知事会見
平成17年12月 6日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表事項
- なし
2.質疑応答
(質)最初にフェロシルトの問題なんですが、廃棄物処理法違反で業者なりを告発されて、もう約1カ月が経とうというところなんですが、あらためて知事ご自身、フェロシルト問題に関して告発から1カ月を迎えての感想なり、今の胸の内なりをお話いただけますか。
(答)フェロシルトにつきましては、石原産業という日本を代表する大手の化学会社が、申請とは違うものを偽って流通させた、また申請も結局虚偽の申請、そして県は結果的に騙されたということですが、それがために三重県内だけでなくて、愛知県、岐阜県、あるいは京都府、いろんなところに埋め戻し材として使われた関係の地域の皆さんには大変不安をかけたわけでございます。県としては認定に関わった道義的責任を感じながらも、一方で石原産業の行った不正行為に対しては、本当に強い憤りを今も感じているところでございます。実は一昨日フェロシルトの問題検討会、県の方で有識者の方にお願いをしてつくっておりますけれども、それの第5回の委員会が開催されました。報告書を来週半ばぐらいにはいただく予定になっておりますが、そのための最終の取りまとめ、議論を行っていただいたということでございます。既に中身については報道にも公表されているところでございますけれども、ああいった基本の内容で来週出されてくるんであろうと、こういうふうに思っております。県といたしましては、今、庁内にこれについての調査・検討をする体制を持っておりますけれども、いただきます報告書を十分真摯に受け止めながら、今後の対応ということについて、年内にだいたいの方向付けをしていきたいと思ってます。もちろん、できるものについてはすぐやっていくということでありますし、それから認定にかかるシステム、認定制度そのものについては、どこをどういうふうに見直していくのか、それに基づきまして必要な手順を今後踏んでいきたいと、このように思っております。
(質)知事、今議会の提案説明でもおっしゃったと思うんですが、危機管理体制について変えていきたい、見直しを進めていきたいというご意思をお持ちだと思うんですが、もし具体的なところが知事の胸の中で決まっていればお教えいただけますか。
(答)まだここで申し上げるところまで詰めておりません。ただこのフェロシルトの認定問題だけでなくて、環境施策で出ている問題に限らず、今後私どもが通常なかなか想定し得ないようなものでも、こういうフェロシルトの例のようなことが起こったりする、あるいは姉歯設計のような、ああいった事件も現に日本で起こっているところでございます。こうしたことも含め、さらには私ども県政の中で危機管理のいろんな取り組み方では、もう少しきちっと把握ができる方法があるのではないか。私は特にマネジメントシステムについては、システムの有り様としてどうあるべきであるかということに、知事になりまして以来こだわりも持ち、取り組んでいるところでありますので、そういう意味ではただ単にマネジメントのベースに危機管理を置いて、防災危機管理局はじめ、その体制を持っているという今のシステムだけでは不十分だなと、そういう意味では他の自治体、あるいは組織でもいろいろ、こういう面についてはお悩みだと思いますけど、私どもとして今やれる一つの新たな方法、こういったものを付け足していきたいなと、こういうふうに思っているところです。
(質)目処としてはいつぐらいからになりそうですか。
(答)少なくとも、いろいろ検討をしております組織やそういうことに関わる点もあるとすれば、やっぱり来年度当初からそういった形ができるかどうかということを考えております。
(質)で、県組織の見直しを打ち出されておりますけれども、それをさらにちょっと触ると言いますか?
