知事会見
平成16年11月25日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目
- なし
2.質疑応答
(質)先ほど津地区の10市町村の合併申請がありましたけれども、まずはどういうご感想お持ちですか。
(答)津地区の場合には2市8町村ということで10の市町村が合併するということで、全国的にも非常に市町村数が多い数の合併事例となっているわけであります。これまでいろいろな経緯がございましただけに、私もその成り行き大変心配もしながら見ておりました。しかし最終的に一つも欠けない状況の中で合併ということに手続きを進められてきたということは敬意を表したいと、このように思います。18年1月1日発足ということでございますから、私ども県の方もしっかり対応させていただくと同時に、関係市町村におかれても、住民の皆さんと一体となって新市のスタートに向けて怠りなくご準備していただきたいなと、こう思っております。
(質)美杉村の太郎生地区の住民の方が、名張市が近いから名張市になんとかというご意見が続いているんですけれども、その辺に関してはいかがですか。
(答)これは美杉村という中での議論でありますから、これまでも美杉村の方で関係の皆さんそれぞれがお取り組みいただいてきていることだというふうに承知をしております。美杉村の関係者でこれは決められることだと、こういうふうに思っております。
(質)ダメもとですけど、この津の10市町村の合併で、今ちょっと議題になっている県民局再編等の問題というのはある程度加速するなり何らかの影響というのはありますか。
(答)まずは津地方県民局については、新「松阪市」に合併いたします三雲町それから嬉野町、それ以外は新「津市」になるということで、いずれにしましても県民局管内としてはどちらかの市になるということで、いわば県民局そのものの管内がひとまとまりになっていくということになります。このことは極めて三重県の県民局の現状から見たときに特異的な点だと、こういうふうに思います。当然そのことを十分念頭に置きながら今後の県民局について議論をしていかなければならないというふうに思います。私ども県の方でお示しをしております考え方についても、それを想定しておりましたけれども、その想定の中でようやく決まってきたということでございますから、今後お示しをしております県民局再編に向けての考え方、十分に議会でご議論いただき、また県民の皆さんからもご意見をいただき、来年9月の、平成17年第3回定例会に成案としてお示しできるようにしていきたいと、こう考えています。
(質)特異的になるというのは、三雲町、嬉野町が津地方県民局管内から松阪に移行するからということが特異的とおっしゃったんですか。
(答)いや、いずれもどちらかの市に属していくということでありますから、新「松阪市」は大方がもちろんこれまでの松阪地方県民局ということでありますね。したがって、津管内というのは嬉野町、三雲町は新「津市」に入らないとは言え、一つのまとまりの市になるということが特異的です。
(質)一つのまとまりの市に。
(答)新「津市」ですね、三雲町、嬉野町は松阪市ではありますけれどもね。そういう意味です。
(質)県民局ですけれども、4か5というのは、この数字は動かせない数字でしょうか。
(答)いろんなご提示をする案を決めてまいりますまでに、議論を積み重ねてまいりました。既に4ないし5というような言い方もしてきたところでありますが、そういう中で2つの案としてああいった形でお示しをしたということであります。今の状況でそれが、状況が変わるというものではないというふうに思っています。
(質)前回の全員協議会で提示されたときに、2案だけではなくて、3案も4案も5案も出してほしいというご意見があったんですが、そのことについて改めて。
(答)これはそれぞれ、地域地域で考えたときにご意見は当然あるのかなということを予想していたところであります。しかし県全体でどうあるべきかということ、その中で考えていくべきだと、こういうふうに思っております。したがいまして、県としてはお示しをする4ないし5として、こういった考え方が一番ベストではないかということで、お示しをしているところでございます。しかし、いろいろと議会でのご議論もいただきたい、また、県民の皆さんにもご意見もいただきたいということを申し上げているわけでございますから、十分にいろんなご意見も出していただく中で成案に向けてまとめていきたいなと、こう思ってます。
