知事会見
平成17年 9月 1日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目
- インターネット公売の実施について
- 平成17年度三重県総合防災訓練について
(知事)それでは1点目のインターネット公売の導入について申し上げます。三重県におきましては、県税を納期内に納付していただけない方に対しまして、これまで、換価性の高い財産を中心に滞納処分によります差押えを進めてきたところです。今回、差押えした財産の公売対象を広げるというために、インターネット公売を導入いたします。こうした新しい換価方法を導入することによりまして、動産、自動車、不動産などの換価が容易になり、滞納処分の対象が拡大されるということで、滞納整理の促進が期待されるところでございます。インターネット公売につきましては、現在、5つの都道府県において実施されておりまして、インターネット環境の普及によりまして、まず第1に24時間、どこからでも入札に参加できるということ、2つ目にその結果、多数の入札者が確保され、公売財産が高額かつ確実に売却されるということなど、財産の換価手段として効果が高いということが実証されています。この結果、多くの真面目な納税者の期待に応え、今まで以上に税の公平性を保ち、また納税秩序を確立する環境が整備できると考えております。なお、インターネットオークションサイトとしては、システム利用者が3,900万人であり、周知効果の高いヤフー株式会社を採用いたしました。
次に平成17年度三重県総合防災訓練、防災週間関連行事等について申し上げます。すでにこの件についてはお知らせさせていただいておりますけども、お手元にお配りしております資料のとおり、三重県総合防災訓練を9月4日(日)9時から、尾鷲市立運動場をメイン会場として実施いたします。詳細につきましては、資料1に記載しておりますけれども、本年度の訓練の特徴といたしましては、地域特性を踏まえまして、ヘリコプターや船舶による救助・搬送訓練など孤立化地域に対する救助・救護・救援を重視した訓練であるということが挙げられます。また、訓練会場が尾鷲市、紀伊長島町、海山町と3市町に分かれるほか、尾鷲市内についてもメイン会場以外に尾鷲港でありますとか、三木里海岸などで行う分散型となっております。なお、この他に8月30日(火)から9月5日(月)までの防災週間の期間には、資料2にございますとおり、本日、東海地震想定情報受理伝達訓練を実施いたしましたほか、多くの市町村におきまして総合防災訓練が実施されるところであります。なお、県民の皆さんの防災意識の高揚のため報道機関の皆様におかれましては、これらの防災関係行事の実施につきまして、選挙の期間中大変ご多忙のことと存じますが、こちらの方の取材につきましても、格別のご協力をいただきますようお願いを申し上げたいと思います。以上です。
2.質疑応答
(質)まずインターネット公売の方なんですけども、これまでの公売とは違うところというのは、インターネットを使う点というところですか、目新しさというか。
(答)さっきちょっと申し上げましたけれども、1つはまず24時間、どこからでも入札に参加できるということがございますね。その結果、多数の入札者が確保できる、そのために高額かつ確実に売却されるんではないかということで、換価手段として非常に効果があるというようなことがございます。
(質)これまでの公売で、例えばなかなかうまく売却できなかったからこういうものを取り入れたとか、そういう背景というのはあるんですか。
(答)まだこのインターネット公売については、平成16年に東京都がまず実施をいたしまして、そして今年度から香川県、広島県、北海道、大阪府とやってきておりまして、三重県もこの17年度にやろうということで、6番目になるわけですね。まだ始まって間もないというところでありますけれども、東京都におきましても、その実績、効果は非常に顕著に見られるということで、三重県としても積極的にこれを活用していこうということになったわけです。
(質)10月下旬より実施ということですけども、随時ネット上に公開してオークションにかけて次々と売却していくというやり方になるんでしょうか。
(答:総務局)10月からといいますのも、ヤフーと契約いたしましたので、年間何回か動産の場合と、不動産の場合というのが繰り返して行われていきますので、そのヤフーのサイトを利用できる、10月がまず不動産関係で、12月が動産関係というふうになっておりますので、できましたら10月の不動産関係から取り組みたいと、こういうふうなところでヤフーと契約させていただいたところでございます。