(答)まだ中身はきまっておりませんから、場合によってはそういったことも含めて検討していきたいと思っておりますので、十分に今後詰めていきたいと、こう思っております。
(質)新しい室なり、部局なりをつくるということもあり得ると。
(答)皆さんが誤解して間違った記事を勝手に予測して書かれるといけませんので、そういう間違いが起こらないように、今は中身には触れません。
(質)道義的責任はフェロシルト問題検討委員会がおっしゃってるんですけど、ただ姉歯の問題なんかを見てますと、国も道義的責任とは言ってないですし、普通国民感情からいけば、道義的責任ではなくて実質的責任ではないかという感じになるんですけど、その辺フェロシルトについてはやっぱり道義的責任というお考えなんですか。
(答)一応一昨日の検討委員会の議論の中でも、この認定審査のことについては「六価クロムの生成および製品中への混入を予見することは難しく、したがってこの申請書をもとに行われた認定審査に過失があったと断定することはできない」、こう言われております。その上で「しかしチタン鉱石中に不純物としてクロムが含有されていることは化学技術者にとって予見可能と考えられるから、その予見性がゼロではなかったと考えられる。したがって県は製品認定をしたことの道義的責任を免れることはできないと考えられる。」と、この審査会でも道義的責任と言われているところでございます。
(質)知事はそこから踏み込んで道義的以上にもっと責任はあるだろうとはお考えにはならないんですね。
(答)道義的責任ということは、その責任の一端があるという表現でありまして、道義的という言葉と道義的でない場合と、どう違うのかというのは非常に微妙なものだと、こういうふうに思ってます。
(質)以前もお尋ねしたんですけども、県は平成元年頃から石原産業のアイアンクレーを再利用化しようとする研究をどんどん進めてたわけで、チタン鉱石の中にクロム成分があることは認識していたわけで、そのことが逆に引き継がれてなかった?アイアンクレーもしくは後のフェロシルトになるチタン鉱石の中にクロム成分が含まれていて、そういう技術的なことが全然県として引き継がれていなかった、その辺の責任はどうですか。
(答)これはそれぞれ所轄のところで皆さん聞いていただきたいと思いますけれども、六価クロムが含まれているという認識があったわけではなくて、六価クロムが含まれていないという石原産業の言っていることが前提となって進んでいた部分があったのかなと、こういうふうに思います。そういう意味では結果として、いろいろとこれまでのやり方について、反省すべきところはきちっと反省しながら、これを検証して、それを今後の改善に生かしていくということが大事であると思います。そういった作業も今後やっていきたいと、こう思ってます。
(質)元年の研究で魚礁にも使おうということで、魚礁の実験もしたらしいんですけども、それは失敗したということなんですけども。
(答)ちょっとそこまで私は詳しく分かりません。担当に聞いてください。
(質)一言で道義的責任だけで済まされている感じがするんですけども、実質的に石原産業のアイアンクレー、フェロシルトを県は知っていたという前提があると思うんですが。
(答)そういうことも確認してません。記者さんのそういうご判断があるとすれば、担当の方にもう一度確認してください。
(質)もう少し広げて、ちょっと一般的になるんですけど、四日市の保健所の時の職員の方の書類等の偽造とか、あの時もちょっと話が出てたんですが、要は行政というのはいつも性善説に立っていると。で、マニュアルというのは本来性悪説なんですけども、そういう観点ではものを見ないので、ということが今回の耐震構造の件とかにも通じるところがあると思うんですが、その辺行政というのは性悪説に立ってというようなやり方というのはできないんですか。知事はその辺今後のあり方を含めてさっき危機管理をおっしゃいましたけれども、そういうお考えですか。
(答)役所であれ、皆さん方もそうだと思いますけれども、人間関係というのはやはり基本的には同じこの社会の中で暮らしている、生活している仲間として、まったく相手をもとから信用してないというのでは付き合いもできない、ものを言うこともできないということがありますね。したがって一般的な社会というのは、そういう善良な立場でお互い、この世の中一緒に暮らしているんだという意識があると思いますね。組織においても、そういう意味合いでは基本的には素直に一組織の中の構成員も一県民でありますから、基本的にはそういうものであるかと思います。しかし、そうは言え、いろんなリスク管理や危機管理というものが必要でございますから、そういう意味でいろんなこれまでの経験に基づいて必要なものについては、危機管理に対するいろんな要綱・マニュアル、こういったものを用意しながらやってきているということであります。そういう意味では素直にそういうふうに考えている一生活者としての立場で想定を超えるケース、こういうケースについてどうするかという問題が最近非常に多く出てきているわけであります。基本的には姉歯の問題にしろ、このフェロシルトの問題にしろ、企業のコンプライアンスの問題ということ、これは基本的に当たり前のことなのであります。しかし、それが通常は「まさか」というようなことで、それが守られていないというふうなことはなかなか想定しにくいものでありますけれども、現にこういうことが起こって、それが社会を大変揺るがすような、そういった問題、健康に対する不安を持たせる、あるいはこと地震が起これば大変な死者まで出るであろうというような、そういったことの可能性もあるような、そういったことが起きてきておりますから、そういうことに対してどうするかということは、これはかなり危機管理の上からは難しい課題であろうかなと、こういうふうに思います。そういう意味では昨今のいろんな社会の歪みがいろんな所に出てきている、これまでの時代の中では本当にそこまで想定するということは、なかなか、なかったかもしれない。そういったことが起こってきているということで、そういう病んでいる社会の実態というものが一方で出てきているんではないかなと、こう思いますね。
