗からこの社会保障制度にも財政的な面から多大な影響が出てきているということについては、非常に残念に思うんですね。医療制度だとかあるいは年金制度もそうでありますし、最近の状況でいきますと障害者自立支援法等でもそうであります。私ども、国の制度でありますから、国が決めてまいりましたらそれに従わざるを得ない部分がありますけれども、しかし現実にやはり三重県でそれによって、例えばいろんな差し障りが具体的に出ている、それが看過できないような、かなり県民の生活に不安を与える、大きな影響を与えるというようなことについては、それをきちっと汲み取って、やはり国に言うべきことは言っていかなければならないと、こういうふうに思っているところであります。医療制度の改革ということについては子細、私自身分析をしてみておりませんけれど、担当部局ともよくそういった点については協議をしていきたいと、こう思っています。
(質)RDFの富士電機との訴訟の進捗状況はどうですか。
(答)訴訟については先般発表したとおりでございまして、今後、私どもとしては、いろんな任意和解はどうなんだとか、民事調停はどうなんだとか、仲裁などいわゆる裁判外での解決といった道もあるんではないかというような、いろんなご指摘があったりいたします。しかしながら、いまの時点で事故に至った事実関係などについて、こういった方法では明らかにすることができないということ、そうなりますと私どもとして県議会や、あるいは県民の皆さんに対しまして説明責任を果たすことができないのではないかと考えて、そういう意味では裁判以外の解決の方法というのは限界があるということでございます。したがいまして先般お示しをしたような考え方で、今後手順を踏んでやってまいりたいと思っておりますが、請求額そのものにつきましては、既に5月16日に報告をいたしておりますけれども、この額についてもさらに精査をいたしまして、そして額が決まり次第、請求をいたしたいと、こう考えています。
(質)額の変更をするわけですか。
(答)額の変更というよりも、精査をしております。
(質)F1ですけど、返答書簡が届いたということですけれども、そのトータルの感想はどうですか。
(答)今、私ども、F1については、6月に来年度の開催日程等の暫定発表があるのではないか、それで、ある程度、来年度どうなってくるのかということがわかるんではないかなと、こう思っています。したがいまして、そういった中で鈴鹿での開催が織り込まれたと、こう分かるような、そういう発表を期待いたしているところであります。しかし私ども、鈴鹿市から要請を受けて、応援団としてできるだけ継続開催を鈴鹿でということでお願いを今日までもしてきましたけれども、鈴鹿サーキットが直接交渉をしているところでございますので、それに委ねていきたいと思っています。書簡等についても私どもとしては、やはり交渉に影響があるといけないと、こう考えておりまして、書簡そのものを発表するとかそういうことについては控えているというところでございます。
(質)暫定日程はいつ発表があると睨んでおられるんですか。
(答)ここ数年の状況では6月中にはあるんではないかということなんですけれども、これはあくまでもこちらの推測でありまして、実際どうなるのかということは、私どもでは分かりません。
(質)度合いですけれども、望みなきにあらずですね、まだ。
(答)私としてはもちろんのこと、大いなる期待を持っているところでございます。
(質)RDFの話に戻りますが、全額で請求していて精査というのは絞り込むということですか、ある程度。
(答)いや、そういう意味ではありません。精査というのはもう一度計算について、し直して金額について間違いがないかどうか、含めている項目に抜けはないかとか、そういったことについて精査をして、そして金額を確定していきたいと、こう思っています。
(質)損失額、全額やるということについては変更はないわけですか。
(答)変更ありません。そもそも県が請求すべき額につきましては、結局、責任の度合いだとか、そういうことが未確定であります。少なくとも県が請求したことについて、富士電機が全額それを払いますという場合には裁判にならないかも知れません。しかし、これは富士電機の方も全く同じ立場でありまして、そういう意味では裁判の技術的な問題も含めた一応の方針になると思っています。
(質)県の立場として、富士電機側に全面的に責任があるということで全額請求ということではないということですか。
(答)その責任の度合いというものが、今、明らかでないわけですね。したがいましてそういう意味では、一般的に裁判の技術的な面から考えても、こういった方法をとるということが一番妥当なことであり、それが最終的に結果として議会や県民に説明責任を一番果たせる方法になるであろうということであります。
(質)森林税、中間報告が出たんですけれども、そのご感想を伺えますか。
(答)森林税については、県議会の方でご検討をいただいてきて、そして中間報告という形で出されましたけれど、まだ今後、県議会の方でもこれからさらに議論をしていこうということになっているところです。もちろん積極的に検討すべき段階にあるというようなことも言われていますけれど、都市部に居住する県民の理解を得る必要もあるというようなことも指摘をされていますし、そしてやはり県議会としては全体として議論を深めていきたいということでございますので、私どもとしては県議会の動きを慎重に見極めながら、私どもの検討も深めていく必要があると、こういうふうに思っています。
( 以 上 )