(質)インターネットを使うことでの先進都道府県のマイナス面みたいなものというのは、どういうふうに把握されているんですか。弊害、だから実際に今の入札なら、例えば早朝から並ばないといけないとか、そういうのがあるけどもインターネットの場合、相手が不特定多数なんで仮に入札しても、実際お金を払わないとか、そういうのもあると思うんですけども、その辺の弊害みたいなものは。
(答:総務局)公売保証金を1割納めていただいた方が入札に参加できるというシステムになっておりますけれども、どうしても動産等の場合は最低保証金額が競り売り方式になり、安く設定されておりますので、公売保証金を納めて最高価で落札した方が、インターネットオークションは最後5秒ぐらいですごくヒートアップすると聞いておりますので、心理的に競争心理が働いて、落としてしまっていざ残りの9割の代金を納めていただくというときに、ちょっと高すぎたなということで、公売保証金流れになってしまった例が東京等でも見受けられたということで、公売保証金を2割に上げたりとかという措置をとっている都道府県もあるというふうには聞いてます。極端な弊害というのはないというふうに考えてます。
(質)三重県の場合、そういう例にならって、何かそういうセーフティー的なものというのは今回設けるんですか。
(答:総務局)いえ、特段には考えていません。三重県は債権中心に差押さえを行ってまいりましたので、これからは自動車税なんかでしたら、車そのものを引き上げてオークションにかけられるというようなことが大きなメリットになってくると思いますので、抑止効果も考えた上で大変効果が高いというふうに考えております。
(質)ネットオークションは安全なんですか。
(答)今の状況としては東京都等の実績を見ましても、非常に効果があるということであります。ただインターネットでのいろんなトラブルも聞いておりますから、そういうことには十分注意を払いながら運営していかなければいけないと、こういうふうに思います。
(質)物があるかどうかで決まってくると思うんですが、年間どれぐらいの落札金額を目標にしているんですか。
(答:総務局)まだ取り組みの最中ですので、特段の目標というのはございませんですけど、例えば車でしたら、数百台の車を登録上差押さえをして、実際には動産として引き上げという行為まで至って、引き上げて県の占有下に置かれた上でオークションにかけるという形になりますので、引き上げる行為までの間に9割以上の方が納めていただけるケースがございますので、最低でも10台以上は公売に、とは思ってます。他府県の例を見ましても数台、他に捜索等で、三重県では軽油の不正事案のときなんかには捜索による徴収もやりますけれども、一般的な徴収方法として捜索というのはやっておりませんが、今後は悪質なケースについては捜索等も取り入れて、当然そういう場合は動産の引き上げも考えておりますので、やっぱりそういうものは最終的に差押さえしてフィニッシュできるという手法としては非常に効果的であると、目標というよりもフィニッシュできる手法を取り入れることに効果はあるというふうに考えてます。
(質)捜索は警察の捜索と同じ字?
(答:総務局)はい、そうです。
(質)隠しているものを捜すという、あれですか。
(答:総務局)そうです。国税徴収法142条に基づく捜索です。これは強制調査ですので裁判所の令状等なしに滞納という事実をもって捜索ができます。
(質)県税の滞納額は今現在どのぐらいあるんですか、どういう傾向に最近あるんですか。
(答:総務局)16年度の決算見込みで60数億円、県税の滞納としては。
(質)60数億円。
(答:総務局)はい。16年度の決算見込みとして約60数億円。
(質)約60億円。
(答:総務局)60億円余り。
(質)最近どういう傾向に、ここ5、6年。
(答:総務局)ここ数年は滞納額は非常に増える傾向にありまして、それは原因として不正軽油事案、先ほど申し上げましたそういう事案が何件か発生しましたものですから、増える傾向にありましたけれども、それぞれの不正事案についても様々な滞納処分の結果、16年度決算見込みでは下がる傾向にあるというふうに考えてます。
(質)16年度の公売収益はいくらですか。
(答:総務局)配付させていただいているお手元の資料に三重県の公売実績が2ページ目のところにあると思いますけれども、実績はこのようになっております。
(質)合計は。
(答:総務局)動産は3件、不動産は2件ですけども、先週もう1件、5,100万円のが売れましたので。
(質)60数億円の滞納があって、数千万円の収入の繰り返しをやっているんですか、公売で。
(答:総務局)公売の実績としてですか。
(質)ええ。
