知事会見
平成18年 1月24日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目
- なし
(知事)
2.質疑応答
(質)まず始めに、知事査定も昨日から始まりましたけれども、予算も大詰めを迎えてまして、新年度予算について知事はどのような感触をお持ちでしょうか。
(答)18年度に向けてのひとつの考え方でありますけれども、まず基本となります歳入面のことについて、税収については幸い景気回復の基調にあるというようなことで、増収が見込まれているというようなことがあります。しかし、税収が増えることが県の歳入面を充実したものにさせるのかというと、そうではないのがご承知の通りです。地方交付税というものについては、税収が多くなれば一方でそれが減額されるというような仕組みになっておりまして、そういう意味では、ここ三重の元気づくりに力を入れてきたことが、行政の財政面においては生かし切れないという、もどかしいところがございます。一方、歳出面につきましては、依然として公債費等の義務的経費というものが高い水準で推移をしてきているところでございます。したがいまして、三重県全体の財政状況というものは、依然非常に厳しい状況にあると言わざるを得ないところでございます。私は、知事になりましてから、財政の健全化ということにしっかり視点を置いていかなければならないということで、今日までやってまいりました。そのために、平成16年から18年まで、財政健全化に向けての集中取組期間というふうにも置いてきているところであります。18年度はその最終年に当たるということでもございますので、引き続き歳入歳出については徹底した見直しを行いながら、引き続き財政健全化に向けての取り組みを進めていきたいと、こういうふうに感じているところでございます。平成18年の予算編成については、今、知事査定の最中で、最終局面を迎えているところでございますけれども、しかしそういう状況の中で、18年は「県民しあわせプラン」戦略計画の最終年でもあります。仕上げの年として、重点プログラムを始め戦略計画にお示しをしております事業につきまして、できるだけ県民に成果が分かっていただけるよう、着実な事業の推進に努めていきたいと、こう思っております。また、三重県にとりましては、これから先、次の時代に向けて、まさにいくつものチャンスとして捉えるべき、そういう時でもあると、こう思っております。したがって、そのチャンスの時を逃すことのないように、そういった形で県の発展に繋げていけるように、今回の予算編成作業についても、ぎりぎり頭を痛めながら今、編成作業をやっているというところであります。
(質)チャンスというのは、どの辺の分野でしょうか。
(答)まず、「元気づくり」ということについて言えば、今日、我が国の景気回復基調の先頭を三重県も走っているというところであります。そういう意味では、三重県においては、まだ18年あるいは19年という、ここ1年後をみても、私どもの努力で引き続き相当大規模の投資を引っ張って来ることができるのではないかなと、こんなふうにも思っております。あるいはまた、「絆づくり」ということにも関連いたしますと、県としては交流による三重の元気づくり、あるいは地域づくり、絆づくりというものを大きな施策に挙げておりますが、これも今年はそれに向けての成果が着実に出るような、そういう展開を力強くしていかなければならない時だと、こういうふうにも思っております。また、「くらし」に関して安全であるとか安心であるとか、そういうふうな暮らしの中でのいろんな実感に対して、私ども行政がしっかり対応していくということが大事であります。ですから、そういう意味では今後の事業、例えば地震対策だとか、あるいは犯罪の問題や子供の問題や、そういったことだけではなくて、文化力指針も今、策定をいたしておりますが、私ども行政がやっていく施策というものについても、できるだけ県民の生活実感からみて、やはりそれにそぐうものであるような方向へ大きく県政を展開していく、そういう大事な年、大事な時でもあると、こういうふうに思ってますので、そういったことを考えながら、いろいろと施策の展開を考えていきたいと思っています。
(質)「相当大規模な投資を引っ張って来ることができる」というのは、やっぱりシャープなり、ホンダなりを中心とした部分の膨らみですか。
