「膝づめミーティング」(四日市・鈴鹿地域)の概要
1.開催日時
平成18年8月9(水)
14:30~17:30
2.開催場所
三重県四日市庁舎
3.出席者
四日市市長、鈴鹿市長、亀山市長、菰野町長、朝日町長、川越町長、知事 ほか
四日市・鈴鹿地域の「膝づめミーティング」
4.知事挨拶
今日は大変忙しい中を、四日市・鈴鹿地域の膝づめミーティングにご出席いただきありがとうございます。また、平素より県政のベストパートナーとして、市町の皆さんにはご理解・ご支援をいただきありがとうございます。知事に就任しましてから市町村長の皆さんと県政全般についていろいろと意見交換をさせていただくということでやってまいりました。今年で4回目ということになりますが、昨年までと違い、市町村合併が進みましたので、ぐっと市町村の数が減り、村がなくなりました。今回は桑員地区とこちらの地区とを分けて開催しておりますので、昨年までと状況が変わったところでございます。
「県民しあわせプラン」の戦略計画も3年目、最終年度にきておりまして、来年度以降の新しい次期戦略計画が必要であり、現在策定の準備に入っているところです。本日いただきますいろいろなご意見・ご提案をこの中にも反映させていただきたいと思っておりますので、忌憚のない意見交換になりますようぜひお願い申し上げます。
まず北勢地域につきましては、三重県の元気の象徴のところでございまして、特に製造業については、この北勢地域が三重県の一番の中心、60数%をこの地域から出荷しているところです。産業政策については皆さんにもそれぞれの課題についてご理解をいただいているかと思います。今後とも三重県としてはいろいろな仕掛けを行ってまいりまして、3バレー構想の推進や新産業創造といったこと、あるいはベンチャー企業の支援育成など、こういったことについて総合的にいろいろと取り組みながら行ってまいりまして、私としては知識集約型産業構造への転換を図っていく方向を目指してがんばっていきたいと考えています。ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
さて、皆さんに、資料を配布いたしておりますので、資料に沿いまして県政の報告をさせていただきます。資料1「三重県政の新しいステージ」というのがございます。三重県政の全般を図に示したときにどういう描き方がいいのかということで、このようなものを作ってみたところです。右側をご覧いただくと「地域主権の社会の確立」というのがあります。県もそうですし、市町におかれましても、今、分権化が進んでいる中で我々地域が、自ら考えそして自ら地域のことをやっていくという、地域が主役になった「地域主権の社会」というものが我々の目指すべき将来の姿であるということが言えると思います。そういう時代背景の中で、私ども三重県政について考えていきますと、確実に大きな新しいステージに入ってきていると考えています。県民の人生の舞台である三重県、その三重県づくりのために、誰のために、何のためにということを、常に考えながらどういう三重県をどのように作っていくかということで、かねてから県民が主役、県民との協働、感性を磨くという3本柱を基本姿勢としてきたところです。その上でどういう三重県をどのようにということですが、どういう三重県をということについては、県の総合計画「県民しあわせプラン」に従い、実施計画である戦略計画の中に施策を明記して、それをやっていくということが基本になっています。その下に書いてありますように来年以降、次期戦略計画ということになっていきますので、これの策定準備に今入っているところです。
どのようにということにつきましては、県の行政運営のしくみ「みえ行政経営体系」を中心に展開しているところです。みえ行政経営体系の特色は、トータルマネジメントシステムとして継続的な全体最適化を図っていくということ。それから PLAN-DO-SEEだけではなく、マネジメントの一番大事なものとして、そのベースに危機管理、環境マネジメントシステム、経営品質向上活動を置いています。そして、実際の運用にあたっては、率先実行取組というかたちで、それぞれの部所で自分達のミッションを提示し、進行管理を図っていくということで進めています。また、今人件費の削減、人員の削減が強く要求されているところであり、そういう意味では人材育成ということを大変重視しています。
その上に県や国、市・町、県民との関係が図として書かれています。その下にありますように、今、こういう状況の中で分権化についてはより進めていかなければならない。国に対しても皆さんと一緒になって地方6団体等で分権化の推進を国にも強く要請しているところであります。しかし、一方では受け皿としての地方行政体は行政能力をしっかり向上させていくことが大事なことです。皆さんのところにおいてもそれぞれこれについては取組みをされていると思います。
左の方に個の確立というものがあります。これはいつも申し上げておりますが、地域主権の社会を確立していくためには、個の確立がより強く要請されるところであります。個の確立というと少し行政用語になってしまうようなところがありますが、ケネディ大統領が演説で使った言葉を引用するならば、むしろ県民の皆さんに県の行政、これは市・町でも同じですが、行政に行政サービスを要求する前に自分達が住民として地域のために、あるいは国のために何ができるのだということを考えてもらい、そして自ら出来ることはやってくださいということだと考えています。住民の皆さんに自分でできることは自分でやってもらう。できないことを家族がサポートし、地域がサポートし、そして、その外側に基礎自治体である市町があるわけです。その市町を補完する立場で県が作用し、県ができないことを国が補完していくという補完性の原理について、今後それぞれの役割をしっかり認識していくためには非常に大事なことだと思っています。
そういう県政の中で、資料の下に「新しい時代の公」と「文化力」というものがありますが、これが今三重県政の本当の意味で新しいステージにとりかかっているものということになります。「新しい時代の公」につきましては、平成16年度から県の方で取り組んでおります。最初はわかりにくいというお話をいただいていましたが、最近では「新しい時代の公」については、ずいぶん定着してきたと思っていますし、国や他の府県など、いろいろなところへ広がってきています。ただ単に協働、コラボレーションを進めるという意味だけではなく、いろいろな主体が公を一緒になって担っていくというガバナンスという体制を前提に考え、行政体質そのもの、地方公共団体そのものが、このガバナンス機構にあった仕組みにかえていくということです。まさにガバメントからガバナンスへ転換をしていこうということで、三重県ではこれを「新しい時代の公」、ニューパブリックガバナンスと言っているところです。
それから左に「文化力」というのがありますが、これについては、資料2ページの「みえの文化力指針のポイント」を見て頂きたいと思います。5月に「みえの文化力指針」というのを策定し、公表したところです。これにつきましては、非常に豊かな社会になったわけですが、一方でいろいろなかたちで社会のひずみが顕在化をしてきているところです。行政は今、このようなひずみの課題にきちんと的確に対応できるのかというと、非常に難しさを感じられることが多いと思います。子どもを取り巻く問題、学校の問題、家庭の問題、地域での問題、社会全体の問題もあります。テレビやマスコミあるいはインターネットなどいろいろな影響が子どもたちの世界にもたらされています。あるいはニートの問題もあります。こういった課題に、旧来のやり方ではない、何か新しい方法は出来ないのかと思いツールの開発に臨みました。そこで着目したのが「文化」です。もちろん文化は狭い意味の芸術文化や文化財と言っているような文化ではなく、もっと広い意味の人の生き様、「Way Of Life」人の生き方、こういった意味合いが強いわけです。県では少し表現が堅いですが、「生活の質を高めるための人々のさまざまな活動及びその成果」と広く定義しております。そして、その文化は人や地域を元気にする、暮らしをより良くしていく力や人や地域が持っている人々を魅了する力、こういった力を持っています。その総合的な力を「文化力」ととらえて、それを三つの側面から考えました。一つは、文化は心豊かに生きるための一人ひとりの力(人間力)、たくさんの人の力が集まって地域の魅力や価値を高めるの力(地域力)、さらに、人間力や地域力の源泉になる、新しい知恵や仕組みを生み出す力(創造力)、この三つの側面に着目しまして、これを上げていくということを基本に政策を全般的に見直していくことが、中長期的な社会全体の体質を改善し、そして、健康な社会づくりに資すると考えてきたところであります。いわば対処療法的なものではなくて、漢方薬的な働きを求めるものです。そうすることによって心を元気にし、地域を元気にし、産業を元気にして歴史と文化のいきづく「三重の未来」を描いていきたいと思っています。