(質)それは危機管理対応を突き詰めてやっていけば、何とかクリアできるとお思いなんですか。
(答)最大限どこまでできるかなということ、これは当然能力、時間、それから人権といったような、いわゆるそれぞれの権利に基づいて考えていくと、それはもう限界がある話でございます。しかし、その限界のある話の中でどこまでできるのか、少なくともこれぐらいまではできるんではないかというところは考えていくべきなんではないかと、こう思っておりまして、今検討しているということでございます。
(質)リスクマネジメントそのものは性悪説ですね?何が起こるか分からないということを前提にリスクマネジメントするんですから、性善説ではないわけですよね。
(答)そうです。基本的に性善説という大前提で組織だけではなくて、社会そのものはあるということだと思います。しかしリスクマネジメントはそういうケースが破られるということがあるんだという前提に立って、やはり考えていかなければならないという意味では、リスクマネジメントそのものは性善説だけに立って考えるというわけにはいかないわけでございます。
(質)冒頭、フェロシルトの検討委員会から報告書を受けると。で、同時に県庁内で調査検討体制ができているとおっしゃったんですけど、それを改めて教えていただけますか。今、庁内に調査検討体制ができているからとおっしゃったんですけど、それは何ですか。
(答)それは冒頭のフェロシルトの関係については、フェロシルト問題が起こってきました中で皆さんにも報告したと思うんですけども、副知事に指示をいたしまして、それでフェロシルト問題についての庁内での検討をやるように申しました。主に環境森林部と、それから防災危機管理局とが関わりながら、それに総務局やそういったところも関わりながら検討してもらっております。
(質)それは名前ありましたか。
(答)別に名前はありません。
(質)では危機管理部門はさっき言ったリスクマネジメントなんでしょうけども、総務局とか環境部分ではどのような検討内容ですか。
(答)それはまだきちっと報告できるような状況ではありません。
(質)取りあえず報告書を受け、年内に方向付けを出されると?
(答)フェロシルトの問題については、さっき申し上げたとおりです。
(質)方向付けをね。
(答)ええ、今年中にだいたい。すぐにできることはもちろんやってまいりますし、フェロシルトの認定問題等に関わる、直さなければならない点については、それを挙げた上で今後それに向けて作業を進めていくということになると思います。
(質)総務局が関与する部分というのは、どんな問題なんでしょうか。
(答)県議会の担当窓口になっておりますのが総務局でもありますし、条例だとか、そういった法務の関係も出てきますし。
(質)フェロシルト問題で日曜日にあった検討委員会の審議の結果の中で、リサイクル推進条例の中に罰則規定を盛り込むべきだという意見が出たようなんですが、仮に条例の中に罰則を盛り込むという、罰則という意味の中に、例えば罰金だとか刑事罰を伴うような刑事的な責任を問うような項目を盛り込むのか、それとも社名の公表だとか、例えば県の指名業者から指名を停止するというようなものから、いろいろ意味があると思うんですが、どういった形の罰則が今の段階で想定されますでしょうか。
(答)委員会の中でそういったご意見が出たということを伺っておりますけれども、罰則規定について、まず設ける設けない、あるいは中身がどうなのかという前に上位法に照らして、条例として盛り込む場合にどこまでの範囲が可能なのか、そういったことがまず前提となると思いますね。それに基づいて罰則規定をやるということだと思います。罰則も、例えば何らかの改善命令等の措置をした上で、それが効かない場合にどうだとかいうような規定の盛り方はできるかもしれませんね。しかし、この罰則規定そのものも上位法と照らす中で県が思うようにできるのか、ちょっとそこら辺の法的な整理をしないといけないと、こう思います。で、具体的にどういうものが考えられるのかということについては、今申し上げることはできませんけど、ご意見をいただいたことを受けて、各般検討していくということになると思います。
(質)要するに条例では罰則規定を設けるのは、現在の法体系の中では割と難しいという専門家の話があったようですね。
(答)ですから罰則規定については、条例の場合には必ず上位法との関係でどこまで盛り込めるか、かなり限界のあるものも多くありますので、そういったことを十分今後勉強していかなければいけないということです。
(質)知事ご自身としては罰則規定を設けることについては是とされる?