(答)まだ、私ども三重に対して、いろんな関心を持っている企業等があるかと思います。そういった企業も含め、またそれに関連付けて地元の中小企業もそうでありますが、そういったものが、より元気に活発に展開していけるように、やっぱりチャンスの時だと、こう思って取り組んでいきたいと、こう思ってます。地域間競争は、非常に厳しい時です。海外との競争も、考えておかなければなりません。そういう中で、三重県の産業政策としては、なかなか他では真似のできないものをやっぱり展開していかなければいけない。そういう意味では、新たな手立てを含めて取り組みをしていきたいと、こういうふうに思ってます。
(質)「三重に関心がある企業」というのは、国内ですか。海外ですか。
(答)いや、具体的にどこの、ということを今、申し上げているわけではありません。県の施策として、体制として、そういうチャンスと感じられるものが出てきた時に、それを逃すことがないように取り組めるように、そういう体制づくりや施策の展開をしていきたいと、こういうふうに考えているところです。まだ、具体的にはこれから、全くどこがどうだというような予測ができるものではありません。
(質)それにしても、そう言わしめる何か根拠みたいなものがあるわけですね。
(答)やっぱり、ここのところ次から次へいろんな展開がなされてきているように、私どもとしてはやっぱり自信を持って進めていきたいと、こういうことです。
(質)「きずな」の部分は、もう少し具体的にはどんなイメージでしょうか。
(答)観光戦略についてであります。これはどうしても、三重の産業の大きな柱にもしていきたい、またこれからの人口減少時代というものを考えるときに、交流による地域づくり、地域の元気づくり、これは私としては最大に重要なものであると、こういうふうに思っておりますから、それをしっかり進めていきたいと、こう思ってます。
(質)要素としては式年遷宮、それから熊野古道等ですか。
(答)幸い、そういった式年遷宮や熊野古道、これもあります。それから東紀州等については古道センターであるとか、あるいは中核交流施設の展開であるとか、今大きなプロジェクトも動きつつあるところであります。組織的には、東紀州対策局もこの本庁内に設けられます。観光局も新たに設置もされるところであります。「新しい時代の公」に基づいて、地域のいろんな主体の方々と協働して地域づくりに取り組むということも、いろいろ膨らみも出てきているのではないかなと、こう思いますし、そういうものも引き伸ばしていきたい。地産地消であるとか、いろんな展開もさらに充実をさせながら、幅広く裾野の広い観光交流を創りあげていく、そういう意味で今年はまた大事な年であると、こういう認識です。
(質)安全・安心をもう少し具体的に言うと?
(答)安全・安心という形からいけば、平成14年から三重地震対策アクションプログラムというのを作ってきました。これは14年から始めて5年経ってきますから、次のアクションプログラムということも整理をしていかなければなりません。一方で、東南海・南海地震あるいは東海地震との連動した巨大地震の可能性というものは、いつ起こるか分からないけれど、しかし年々その確率は高まっていくという中でありますから、そういう意味では緊張感を持って、着実に、できるところを進めていく、これはもちろん、自助・共助・公助という中で、県の行政として市町と連携しながら公助ということについて進めると同時に、県民の皆さんにはまず、意識を啓発するとともに、自助・共助についてできることをぜひ進めてもらうように、私どもとしても支援をしていかなければならないと、こういうふうに思っております。それから、犯罪の多発であるとか、あるいは子供を取り巻くいろんな課題があります。例えば犯罪ということに対しては、今回警察官の増員も認めていただきましたので、これは警察本部あるいは公安委員会でしっかりお取り組みをいただかなければなりませんが、それを有効に生かしてもらいながら、県の政策とも連動し、あるいは県民ともしっかり安全・安心の確保について前進できるようにしていきたいなと思います。子供の問題等についても、例えば児童虐待の問題であるとか、様々な課題がありますので、そういったことについて現場からもいろんな声が上がってきているわけでありますので、限られた財源の中でのやり繰りでありますけれども、一つ一つ配慮していきたいと、こういうふうに思ってます。