(答:総務局)公売の実績そのものは年度によって動くと思いますけれども、16年度としては今資料提供させていただいている1千数百万円の不動産と動産です。今年は3億数千万円のリゾートホテル等も通常の公売手法で、インターネットとしては競売サイトの方に載せて、民間の競売サイトとか、県の公報等で載せて売却もやっております。今年としては5,100万円の山林も売却いたしましたし、常にそういうチャレンジはしているところです。
(質)滞納が60数億円もあるのに、差押さえ物件は少ないということなんですか、もしくは安いということなんですか。
(答:総務局)差押さえは債権を中心にやっておりますので、16年度実績では9,104件の差押さえをやっております。
(質)額にするとそれが60数億円とおっしゃるんですね。
(答:総務局)いえ、差押さえ件数としては9,104件。
(質)そのうちの千数百万円が売れたというんですね、公売で。
(答:総務局)はい。
(質)他は何で売れないんですか。
(答:総務局)60数億円のうち差押処分しているものが、そのうち全部を差押さえているわけではないものですから、したがいまして今言いましたように60数億円の内でというよりも、どちらかと言いますと元々賦課した税に対して、年度途中で動いてますから、16年度としては9,000件あまりを差押さえしたと。で、その中身はどちらかと言いますと、不動産よりも預金とか、貯金とか、それから生命保険とか、そういったものを中心にして差押さえしていたと。そこで60数億円まで滞納が減ってきたと、こういうことですので、残り60数億円が全部差押さえしているとか、そういうことではないということです。
(質)さっきおっしゃった5,100万円で売れたというのは、(配付資料の)「物件」の「土地(松阪)」というやつですか。
(答:総務局)そうです、松阪の分です。
(質)東京で4倍になっている物件とは何があったんですか、第1回の410万円のやつ。
(答:総務局)車とか、書画、骨董とか美術品とかそういう物です。
(質)三重県もそんなのを押さえているんですか。
(答:総務局)三重県の9,104件の差押さえの中の7,200件は預貯金等の債権なんです。債権中心にやってきて残り1,900件等が不動産が中心なんですけども、動産というのはあまり積極的に押さえてこなかったのです。フィニッシュできるシステムがありませんでしたので、今回これを入れることによって・・・。
(質)分かりました、やっと分かりました。
(質)では公売件数は大幅に増えそうなんですよね。
(答:総務局)そうですね。
(質)公売は不動産でいったら全部差し押さえ等の物件だけではないんですね。例えば県有地で持っているやつで公売かけているものもありますよね。幹部職員公舎とか。
(答:総務局)あれは税ではないですね。
(質)東京で4倍で売れる車があっても、三重県で差押さえる物件は鍬とか、トラクターとか安い物しか押さえられないんじゃないですか、そんなこともない?
(答:総務局)そういうこともないと思いますけども、やはり規模が東京都なんかとは違いますので、現に一つのケースで35台くらいの登録車を差押さえしましたけれども、いざ引き上げるという段になって、最終2台になって、それも引き上げの直前で納められて引き上げられなかったという事例がありますので、結果的には税としては完納になるのでいいんですけども、公売対象の引き上げ物件としては東京都ほどはないと思います。画廊の捜索とかそういうこともあんまり対象となるような事例もありませんので。
(質)現在の入札も併存して残していくんですか、もうこれ一本に切り替えていくんですか。既存入札も並行させるとか。
(答)当面はそうですね。このインターネット公売の状況を見た上で、効果としては非常に期待できるということでありますので、今後、より活用する方法というのはそういう実績を見ながら検討していこうと、こういうことになります。
(質)ゆくゆくはインターネット公売だけになるということも視野にありますか。
(答:総務局)可能性としてはありますけれども、公売で売れなかった場合は、公売と同じ値段でしたらその後随意契約で売却ということもできますが、そういうのはインターネットではできませんので、一つの手法としては主流になっていくとは思いますけども。
(質)メインにはなるんだろうと。
(答:総務局)はい。
(質)他の府県さんもヤフーを使ってらっしゃるんでしょうか。
(答)全部ヤフーですね。
(答:総務局)はい、そうです。
(質)他にはやっているところはないんですか、公売のシステムを持っているサイトは。
(答:総務局)ビッダーズというのを横浜市が入れてますけれども、アクセス数が少ない競売サイトですので、都道府県レベルではヤフーだけです。三重県は一出展者として出す形になりますので、ヤフーがまとめて年数回やるものの一出展者ですので、見られる方も全国の方が興味を持って見られるということで効果があるというふうに考えてます。
(質)自治体競売とかいうサイトがあるんですか。