(答)やはりこの条例に限らず、ある意味でコンプライアンスをきちっと守らせる、あるいは社会的な公正ということ、あるいは公平というような観点から、それをやはりきちっと徹底させていく意味では有効な手段の一つだと、こういうふうに考えております。しかし、これは行き過ぎがあってはいけないと思いますけれども、ここらを十分見極めて適切な対応というものができればと思っていますね。
(質)ただその場合、罰則規定を設けた場合は本来の推進条例ではなくなってしまうんではないかという気がしますが?
(答)委員の方のご意見の中にも、特に座長が確か最後の記者会見の席で言われたと聞いておりますけれども、やはりこのリサイクルシステムを今後展開をしていくということは、循環型社会形成にはとても大事なことなので、少なくともリサイクル促進の気運を妨げないことがやはり大事ではないかというご指摘があったわけでございますが、このことは私大変、また一方で大事なことだと、こういうふうに思っております。そういう中で十分検討していくべきことだと、こう思ってます。
(質)ただそうは言っても、木材とか間伐材のリサイクルというような安全な範囲のリサイクルはそれでいいとして、このような危険性のあるようなものをリサイクル製品に含んでいくというような体制はいかがかと、だから国の特管(特別管理産業廃棄物保管基準)とか、そういう問題が出てくるんですけども、その辺の区分はいかがですか。
(答)これも今後十分検討させていきたいと、こう思います。しかし少なくとも私どもが日常生活を送っていく中で、いろんなものを使っている、その製品を作るのにいろんな有害物質が出されてくる、で、それがけしからんということになれば、そもそもそういったものを出すような製品は否定す・驍フかという話になりますと、そうはなかなかできないことであります。したがって、有害物質であっても現に廃棄物として出てくるという現実がありますから、そういうものに対して今、科学技術がどんどん進んでおりますから、そういった有害なものについても、今後の新たな技術開発によって、それを無害化することができる、あるいはさらに有効な処理方法が見つかるというようなこともあるわけですね。ですからそういったことの取り組みについても、これに蓋をしてしまう、閉ざしてしまうということもいかがなものなのか、こういった考え方も今回の検討委員会の方の意見には含まれているように思います。
(質)堂々巡りですけども、今言われたことがフェロシルトの出発点でしたよね。産業廃棄物を有効なものにしようと、それで循環型社会を構築しようとしたんですけども、県はそれを見抜けなかったわけですよね。だから見抜く力のないものには県は関わらない方がいいんじゃないですか。
(答)したがって、認定問題については今回のこの報告をいただくことを踏まえながら検討をしてまいります。そして県の認定制度についても、県としてどこまでできるのか、現実問題として県として対応できる限界も考えながら整理をしていったらいいことだと、こういうふうに思います。
(質)先ほども少し危機管理のところで出たんですが、いわゆる姉歯問題です。昨日、国交省が姉歯を告発しました。そして三重県内でも三交イン桑名駅前でも姉歯が関わった建物があるといった問題がありますが、まず、知事としてこの姉歯問題どう捉えていらっしゃいますか。
(答)これも設計士がこういう構造計算をやるという中で、耐震構造がきちっとしていなければ、いつ来るかもしれない、そして日本列島どこでも地震は必ずくると思えるほど心配をされている、そういう状況の中でひとたび揺れて建物が倒壊するという事になったら、たくさんの死者が出てくることが想定されるわけであります。そういう意味では、自己の会社、あるいは個人としての利益追求というものがあまりにも許しがたいようなこういった不法行為に至らせたということは、とても通常考えられないことであり大変な怒りを、私どもこの件についても憤りを覚えるものでございまして遺憾なことだと、こういうふうに思っております。
(質)昨日の議会で県土整備部長の答弁だったと思うんですが、県として建築確認が適正に行われているかどうか検査機関の取り組み状況を把握したいというような答弁があったと思うんですが、これについて具体的に教えていただければ。