資料の3ページを見ていただきますと、これをどういうふうに具体的に活用し、ツールとして使っていくのかということですが、これは職員向けの政策ツールと書いてありますように、あくまで県庁の職員の発想の転換、意識の転換を目指して作ったものです。真ん中の点線枠の部分に、先ほどの人間力、地域力、創造力の三つの力とともに、三つの視点が書いてあります。三つの「力」と三つの「わ」をマトリックスの表にして、発想を転換する九つのヒントとして示しています。県としては今後、次期戦略計画を考える際にも、いろいろな政策を立案していく際にも、こういう視点というものを考える中で、今までの、どちらかといえば効率性とかコスト等の経済的価値に偏りすぎていたところを、むしろバランスよく文化、県民の生き方を高めていくための施策の展開に結びつけていくことができるのではないか、そういうことで九つのヒント等を活用して、全ての政策を見直していこうと考えているところです。全ての政策の底辺に置くということで、「文化力」の政策とは何かという具体的なものがはっきりイメージとして出せるものではなくて、すべての底辺でこういう考え方をしていきましょうということを示しているところです。県職員のツールでありますが、県民の皆さんと思いを共有していくことが大事ですし、市町におかれましても政策を考える際に、共有した意識を持っていただくために、皆さんにもぜひご理解いただきたいと思います。
次に4ページを見ていただきますと、次期戦略計画の策定方針が書いてあります。一つ目に基本方針があります。次期戦略計画につきましては、県の総合計画である「県民しあわせプラン」の基本政策などはそのままにして、ただ、考え方の二つの柱として「新しい時代の公」と「文化力」を置いていこうとしています。
二つ目に広域的な県土づくりの方向というのがあります。市町村合併も進んでまいりました状況の中で、県の役割はより広域的な観点から県土づくりを行っていくということから、県の役割をそういった方向にしっかりと置きながら、しかし、下のほうに書いてあるように、それぞれ地域におきましては市町が中心になって町づくり、地域づくりを進められていくわけですが、それと県の施策との連動・連携が十分にわかるように、連携しやすいようにしていくという意味で、県の施策・事業を地域ごとに取りまとめた「地域編」というものを作成したいと考えています。
三つ目に計画期間ですが、これまでの戦略計画は3カ年でありましたが、次期戦略計画につきましては4カ年を考えています。
四つ目に今後のスケジュールですが、次の5ページを見ていただくとスケジュールが図示してあります。私どもとしましては、9月頃に次期戦略計画の素案というものをお示しし、11月ぐらいには次期戦略計画の中間案をお示ししたいと思っています。中間案につきましてはパブリックコメントにかける予定です。いずれにしましても県民の皆さんからいただいた意見、あるいは市長、町長さんからいただいた意見等、広く意見を頂きながら策定してまいりたいと思っています。右の方は点々の矢印になっておりますが、来年4月に統一地方選挙があり、県議会議員の選挙、知事選挙があります。そういうことからこの次期戦略計画につきましては、最終的に決定するのは選挙後の6月議会等での議論を踏まえて決めていくのがいいのではないかと考えています。
次に、今後の国との関係、特に財政構造改革と道州制について少し触れたいと思います。国の分権改革をめぐるいろいろな状況については、皆さんとも地方6団体でいろいろと一緒に行動をしました。国の地方分権については、本当の私達の望んでいる分権、本来の趣旨にあったものではなく、国の財政改革に利用されているだけのだましの状態を強く感じ、危惧をしてまいりました。今年の「骨太の方針」に向けての動きにつきましても大変心配をしていたところです。皆さんと5月には県の地方6団体で集会をもちまして、国に対して強い要請を行ってまいりました。全国でのいろいろな動きの先頭をきって行ったところですが、そういった動きが反映されるかたちで若干、私たちの言い方が作用したと思っています。しかしながら、出てきています具体的な中身につきましては、はっきりしない点、非常におそろしいような厳しい面が感じられます。財政構造改革についてはこの後担当からお話をさせていただきますが、いずれにしましても非常に厳しい中で、三重県もしっかりがんばっていきたいと思っています。三重県も財政状況が全国で一番良いという言われ方もしていますけれど、実は中身は非常に大変な状況であることにかわりはありません。少々いいと言われても、こういうものは少しの油断で全くかわってしまうというような事だと思っています。
さて、道州制についてですが、これは第28次地方制度調査会が道州制の導入が適当という内容でまとめられ、提示されているところです。知事会におきましても道州制についてはいろいろと議論をしているところです。しかしながら、先ほどの三位一体改革や構造改革の中でも結局は地方分権を進める中での国のかたち、本来どういうかたち・姿でやっていくのかというのがまだ見えてきていません。また、その面については中央での抵抗が非常に強い中で、将来の姿が見えてきていません。道州制そのものは、この国のかたちを描いていく、決めていくということであり、その意味では国のかたちがどうなるのか、地方と国との役割がどうなるのか、単に地方制度調査会等の議論でできるものではありません。そういう意味では今後そういったことがしっかり行われたうえで、道州制というものについて考えていかなければならないと思います。さらにいえば、例えば、三重県民からみて道州制がどういうふうに見えるのか、四日市や鈴鹿が道州制になった場合に、どういった状況があるのか、住民の目線で、あるいは地域からの目線で、道州制のメリット・デメリットを明らかにしながら議論をしていかなければなりません。そういう意味では、道州制ありきという議論だけで進むことには危惧の面もあります。知事会で大いに議論した結果、もうしばらくしっかりと議論を深めていきましょうということにしたところです。三重県としても、そういう考え方で今後広く皆さんと議論し、勉強しながら進めていきたいと思っています。
いずれにしましても今日の膝づめミーティングにおいて、これからの三重県政のあり方、皆さんの方からそれぞれの地域のあり方、地域づくりについて、熱い思いを持っておられる皆さん方ですので、そういう意味での有効な意見交換の会にしていただければありがたいと思います。
市町行財政室長
資料の2をご覧ください。国の財政構造改革の状況としまして、ご承知のとおり昨年、三位一体の改革で4兆円の国庫補助金改革と3兆円の税源移譲については決着をしておりまして、今年度は地方交付税の改革が政府の進める構造改革の焦点となっておりました。特に交付税総額の削減というものが問題とされており、法定率の引き下げや交付税総額の据え置きが議論されたところです。また5月 10日には竹中総務大臣から今後の地方の行財政制度につきまして、分権改革工程表というものが提唱されており、人口・面積で算定する新型交付税、さらには地方債の発行を完全に自由化していくこと、あるいは再生型の自治体破綻法制を整備していくことが、具体化に向けて検討される見込みです。また5月には行政改革推進法が成立しまして、公営企業金融公庫、これは市町村向けには下水道事業に低利の資金の融資をしていますけれども、これが平成20年度に廃止されることが決定されています。