(答:総務局)あります。
(質)使わなければ使わないに越したことないはないんですよね。
(答:総務局)わざわざ県が公売の期日を決めて、どうのこうのというのは、定期的に年数回あるものの出展者としてやれるという非常にシステムとしては確立されたものですので、他の都道府県も検討しているというのはたくさん聞いており、たくさん出展されると、より効果が高くなるのかなと思っております。
(質)続きまして平成17年度の総合防災訓練のことなんですけども、まずこういう防災訓練ですが、県内各地で毎年場所を変えてやっているというものなんですか。
(答)そうです。
(答:防災危機管理局)県内を持ち回りでずっとやらさせてもらってます。基本的には市を中心に周辺の町村を入れさせてもらって広域でやらさせてもらってます。で、必ず県内全域で参加していただくという考え方で行っております。
(質)今年は南の方で。
(答:防災危機管理局)尾鷲市中心に海山町さんと紀伊長島町さんという形でやらさせてもらいます。
(質)規模としては毎年これくらいの大がかりなものをやってらっしゃるんですか。
(答:防災危機管理局)そうですね、参加関係機関については毎年度同じ規模でやらさせてもらっています。ただ訓練参加の人員については、その地域地域の住民参加の数によって5,000名から今回は7,000名程度になろうかと思いますが、そういった形で人数は変わってきますけれども、最低でも5,000名以上の参加をいただいて訓練を実施しております。
(質)この7,000名のうちには住民の方以外も含めて合計7,000名と。
(答:防災危機管理局)これについては訓練参加機関の参加者、それと住民の方、合わせてということです。
(質)訓練の見どころのところに倒壊家屋とか、タンクローリーとかいう言葉が出てくるんですけども、実際に家とか用意して壊した家の中から人を救助するとか、タンクローリーを倒したりとか、何かしたところから救助するとか、そういうことをやられるんですか。
(答:防災危機管理局)倒壊家屋は用意しております。それからタンクローリーは横転までさせられませんので、衝突現場という状況の中で、いわゆるタンクの中身が漏洩したという形で訓練をさせていただきます。
(質)中身は実際に流すわけではないですよね。
(答:防災危機管理局)流れたという状況で。
(質)今回の訓練の目玉は何ですか。南海・東南海想定の地域という、それ以外で何かありますか。
(答:防災危機管理局)東南海地震を想定してやらさせてもらってます。
(質)だから目玉は何ですか、それ以外で。
(答:防災危機管理局)やはり津波と揺れです。特に津波対策ということで、尾鷲港で海上救出訓練をやらさせていただきます。それと目玉というとあれなんですが、海上自衛隊のホバークラフトが出ていただきまして、そこで揚陸訓練をやらさせていただきます。これは三木里でやらさせていただきます。
(質)毎年やっていてこれで何回目になるかということと、災害想定はいつも地震になるんだったかどうだったかということを。
(答:防災危機管理局)今回で25回目です。想定については基本的に地震でやってますが、訓練の内容については、いわゆる風水害の中身も含めてやらさせていただきます。想定は地震であります。
(質)自衛隊の大型ジェットとかも結構参加しているんでしたか。
(答:防災危機管理局)基本的にヘリは8機です。
(質)いや、この偵察用大型ジェットは初参加でもないですか。
(答:防災危機管理局)今回初参加ですね、偵察用ジェットについては。航空自衛隊のご協力をいただきまして、そういう形に。
(質)どこの所属なんですか。
(答:防災危機管理局)小牧基地です。
(質)今年新しく追加した訓練はありますか。
(答:防災危機管理局)基本的には例年の訓練なんですが、海上自衛隊のホバークラフトの揚陸訓練は昨年度やっておりませんので、一昨年の鳥羽ではやらさせてもらいましたけれども。それから例えば航空自衛隊がご協力いただくとか、そうした形でやらさせていただくということで、そうしたところがちょっと変わったところかなというところと、あと紀伊長島町、海山町それぞれで大がかりな町の訓練も併せて実施していただくということで、そこら辺も違った点かなと。
(質)津波訓練の中身は何ですか。
(答:防災危機管理局)津波は津波避難訓練と、それから津波で、非常に現実的なものなんですが、海に溺れているということを想定して、海からの救出訓練という形でやらさせてもらいます。
(質)津波避難というのは実際に住民を高台に連れていくとか、そういうものですか。
(答:防災危機管理局)そうです、尾鷲市に民間避難ビルというのが指定されておりまして、そこへ避難をするという訓練も実際にやらさせていただきます。
(質)これは県の指定なんですか、市の指定?