(質)知事査定が県費ベースで31億円ぐらいの検討と聞いているんですけども、逆に言うと9割がたはほとんど決まっているわけで、今言われたような骨で組まれてるんでしょうけども、その残りの1割あるかないかの部分で、どんな補強をされたいですか。
(答)各部局で取り組んでいるもの、包括配分も含めて、いろいろとこれまでやってきている中では概ねいいものについてはそれでよしとして、若干気になるようなもの、あるいは当初からかなり難航が予想されるようなもの、こういったものが知事査定としての項目で挙がってきております。できるだけ大事な議論に集中させたいために、大体考え方の整理として、そう議論なく整理できるものについてはこれを外すような形で、今、集中的に議論をしているというところです。
(質)総じて、予想通りマイナス予算になる可能性がある?まあ、95%シーリングですけども。
(答)近年の非常に厳しい状況を踏まえますと、税収増が予算規模の増に結び付くという状況ではありません。そういう意味では、私どもとしては引き続き、県の予算規模としてはかなり厳しい線も想定しながらやっているところです。予算については後日、大体でき上がりがついてきましたら皆さんに説明させていただく予定でありますので、それ以上の細かい、突っ込んだ議論は、お聞きいただいても今の時点ではお答えできないということです。
(質)産業廃棄物の不適正事案についてなんですけれども、今日も検討委員会がありますが、大矢知の費用負担について、今、県はどのように考えているのかをお聞かせ下さい。
(答)産業廃棄物については県の行政の責任の中で取り組まなければならないことでありますが、今回、四日市市においては人口が30万人を超えてまいりましたので、中核市に移行できる、また四日市市としても中核市に移行したいということで、今、検討がされているところであります。それに伴いまして、産業廃棄物行政については中核市に移管をされるというようなことが起こってくるわけでございます。しかし、この大矢知のことは、あまりにも大きな産業廃棄物の不適正事案として浮かび上がってきておりますので、その事がややもすれば四日市市の中核市移行の妨げになるということになると、これは県としても、そうさせてはならないと思っております。そこで、今、四日市市とも、そういった事も含めていろいろと話し合いをしてきているところでございます。基本的にはこの大矢知の事案、それから最近はフェロシルトのああいった事案もございましたので、こういった事が中核市移行の妨げにならないように、基本的な考え方や今後の進め方、こういった事についていろいろ協議をしてきたところでございます。今、市長と概ね考え方、方向について大体共通の認識を持ってきておりますので、引き続き今、協議をやっておりますが、確認書を締結いたしまして、今後、事務手続きについて不適正事案検討会というものを持ち、それを開催する中で協議をしていけばと、こういうふうに考えているところであります。その際、費用の負担についてでありますけれども、県としては、中核市に四日市市が移行しなかった場合には、県の責任において進めていかなければなりませんから、したがって本来県にあった時に県が果たさなければならない責任というものについては、中核市に移行した後も県の責任としてそれはきちっと果たしていきたいと、こういうふうに考えているところであります。また、国においては、不適正処理事案に対する国の支援について、三位一体改革で補助金制度がなくなったというような状況がございます。したがいまして、国の支援のあり方についても、今、国にもいろいろ相談をしながら適宜一番有効な手法をとってまいりたいなと、こういうふうに思っております。その前に、具体的にどういうふうにやるのかということが大事でありますが、それにつきましては専門家の皆様方にもご相談申し上げ、そして又、地元の四日市市等とご相談する中で決めてまいりたいと、こう考えております。
(質)確認書締結は、いつ頃になる予定でしょうか。
(答)まだ今、日にちまで決めてませんけど、いずれにしろ四日市市にも中核市への移行の手続き等がありますから、まとまればできるだけ早い段階がいいのではないかなと思ってますが、具体的に日にちまではまだ決めてません。
(質)遅くともいつ頃まで?