こういった動きを受けまして、地方6団体側も「地方分権の推進に関する意見書」を提出し、様々な提案をしてまいりましたが、先般7月7日に政府から「骨太の方針2006」が閣議決定され、当面の政府の方針が示されたところです。7月7日の「骨太の方針」のポイントとしましては、四つございまして、一つは人件費と地方単独事業を中心とする地方の歳出削減努力の継続を今後とも国から地方に対して要請していくこととなっています。別紙2に概要が付いていますが、特に人件費につきましては、国と同じ5.7%の定数削減を要請するという非常に厳しい改革努力を要請する内容となっています。また、焦点となっておりました地方交付税につきましては、とりあえず地方の強い懸念を受けまして、現行法定率は堅持するということが明記されています。また、交付税総額につきましては、予見可能性のある財政運営ができるように、地方財政の収支の状況を踏まえて適切に対処するということが明記されていますが、具体的な来年度の交付税総額についてはまだまだ予断を許さない状況にあります。また、地方税については、国・地方の財政状況を踏まえながら、税源移譲を含めた税源配分の見直しを今後検討していくということが明記されています。地方分権については、さらに「新分権一括法」を早期に制定し、国と地方の役割分担の見直し、国の関与の廃止・縮小を図るという点も今後の方針として明記されたところであります。
新型交付税につきましては、人口・面積を基準に配分するということで、地方からの強い懸念が示されていましたが、6月16日に総務省が見解を出しており、「新型交付税」につきましては、交付税の財源保障機能や交付税総額に影響を与えるものではないという点が見解として明確にされています。
次に具体的な「新型交付税」の制度設計については、過疎市町、離島市町といった真に配慮が必要な条件不利の地方公共団体に対応する仕組みを確保していくということ。あるいは過疎債、財源対策債等、交付税措置が法定されている地方債に対する交付税措置については、今後も継続していくという点がはっきり示されています。こういった前提のもとで、新型交付税は来年度から導入するという方針が示されており、今後3年間で5兆円規模まで拡大していく状況です。この秋に総務省で具体的な制度設計をし、地方の意見もしっかり聞きながら具体化していく方向で取り組まれている状況です。
次に5月に廃止が決定しました公営企業金融公庫の廃止後の対応ですが、現在地方6団体から全国ベースの共同資金の調達機関を設立することが提案されています。これを受けまして、政府においても行政改革推進事務局のほうで具体的な法制度を整備する方向で検討されています。ただ、現在公営企業金融公庫が保有しています財政基盤につきましては、財政力の弱い地方公共団体のセーフティネットの構築のために使うという方向で案が示されていますが、具体的な金額をいくら新組織に継承させるかという点については未決着の状況です。この点については、全国知事会の場でも、先般小委員会が設立され、具体的な制度設計を検討していく枠組みが地方6団体側にも作られた状況です。
最後に、先般夕張市の問題で話題になっております再生型の破綻法制ですが、7月7日の「骨太の方針」におきましても、現在の財政再建の法制の見直しが明記されており、今後秋を目途に具体的な制度の方向性が、また、3年以内に制度整備を行うという事務スケジュールで検討されていく状況です。
県としましても国のこういった動向を注視しまして、適宜市町に情報提供をしていきたいと考えておりますのでよろしくお願いします。
5.意見交換
(1)県の政策課題について
四日市市長
今知事よりいろいろとお話を伺いましたし、「文化力」についてはこの間のトップセミナーにも出席させてもらい、勉強もしております。一つ目の問題として私の愚痴を申します。二つ目は知事のお話の問題についての四日市市のスタンスを申し上げます。
私の愚痴としては、10年間死に物狂いでやってきましたけれども全然楽にならない。10年間のうち3年目に不交付団体になり、その後は国からたくさんお金を頂ける、この間にがんばらなければと思っていましたが今年また不交付団体に8年ぶりに復帰しました。そういう変化が私の実感としては10年間の実感で何もありません。そういう意味でいうと、今、知事が国に対して非常に強い姿勢であたっていただいているのは大変ありがたいのですが、結局四日市市になると、死ぬも生きるも1人で生きていけと、それに尽きるわけです。そういう意味では本当に自分で生きていかなければならない。ところが、いろいろな諸制度が国を初めいろいろなシステムがあって、1人で生きるにしてもなかなか難しい。そういうシステムががんじがらめになっていなければもっと生きやすいと思います。今後、公営企業金融公庫が廃止になるといわれていますが、あまり変わらないだろう、そのことに振り回されずにやっていかなければだめだと思っています。それは裏を返せば、四日市市は今まであまりにも身の丈過ぎる大きな負債を抱え込んだのだから、たまたま井上さんひとつの苦労なので連続性があるので、人に言ってもだめだと言われます。これは一つの愚痴で申し上げました。
もう一つの問題はこのところ大変三重県に感謝をしています。というのは四日市市の産業の再生では、知事の指令のもとに突撃隊をやっていただいて、市も後からついてやっていますが、そういう意味では感謝しておりまして、今日は文句をいうという気持ちは正直いってありません。もっと助けてほしいというのが本音です。今日はここに鈴鹿・亀山両市長がみえますので、正直、新しい産業の再生の道というのは、いろいろな副次的効果があるのですが、地域社会のコミュニティという面からみますと、即効薬にはなれないと感じています。何が言いたいかというと、結局マスコミで非常に大きく取り上げられる新しい工場なり大企業の進出があって非常に活況づくといっても、それは端的にいえばビジネスホテルとタクシー業者が活況づいているので、ほかのところはどうかと思っています。例えば、地域社会の人が本当に雇用されて、非常にありがたいというところがあるかというと、なかなかそうではないだろう。これは今の世界経済の中に組み込まれた日本の産業の場合には、どこどこの会社だからだめなのだ、こういう会社が来てくれたらもっといいのだとかいうことではなく、今の世界経済、地政学の中では、日本の企業は日本の国内で新たなる産業を起こして立地して、活性化する場合には、そういう現象なのだと思わないといけないのではないかということです。
あるとき、昼間の人口と夜の人口との問題が議論されました。昼間の人口が多いのは職場が多いからいいですねということで、私もそう思っていたのですが、昼間の人口が多くても派遣型の人が多くなると、実は本当の意味での人口の動態が従来の概念でいう昼間の人口と夜の人口のそういう分析ではなくなってしまうわけです。したがって、そういう意味でいいますと、来ていただく企業、事業所には大歓迎申し上げなければならないが、地域をつくる市町の責任としてはどうしたらコミュニティをしっかり作れるのか、どうしたらコミュニティを派手でなくても質素でいいから、きちんと、例えば幼児虐待も出ませんとか、あるいは老人の行き倒れも出ませんとか、ハンドバックの強奪のような事件はありませんとか、青少年は非常に順調に成長していますとか、そういうコミュニティをどうしたら作れるか、そういう観点で市町としては目を据えてがんばらなければならない。そうなると、私は知事が「文化力」という言葉に非常に力を入れて大きく出されたということは、私なりの理解でいくと歓迎すべきものだというふうに思っています。地域のコミュニティを強化していくためには結局は二番目のテーマになっておりました、「新しい時代の公」、公の仕事を何も行政だけが専売特許でする時代ではない。住民が公の仕事をやってくれなければならないのだと思います。しかし、住民の方はなかなかそういう意識を持てるのか、そこが最大の問題で、今日の日経新聞には一面に載っておりましたが、外国では軍隊でさえ民間がやっている国もある。だから行政は何もかもやってはいけないのだと言わんばかりの元財務省の行天さんの記事が載っていました。そういう意味では「文化力」とガバナンス思考と知事がおっしゃったのは、私なりの解釈でいくと、これをうちももらいさげて走っていかなければいけない。それは地域社会の地味でいいから四日市村をどう作るかということだと思っています。
最後に申し上げるのは、四日市市としては自立せざるを得ないわけですから、財政構造をいかに強く、あるいはやわらかくしていくかということが最大の私の責任で、それについて職員や議会あるいは住民の皆さんにそれをどのくらい理解していただくかというのがポイントだと思ってがんばっていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。
鈴鹿市長