(答:防災危機管理局)市の指定です。県からはそういう民間避難ビルを逃げる所がなければ指定するようにというようなことで、いろんな形で話をさせてもらっておりまして、尾鷲市は指定しているということです。
(質)今何カ所ですか。
(答:防災危機管理局)県内全域で6カ所指定してありますけれども、尾鷲市は2カ所指定してあります。
(質)今回この防災週間一連でNTTも何かするんでしたか、例の「171」。
(答:防災危機管理局)それはそれぞれの市町村の中でも参画していただきますし、県の中にも参画していただきます。
(質)この4日には関係ないんですね。
(答:防災危機管理局)参画していただきます。
(質)その電話、システム。
(答:防災危機管理局)参画していただいて、動かしていただきます。
(質)やる?4日に、「171」を。
(答:防災危機管理局)1日には、やるとは思いますが。
(質)漂流者想定の救助訓練というのは実際に水の中に人がいて、その人を引き揚げるという訓練もされるということですか。
(答:防災危機管理局)海上救出訓練をやります。溺れているという想定で。
(質)選挙、公示されて選挙が始まったんですけども、今回の衆議院選挙について、知事として期待されることとか、何かありますでしょうか。
(答)非常に時代の激変期、課題が多い時であります。今回の突然の解散で、一月半ほど国政に空白ができるということで、大事な来年度予算へ向けての準備の時期でありますから、若干そこへの影響等も心配をいたしているところであります。それと、地方にとりましては今、地方分権が推進されようと、あるいは推進されなくてはならないという時で、三位一体(改革)等、大変重い課題を国ともやり合っているところでございます。そういう意味で、今後国政でこの地方分権、三位一体の改革を含めて、地方行政あるいは地域主権といったことをどう捉えていくのか、大変大きな責任を今、持っていると思います。そういう意味では今回、あまりにも郵政一辺倒で、そして本当に国民がいろいろと感じている多くの課題というものが中心の議論になっていないことを非常に残念に思いますし、私ども地方の立場からいきますと、この地方分権の話題等は、テレビ等で見ていてもほとんど触れられていない、触れているのを私も見ていないというような状況で、その点は大変残念に思います。
(質)この選挙、今活動中の中で、地方というものについてあまり語られていないという点が、今一番関心というか、不満ということでしょうか。
(答)さっき申し上げたとおりでありますけれども、マニフェストも各党出しておりますけれども、自民党のマニフェストでも、地方分権等についての触れ方には全く誠意あるいは意気込みというものを感じるような文章にはなっていないもので、言ってきたこととあまり変わらないことだなという感じを持っております。
(質)そのマニフェストについて、地方分権への触れ方、他の政党のマニフェストはどうですか。
(答)ちょっとまだきちっと全部見ていないので分かりませんけど、皆さんが報道している限りにおいては、地方分権のことは触れられていないですね。全文が掲載されている中に若干あるので、そういう意味で全く蚊帳の外に置かれているという感じがします。
(質)今回、同じ自治体の長として田中長野県知事が政党を立てられてましたけれども、それに関して知事はどのようにお考えになったり思われたりしてますか。
(答)田中さんの勝手だと思います。私には考えられないことであります。
(質)考えられないとは、どういうところですか。例えば、県の行政を見て、政党を見て、そういうことが無理なのか。同じように仕事をやっていくということが、両立させるというのが難しいとか、そういうようなことですか。
(答)多分、長野県でも三重県でも、県政の課題は多くあると思いますね。そういう中で、少なくとも県政に100%全力投球していくということが大事であり、またとても器用に国政のことと兼ねてできるというほど仕事は簡単なことではないと、こういうふうに思いますけれども。
(質)では野呂知事の目からご覧になって、田中知事はある意味、長野県政をないがしろにしている部分もあるというふうに感じてらっしゃる?
(答)それは長野県民の方が評価すればいいことだと思いますから、私は「田中さんの勝手」と申し上げたように、私自身は評価する必要はないと思ってます。
(質)今回、場合によっては三重県から総理が出るかもしれないという状況で、長い間国政に携わられた経験から踏まえて、その辺のことについて何か感想はございますか。
(答)三重県から多くの方々がこれまで出られておりましたし、今回また新たな挑戦の方も含めて、選挙を戦われております。私ども三重県という立場からいけば、郷土出身の議員の方が国政の場で大活躍をしていただくということは、県政の点からももちろん大変意義あること、有益なことでありますし、また私どもにとりましては、そのことは地元としての誇りにもつながることでございます。そういう意味では今回、選挙を戦われ、当選をされました皆さんには、今後一層ご活躍をいただきたいなと思います。自民党に相対する二大政党の一方の民主党の長である岡田氏につきましては、そういう意味での期待が大きいことは、言うまでもないことであります。大いに頑張っていただきたいと、心から期待しております。
(質)一部週刊誌であったんですけれども、三重4区で「県知事の支援を受け、」というような一文があったんですが、ちょっとそれを確認させていただきたいんですが。
(答)どの週刊誌の、どういう記事だったのか、私自身は見ておりません。ただ、私の立場というものを申し上げますと、私にとりましては、三重県政につきまして今後も最大の努力をしていきたいと、こう思っておりまして、そういう立場からこの選挙については私自身が関わるということは一切ありませんし、私としては選挙の状況を見守っているところでございます。