(答)3月、4月というわけにはいかないと思いますから、できるだけ早く、2月にはそういう確認書を締結して、そしてさっきの検討会、これをスタートさせていくべきだと思ってます。
(質)確認なんですけど、「仮に四日市市が中核市に移行しない場合は、当然県でやらなければいけないものについてそのままあるわけだから、移行後も県は責任を果たしていきたい」とおっしゃった部分というのは、例えばフェロシルトと今の大矢知の問題以外に、例えば硫酸ピッチの問題とか、実は眠っててまた新たに出てきた場合も、県がある程度手当てされるという意味ですか。
(答)今申し上げましたように、例えば大矢知の問題、それから平津の事案等、産業廃棄物の不適正処理事案としては4事案あるんですね。内山の問題もありますね、そういう意味では4事案あります。それとフェロシルト事案ということ、これを念頭に置いてます。で、他にどうだとかこうだとか、県の責任の範囲でどうなんだ、というような事については、これは今、そういう想定ができるものではありませんから、当然、今後、四日市市に限らずどこであろうと、その事案の責任については、個々に判断されるべきという、これは当然あります。
(質)つまり、そのものが起こった時に個々に判断するということですね。
(答)そういう議論を今しても、しょうがないと思います。
(質)RDFの問題なんですけれども、市町の処理費の値上げ問題に絡んで、県に対して関係する市や町から「大幅な値上げはしないこと」とか、「県に最大限の支援を求める」といった要望書が出されたと思うんですけれども、これに対して県はどのように対応していくのかをお聞かせください。
(答)RDFと事業団の廃棄物処理センター、これも併せて実は今、処理費等についてどうしていくのか、あるいはこれまでの累積赤字、あるいは今後、今のままだと想定される、出てくるであろう赤字等について、どうしていくのか、これは今後継続的に事業を展開していくためには、きちっと解決をしていかなければならない最大の課題であります。RDFにつきましても、この事業が始まるまでのいろんな議論の過程があったようでありますし、また事業がスタートした後、ああいったあってはならない爆発事故もございました。それがためにその処理にかかった経費はもちろんでありますが、安全性を高めるために執ってきている措置、あるいは今後の運転費用についても、コスト増というようなものが起こってきているところであります。これまでの経緯につきまして、スタート時点での詰めの甘さ、あるいは十分な協議というものについて、今にして思いますと、それが十分なものであったのかどうなのか、私としては大いにそういった問題もあるところだと、こう思っておりますが、しかし、すでにスタートしてきているところであります。そういう意味では今日あります赤字等については、県にも過去の経緯に基づいて、大いに責任ある部分があると思っております。したがって、そういったことについては県の方で、これは企業庁を含めてでありますけれども、対応すべきは対応しなければいけないと、こう思ってます。しかし一方で、この「ごみ政策」ということからいきますと、一般の家庭については、原則として市町が責任を持つべきところのものであります。県がああいった循環型社会を目指すサーマル・リサイクルの利用というような施策の展開に関わってまいりましたから、県としてももちろん、その点は十分考慮するとしましても、今後継続的にこれをしっかり展開していくというからには、やはり本来負担すべき所できちっと負担をしてもらうということが大事であります。したがいまして、この料金の問題については、今関係市町と十分に協議もやっているところでございます。市町からは急激な値上げといいますか、料金がアップするということについての懸念のお話もありました。いろいろ市町には市町としてのご意見もござまして、ご要望もいただいているところであります。一方県には県にかかる責任の部分、これも果たしていかなければなりません。そういう中で、あるべき適切な負担のあり方というものをしっかり協議しながら構築をしていきたいと、こういうふうに考えております。
(質)RDFの処理費用から離れて、これまでの損害の費用負担を民事で解決する意向であることを庁長が語られたんですけれども、その辺のことを知事はどうお考えですか。
(答)実は先般のRDF関連で送検をされたという状況の中で、私もその後、送検された状況の中身についても精査をいたしてきておりますけれども、今回の送検については、送致されたのは安全衛生法の違反の部分であり、事故にかかっては送致ではなく、送付という形での送検であります。したがいまして、火種の特定ができていないとか、あるいは送検した対象についても、非常に幅広く送検をされておりまして、検察庁の今後の捜査にかなり大きな部分が委ねられております。したがって、今の段階でまだ送検された状況からはその責任の度合いであるとか、責任のあり方についても、最終的に私どもとして取りあえずできる判断というものが、なかなか得られない状況であります。したがいまして、今後、検察の捜査、これをしっかり見守りながら判断を詰めていかなければいけないことだと、こう思ってます。そういう判断に基づいて、その後の費用負担についての考え方を整理していくことが必要ではないかと思っているところであります。