(答)これは今、国を挙げての大きな課題になっております。したがって建築確認等のこういった課題についても国の方でも今回の事件をもとにしっかり検証し、そして改善等についての基本的な考え方というのが出されてくるかと思います。県の方でも検討を進めますが国のそういった検討も十分に見ながら対応してまいりたいと、このように思います。
(質)そもそも耐震構造計算なんかを、元々、要するに役所だけではやりきれないから民に渡そうということで始まっていたと思うんですが、それで民の側でこういった問題が起きた場合に、今度官はどうすればよいのかということについてのお考えは。
(答)官とか民とかだけの問題ではないようにも思いますので、今後の検証をする中で十分にそういったことも検討していただいて、いい改善方法を提示してもらったらと、こう思っています。
(質)姉歯に絡んでなんですが、16年度に県の9つの県民局の建設部で行った建築確認の件数が約4,600件ほどあって、うち約3割ほどで構造計算書が必要なものだったんですが、とういことは年間1,000件以上の、構造計算書が必要な建築確認の申請がなされているということで、日々構造計算書を今後どのように正確にチェックしていくかという対策は何かあるんでしょうか。
(答)まず建築確認の今の制度そのものについて検証しながら、今ご指摘のあった件数について私は具体的に存じ上げませんけれども、しかし今回のことについて今後どうあるべきかという検討の中には、大きな一つの検討項目、検討しなければならない状況の一つとしてあるんではないかというふうに思います。
(質)一部津市にある三重県建築士事務所協会の方には、マンションに住んでいる人や一軒家に住んでいる人からも相談が日々寄せられているようなんですが、県の方には相談というのは今まで結構寄せられているという事例はあるんでしょうか。姉歯のかかわったマンション以外に住んでいる人からやっぱりうちも心配だという。
(答:県土整備部)建築士事務所協会の方もいろいろ相談があるということも聞いております。私どもの方にもちょっと正確に数を集計していないんですけれども、10件くらいの相談がいろいろございます。内容的にはやはり「マンションの契約をしたんだけれど大丈夫かどうか」とか、「一軒家に住んでるんですけど耐震診断はどうするんだ」とか、「建築基準法上の基準はどうなってるんだ」とか、そういった相談があることは確かでございます。
(質)あらためて相談窓口を設置するという予定はあるんでしょうか。
(答)この姉歯建築の一連の関係者を含めた今回の事件については、極めて特異なものだと考えたいというふうに思います。そういう意味では不安を煽るようなことがあってはいけないと思います。しかしながらそれがそういう思いのとおりであるように、国としてどういうふうに問題を処理し収束させていくのかということがあるかと思います。私どももそういう意味では、あえて不安を煽るようなことがあってはいけないと思いますが、しかし状況を見ながら必要に応じてその対応を考えていくことが必要だと、こういうふうに思ってます。今、すぐさまという状況ではないと思ってます。
(質)桑名のホテルに関しては震度5強を超えると全壊・倒壊の可能性があると言われていますけれど、あれがもし解体、補強などといったことになった場合、県として何かそこに関わっていくということは考えてますか。
(答)まず、これは施工主、事業主であるところの三重交通が考えて対応すべきことでございます。今は休業いたしておりますし、その後、解体するのかどうなのかというようなことも含めて三重交通の方で、今検討しているようでございます。県の行政として必要な何かお手伝いすべきことがあるということであれば、これは当然させていただこうと思っておりますが、具体的なことについてはちょっと私も分かりませんので、後ほど担当の方で、そういったことを聞いていただければと思います。
(質)手続き上、県ができるということと、あと金銭的なものですね、そういったことに関しては何か、例えば補償を出すとか、そういったことはそぐわないことであるとはっきりと言えることでしょうか。
(答)基本的に今回の桑名のケースで税金を投入するという根拠はないと思います。
(質)この前の会見でおっしゃった松阪のビジネスホテルは今チェックされてると思うんですが結果は出たんでしょうか。
(答:県土整備部)調査中ということです。
(質)引き続き?