(質)特定の候補を支援するということはあり得ない、ということですか。
(答)そういうことはありません。
(質)先程の質問と重なるんですが、自民党と民主党のマニフェストについて、それぞれもう一度、地方分権に絞らなくて構わないので、感想を伺えますか。
(答)今回は、当初からマニフェストということを、それぞれの党が正面から受け止めようとしているという姿勢は強くなってきているのではないかなと、こういうふうに思います。が、しかし具体的に数値がきちっと示されているのかというと、あまり今までのいわゆる公約と言われた曖昧な表現とさほど変わらないのではないかな、というようなものも見受けられますし、あえて数字を入れた場合にも、その根拠が果たしてどうなのか、ということについてもちょっと分かりにくい面があります。それと、マニフェスト絶対論が言われておりますけれども、私はやはり限られた、選挙から選挙までの期間での約束でありますから、とても大事な、長期的な国の基幹になるような、そういう方向付けといったものはマニフェストでは表現しにくいものではないのかなと。したがって、そういうものではなくて、極めて短期的な、そういうところの課題を強調することになってしまうのではないかなと、こう思っておりまして、やはりあまり1つのことで過大に評価するのではなくて、こういった「はやり」のものというのは、やっぱり冷静に見ていく、クールに見ていく目が私たちには必要だと思いますね。
(質)1つのことを過大に評価すべきではない、というのは郵政民営化のことに関して、ということですね。
(答)私は、郵政について言えばいろいろ変えていかなければならないということは分かりますけれども、中身については国会でのご議論に任せなければいけませんが、私ども田舎からすれば、離島や山間、へき地、こういった所での郵便局の果たしてきた役割、そういった機能がただ失われていくというようなことにならないように、それは願っているところであります。
(質)知事は先程も、「あまりにも郵政一辺倒で、本当に国民が感じている多くの課題が中心になっていない」というようなことをおっしゃいましたけど、では知事がお感じになる、本当に国民が感じている課題というのは何が挙げられますか。
(答)まずやはり、生活を取り巻くいろんな不安だとか不満があると思いますけれども。その最たるものとして、1つとして挙げられるのは、年金もそうだというふうには思います。年金は、将来を約束しながら崩壊してきて、その約束も守れない、そして国民からは年金に対する信頼感はますますなくなって、無年金者、年金保険の未加入者がどんどん増えるというようなことが続いて、もう崩落寸前、あるいはもう崩落に等しいような状況が来ておりますね。そういう意味では、日本が国民皆保険・皆年金ということで、昭和30年代半ばに保険制度として導入してきたこの制度が、保険として死守してきたことが正しかったのかどうなのか。社会保険庁の、あの肥大化した、そして大変な膿が出てきた、ああいう状況を考えても、私は年金のあり方そのものも、保険制度がいいのか、あるいは税方式がいいのかというところも、政府や厚労省のこだわりをもう一度かなぐり捨てて、元から議論をしてもらわないと、この国民の年金に対する信頼感は戻っていかないのではないかなと、こういうふうに思います。これ程大きな課題があり、厚生大臣も経験した小泉さんでもあるわけですから、郵貯の決着だけで何かこの国が幸せになるような、そんな短絡的な訴え方というのは、私はやっぱりもっともっと課題が多いのではないかなと思いますね。それから、地方の立場からいきますと、今私たちの三重県は財政状況が大変厳しい、苦しい中にあるわけでございます。これも、実は戦後非常に経済的な発展をもたらしてきたけれども、その最後がバブルの崩壊も含めて、結局は国の財政運営の行き詰まりが、今日の巨大な負の遺産としての財政赤字をもたらしているわけでありますから、私ども地方がどれだけ頑張ろうと思っても、やはり国そのものの構造改革というものが進んでいかないと、これは解消できない状況にあります。で、そういった大変な大問題からも目をそらしてしまうという危険性さえありますから、やはり私は今回の選挙でもっともっと大事な課題を一緒に国民に示して、そしてこの国の将来構造をもっと分かるようにした上で選挙をするべきではないかなと、こういうふうに思います。
(質)郵政民営化は小泉構造改革の本丸だと言っている小泉発言に対しては、否定的なんですか。知事から見れば短絡的、そういう見方なんですか。
(答)私は、自民党の法律(案)どおり行くということでも、民主党の案でも、私どもが心配している田舎の方の、あるいは離島の方の、そういった対策さえきちっとやってもらったら、どちらでもいいという感じですね。
(質)今、知事は、国の構造改革が進まない、進む必要があるとおっしゃいましたけど、郵政民営化が構造改革の本丸というふうに小泉さんは言ってるんですけども、ということに関しては、知事は否定的なんですか。つまり、郵政民営化が構造改革の本丸ではないというお考えなんですか。
(答)私も自民党におりましたから、自民党という歴史的あるいはこれまでの沿革を考えると、小泉さんの言いたい気持ちは分からなくはないというところもあります。しかし、それは自民党という立場の枠の中から出てくる発想であって、やっぱり国全体から考えたら、郵政なんていうのはごく大したことはない1つの課題程度にしか考えられないですね。
(質)ちなみに知事は投票に行かれますか。
(答)もちろん行きます。
(質)当日?