(質)RDFの書類送検に関連してですが、富士電機への処分なんですけど、これはどのように、いつの時期に処分を出される考えがおありになるんでしょうか。県企業庁が業務を委託している富士電機が書類送検されたことに対する富士電機への処分は。
(答)その点について、私の方で企業庁としての考え方も聞いておりませんし、まだお答えできる状況ではありません。
(質)さっきのご発言で「今の段階で責任の度合い・割合の判断が得られない状況」とおっしゃいましたが、ということは企業庁長のこの前の予決(予算決算特別委員会)で言ったあの話というのは、知事は企業庁の勇み足とお感じなんですか、それとも合意の上ですか。場合によっては民事のあれをやると。
(答)企業庁長の受け答えは皆さんがいろいろ突っ込まれた中の前提では。私は立ち会っておりませんので、よく分かりませんが、遡って責任を追及できるのかどうかという技術的な側面から捉えておっしゃったのだろうと思いますね。で、それについて「そういうことはある」ということを言っているかもしれません。それがまさにその通りではないですか。
(質)場合によってはそういう方向も知事としても了承されるわけですか。
(答)だから、そういう判断をする状況には今ないのではないかということですから、それが整理ができた段階で考えていくということです。また企業庁からその辺についても相談があると思います。
(質)先ほど廃棄物処理センターの話もちょこっと出たようですけども、環境保全事業団の債務超過に何らかの措置を来年度予算ですることになるんでしょうか。
(答)まず第一にセンターにおいても、今後のセンターの運営をどうしていくのかということに絡んで、いわゆる市町の灰の残さを処分している、それの適正な負担、適正な運営のあり方について協議をしているところです。これはセンター運営協議会というところですね。それをやる場合に最大の問題がこれまでの累積赤字が16年度までで約20億円という数字が出ておりましたが、これをどうするのかということがまず1つございます。それから、それ以降予想されるものは料金の設定がどうなのかというようなことで違ってまいりますから、そういったものについてどうさせるのかということがあります。県としては、先ほどRDFのところでも申し上げましたように、これまでの経緯から考えて、県ならびに事業団として、やはり責任持って対応しなければならないものについては、それを果たしていかなければいけないと、こういうふうに思っております。したがって、今の累積赤字についても、そういう中で今私どもも検討しているというところであります。
(質)議会がガス化溶融炉の提言を出されたんですが、それを受けて新年度予算でどう対応されるご意向ですか。
(答)これはまだ今、鋭意検討中であります。各般かなりいろんな点でご指摘をいただきました。例えば「プラスチックの搬入について検討したらどうだ」というようなこともありましたけれども、これについては、例えば国の基本方針では、廃プラスチックについてはまず発生を抑制しなさいよとか、その次には容器・包装リサイクル法に基づいてリサイクルを徹底してくださいよと、それでも残った場合にはプラスチックについては、埋め立て処理ではなくて、サーマル・リサイクルすることが適当だと、こういうふうに決まっているところであります。したがって、そういった基本に基づいて考えていくべきものだと思いますし、それからセンターについては、地元との協定で今、市町の焼却残さに限るというふうなことになっておりますから、プラスチック、そういうことについて搬入するということになりましたら、当然地元の理解・同意を得ていかなければいけないと。地元の理解を得て、安全性を十分確認するということが必要だと思いますね。そういったご指摘については、ただ単に「ああ、そうですね」ということではなくて、きちっと詰めていかなければならないことがたくさんあるのかなと思ってます。ただ、例えばその指摘の中で、不純物の除去だとか、そういうことについては確かにこのことがコストにも随分関わってまいりますから、できるだけ市町において分別収集の徹底をお願いするというようなこと、こういうことも大事だと思います。あるいは、また経営状況のチェックだとか、そういうことも非常に大事なことだと、こう思ってます。各般そんなことで今、県議会の方からいただきましたことについても鋭意検討をして、生かせるものは十分生かしていきたいと、こう思っております。
(質)新年度予算には事務的には間に合わないのですか、その提言を受けた対応というのは。