(質)5県民局案の時点で津と松阪の統合があるんですけど、その正当性はどんなところでしょう。
(答)県民局の資料で前にもお示しをしているかと、こう思います。それぞれの組み合わせについての考え方もその中で記載をさせていただいているところでございます。
(質)議員の中に、松阪は紀州藩で、津は藤堂藩だから相容れないものがあるから津と松阪は一緒というのは奇異に感じるというご意見がありました。松阪を地盤とされた知事としてもその辺の共感はあるやなしや分かりませんが、改めて、津と松阪は4県民局、5県民局どちらにしても津と松阪は統合なんですけれども、そこを知事の言葉で。
(答)私は松阪市長も務めておりまして、今回の新「松阪市」の合併についても前段階の状況の中では、松阪市長という立場で取り組んだ立場でございます。当時私としては、松阪地域の、松阪市の近辺だけの合併というよりも、私としては、非常にインパクトのある松阪、津の合併というようなことも一つの大きなあり方ではないかなと、こう思っておりました。残念ながらその話をしようと思っておりました直前に、津市の方から松阪市との合併の考え方はあり得ないというような話が出てまいりまして、したがって、私としてはそれを前提とした話を申し上げるという機会を持てない状況の判断の中で、その後、松阪周辺の地域との合併ということに話を進めていったということが経緯としてございます。したがって、私は非常に地理的にも隣り合わせの近いところであります中核都市という考え方でも津、松阪地区という視点を見ております。港も津松阪港といったような、そういった考え方で、もう旧来からこの津市、松阪市を含むこの地域というのは、かなりいろんな面での一体性というものも持っているのではないかなと、こういうふうに考えますから、今回の県民局のこの考え方もそういう意味では別段奇異なものではないというふうに思っております。
(質)言葉尻で、紀州藩と藤堂藩の統合というところのご反論は。
(答)今、両地域に住んでおられる方が、歴史的な記録としてはそれは藤堂藩と紀州藩というような認識の違いはあっても、実際の生活の中で、その違いは相容れない地域性なんだというふうに認識しているということではないと、こういうふうに思います。
(質)加えて、4案ではここに伊賀が入るわけですけれども、4案で伊賀を入れるか、5県民局案で伊賀を離すかの議論ですけれども、そこの思案はどんなような。
(答)伊賀というのは昔の江戸時代の藩で言えば藤堂藩の中にあるわけですね。長い歴史から言えば伊賀の国は伊勢の国の一部であった、これもう太古の時代でありますが、その後伊賀の国ということで、別の名称で言われるようになったというようなこと。その後江戸時代以降は同じ藩の中にあったということでもありますね。今は交通の便も非常によくなってまいりました。そういう意味では一体的にもいける地域ではないか、しかも伊賀地域につきましては新「伊賀市」が発足いたしましたので、名張市と伊賀市という2つの市になるということでございます。こういったことを考えていきますと、今回の合併ということについては、いろんな側面から考えていかなければなりせんけれども、例えば市町村数だとか、そういったことも一つの指標になろうかなと、こう思います。比較的この案でいきますと、管内市町村数のバランスが、他の案に比べますとバランスがとれているのではないかなと。
(質)それは4のときですか。
(答)4のときです。
(質)最終的に4と5、伊賀を引っ付ける引っ付けないの配慮は何があったんですか。引っ付けてもいいという案と、離すべきだという案の、そこの配慮は。
(答)一つの案だけでご提示を申し上げるというよりも、むしろ複数案をご提示して、そして議論を多く盛んにやってもらうということ、これは県民局のあり方そのものは県民の皆さんにやはり十分にご理解いただき、ご認識いただいていくという手続きの中で非常に大事ではないかなと、こう考えました。したがいまして、4ないし5といった案をお示しするというので、他のいろんな考え方あるかもしれませんがベストであると、こういうふうに考えたわけでございます。
(質)県の考え方としては4が一番望ましいと思われているわけですか。
(答)両案併記で出したところでありまして、その優劣を付けているということではありません。
(質)では4と5に悩んだということは、やはり伊賀地方の県民の方の理解が及ばないかも分からないから5県民局案にしたと。
(答)4であればA案かなと、5であればB案なのかなと、こういうふうな判断です。