(答)私の場合には多分、不在者投票で行くことになると思いますね。当日また、どういうことが県政上発生するか分からないとか、いろんなことを考えますと、私の場合にはできるだけ事前に、間違いなく行ける時に行っておいた方がいいと思ってます。
(質)知事は今、住民票は津市でしたか。
(答)松阪市です。
(質)先程、国の財政の話が出ましたので、その関連でお聞きしたいんですが。概算要求が提示されましたけども、地方交付税は増えてます。ただこれから財務省は、地方交付税の方を切り崩していくということになると思うんですが、来年度の県の予算編成はどういう方針で臨まれますか。
(答)国のことについては、今度の選挙の結果がきちっと出て、どういう内閣で今後国政を担っていくのか、こういうことを見極めないといけませんし、その後の議論も十分見ていかないといけません。県としては、厳しさには変わりないだろうということを思っております。まず、税収やそういうものは、ここのところ三重県も若干好転してきておりますけれども、しかし一方では、国の交付税等については逆にそれで調整されますし、また国の今の状況を見ますと、より厳しいものが結果としては出てくる可能性もあるのではないかなと、こう思っております。ただ、政策課題も実はどんどん山積もいたしておりますし、旧来から財政状況が悪いために先送りしてきているような課題もございます。そういう意味では大変厳しい、苦しい状況の中にありますけれども、しかし「県民しあわせプラン」の中でお示しをしている重点プログラムも、来年は3年目ということになります。この3年間で、第1次の戦略計画、実施計画についての1つの期間が終わるわけでありますから、ここで、その成果も県民に分かるように、やっぱりしっかり出していかなければいけないと、こういうふうにも思っております。したがって、なかなか大変な作業になると思いますけれども、しっかり取り組んでいきたいと、こう思っております。
(質)人事院勧告で、国家公務員の給与をカットしていくようなことが提示されていますけども、地方公務員の給与はどうでしょうか。
(答)県におきましては、県の人事委員会の方でご議論いただくということでありますので、そういった人事委員会のご意見を十分に伺っていかなければなりません。そして今、国のそういった動きの中で、各地方公共団体、特に都道府県においても、どう対応するのかということで、今後いろいろ取り組みが始まってこようかと思います。私どもも、この東海地域等でのいろんな連絡協議も行われるということでありますので、そういったことも十分に見ながら、今後の対応を決めていきたいと、こういうふうに思います。
(質)続きまして、中部国際空港のアクセス問題ですけれども、今後の予定などについて。
(答)先般、津市、松阪市両市の市長さんと私とで、協議をいたしまして、その後、需要予測等について追加の調査をお願いしてきたところでございます。今、私どもとしては、一応、津市、松阪市両市長の日程調整が付けば、私と調整した上でできるだけ早く次の三者協議を開催いたしたいと、こう思っております。今の段階でまだ決定しておりませんけれど、決まりしだい皆様にもお知らせをさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
(質)その件についてなんですけど、トーマツコンサルティングに依頼していた調査結果というのは、もう知事なり松阪、津市長のもとには届いていると聞いているんですけど、それをご覧になった今の感想というのはいかがですか。
(答)近いうちに行います三者会談におきまして、十分に意見交換をした上で、皆様に見解について申し上げたいと、こういうふうに思います。
(質)前回の定例会見でしたか、三者協議の後、一応、8月中旬目処というふうにおっしゃってて、実際2週間くらいずれてるんですけど、その原因というのは何ですか。その調査会社の結果がまとまらなかったとか、あるいは三者のスケジュールがなかなか付かないとか、ここまでずれてる原因というのは何ですか。
(答)需要予測としては、いろんな数字として出てくるわけであります。その数字をどういうふうに受け止め、どういうふうに判断していくかというようなことも考えますと、やはりそれぞれが数字について研究をされていると、こういうふうに思います。したがってそこらも慌てるのではなくて、時間が必要なものについては、やっぱり取っていただいたらいいと思ってますが、今こうやって遅れていることについては、日程調整そのものの調整がまだきちっと付かないということが最大のポイントですね。
(質)見通しは9月?今月に入りましたけれど。
(答)なるべく早く三者協議を行いたいと思いますが、今後のことについては、その三者協議で十分話し合いをして決めてまいりたいと、こういうふうに思います。
(質)次回三者協議の予定は、なるべく早くですけど、一応今月内の予定ですか、どんなにずれても。
(答)そんな先は想定していません。
(質)宮城の浅野知事ですけれども、長期政権の座にいると腐敗するという言葉をおっしゃられて、知事を辞められるわけですけれども、これについて知事としてはどのように?