知事の先ほどの「新しい時代の公」と「文化力」について、就任当初から知事のいろいろな考え方を出されてきました。一つは「文化力」で、先程の知事の説明とか考え方、理念という関係で、確かに日本経済からきているのかなと感じています。GNPとか経済大国という関係で、日本が冠たる位置づけになってきたその反面、この「文化力」の理念でありますそれぞれの「絆」が薄れてきた。それがいろいろな組織とか地域とか家庭とか子どもたちとか、そうした「絆」が薄れてきたのは事実であります。これは直していくというよりは、よりいい方向に向けていくのは一つの何か理念を持ちながら取り組んで行かなければならないという考えで、「文化力」という提案をいただいたというふうに思っています。
鈴鹿市も市ができた経緯とか、人口が急増したことなど、旧住民の方と企業進出による新住民の方となかなか協働とか一緒になることがなくて、今の鈴鹿市があるように感じています。ここにも「絆」ということでは非常に欠けたところがございますし、また、古い文化とか新しい文化とかそういう新旧入り乱れた文化が存在しているのも鈴鹿市の事実であります。今回「文化力」という関係でそれを一つの理念にして、ツールを含めてお話を聞かせていただきました。私どももこの理念は大事にしながら市政運営を進めていかなければと思っております。もう少し「文化力」というのは何かというのを、途中まではきているというふうに思うのですが、具体的にどんな施策があるのか、どういうようなことを中心にこれを取り組んでいくのか、そんな具体的な指針があれば、おそらく具体的な取り組みは市町が理念にとり組んでいく中でということだと思っています。県のこうした新しい方向性は十分理解していますし、これからの具体的な施策を市町と協働して是非取り組んでいただきたいと思っています。是非具体的な取組みは市町といろいろな意見交換をして取り組んでいただきたいと思いますし、私どももこの方向については十分理解しておりますし、いかに具体的施策を鈴鹿市の中でどの項目でできるのか、あるいはどこまで目標に到達できるのかというこのツールにありますように、いろいろな組み合わせをして具体的な流れを出していただければ大変ありがたいと思っています。
いろいろな「新しい時代の公」についても、市を運営していますと、3月に20万人都市ということになりましたが、いろいろな考え方をする方がたくさんみえ、意見とか要望などをたくさんいただいておりますが、その公平性とか公とかを言いたくてもなかなか通用しないことがあります。そういう意味では是非大きな柱として進めていただきたいと思います。
例えば、鈴鹿市の中で、環境の問題でいろいろな課題が出ております。確かに一つの事業を起こす、あるいは自分の土地を利用・活用して、これは意欲ということでわかるのですが、それが本当に市あるいは県の公の関係で役に立つのか、それとも迷惑になるのかの線引きは是非県の方でも取り組みをお願いしたいと思います。現実的には現場が市とか町ですので、大きくいえば県の事業につながりますけど、いろいろな意見交換とか問題の処理をするのは現場である市や町と、当然こうなってまいりますので、そういう意味でいろいろな公づくりもあわせてお示しになり、ツールを作って・烽轤ヲればありがたいと考えています。
亀山市長
知事の話の中で、県民の個の確立、「個」という言葉が出ていますのが目に付きました。私が市長に就任したのは平成6年ですが、平成8年に亀山市の第4次総合計画を策定した中で、将来の都市像は「個が輝く出会いの町亀山」というふうに策定して始まったところです。その当時「個」というものは何かと議会でもだいぶん論議になりましたが、「個」は亀山を表すもの、一つひとつ認識することが大事ですという思いで皆さんに話をしてきました。行政が守っていくべき「個」、育てていくべき「個」は何かという取り組みをしてきたところです。亀山市の特徴で市の守るべきものは、緑の多い自然環境、緑、水、こういうものを少しでも守り、場合によっては育てて行く。自然環境を守って行こうということで、取り組みを決めました。当時は開発がほとんど行われていない時であり、ちょうど四日市市、鈴鹿市が繁栄される中で、私どもは産業廃棄物やごみについて、私たちの処理すべきではないものが捨てられていたり、また、硫酸ピッチの問題もその当時から発生していました。私どもとしてこういうものを止めるには、壮大なごみのことを考えると、県が法律を守っていく、砂防法や森林法というものをきっちり守っていただかないと、我々市では大変です。これについては市の方から、県へ書類を進達する立場ですが、県の場合には、当時は現場へ行かないで法律に適合していたら判を押していた計画があり、現場を見ていないというものがいくつかあったということを認識しながら、そういうものは何とかして止めないといけないということで、県に森林法や砂防法にかかるものについては、ぜひとも現場に足を運んで見てほしい、我々の言い分を聞いていただいて、この法の執行にきちんと我々の思いを反映してほしいとお願いをしてきました。そういうことについて、県も取り組みを強くしていただいたところです。私どももそれを補完する意味で、環境条例や水源保護条例など乱開発を防止するために、ほかにも緑を守る条例を作り、乱開発に見えるようなものには取り組みを進めていきたいと考えています。ぜひともやらないで済むように、それが違ったときには県の方へこれが間違っているということで、法違反ということも申し上げてきたところで、私どもは他のところより開発が少し遅れていた分だけ守ることがある程度できました。そういうものを私どもの固有の文化としてまだまだ続けていかなければばらないということで、個々の政策を進めさせて頂いています。これが私たちの「文化力」であると思っています。
それから、県の方にも大変お世話になったシャ-プの進出問題があります。これについては急いで取り組むということがありますが、私どもとしては、産業構造が全く変わってしまうわけですが、県の方も我々も取り組みを進めさせていただいたところです。新しいものが来たときには、これが来たけど我々のところに貢献をしているか、効果があるのか、こういうものの言い方が非常に多いところです。ホテルやタクシーなど目に見えるものは言っていますが、それ以上に私どもも調べたのですが、地付きの事業、人口増が2,000人ぐらいありましたが、その内容がどのようになっているのかを調べると、生産年齢人口が1,500人、老人が500人増えています。1,500人について実際に調べてみますと、亀山市に本拠をおかない事業所、亀山に本拠置く事業所、この2つの所の働く人の状態を調べてきたところですが、市外からきた事業についても約1,500人増えています。これについてはどういう状態になっているか、集合住宅を提供して住んでいただいていますけど、それでも追いつかない。津市とか鈴鹿市へ住居をかまえる方々が相当いるのが実態です。商工会議所が調べたところによりますと、鈴鹿市へ3割、そのほかへも3割ぐらいと言われています。
また、年金の関係で調べたところ、地付きの事業においても厚生年金を払っている事業所へ勤める方々は 1,500人増えています。そういうことで地元の就業機会が非常に多くなっていることが現実に現れているのに、効果がないとよく言われています。それは完全に違うということです。頭で考えただけのものという考え方をしています。少なくとも県には大変お世話になりました。シャープの問題は亀山市とシャープだけではなく、その周りの企業にも相当影響をしてきているのが基礎数字に現れていることをあまり知られていなかったところがあったと考えています。大きな事業のところへこられる人の問題については県の方へお願いして調べてもらうということをしてもらっています。
企業誘致にあたる中で一番大事な、大きなファクターを占めるのは道路です。高速道路を中心に国道、県道、このアクセスの問題が一番大きかった、という思いをしながら私どもも身を削ったのがこういうところにできてきました。やっとこれが大きな姿に見えてきたと思っています。高速道路は別にしても国道でも県道でも、当時企業にお話した整備率がなかなか上がっていかないところがあるわけです。それがけしからんということではなく、国も県も公共事業の削減の影響も受けているのではないかと思っています。さらに強力に国に対する働きかけをしていただき、県も進めていただきたいと思います。