(質)要は最終的に数が問題ではなくて、多分次の議論としては場所が問題になると思うんですけれども、枠で例えば今2つ県民局が地域によってあるところが1というふうに指定されたらどちらになるかということでかなり今後混迷するのではないかと思うんですけれども、その中で津自身が、例えば松阪と一緒になるにしても、本庁というか県庁が津にはあるわけですから、逆に財政的な面とか、いろんな経費削減とかそういうことを考えるならば、本来津、松阪の合併県民局というのはなくして、本庁がそこは持つというふうな考え方もあったと思うんですけれども、それはご議論にはならなかったんですか、その数を示される時に。
(答)そこまでは詰めて考えておりません。むしろそういったことについても今後いろんなご意見を聞きながら成案を得ていきたいと思っておりますので、その中でいろいろ考えていくことだろうと、こう思っております。
(質)議会の意見聞いて、なおかつ県民アンケートなりなんなりそれをあれして、最終的に知事の方で判断されるということでよろしいんですね。
(答)いろんなご意見をいただいて、県庁内でそれを受けとめて成案としてまとめていきたいということです。最終的には私自身もそういう中で決めて、決断していくということだろうと思いますね。
(質)4にせよ5にせよ、いずれにせよ再編される県民局というのは、あくまで支庁舎として残すというスタンスですよね。具体的に県民局長のポストが減るという以外に、支庁舎として、あくまで残すという中で、県民局を統合するメリット、デメリットという具体的な中身がいまいち見えにくい、数を4か5にするという表面的な議論に県議会等でも終始しているような気がしてですね、その具体的な中身、メリット、デメリットについてはどうお考えですか。
(答)この資料にはそういった考え方については、きちっと申し述べているつもりでございます。まず背景としては、非常に県民ニーズが多様化していることだとか、それから市町村合併が進展しているとか、厳しい財政事情であるとか、そういう中で地域に応じた簡素で効率的、効果的な組織というのを確立させていくということだということ、まず申し述べていますね。そして具体的には、やはり市町村合併が進んでいく中で、今この国の形というのは、国からのコントロールの強かったこれまでの時代から、むしろ住民個人個人に根ざした地域というものに実は重点が変わっていこうとしている、その中で補完性の原理になるというようなことも言われているわけでございます。そうなりますと住民の取り巻いているすぐ一番近い市町村の機能というのが極めて重視をされていくわけであります。市町村合併はそういう中で、それぞれの市町村の行政能力を高めていく、あるいは簡素、効率的、効果的な市町村組織を目指していくということにあるわけであります。したがって、これから地域における行政の役割としては、市町村の役割が一層増大して、そして県、あるいは県民局というものについては、その市町村の行っていきます行政を補完し、そして支援をしていくという役割に今後だんだん変わっていかなければならないということがあるわけでございます。したがって、これはその数の問題だとか、そういうことでなくて、やはりこの国の今、あり方が変わっていこうとしている、あるいは変えていかなければならないという地方分権の流れの中で、市町村のあり方、あるいはその上で県のあり方というものを考えていくということがベースにあると、こういうふうに思っております。したがって、県民局のそういう意味での今後のあり方としては、例えば県民局も県民サービスをやってますから、その窓口業務であるとか、それから県議会のご質問にも出てましたように、防災危機管理というような面では、これはやはり今後もそれぞれの地域で、現場における災害等についての支援体制であるとか、あるいは県有施設についての管理をしていかなければならないというようなそういう役割からいけば、県民局での防災機能というのは非常に重要なことでございますから、そういう意味ではこれらについては、県民局が一緒になったとしても、それぞれの県民局の本庁舎、それから支庁舎それぞれでもこの機能をきちっと果たしていくというようなことは大事だと、こう思っております。しかし一方で非常に広域化する市町村そのものに対して、県民局も広域化していくということでありますから、県民局長中心とします県民局のマネジメント、こういったものも変わってくるということが必要でございます。