(答:県土整備部)はい。
(質)営業はまだ停止してないですよね。
(答:県土整備部)営業はまだ停止しておりません。
(質)そこは県が間に入って、取りあえずやめられてはどうですかという話はしないんですか。
(答:県土整備部)まず、第一義的には特定行政庁である松阪市でその辺りの指導はあるかと思うんですが、まだ、確定してない段階ですので、今少し言える段階ではないというふうには思っています。
(質)松阪市といっても、松阪が受け継いだのはこの4月からで、それまでは全部県ですよね。しかも確認審査やったのも県ですよね。
(答:県土整備部)そうでございます。
(質)ちょっと無責任ではないですか。
(答:県土整備部)その辺りは松阪市と連携して調査等をやっておりますので、一緒になってやっておりますので。
(質)構造設計書見られました?設計書はチェックされましたか、県が。
(答:県土整備部)構造計算書は、現在書類が残っておりませんので。
(質)信託からもらってチェックしてるじゃないですか。信託から一部預かってですね、同じものを預かってチェックしてるでしょ。
(答:県土整備部)それは今、調査中ということです。
(質)さっきの発言と違うけど。これは道義的責任ではなくて県がチェックしたんですよね、当時。
(答:県土整備部)そうです。
(質)確実にその責任が及ぶわけですよね。
(答:県土整備部)その辺りもありますから、松阪市と連携してやらせていただいているということです。
(答)後ほど詳しくご取材に行って下さい。
(質)小さい子供が痛ましい事件に巻き込まれる、例えば広島で小学校1年生の女の子が殺害されて、その犯人、ペルー国籍の男が三重県鈴鹿市内で逮捕されたりですとか、先日も栃木で小学校1年生の女の子が殺害されたりと、非常に痛ましい事件が起こっているんですけれども、三重県として、こういう子供たちの安全安心という観点から、取り組みなりがあれば教えていただきたいんですが。
(答)今回起こりましたことにつきましては、子供たちの登下校の中でどこでも起こり得る事件だというような、そういった受け止めをしているところでございまして、教育委員会の方では早速、広島の事件を受けてすぐに、通学路等の再点検の実施でありますとか、通学安全マップの作成、交番や「子ども110番の家」の場所の周知、保護者や地域社会・警察等の関係機関との密接な情報交換による連携・協力体制の強化、登下校時における幼児児童生徒の安全確保、こういったことに万全を期すように各市町村教育委員会ならびに各学校に通知をいたしたところでございます。私からも、教育委員会にしっかり対応するように申し上げましたが、12月12日に平成17年度防犯教室講習会というのが予定されておりまして、教育委員会ではこの場におきましても学校等の関係機関に注意喚起をするということを考えております。
(質)市町村教委と学校に通達したのは、いつ頃ですか。
(答:県教育委員会事務局)11月25日です。
(質)県教委マターはそれでいいんですけども、今回は県教委マターではないところで、地域社会という、知事が言われている安全安心社会の中で起きていることなんですけども。その辺の、県のカバーはどうされますか。
(答)県行政の中で、教育委員会も広く県行政の中のことでありますから、第一義的に教育委員会でのこうした取り組みということが大事だと、こういうふうに思います。あと、生活部等を中心に、子供の問題についていろいろ取り組みもやっているところでございます。今後のこの事件等の検証もあるでしょうし、私どもも必要なことについてはまた対応していきたいと、こう思っています。
(質)関連、発展してなんですけども、今回の広島の事件は外国人の犯罪ということがはっきりしてきたんですけども、国内の外国人労働者の問題で、ニュー・カマーの問題で、人口減少社会を目前にして国内の労働力と外国人労働者の労働力をどう考えていくべきだと思われますか。受け入れるなら受け入れる、拒否するなら拒否する、外国人労働者とどう共生するか。
(答)基本的には、まず国の判断が前提であります。そして、外国人労働者という捉え方だけではなくて、我が国が国際的な社会に対してどう貢献していくのか。また、どう共生社会をつくっていくのかと、こういう課題を非常に広く考えていかなければならないことだと思っております。さらには、外国人として古くから在日の中国の方や、あるいは韓国、北朝鮮の方、こういった歴史的な経緯の中で今日の状況というのが一方でありますし、もう一方では我が国から移民をした日系の関係の人たちというのも、ブラジル等を中心に多く来てもいるところでございます。そういった一つ一つについて、ただ単に外国人労働者だとかそういった観点だけではなく、いろんな検討というのが必要だと思います。それから、最近はいわゆる単純労働については、これをまだ認めていないわけでありますけれども、しかし企業の世界戦略を展開していく中で、かつては外国人労働者として日本で雇用するという、旧来のそういった考え方だけではなくて、最近は海外での生産拠点を展開するのに、そこのリーダーあるいは事業所経営を現地の方にやっていただくために、日本にある事業所等に招へいしまして、1年とかいうような限定の期間で研修学習をさせ、そしてリーダーとして向こうへ送り込むと、こういうふうな政策も多く展開される時代にもなってきております。