一番心配しているのは、国の道路財源の一般財源化という問題です。これについて都会、東京都と比較してどうかと考えた場合に、自動車の保有率が1世帯に 2.4台、都会は0.9台、1人当たりで数えますと7対1くらいになるのではないでしょうか。それぐらい車の所有率が違います。そうすると税金というのは地方では1人あたり7倍の自動車関係の特定財源の負担をしていることとなります。この税金を使って道路を作っていただくならば、負担率は高くても何とかできるだろう。これからこの地域に特定財源で整備するところに充実してもらえるものがあるから、そういうものがあるから我慢しているわけです。しかし、一般財源化でそれを召し上げられていくと、地方の所得の低い地域から支払われる税金を、所得の高いところへ回していくような感じがし、税格差が生じています。一般財源化については国の普通の税金と同じようにわっていくわけですから、私どもから見れば所得の低いところから高い地域にまわしてそれを使うというのはどうなのかと思います。知事へお願いしたいのですが、税制調査会の方へ、なぜ逆格差の税負担を「骨太の方針」の中で一般財源化は止むを得ないと書いてあっただけですので、これについては理解が出来ないということを言っていただきたいということを思っています。
知事
四日市市長の方で一生懸命やっても何も楽にならない、本当にそのとおりだと思います。景気がよくなり、会社がこれだけ利益が出ているとかいい話があるにも関わらず、県も税収は増えているにも関わらず、交付税は減らされ、あるいは補助金が減らされる中で、とにかく総じて税金が増えたよりも国から減らされるところの方が多いわけです。したがってシャープや東芝、ホンダにしても、しっかりやっていただいているところは県民に何も還元できない。これは市町によっても状況の違いがあるかもしれませんが、努力したことが報われる社会でないとだめ、と首相が言っても実際は違うのではないかと思っています。
いろいろと「文化力」や「新しい時代の公」についてご意見をいただきましたが、鈴鹿市長から具体的にどういうものがあるのかという話がありましたが、あくまで発想の転換を図る、意識の転換を図るツールでありますので、「文化力」の政策はこれですというものではないということを基本的に理解頂かなければならないということがあります。そうかといって「文化力」という考え方というのは具体的にどういうものかと問われると、非常に中長期的な形で成果を求めていくものであるので、文化審議会でお話申し上げたときの有識者のお話を聞きましても、いろいろな方のお話の中にも「文化力」という場合に効果がすぐ見えないものであるだけにそういう意味で難しさがあると言われたりします。しかし、社会の体質改善をし、社会の健康を取り戻していくということは非常に大事なこととして、決してすぐに効果を求めるという考え方ではなく、しっかり地道に取り組んでいくべきものだと思っています。政策全般のベースにということでもその意味が大きくあるのかと思います。
四日市市長がおっしゃったいろいろな町でのコミュニティで起こっている課題にどう取り組んでいくかという意味においては、旧来の意味合いだけでは通じない。そこは県もそうですが市町の皆さんと思いを同じくして取り組んでいくという事が大事だろうと思っています。
財政についての緊急課題は県も市町も同じ大きな問題です。三重県の方では、今回「みえ経営改善プラン」ということで、平成17年度から22年度の間で考えておりますけれど、中身はなかなか難しいことです。特に人員削減の問題、かなり大変だと思います。皆さんのところでもバラつきがあります。三重県も検討をしていますが、国は5.7%の人員削減を打ち出しています。国もごまかしが多いのですが、5.7%の内に、人数部分は6割程度で、そのあたりをきちんと説明しないで人員減だ、人員減だという国もけしからん話です。四日市市のプランでいくと7.8%、鈴鹿市は1.6%、県も最初は2.1%ということで、数字で出てくる場合にどういう具体的な中身なのかわかりにくく、人員の削減については庁内で大議論をしているところです。
亀山市長からご指摘をいただいた山を守ることについての課題ですが、ご指摘をいただきながらいろいろなご意見をいただいて、県も市が守るべきものは県も一緒の気持ちで守っていくべきものだと思いますので、ぜひ今後もご指導いただきたいと思います。シャープ効果については、なるほどそうだと思います。亀山市だけではなく三重県全体の問題だと受け止めています。道路特定財源の話がありましたが、自動車税の話で、個人の場合はそうかもわかりませんが、事業所の保有している車とか、そういう場合はいろいろと違うと思います。あまりそういう意味では一つひとつの細目でこだわった言い方よりも、三重県はまだまだ道路を含めて、交通アクセスの整備が十分ではありません。直轄道路については、直轄予算ですが県の負担がかなりあります。かなり莫大なもので今後 10年ぐらいの間に直轄予算がしばらく東紀州の高速の関係がありますので、そこに4割程はいきますが、ほとんどそのほかは中北勢で使われるものです。こういう特定財源がもしも余るのであれば当然直轄予算に回せばよいと思います。ここ10年ぐらいの間に1000億円以上の県の負担になるのではないかと思っています。非常につらいところで、整理がなかなか進まないということについては選択と集中、効果的に上げられるように市町とも十分連携をとりながらその選択をとっていきたいと思っています。
鈴鹿市長から「新しい時代の公」でなかなか市町での公づくりに不自由があり、そういうものについて少し整理ができないかということについて、そういう棲み分けも大事だと思いますけれども、ぜひご提案がありましたら、ガバナンスの仕組みづくりで十分効果の上がる方法を一緒になって作っていけたらと思います。
菰野町長
県の町村会長を3期務めさせていただいていますので、県全体の問題で大変ご無理を承知で申し上げておりますことを心苦しく思っております。知事が当選当初から市町村は県の最大のパートナーということを提唱されており、特に私どもに関連しますのは第2名神高速自動車道の足踏み状態を解除すべく、率先して先頭に立っていただきましたことを本当に感謝を致しております。そのような中で菰野町は市町村合併に組しなかった、そういう意味では非常に申し訳なくも思っています。
現在、この4月より人口も4万人を突破して、今年合併50周年を迎えています。そういう中で記念行事を11月11日に予定しています。その場で町政の功労者表彰をしたいと思っています。表彰の案の中ではシデコブシの群落を国の文化財天然記念物に指定してもらいました地元の博士の南川さんという方を表彰します。この方はパラミタミュージアムの建設をして頂き、美術館のなかった菰野町に私財を投じて建設をしていただきました。また、それぞれのイベントを立ち上げていただいており、現在でも日本の陶芸家8人展というのをやっていただいています。こういう意味合いからは「文化力」のアップに大変な功績をあげていただいているということで感謝をしています。さらに俳句の関係におきましても、地元でかつて活躍されました藤井鬼白翁さん、四日市の保々ですが天春静堂さんという方がみえましたが、そういう方の追悼句集を毎年盛大にやっており、本年で10周年になります。そういう意味では地域における「文化力」アップの関係で、大変功績があると思っています。
特に鈴鹿国定公園の中心を持っているわけですが、湯の山の活性化のためには県にも大変な力を入れていただいていますことを感謝致しています。昨日も実は温泉の女将の会、名称は「きらら」というようですが、そういうかたちで女将の会を立ち上げました。 10月1日には伝統の湯ノ山の僧兵祭りを予定しており、そういう中で温泉街の活性化のために女将の力を貸してもらいたい、そういう意味では大変ありがたいことだと思います。50周年記念の大きなイベントとしましては鈴鹿山岳カモシカハーフマラソンを予定しています。今度の副知事さん、なかなか長距離では有名なようですので、早速ゲストランナーとして参加を表明していただいていますことを、大変ありがたく思っています。
細かい話になっていくわけですが、私ども当面一番心配していますのは、四日市市が中核市になられると保健所の改編問題がでてくるわけです。三重郡で3町が残っていますが、海岸部と山に離れております。そういう中で紀州の方と比べると人口はかなり多いと思っていますので、この改編問題についてもひとつあたたかい結論を導きだしていただきたいと思います。
また、福祉の面におきましても、保健福祉センターの建設と温泉の効能によりまして、ずいぶんと広域の方々にご利用いただいています。そういう福祉の施策が厚生労働省から次々と新しいメニューが打ち出されてきている。そういうことで若干迷惑を感じているわけです。そういう問題もこれからそれぞれの地域で解決していかないとだめかと思っています。特に国民健康保険では三重県のトップを走っていたわけですが、本来は鈴鹿市がトップであったのですが、鈴鹿市が若干下げられた関係から私どもがトップに出てきているということです。いろいろと頭の痛い問題があるわけです。