そういう意味では今後県民局の総合行政といった面の強化であるとか、それから例えば総合企画的なそういった業務は本庁舎の方に集約するとか、そういった形のものが必要になってくると思いますね。それから一部二重行政があるというようなこと言われてきましたから、したがってその二重行政をなるべく廃止していく、ワンストップサービスと言っておりますが、ワンストップサービスとしては、県庁舎内で県民局に行かなければいけない、本庁にも来なければいけないというのを、これはやっぱりどちらかで仕事が、要件が済むようにしていくということも必要になってきます。それから権限移譲しますと、今まで県の窓口でやっていたものが、市に変わるというようなことが出てきたときに、そういったことについてうまく連携を取ってやっていくというようなことも必要になってきますね。ですから数ということではなくて、やはりこれからの地域のあり方というようなことも前提に置きながら、そして着実に市町村合併だとか、そういうことで今その中身も変わってきているわけですから、それに対応していかなければならないということだと思います。
(質)将来的には全廃させるべきだと。
(答)これについては、取りあえず私ども18年4月に向けて、今回の見直し案というものは出させていただいておりますけれども、今度18年以降につきましても、合併新法というのが出されているところでありますから、この合併のこと一つ捉えましても、県民局のあり方、あるいは県のあり方等については、18年4月まで行った県民局の再編について、あるいは見直し内容について検証を行っていって、そしてこの合併新法でも平成22年4月が期限になってますから、それを目途に引き続き、やはり効率的で、効果的なそういった組織をつくっていくように引き続き検討し、見直しをしていかなければならないと、こう思ってます。
(質)議会の方の抵抗勢力と呼ばれようとも断固反対していくというご意見もあったので、紀北、紀南の統合についても一言。
(答)それぞれ県議会の皆さん選挙区を持っておられるわけであります。やはり限りないそれぞれの地域への愛着があろうかなと、こう思います。しかし私としては「みえけん愛」と申し上げておりますように、地域に対する思いと、それから三重県全体に対する思い「みえけん愛」をバランスを取りながら、どうかご議論を願いたいなと、こう思っています。
(質)将来的には全廃するとおっしゃった方がそういう地域エゴというのは押さえやすいのではないかと思うんですけども。
(答)今の県民局の機能としては、これまで一定の評価をずっと得てきました。今後もそういう意味で県民局の機能しなければならないものというのはあるわけでありますから、そういう意味では私どもとしては、その県民局のあり方の質が、あるいは中身が少しずつ変化している、そのことにどう対応していくかということだと、こう思っております。
(質)災害の保安林についてなんですけれど、議会で県の方では家や道路に近い所は保安林として保護していくというふうなことおっしゃってましたけれど、それを災害予防林としてランクアップしたらどうかという意見も出されましたが、それについてはどういうふうにお考えですか。
(答)今回三重県でいろいろ発生しました災害についても、あるいはまたこれまでの災害の時にもよく言われてまいりましたし、全国のいろいろな災害でもよくご指摘を受けるところでありますけれども、やはり今森林の防災的な機能ということが非常に低くなってきているんではないかと、こういうふうなご指摘があります。私も今回の宮川村の実態を見てまいりましたけれども、そのご指摘の面は確かにあるのではないかなと、そんな気もいたしております。昨日そういう観点から、福山議員からああいったご質問、ご意見も出てきたことだと、こう思ってます。三重県は県土全体の65%が森林でございますから、森林の占める割合は非常に高いわけでございます。さらに94%が森林の中で民有林ということになっており、その民有林の26%が保安林になっております。やはり森林で防災面の機能というものを高めていくというためには、治山事業であるとか、あるいは造林、間伐事業、こういったことを進めていくということが非常に大事だということは思っております。ただそいう意味からいきますと、今まで保安林の制度があるわけでございます。国で新たな制度の考え方が出るならともかくも、保安林という形においては、例えば固定資産税における優遇措置であるとか、あるいは相続税など税制上の優遇措置等もございます。