したがって、そういうふうな全体の進め方について、たまたま今回こういう事件が起こりまして非常に不幸なことでございましたが、そのことで全体をゆがめてしまうというわけにはいかないところがあるのかなと、こう思っているところです。幼児に関して、こういった事件を引き起こす、被害を与えるというような事件は外国人に限らず、日本人が犯人とかいろいろあるわけですね。したがって、外国人ということだけに特定して全体の外国人との共生だとか、あるいは外国への貢献の問題、これをゆがめてしまってもいけないと、こういうふうに思ってます。
(質)確認ですけど、現実として外国人労働者は増えているから、共生することが前提で、それをどう模索するがが課題だと、そう言われるわけですね。犯罪関係なしに、外国人労働者をどう見るかですけども、共生することが前提ですね。
(答)外国人労働者、在留の外国人が三重県にも増えてきているということ、その実態とそれからやはり宗教、言葉、文化、いろんな違いで、地域社会で摩擦を起こしているというようなこともありますから、県の重点プログラムの中で外国人との共生社会を実現していくための取り組みを県民とともに考え、やっていこうということにしておりますから、このことについては何ら変わるものではありません。
(質)広島の事件の容疑者であるペルー人は鈴鹿にも住んでいたこともあるんですが、やっぱり外国人は地域にいても地域と一緒になっていないという現状があると思うんです。例えば鈴鹿にしてもそうですし、県内に4万人くらい外国人がいるわけですが、多くは地域に住んでいながらも地域と溶け込んでいるという感じにはなっていなくて、要するに「よそ者であるから」ということが事件につながっているんではないかという見方もできると思います。そういった意味で、何となく住んでいるとか、何となくここにいるというだけではなくて、一緒の生き方を考えていくということに関しては、どう思われますでしょうか。
(答)今度の広島の事件については、報道されているところによると、ペルーの本国の方で婦女暴行だとかいろんな事件を起こした人が、パスポート取得にも名前を変えた、偽造パスポートなのかあるいはそうではなくて、他人になりすまして来ているという、元々向こうでも犯罪者であったのがうまく法手続きをかいくぐって日本へ来てしまった、どうもその個人が起こした事件ではないかということであります。それを現に今いる外国人の方々に押しなべて考えるというのは、これは全くの人権無視の考え方、差別主義になりますから、そういった点は気を付けなければならないと、こう思っております。
(質)いや、今言ったのは、犯罪抜きにして在留外国人の方が地域で孤立しているという現状があると。このペルーの方は別にして、在留外国人の人が地域で孤立していると。共生と言うなら、その辺を県としてどう政策的に進めていくかということです。
(答)今回の事件を発端としてそういうご質問が出るので、私としては、そこは人権問題だとかそういうことからいっても、そういう種の話の展開ということはいかがかということを申し上げております。それとは別に、外国人との共生社会実現ということについてお尋ねでありますならば、例えば言葉が分からないというようなことについて、これは住民とそれぞれ向き合っている市町村等が特に必要になりますけれども、役場の窓口で言葉の分かる人を、臨時の職員なり、あるいはボランティアにご協力いただくなりして、窓口に置くというようなこと、こういったこともやっておりますね。それから県の行政についても知っていただくために、外国語のホームページといったものを持ったり、特に外国人は言葉が分からないという意味では、いわゆる高齢者であるとか障害者と同じように、ある意味で「要援護」の対象になりますから、災害が発生したときにどうすればいいか、地震、大震災が三重県でも危惧される、そういう中でどうしたらいいんだということについては、外国語版ホームページの中でそれについての紹介をするとか、それから今年の夏、三重県地震防災ガイドブックですね、黄色いやつを全戸に配布いたしております。しかしそれも、外国人の方では、日本語が読めないと書いてあることが分からないわけですね。そういう意味で、今度近いうちに、ガイドブックについて外国語版も作りまして、そして県内におられる外国人の方に見ていただこうというようなことも考えています。教育委員会におきましては、例えば鈴鹿や四日市、伊賀の方もそうですが、外国人の子弟が学校に来ているという現状がございます。そういう所においては、日本語の教育については今、マンツーマンで子供と対応しながら日本語をまず覚えてもらおうということで、やっているところでございます。マンツーマンでありますから、これは時間、労力、とても大変な中でありますけれども、三重県においては子供たちに対してもそういうふうな対応をしながら、日本の社会にできるだけ早く溶け込んでいただこうと、そしてお互いに理解をしながら教育社会、共生社会をつくっていこうと、こういう努力を積み重ねているところでございます。