(答)一般論として、私も首長という特に権限を大きく持った立場の者が、長らくその場に居すぎるということについては問題があるのではないかなと、こういうふうに思っております。ただ個々にいろんなケースもありましょうから、一概に個々のケースについて申し上げる立場にはありませんけれども、浅野さんのご決定はそういう意味では、私は大変結構なご判断なのではないかなと、こういうふうに思ってます。
(質)夏休みはどういうふうに過ごされましたか。
(答)夏休みは、22日から26日まで、しかしその前の日曜日、それから後の土・日がありましたので、通しでいくと8日間になりました。ただちょうど台風が来ておりまして雨の日が多かったんですが、ほとんどを松阪市、飯高町宮前の生家の方で過ごしておりましたが、2泊だけ長野の方へ出かけたんですが、台風で雨ばかりでありましたので、早々に帰ってまいりました。久しぶりに連続して休めたんですが、結構、昼間から寝てました。
(質)長野は、これ観光か何かか、別荘地か何かですか。
(答)私の姉の持っている会社の別荘がありますので、それでそこへ行っておりました。
(質)車を運転されて?
(答)もちろんそうです。休みもおおよそ1,000キロ以上車で走っております。
(質)飯高町のご自宅で何か特に読まれた本とかありますか。今回、読書はしてない?
(答)雑誌みたいなものは別として、最近読んで、ちょっと読みさがしのやつがあったんですが、高橋伸夫さんという方が書かれた、東大の教授をやってますけど、この方の「虚妄の成果主義」という本がございます。いわゆる日本型経営というものが否定されて欧米型、特にアメリカナイズした経営に走っていった中で、トヨタ方式等の再評価やあるいは日本型経営についての再評価が今、欧米からされてきて、ようやくそれにまた気が付き始めた中で、日本型経営についてのなかなか面白い、昔からの自論を展開しておられる方であります。そう言う意味では改革ばやりの世の中で、実は改革が私たちの生活の質の向上につながっているのかどうなのか、疑問を投げかける一冊でありました。
(質)長野に行かれたのはいつでしょう。
(答)確か22日に行って24日に帰ってきました。台風がまともに来ると25日に三重に来るかも分からないし、それからまともに来ると交通がストップになるかも知れないというふうなことで24日に帰ってきました。
(質)訓練の話以外に、地震対策のアクションプログラムなんですけれども、これを推進してきて何年か経ちますけれど、その進捗状況と今後進めるにあたっての課題みたいなものがありましたら。
(答)アクションプログラムにつきましては、平成15年3月に出来まして、15年から実質的にいろんな取り組みについてやってきているところであります。私が知事になりまして、15年度あるいは16年度以降は「県民しあわせプラン」の重点プログラムの位置付けの中でいろいろやっているところであります。全般的にいろいろな面で成果は出てきていると思っておりますけれども、一方では、例えば耐震診断等の耐震住宅対策、あるいは公共の避難所等の耐震化対策、こういったものについて、これは市町村と一体となってやろうとしているところでありますが、市町村も合併等で課題の多い時ではありますけれども、若干、期待したほど進んでいない部分もございます。今年はそういったことについて、十分検証しながら、このアクションプログラムについても今後、見直しをしていかなければならないと、こういうふうに思っているところでございます。これから検討していきますので、また、その辺りについては皆さんにお知らせできる段階でまとめてお知らせさせていただきたいなと、こういうふうに思います。
(質)今年度中にそのプランの見直しを行うということですか。
(答:防災危機管理局)現在のアクションプログラムは、14,15,16,17,18年度ときていますので、そこまでは現アクションプログラムですね。ですから本年度から検討に入りまして、実質的な見直しは18年度作業になるかと思います。特に成果未達成の物は、アクションプログラムから行けば、まだ、着手しなければならない項目としてたくさんありますが、今、精査しておりますので、また分かりましたら公表させていただきます。
(質)これから水害の季節で、去年は宮川村で9月の末ですけど水害もあったので、水害対策で何か今年度、特に取り組まれたり、あるいは計画で見直すような部分はあるんでしょうか。
(答:防災危機管理局)昨年度の関係では、避難勧告とか避難指示等、やはり避難等の市町村長さんの判断というのが非常に大きな役割を果たすということで、今年、三重県でもいろんな水位データとか気象データ、土砂災害情報等いろいろございますので、昨日31日に市町村の担当課長さ・ノ集まっていただきまして、市町村長さんの判断材料となる、いわゆる情報の徹底について、昨日やらせていただきました。それに基づいて県から、県以外もありますけれども、そういった気象情報いわゆる災害情報、そうしたデータを市町村長さんが全て見て的確な判断をしていただくということで、とにかく台風シーズンでございますのでそういうことをさせていただきました。それからあと体制上のこともありますけれど、そういったことも含めて検討中のものもございますけれども、できるだけ速やかに対応して行きたいと思っております。
( 以 上 )