したがって、当面は災害予防林という制度は国もないわけでございますし、優遇制度を受けられる保安林というような考え方に従って進めていくということが大事ではないかと思います。保安林につきましても一定の制限がございます。それから森林所有者の同意を必要とするということでありますが、一方でさっき申し上げたような優遇制度、メリットもあるわけでございます。そして家のすぐ裏の山とか、現実にいろんな所での状況を見ますと、その所有権が非常に入りくんでいるとか、難しい面もいろいろとあるようでございますけれども、肝心な事はやはりその地域地域におけます住民の皆さんがこういった森林の持つ防災機能という観点から、どのように取り組んでいったらいいのかというようなことを考えて、関係市町村と十分連携を取っていただくということが大事なのではないかなと、こう思っておりまして、県としてはぜひその保安林制度を災害予防林という言葉を使うならば、その災害予防林を強化していくという面でさらに活用できれば、そういったものを進めていくことができればと、こういうふうに思ってます。
(質)施策422番「森林・農地・海洋の持つ公益的機能の増進」には3年間でいくらぐらいの予算が入っているんでしょうか。
(答:環境森林部)林野公共事業の関係でございますけれども、全部で申し上げますと、14年度が92億8,200万円でございます。15年度が77億9,900万円、それから16年度につきましては79億4,000万円となっております。
(質)この422番全体ですね。
(答:環境森林部)はい。
(質)で、今ある整備面積が12,900haを60,000haに増やすというやつですね、このお金で。
(答:環境森林部)はい、その中には林道事業等も含まれておりますので、いわゆる基盤整備も含んでおります。それから今申し上げましたのは林野公共全体でございますので、治山事業も含んでおりますし、いわゆる森林整備の造林事業も含んでおります。
(質)宮川村も当初から計画があったんですね。
(答:環境森林部)はい、宮川村もございます。
(質)問題になっている地滑り地域とか、その辺の間伐なんかも少しは入っているわけですか、宮川村は。
(答:環境森林部)宮川村に対してはかなりの額が予算は入っております。
(質)入れてもあの台風でああいう状態になったと。
(答:環境森林部)そうでございます。
(質)知事、当初から間伐に関して知事はあんまり積極的な発言がないように聞こえるんですが、間伐推進。
(答)いや、そんなことはないですよ。
(質)ですか。
(答)ええ、間伐については例えば宮川村の実態を見ましても、たいぶ崩れた所というのは20年生から30年生くらいのような、人家の裏でもそういうのが多いですね。やはり適切な間伐等の森林管理が行われていないと、下草さえなかなか生えてこないというような状況ですね。したがって、今広葉樹林化するとか、いろんな考えありますけれども、少なくても、もう今植林されている所については、これはやはり間伐等適切な森林管理をやっていくことが最も重要なことだと、こういうふうに思います。
(質)ただし、この3年間の計画もあるし、台風被害を見て、これを急遽増額するとか、さらにアップするとかいうお考えはないわけですか、間伐推進事業を。
(答)とにかく財政面では三位一体も含めて、一体どんなものになるのか、来年度予算も本当にどうやって考えられるのか、明日ぐらい正式に出てくるんでしょうけども、実際財政面でどこの都道府県もそうだと思いますけれども、見通しが今暗雲立ちこめたまま効かないということですね。しかし私としては「県民しあわせプラン」の中で特に重点プログラムについてはしっかりこれをやっていくということが大事でありますし、それから安全・安心ということをキーワードにしておりますから、そういう面で選択と集中ということが極めて大事でありますけれども、そういう中でも大きな課題だと、重要視しなければならない問題だというふうに認識はしてます。
(質)ご自身の山は間伐されてますか。
(答)私の所の山についてはあんまりよく分からないですけども、地上権だとか、しかも共有で地上権を持っているとか、それから個人で所有している山についても、親戚の方にお願いして適当にはやっているんですが、十分やれているかどうかということについてはちょっと私今判断できません。
(質)それが災害を招くんじゃないでしょうか、住民の意識が大事だと。
(答)ですからできるだけそういうことができる機会には対応しているところです。
(質)三位一体改革なんですけれど、義務教育費について、知事の最近のお考えをお尋ねしたいんですけど。