その中でテーマは小さいかもしれませんが、例えば公安関係におきましても国道沿いに駐在所の復活をどうやら認めていただけるということで、国道477号といいますのは、四日市から京都まで延びている新国道です。その沿線にかつての駐在所を復活していただくという気運が出ておるようで、大変ありがたく思っています。鈴鹿スカイラインを含めオートバイの暴走、そういう風な問題等々で周辺の住民も大変迷惑をしています。交番か駐在所のどちらに落ち着くかははっきり聞いていませんが、とにもかくにも復活をしようということを頂いております。
また、例えば国道477号のバイパスをどんどん進めていただいています。あるいは、流域下水道についても県独自の補助というかたちでバックアップをしていただいて、下水道も進捗しておりますし、農業集落排水も、今最後の四つ目が供用開始できるという状況です。そういうことが県民しあわせプランの効能につながると考えています。こういうかたちで新しい仕組みをつくりながら知事に頑張っていただいておりまして、今後も引き続いてよろしくお願いしたいと思います。
朝日町長
「文化力」ということで、最近自分なりにこれが「文化力」かと改めて認識させてもらったことを二つ例をあげたいと思います。
一つは7月第4土曜と日曜、特別休暇を頂きまして、紀北町の「灯篭祭」見させていただきました。恥ずかしながら自分のところの町に昔から伝わっている何十年も続いている祭りがないので、5、6年前から一度見たいというのが実現したわけです。決して紀北町の灯篭祭だけではないと思うのですが、それぞれの地域にいろいろな祭りがあるわけです。祭りそのものがまさに具体的に「文化力」を解説して頂いている人間力と地域力、創造力が全てのどんな祭りでも入っているのではないかと思います。決して「文化力」は新しいものをどう作くろうとかではなく、今あるもの、それぞれの地域、市・町にあるものを改めて見直していく、それをどう売り込むかも一つでしょうし、そういう面でここに「文化力」があるのかなと改めて感じました。
もう一つは朝日町はここ2、3年、丘陵地開発でたくさんの人が新しく、特に若い方に住んでいただいているのですが、この間ハウスメーカーの方に結構売れ行きがいいのでノウハウを聞かせてほしいという話をしました。私は、アクセスのよさとか、1、2年前に住宅促進条例や医療費無料化など、そういうものをしたからだと思っていましたが、そうではなく、歩いて行ける距離に10年前に建てた文化施設、図書館、博物館、児童館がセットであるわけですが、それが非常に気に入ってみえる。ハウスメーカーはモデルハウスを見たあとに、お客さんにぜひ文化施設を一度見て行ってくださいと紹介をして、お客さんたちがここで子どもたちを育てられることに期待をして、そういうことを取り上げてPRをしていただいている。正直いってここ1年の財政計画の中で、この文化施設も維持に約1億円かかるわけです。小さな博物館ですが、学芸員を2人おいていますし、非常にお荷物的な気持ちが議会や我々の中に多少出てきていましたが、改めてPRによって他から朝日町へ来ていただける、そういう大きな力になっており、ここにも「文化力」があったのかと改めて思いました。「文化力」と経済は相反するのでなくて、今後プラスにしていく力が育つという感じを持ったところです。
川越町長
人口も三重県下1位の伸びをしています。先程知事が努力するものは報われると言われましたが、私も 10年目という町長の席におりまして、県の方にはどれだけ努力しているかということはご承知いただけると思います。それについては報われることを少しでもしていただきたいと一つ希望しております。
「文化力」と「新しい時代の公」につきましては、知事からお聞きしているのですが、県の職員の理解力がどれほどあるのかということを考えていただきたいと思います。市町の職員に対しても県の方針、考え方は平成19年度から始まる予算づくりをすると思いますが検証の中で取り入れていきたいと希望しております。「文化力」というのは毎日のことが「文化力」で、それをどのように目覚めていくのかというのは三重県の姿勢だと思います。もっとわかりやすい内容にしてほしいということが一点と、「新しい時代の公」につきましては地域のことは地域で、自分たちのことは自分たちでということについても、3年前に川越町で「防災塾」というのを開きました。これからの地震対策、国民保護法について、月に2回ずつ、3年間、県にも支援をしていただいて大変町民の絆が深まりました。こういう一つのことが大きな起点になり、これから8月20日には三重郡と四日市地域でそういうことを大々的にする予定です。そのような小さなことの連携が地域では出来ますが県においては出来ないという。いろいろなことを国にも要望等がありますが、これから国が地方交付税を削減すればするほど川越町はそれだけの交付税をもらえない。それは先人の方によってそのように築かれたということで、昨年が13億円ぐらい収入が多く、今年は15億円です。だんだんと国が数字を修正すればするほど、収入が増え歳出とのバランスにおいて段々と収入が増えていくという現状です。やはり財源はないときよりはあるときの方に始末つけよということで、議会にも町民にもいってこれからの川越町の財政はいかに末永くもっていくかということも考えています。
過去にNOx法によりまして国道23号沿については運送業者の方が大変苦労しています。山の方へ事務所だけ移転して、自動車自体は置いてあるということで、今度の見直しの時にいろいろな角度で考えていただき、県としての考え方も必要だと思います。
知事
菰野町は合併50周年を迎えられるということでおめでとうございます。記念していろいろなことをやられるようでありますし、非常に町民、あるいはいろいろな関係の方が活発に活動しておられる。「きらら」については女将が中心になってやられていると今朝新聞で拝見しまして、良かったなと、いよいよ動き出したなと思います。女将の力、女性の力はすごいものがあるので、菰野町はますます女将さん方々の力で活性化していくのではないかと思います。
いろいろとございましたが、福祉については後ほど地域課題のほうで少し申し上げたいと思います。ぜひいろいろなことについて、国に対して一緒に言うべきことは言いながら、地元で協力すべきところは協力させてもらうということが大事だと思います。
朝日町は、毎年人口が増加している。若い人たちが集まって来ることについて「文化力」と絡んでうらやましい話です。
川越町の方はもうひとつうらやましい話です。川越町が県に貢献しており、報われるようにということですが、ケネディの言葉を引き出すならば、川越町がその前に県に対して、県民に対して、あるいは近隣の住民に対して何ができるのかということを更に発揮をしていただきたいと思います。「文化力」の関係でいろいろとおっしゃっていただきましたが、是非職員にもよりわかるようにと思います。「新しい時代の公」は3年経過してようやく、国も表現の仕方は「新しい公」と言ったりいろいろとありますが、三重県が一番最初にこういう言葉を使い出したということについては一般化してきたと思います。多分文化という視点は今後同じように使われることになっていくのではないかと思います。
亀山市
「文化力」を支える安全施設、これについてはとくに警察体制の強化・充実ということで少しお願いしたい。私ども「文化力」で一番支えるのは地域、そこに住む人々の生活だと思います。私どものところでは交番が1つ2つ3つと整備されてきているのですが、私どもの地域におきましては軽微な犯罪が非常に多い中で、この頃は、空き巣犯罪で警察がなかなか来てくれないと市民からの注文が出ています。警察をもう少し充実してもらわないと困るというところがあります。特に地域に小さい悪人がおり、地域の住民も困っています。例えば、何かあるとその人の家の前へ生ごみをまいていく。私の家の前も5回か6回まかれたことがあります。市内で数えると100回できかないぐらいです。更に火付けもあります。去年は藪を中心に1、2日に7箇所ぐらい火をつけました。小屋に燃え移ったとか、公園のトイレも火をつけられた。人の住んでいる所にはつけないのですが、また、役所の駐車場や公の駐車場に釘やネジをまいたり、落書きもあります。久居や安濃でも書かれた。津西高の壁にも書かれた。こういうことを平気でやる人がいる。これを警察は完全に軽い犯罪は事件にならんというのですが、私の所では問題になっている。一度これは県警本部へ申し上げないとだめではないかと思います。こんなに市民の日頃の生活を傷つけている。想像がつかないと思いますが、鈴鹿市でも一時期あったかと思います。そのようなことですので、何とか駐在所とか交番を引き上げていかないようにしてほしいと思っています。場合によっては、そういう人を捕まえていいなど、警察権的なものを県警本部は譲って頂けないかと思うこともあります。警察官が増えたときは亀山市に頂ければありがたい。これは愚痴ですが、本当に大変な状況です。