(答)そうですね。予算そのものに関わるもの、あるいは関わらないもの、いろいろあるかと思います。一番大きな問題は先ほどご指摘ありましたように、累積赤字の処理を含めた料金問題、これが今回、私ども予算を議論する中でも最も大きな課題の1つだと、こういうふうに思っております。鋭意チェックしながら生かしていくということです。
(質)フェロシルトの問題なんですけれども、三県一市の知事市長会議が先日開かれまして、その中で神田知事が「三重県がしっかり主導して、処分場問題についてもしっかり対応していって欲しい」といった発言があったと思うんですが、この発言を受けて、県はどうお考えになりますでしょうか。
(答)知事会において、愛知県知事ならび岐阜県知事の方からおっしゃった点で、1つはさっきご指摘のありました処分について、「しっかり三重県が主導性を発揮して、石原産業を指導してくださいよ。」と、こういうふうな部分があります。それからもう1つは「三県でいろいろ取り組んでいく中で情報をいろいろ共有しながら、三県一体で取り組んでいく課題の1つであるね。」と、こういうふうなお話がございました。で、まず前者の点につきましては、県の方は石原産業に対して、処分・保管する場所の確保ということについて、強く指導もいたしているところでありますし、また三田処分場等、事業団の方の協力も十分にさせながら、その確保については努めていきたいと、こういうふうに思っているところであります。今の段階でまだ全量が保管できる形では確保されていない状況があると思っておりますので、引き続き県としても石原産業に十分指導しながら、処分地の確保ということをしていきたいと、こう思っています。それから情報を共有し、情報交換しながら、しっかりこうした事案に三県が危機意識を持って共通して取り組んでいこうと、こういうことにつきましては、今、三重県ではリサイクル認定のシステムにつきまして検討もしております。まずリサイクルで今日まで認定されてきている133品目、そういったものを再チェックすると同時に、今後のシステムのあり方についても、今検討しております。それからもっと広い角度からいけば、危機管理システムそのものにおいても、こういった、いわば想定できなかったようなことについても、できるだけ事前にそれをキャッチし、未然防止を図っていくということについても県の方で今検討してきておりますから、そういったことについて、大体内容が決まりましたら、愛知県や岐阜県にも三重県の取り組みとして情報を提供いたしまして、そして協力できるところは一緒に協力をしていくということをやっていきたいと、こう考えてます。
(質)処分場の確保なんですけれども、三重県も積極的に確保に協力するという考え方でよろしいんでしょうか。
(答)当然、石原産業が十分に、早くこれを確保していかなければなりませんから、そのために県の方で協力できるものは協力をしていきたいという考え方です。
(質)今、リサイクル製品の再チェックをしていると思うんですけども、これの結果というのはもう出ているんでしょうか。
(答:環境森林部)現在、速報値では当初の認定基準を超えるものはないだろうということは聞いておりますが、認定委員の先生に再度確認していただいたうえで、月内には公表できるのかなと思っております。
(質)神田知事のお言葉はソフトな言い方だったんですけども、少なくともニュアンスとしては、「三重県分のフェロシルトを処分するだけではなくて、愛知県分も責任を持って三重県が処理場を確保してください。」と強い意志が受け取られたんですけども、その辺に関してはいかがですか。
(答)そういうことを含めてのご発言だったと、こういうふうに思ってます。三重県としては、フェロシルトをリサイクル製品として認定したという、これは騙されたとは言いながら、そういった事実がございましたから、そういったことに基づく道義的な責任を感じておりますから、県(愛知県)のご要請についても真摯に受け止めて対応をいたしたいと思ってます。
(質)ライブドアの堀江社長が昨日逮捕されたんですけれども、三重県もベンチャー企業の育成等に力を入れてまして、起業家の倫理というものをどう育てていくのか県としてのお考えをお聞かせください。
(答)まず、基本的には社会の成り立ちとしてルールを守るということは、社会の信頼感を維持していく中では最も大事なことでございます。規制緩和が行われ、あるいは変革というものが叫ばれ、そして地方においては自主性・自立性というものが叫ばれている時であります。そういう意味においては私ども三重県も地域主権の社会ということを言っておりますが、その一番基本になる大事なものは個の確立だということを申し上げているところであります。やはりルールをまず基本にする。その最も大事なものが法律であります。したがって、これからの非常に競争が激しくなる時代、あるいは自己実現を自由に図っていくという時代においては、自己責任ということが最も問われなければならないということだと思います。そういう意味では、今回のライブドアの状況は捜査がどういうふうに進展するのか知りませんけれども、こういう事態になっているということは、大変残念なことだと言わなければなりません。これはその事業をやっているそれぞれの自己責任にかかる最も大事な問題でありますから、やはりそういうものについては厳しく対処していくということが大事だと、こういうふうに思っております。私としても自己責任だとかそういうことについては、当然、三重県のベンチャー育成だとかそういうことについても、当たり前のごく当然のことだと思います。それに反するようなものについては法律的にも社会的にも強く制裁を受けるということが当たり前のことだと思ってますし、またそうでなければルールを守っていくという風潮は崩れていくと思いますね。