(答)義務教育については、知事会の議論の中でも当初から主張してまいりましたように、私は国が責任を持つべきだというふうに考えておりまして、義務教育そのもののあり方、あるいは教育そのもののあり方については国が責任を持つべきであると。したがって責任を持つべきである以上は、そのお金についても、財源についても国が責任を持っていくべきだと、こう思ってます。しかし、イギリスのように全額などというようなことは、なかなか難しいでありましょう。現在2分の1、2分の1ですから、それは一つの考え方ではないかなと、こう思ってます。アメリカでも、合衆国でありますから、州という形になっておりますが、州とそれから地方が分けて持っているというようなことですね。私は今もそのように思っております。
(質)ですが、それで国との税源移譲、財源移譲の関わりとの中でどのようなことを求めていかれますか。
(答)私は今回の知事会の出した案、これはもうあれだけ大議論をやって中身については、小異を捨て大同に付くという、小異と言えるような話では教育の問題についてはならないと、いうこともございまして、私としては案の採決の時には反対をいたしました。しかし、私自身は分権は必要であるし、その基本となる三位一体の改革ということも、大事であるということは十分認識いたしているところであります。したがいまして、ボールを投げ返した以上は、それによる成果を得なければならないと、こういうふうに思っているところであります。今、政府与党の方でも最後の詰めに入っているようでございますが、まだまだ伝え聞いているところでも、中身が十分はっきりしない点がございます。私はもちろん中央からボールを投げたんだから、だから100点満点の回答といっても、これはもう現実的に無理な話だというふうには思っております。ただその点数の付け方も、個々の人によって、評価の仕方が違うかもしれませんね。しかし、今回の三位一体については、大きく言えば三つの柱がありますけれども、補助金削減とそれから税源移譲、それに地方交付税、それから知事会としては、それに付け加えていろいろと国の関与、規制の廃止、見直し等についても求めております。それから、全体像を示せということも要請しているわけでございます。したがって、出てくる答えを、これはいくつかの項目に振り分けてどういうふうに点数付けるのかなということですが、財務大臣の7.8兆円交付税削減などというような、ああいった発言の経緯がございました。したがって、実は交付税の総額確保ということは、極めて今、比重の大きなものではないかなと、こう思ってます。私はこの交付税の総額確保について、配分点を100点とするならば、40点はここでしっかり見ておかなければいけないだろうなと思います。全体像を示せということを10点、それから国の関与・規制を廃止というようなことを10点ぐらいに置いて、残る二つということになりますと、これはもう今これだけでも40点しかありませんから、20点、20点ということになりますかね。だから補助金廃止の20点ということについて、どう点数を付けたいのか。それから税源移譲について20点満点でどれだけ点数付けられるのか。それから、それに地方交付税、これは総額確保であるとか、それから当然、税の偏在、地域の偏在が起こってまいりますから、そういう意味で財政調整だとか、財源確保だとか、そういったこともありますが、かなり大きな項目として、地方交付税の総額といったことがあるのかなと思います。これがきちっと確保されなかったら、全くもう我々三重県でも、予算編成なんてできない状態。ご承知のとおり、まずは交付税総額7.8兆円減らすとなると、三重県の影響額は県だけでも、17年度に500億円、18年度にさらに500億円、1,000億円ということになってきますね。市町村でもかなりの額、約2百数十億円から300億円ぐらい三重県でも影響があります。それから一方、昨日議会でも申し上げたんでありますけれども、補助金等、改革の補助金等合わせますと537億円、三重県では県市町村分合わせてあるわけでございますけれども、税源移譲で10%比例税率化による金額というのは、県と市町村合わせて445億円になるわけですから、その差というものについては、財源保証機能であるとか財源調整機能、こういったこともきちっとやっていかなくてはならない課題であります。したがって、最大問題はやっぱり交付税の問題になるのかと、こう思います。したがって、総合点数如何、あるいは地方交付税そのもののあり方については、我々としては結果次第では相当の覚悟をしなければいけないだろうと、こう思ってます。