知事
警察官の話については、毎年国のほうに定数増をお願いしており、全国の中でも警察官1人あたりの県民の持分からいいますと、三重県は多いです。すなわち悪い方から何番目という状況です。増員と安全の充実は大変密接な関係があるので、力をいれないとだめだと考えています。それなりに他の県よりも三重県には配慮をいただいているのですが、なかなかそれが実態として全国での県の順番がかわるほどの効果はありません。これについては県としても国に対して強く要請していきたいと思いますが、増えた人員を安全安心に着実に結びつけていくことが大事だと思います。最近は刑法犯罪の成立も低くなってきて、検挙率も上がっているということで、全体としてはそれなりの効果も出ている。しかし、具体的にそれぞれの地域の課題があると思います。亀山市の実情については公安委員会、警察本部の方で決めていただきますので、亀山市から強い要請があったことを伝えておきます。
(2)地域課題について
川越町長
現在、北勢沿岸流域下水道の未利用の土地が7万5000m2、土地が使われていないところがあります。新聞等をみますと、企業立地の関係で北勢地方に土地がないという話が出ていたというように思いますが、こういう土地は目的に応じて購入されたと思いますが、やはりいつまでも税金の底付けをしなくてある程度の事をみて賃貸ができないのかなと思います。地域においても町で土地を購入した経緯がありますので、そういう経緯の中で、賃貸しているところが2、3あります。自主財源をお互い求めるという考え方であれば、税金を投入していつまでも未利用、将来は利用しますが、それまでの期間でも貸すべき企業があれば、駐車場やトイレのこともありますが、用件が整えばという事で、やはり大きな土地が川越町の土地も一部ですので、少しでも財政が潤うように考えてみてはどうかと提案したいと思います。
知事
お話にありましたように、北勢地域に産業用土地が不足しているというような状況がございます。それで、三重県はチャンスの時だと言いながら、土地がないためにそのチャンスを逃してしまうという事は残念な事だと思います。それで実は私も当初そういう事については知らなかったのですが、去年のちょうど夏頃に、どうもそういう傾向があるということを知り、何とかそれに対応していかなければならないと思いました。それで検討した結果が、産業用土地の地域での開発について、例えば工業団地を作るとかそういう事だと市町のリスクが非常に高いわけです。そのリスクの高い状況をわかっていながらやれという事ではなくて、何かそれについて県も支援策はないか、という事で開発経費について市町に無利子で貸し付けをするという事にしました。そういうことにしましたが、具体的な例として北勢沿岸流域下水道の処理区の土地の問題ですが、確かに公用地でそれを未利用のまま残しているという事については問題がございます。けれどもこれは全く利用の宛がないまま置いておくというのではなく、将来的に下水処理の問題でいきますと、整備を進めていく中で処理施設についても拡張していく将来計画もありますので、そういう事があると、なかなか一旦それを貸してしまうという事になりますと、いざ使わなければいけないときに使えるのかどうかというようないろいろな問題があるように思います。そういうところから、この問題についてはなかなか県として利活用について消極的になってしまっていると思います。
北勢流域下水道事務所長
お話のありました土地については、将来、水処理の施設用地としまして、全体計画とあわせて一体的に取得したものです。現在の流入量の予測については、平成38年頃には施設建設に着手をする予定です。今後の面整備の進捗によってはさらに早い時期での着手が必要になることもありますので、ご理解頂きますようお願い致します。
川越町長
それについては平成38年という事は聞いていたのですが、何故そのような事を発想したのかと言うと、四日市港に霞4号線が入ります。企業から聞いた話ではモータープール、車の置き場所が四日市港に足らないという事を聞いたものですから、そういう条件が整えばお考えいただきたいという事です。
知事
具体的なお話はご提案として出ているようですから、それはそれでそういう使用が可能なのか、現実にそういう需要、私も四日市港管理組合の管理者ですが、駐車場確保の話は聞いてはいないのですが、県の計画に差し障りのないかたちであればそれは一つの方法だと思います。一度それを調べてみてください。
朝日町長
二つ程お聞きしたい、お願いしたい事があります。先程少し触れさせて頂いたのですが、人口が増えていることと関わって、特に若い方々が定住されたということで、幼少人口といいますか、小さなお子さんが急激に増えている中で、当面の対応としても幼稚園、保育園をどうするかという事で対応が必要なわけですが、こういう財政状況の中で、今、国も制度改革の中で「こども園」というかたちで制度改正をされて、これを進めていこうというような動きがあるわけです。少子化対策とも関わって、県としてどのような対応をされるのかという事のお考えがあればお聞きしたいと思います。
それからもう一つ、先ほどの「新しい時代の公」、そして「文化力」というものは、もちろんそれぞれの町で基本的には具体的に考えるという事なのですが、やはり少子化の問題と関わって、なかなか小さな町は部分的な将来的のことを含めた政策のスタッフというか、そのようなことは非常に希薄であります。そういう面で人事交流となると本当は一番いいのですが、これは決して県に人が余っているというわけではないのですが、できればそういう部分の人材派遣を将来的な形でやって頂きたいと思います。その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
知事
少子化対策、子育ての観点から「次世代育成計画」について、平成16年3月に策定したものを平成17年度から具体的に県として力を入れてやっていこうということで、一つは例えば延長保育であるとか、一時保育であるとか、いわゆる特別保育を充実させようという事です。それから三重県が特に遅れていると言われている学童保育を充実させようという事で、特出しで重点プログラムの充実も図って展開をしているという事、これが一つです。それから「地域子育て支援センター」というのを市町でやって頂いているのですが、それについての支援、これは育児不安等の児童相談や家庭の養育支援、こういった事のより充実を図っていこうという事でやっているところです。県の「次世代育成計画」に基づいて、そういう施策については重点的に対応しようという事と、それから「新しい時代の公」という観点からいきますと、いろいろな地域や企業、地域の団体でいろいろな形で次世代育成に活動をしたい、力を貸したいという気持ちを持っているところがあります。ただ、それぞれが例えば資金がないとか活動する場所がないとかいう団体があれば、一方ではそういうお金や場所は提供できるけれども、具体的な活動はできないというところもございます。そういう意味で県が下からのコーディネーター役をやりながら、そういうところをマッチングできないか、という事でネットワーク作りをして、それを活かしていこうという事で今年から始めましたのが「次世代育成応援ネットワーク」というものでございます。これも今参加をして頂いている企業や団体もどんどん増えています。これは地域でそれぞれ子どもたちをしっかり育てていこうというほかの県にはない三重県の非常に特色的な取り組みではないかと思っています。
それから文部科学省と厚生労働省で、いわゆる今までの教育という観点から幼稚園という制度があり、それから保育という観点から保育所の制度があります。しかし、縦割りでいろいろと市町の現場においては、使い勝手の悪さ、連携の悪さを指摘されてきましたが、これを一緒にしていく、どちらも相互に連携できるようなものにしようという取り組みをやってきているという事です。そういった事について「認定こども園」という制度が10月から発足するという事で、県ではその基準条例作りについての準備を行っています。今後その制度の活躍という事も考えて頂けるし、あるいはそれを先進的に工夫しながらやっているという事例がありますから、そういう事例を県で紹介させていただきながら、参考にしていただければいいなと思います。