(質)今回のライブドアの状況は残念なことだとおしゃられましたけれど、どういう点で残念だなと思われましたか。率直な感想といいますか、今回の問題を聞かれて。
(答)異端児的に一つの、旧来の日本の経済活動・企業活動の殻を破るような事例としてライブドアも挙げられておりましたね。そういう意味では国民の中には、堀江さんがまさかそれが脱法行為によるものだということは思いも寄らなかったことでありましょうし、むしろ堀江さんに対して旧来の企業になかった新しいものを求める姿を、新しい社会を作っていくという中に、堀江さんなんかの行動に期待した人が、国民には随分いたんじゃないかなと、こう思います。しかし、それはルールや法律をしっかり守りながら倫理観も持ちながら取り組んできてこそ本当の評価が得られるわけですから、そこのところは国民としては今、捜査が行われていることが事実であるとすれば、全く裏切られたということであります。私もそういう意味で残念なことだと、こういうふうに思います。
(質)アメリカ産の牛肉問題について一言お聞かせください。
(答)今回、アメリカ産の牛肉輸入再開というような、そういう重大な局面・展開がなされようとした矢先に、ああいった危険部位、背骨ですよね、これが混ざっているということについては、非常に無神経なアメリカ側の今回の事態に本当に驚いていますし、怒りも覚えます。なぜこういうことになったのかということについては、今後調査していくでありましょうけれども、少なくとも政府の交渉の過程の中で不十分なものがあるとかいうようなことであれば、私は政府の責任も問われることになるんだろうと、こういうふうに思いますし、そこはもう少し調査状況を見てみないと分からないのではないかと思いますね。しかし、これで国民のアメリカ産牛肉に対する信頼は大きく失われた、今まで以上に失われたということ、これは極めて残念なことだと、こういうふうに思います。
(質)この危険部位が入ってくるというのは予見できたんでしょうか。
(答)ちょっと分かりませんね。ただ食肉処理の観点からいくと、危険部位を取り除くということは大変なことなんですね。三重県では四日市、それから松阪で食肉処理をやってますけど、松阪の事例でもこの危険部位を取り除くということで、それを作業過程の中に入れていくためには、相当、時間もコストも手間もかかるわけですよね。しかし、これをしっかりやっていくということでないと消費者の信頼を得られることではありませんから、そういう基本的な問題だと思うんです。ただ、アメリカ社会では出回っているということと、日本ではそれはダメですよということの、そこの差が、作業に当たっている人たちの中できちっとした認識として区分されていなかったというようなことがあったんだろうと思います。ちょっと私、詳しいことまでは分かりません。
(質)でも、アメリカ産牛肉の信頼が失われたということで、また今以上にブランドの松阪肉・松阪牛に対する消費者ニーズというのは増えるとは思われますが、その辺りいかがでしょうか。
(答)そうですね、肉に限らず、やはり消費者に対して安全・安心ということをしっかり分かるように伝え、そして信頼してもらうということが大事だと思います。そういう意味ではできるだけ近いところで作られた、そして安全・安心なものというものが最も消費者の信頼に応えていくことではないのかなと、こういうふうに思ってます。今は、我が国では肉に限らずいろんなものが輸入されているところであります。したがって、私は国としても消費者への安全・安心という信頼感が損なわれないように、この安全衛生の対策ということはしっかり取ってもらいたいと、こういうふうに思います。逆に松阪肉がどうだとかこうだとかというようなことで、一喜一憂するようなこととは違うと思うんですね。松阪は松阪として、その信頼をさらに高めていく努力をしてもらうということだと思いますね。ただ、ちょっと高くなりすぎているので、できるだけ頭数を増やしてもっと広く皆さんに提供できるような、そういう体制にもっていくことが大事だと思います。あるいは伊賀だとか北勢の牛も非常においしい肉がありますから、三重県としても、そういう意味では県全体が牛肉についても関係業者が頑張ってもらいたいなと思ってます。
( 以 上 )