(質)無駄だというご意見に対してはどうですか。
(答)無駄だというご意見という話でありますけれども、例えば財務省が出しました、谷垣大臣の提示してきた中で、無駄だという事例としていくつか挙げているんですね。その中には、例えば交通事故が多い、子供達の死亡が当然あってはいけない、だからチャイルドシートを、これがなかなか普及しないから、その購入費を各市町村等でも捻り出すのに知恵を絞っていたり、それから子供の問題については、本当に国全体の少子化の問題ですね。それで国として効果の上がる政策がなかなか生かされない中で、市町村ではこういった子育てに対する支援であるとか、そういったこともやったり、あるいは第一次産業についても、農産物の生産施設だとか資材等、こういった物への補助だとか、いろんな取り組みをやっているわけですよ。これを、こんなものは余計な事だから、やるんなら自分達で課税自主権を発揮するなり、あるいは借金をして自分達でやったらいい事ではないかと、いうような言い方をしている。皆さんこの資料は持ってみえると思いますが、これを見た時には私も怒り狂うほど腹が立ちましたね。私も県の知事という立場もあり、また松阪市の市長もやってきた中で、本当にどうやったらいいのかと、苦しみながらやってきているということについて、あまりにもひどい前振りに思います。無駄だ、無駄だと言いますけれども、私ども地方では本当に国以上に、そういった意味では縮減努力をしてきていると、こう思います。国の方は相変わらず、補完性の原理からいけば、当然地方に委ねていかなければならないことを自分達の権益を減らしたくないがために、なかなか分権そのものもそれに対して誠実に答えようとしない。それは即ち、この国の分権社会、地域主権の社会というものを基本的に考えていくと、国がやらなくてもいいことを、その無駄なことを実は国自体がいっぱいしていると、いうようなことでございます。その他、いろんな点でむしろ、もちろん地方も頑張っていかなければなりませんけれども、国はそのことを横に置いておいて、地方にそんなことを言うというのは、誠にけしからん話だと、こういうふうに思います。
(質)野呂知事としてはその知事会全体の意向は別にして、知事会チームは義務教というボールを投げて、国側は交付税という隠し玉で打ち返してきた訳ですね。それにも40点、4割、最低でもそこは死守したいと、守りになってしまった訳ですね。
(答)交付税のことは三位一体の中の一つとして入っておりますから、したがって総額確保というのは当然当初から私ども言っておりましたし、総額確保以上にいろんな工夫しながら、財源確保、それからその調整機能、これをやっぱり持って行くべきだと、こう考えておりましたが、今のこの財務大臣の発言の問題、あるいは財務省のその後の姿勢を見ましても、全く国の財政再建のことばかりに頭がいっていて、本当の意味での地方分権というものを考えていないのではないかと、こう思いますね。
(質)今後これ、まだ道半ばですけども、知事会としてはどういう方向で。今までの態度は変えないと思うんですけど、実際地方自身がその益を得るためにどういう形で進んでいくのかということと、知事自身はその中でどういう事を主張されていくか。
(答)これは結果が出てこないと分かりませんね。それから私なりの物差しでさっきは点数申し上げましたけど、これが70点が合格なのか、これも合格点の何点ぐらいが合格なのかっていうことはあるでしょうね。しかし、少なくとも交付税、他が全満額だといっても、交付税だけでも大変だと思いますね。それから私の場合には、補助金問題について知事会の方の採点と、補助金の部分では私の採点と他の方とはちょっと違った採点になると思いますね。
(質)野呂知事がおっしゃられた結果如何によって相当の覚悟をしないといけないというのは、具体的に何かその結果が満足のいかないものであった場合に何か行動を起こされるとか、そういったことでしょうか。それともやはり今財政的に厳しいので、覚悟しないといけないと、そういう意味なのか。どちらでしょうか。
(答)知事会の総意として確認しているのは、とんでもないような状況になれば、受託されている事務を返上だとか、そういった強硬手段をやらなければいけないんではないかというようなことがありますし、地方の一揆というような表現で言われておりますけど、一揆の内容もいろいろあるのかなと、こういうふうに思いますね。これはやはり最終的に26日、明日ですね、最終的にどういう形で提示されてくるのかというのを見て判断すべきことだと思います。