(質)その努力はよく分かるんですけども、それでも孤立化してしまう人たちとどう共生していくか、どう救っていくか、それについてはいかがですか。
(答)そういうことをしながら、より共生できる環境をつくっていこうということです。元々、宗教も違う、文化も違う。したがって、そういう違いというものをお互いに理解するということが大事である、そこからスタートするものであります。したがって、例えばホームパーティーだとかそういうものも、私たちが家族団らん等で考えるようなものと、あるいは文化・宗教の違いというものから日本人には奇異に思えるような、そういったものもあるかも知れませんね。しかし、それを指して、日本の文化になじまないからダメだということもいかがかと思いますね。
(質)鈴鹿で容疑者が逮捕されて、三重県内にもきちんとした形で入国されて働いているペルー人の子供たちが三重の学校で学んでいると思うんですが、学んでいる中で今回の事件を受けて、もしいじめがあった場合に、対策というか子供たちのケアというのは、どのようになっているんでしょうか。
(答)具体的にそういう事例が発生しているということは聞いてませんので、もしもそういうことがあるならば、学校現場あるいは市町村の教育委員会等できちっと対応していただくべきことだと思います。県としても、ご相談があればきちっとその相談に乗らせていただくことかと思います。一般的に、こういったことが起こる起こらないは、やはり社会全体の問題でもあろうかと思います。石原産業の、今回こういったフェロシルトの問題が起こった、そこで、石原産業の社員の子供たちが学校でいろいろいじめられているというような事例が起こっているというようなこともちょっと聞いたことがございます。私は、このような問題に関して、石原産業は許せないものでありますけれども、しかしそこの社員の子供たちのそういった話は、本当に胸が痛む思いでもありまして、そこがやはり社会として子供たちに対する包容力、寛容、あるいはその前に人権問題に対するきちっとした認識、こういったものが必要だと、こういうふうに思っております。
(質)年末の恒例の政府予算なんですが、今回は上京なさる予定というのはありますでしょうか。
(答)先般、私どもは要請をしてまいりました。今のところ、多分、個別の箇所付けとかそういうことについては、要請している予算が付いたとしても今後のことだと思いますし、それはそれぞれ担当部局も国と折衝していくものだと、こう思います。したがって、特に私が出向く必要があるという判断をすれば別でありますが、今のところそう考えている、予定しているということではありません。
(質)海上アクセスの総合ターミナルなんですが、以前に客の利便性から言っても県が責任を持って調整するとか、対応するというような話をされたと思うのですが、それは県が責任を持って整備するとか、そういう意味合いじゃなかったのでしょうか。今、関係者の方では話が違うというような感じでちょっと不信感というか、そういうのを持っているようですが。
(答)調整するということは申し上げました。整備をするとは申し上げてません。総合的に、これまでの経緯、いきさつがありますし、これまで県の方でいろいろやってきた中で、それぞれがそれぞれの立場を強調するというようなことがあったり、なかなか今までの調整作業は大変、県としても難しいところを感じてもきたところであります。したがって、それぞれの譲れない主張を生かす中で調整するならば、こういうことだということもあります。ただ全体的なこともありますので、まだ調整はいろいろなことを考えながら進めていますから、まだ継続中でございます。
(質)いろんなこととは、例えばどんなことですか。
(答)例えば、ターミナルについては三重県側だけの都合ではなくて、常滑だとかあるいは名古屋港だとか、三重県だけの議論ではないわけでありますから、そういったことも見ていかなければならないと、こう思います。
(質)津アクセスが使っている現在のターミナルはどこの費用で建てたのですか、空港側のターミナル。
(答)津市が建設したということです。
(質)別々にそれを・竄チてしまうと、最初言ったような客の利便性からもあまり適当でない気がするのですが。
(答)だから、それを十分意見を出し合って、話し合っていただければいいわけで、そういう中で、いや自分のとこはこうだという、いろんな主張があれば、その中で利便性を、その方法をそれぞれがまた考えてもらったらいいのではないかと、こういうふうに思います。
(質)この議論、知事は当初、現在のターミナルの後背地、空き地があるのでそこも視野に入れて検討したいとも言われたのですが、その話はどうなりましたか。
(答)だからそこも含めて、今、検討を進めているわけです。
(質)ターミナルの話なんですが、いつごろまでを目処に調整を付けたいという目標はあるんでしょうか。
(答)少なくとも、それぞれに事業開始時期がありますから、それぞれそれを目標にこれまでの話し合いの中でも主張しているところでありますし、だから船が就航するまでには必要だということですね。
( 以 上 )