(質)知事としてはそういう強硬な手段というのも選択肢に入れてもいいという考え方は持たれてるわけですか。
(答)持ってます。
(質)といっても、そんなことできないだろうという世間の常識があるんですけど、それはどうですか、受託事務返上。
(答)いろんなやり方あるのではないかなと思いますし、既に知事会の方ではそういった作業を、一方ではいざというときのための整理をしかかっておりますからね。
(質)すると、やはりあくまで知事会として動かれるという形になるんでしょうかね。例えば県単独でもそういった手段も辞さないという覚悟で臨まれてるのか。
(答)基本的にやはり知事会として投げたボールでありますから、その投げ返してきた結果について、知事会全体として動くということの方がインパクトも強いし、いいと思いますね。
(質)午後につくられる地方分権の、議会のお集まりに関してはどのようなご意見が。
(答)あれは分権推進という立場で今回のこの三位一体改革であるとか分権を地方6団体の三重県の団体でしっかり対応しながらやっていこうということであります。これはいわば時限的な組織として設けるものでございますけれども、議員の皆さんが一番主体性を持ってもらうというか、会そのものの代表を務めていただきながらやっていこうというものでございます。一方、自治体代表者会議というのがございますけれども、これは地方自治に関わるいろんな課題、特に緊急課題等に対してどう対応していくのかというようなことで持っていく、これはいわばずっと今後も続けていかなければならない、そういう性格のものだと、こういうふうに思っています。ただ、こういう大変な、地方にとっては重大な時期でありますので、メンバー構成は一緒でありますから、意識を一つにして対応していきたいなと、こういうふうに思います。
(質)午後のやつに知事は入っておられるんですか。
(答)もちろん、メンバーとして入るんですけれども、私自身はちょっと行けない。
(質)メンバーとして入っているんですか。
(答)はい、そうです。これは県議会議長、市議会議長会の代表、それから町村議会議長会の代表、それに知事と市長会の代表と町村会の代表。
(質)全部一緒なんですね。
(答)はい、メンバーは一緒です。
(質)ということは自治体代表者会議、この前立ち上げられたやつの下部機関というかその中の組織の一つと考えていいですか。
(答)下部機関とかそういうのではなくて全く別の組織です。さっきも申し上げたように、一方は「三重県地方分権推進連盟」というその名前のとおり地方分権を推進していくということなので、今非常に大きな課題になっているこの地方分権、あるいは三位一体、こういったものを推進していこうということで急合する会で、これは議会の皆さんに運営の主体を持ってもらうと、こういうことでつくるんですね。
(質)自治体代表者会議もこの三位一体論とかそういうのがなければ多分立ち上がらなかったと思うんですけど、その意味では緊急性は同じですよね。だから県民というか一般からすると、屋上(おくじょう)屋(おく)を重ねるような、議会は議会で勝手に自分たちの意向、主張というふうな形で別組織作り上げるという感じがするんですけれども。
(答)よく言われる二元代表制とかそういうふうな言い方されますね。そういう意味では、知事会と市長のあれでこうやっていることがかなり主体的にこれまであったところに対して、こういう分権とか三位一体、こういったことは本当のところ議会にとっても大変大きな課題なので、そういう意味では議会の方にも主体的な中心になってもらうという意味では、私は意義がまた非常にあると、こういうふうに思いますね。
(質)県立松阪商業高校の教職員の方が差別的な発言をしたとして同僚らから脅迫的ないじめを受けたということで県の方が訴えられていた裁判で、今日午前中に県の方に、いじめがあったというふうに認めて賠償命令の判決が出ているんですが、この件について、県の方に賠償命令をしたという判決についての知事のご感想をお聞きしたいんですけれども。
(答)ちょっと私、まだその情報について、ちょっと正確に聞いていませんので、その判決等についてはきちっと見せていただいてから、必要ならばまた県の方の対応について後ほどコメントさせていただきます。
(質)いじめを認めたという件で、率直なコメントということではいかがでしょうか。
(答)後ほど率直なコメントをさせていただきます。
( 以 上 )