それからもう一つ、人的な支援という事についてもお話がありましたが、去年の6月に「三重県権限移譲推進方針」というのを出させて頂きました。この中で権限移譲に伴います県からの指導とか派遣といったような人的支援、こういう事について方向を打ち出しているところです。ただ、これについては、市町の職員の皆さんには説明会等を開催したり、あるいは県の機関にも研修職員の・ッ入れとか、あるいは助言相談窓口を、というような事もやっておりますが、実際に人的支援という事になりますとそれぞれ条件でどういう業務で、どういう状況の中でということがあります。したがって、そういう事については個別に内容をお聞きし、ご相談をさせて頂きたいと思います。そういう形で具体的な支援の中身については協議をさせて頂くという体制で取り組んでおります。是非、具体的なことについて担当レベルでより具体的な話をさせて頂きたいと思います。
菰野町長
今、私は地方税管理回収機構の管理者を仰せつかっております。かなり厳しい取立てが行われているわけですが、そういう徴税礼状に対して私の名前が書かれている関係から厳しい取立てに対して、私の自宅へ文句が来るわけでございます。これはボランティアで働いていながら、大変なことになっておりますが、1年限りですので辛抱しているわけでございます。そういう面で大変厳しい税の取立てをやってもらっている事については、感謝をしながらも辛抱しなければならないという事でございます。そのあたりについてもご理解を頂きたいと思います。
また、子育て支援関係で今日も新聞にいろいろな休暇の取り方が出ておりましたけれども、一方においては人員削減を行っている時にOBの採用であるとか、あるいは臨時に採用という事から、人員削減と逆行するような形で推奨をされているのもどうかなと思います。
それから消防の関係でございますが、消防の広域化の問題が出てきております。菰野町は、小さいながらも単独で消防本部を持っているわけです。現在、救急車2台、予備車1台という形で毎日毎晩活躍をしてもらっているわけでありますが、果たしてこれが 30万人規模の広域化になった時に、地形をあまり熟知していない人達が救急活動に参加する段階で、救急の時間に間に合うのかどうかというような事も若干心配をしております。また、消防団員の増員についても最近消防庁長官からも通知が出ており、私どものような小さなコミュニティの中においても消防団の確保というのは大変苦労をしているわけです。それぞれの地域においては本部操方大会において準優勝を頂く程、熱心に消防活動に頑張って取り組んでいる地域がまだまだ残っています。そういうものを大事にしながら優秀な消防団員を確保するために、各自治会長さんにお願いをしている状況です。人集めには苦労がいるな、という感じでございますので、一方の消防の広域化についても地域の特性に合わせたような形の広域化の絵を描いて頂きたいと思います。
知事
まず、最初に保健所の話がありました。これについては、四日市市の中核市移行ということがはっきりしてきましたら、この四日市保健所にかかるところの組織改編という事が起こってきます。その際には菰野町、朝日町、川越町にかかる事務についてはどうするかということになってきます。地域住民の方に影響のあることでございますので、どの程度皆さん方に影響を及ぼすのかという事等について調査を行っているところです。できるだけ住民の方にご迷惑のかからない方策というのを検討していきたいと思います。今の段階ではそういう事しか申し上げることはできません。
それから地方税管理回収機構につきましては、大変敬意を表し、お礼を申し上げたいと思います。これはそれなりにつらいところはあるでしょうけど、税の公平という観点から非常に大事な取り組み、効果をあげている取り組みではないかと思いますので、なお一層よろしくお願い申し上げたいと思います。
それから消防の問題でありますが、ご周知の通り消防組織法の一部を改正する法律案が通りまして、いよいよそれの基本指針が7月に告示されました。したがって、今後消防体制についてはいろいろと改編が行われなければならないということになっています。来年平成19年度中に都道府県で「消防広域化推進計画」というものを作るということになっておりまして、その上で「広域消防運営計画」を作成して、平成24年度末までに消防の広域化の実現をするというスケジュール方針になっています。したがって、県では今後こういった手順に従いまして、具体的な絵を描いていかなければならないという事になります。
菰野町は消防体制を地域でしっかり取られていることでありますけれども、その際の菰野町という単位でやっていることのメリットもあれば、広域化することによって、より効果をもたらす規模のメリットも期待できるところであります。そういう意味では 30万人規模以上というような一つの基準はありますが、どういうふうに考えていくのかという事は相当しっかりと議論していかなければならないと思います。例えば、警察機構は県警本部という1本の体制です。したがって消防体制についても県下1本の体制という事もどうだという意見もあるかと思います。そのことによって消防がいわゆるドクターヘリ等、かなり広域化した中で、最先端の消防救命機器を持って機能性を発揮できるというようなこともあるでしょうし、それからRDFの爆発事故等もございまして、消防・消火についてもより高度な専門的知識等を要求されるといったこともあります。そういう意味ではかなり消防の広域化という事によるメリット、これが本当の意味で県民にとってより望ましい状況になるのか、また広域化する場合にはそうでなければならないという観点があろうかと思います。したがって広域化による消防体制の充実強化という意味の「充実」や「強化」という事が、やはりきめの細かい消防体制から切り替えるにふさわしい中身がなければならないと思います。そういう意味で今後十分に議論をしていく、あるいは市町間の調整といったものを図っていく必要があるのではないかと思います。非常に重大な課題でありますが、しっかり議論を進めさせて頂きたいと思います。
人員削減の問題ですが、確かに国では厳しい人員削減計画を求めてきているところです。そういう意味では菰野町の方も職員の増減、4.7%減という目標を出されているところです。合併したところは人員削減が出しやすいと一般的にいわれています。していないところは人員削減を打ち出すというのは物理的には非常にきつい部分があるということで、菰野町の方もそういう意味ではかなり苦労されているところではないかと思います。そういう中で市町村の責務はますます大きくなってきておりまして、逆行しているのではないかという印象を持つというのも十分わかるところであります。何しろ、国民全体が「小さな政府」、「官から民へ」を圧倒的多数で支持しているというのが昨今の政治状況です。したがってこれは受け入れざるを得ない状況の中で、私どもとしてはできるだけそれが住民サービスの低下に結びつかないように知恵工夫をしていくという事が大事だと思います。そういう意味での質の行政改革としての「新しい時代の公」、「文化力」といったものがより重要にもなっていると感じており、そういうところでのより一層の知恵工夫が大事なのではないかと思います。
亀山市長
平成10年に「道路整備10ヵ年戦略」というのを県で立てて頂いたところですが、これが「15年戦略」に変更になりました。その経過の中で、つい最近この内容を見直したという形で、また私達に説明を頂いているところでありますけれども、やはり本当にその地域に何が重要かということに重点をおいたときに、県の方もそれに対してご理解を頂いて、それについての問題、予算、人員等の何らかの対処をして頂きたいと思います。私どもはどんどん動いていますので、そういう話し合いもできたらと思います。
知事
県も私が知事になりました時に「道路10ヵ年戦略」の見直しという事で、当時平成14年度の予算と比較しますと平成15年度は当初予算も落ち込んで、しかも公共事業のやむなき削減・縮小を余儀なくされている中で、この「道路整備10ヵ年戦略」を立てるという事は非常に困難な状況でした。特に一番大変だったのが、その地域毎でこの道路は必要だ、だからとにかく整備をやれという要請がそれぞれの地域から多くあがってきているわけです。そして、それに県が対応しようと思うと、とてもではないが「10ヵ年戦略」の中のこれくらいの規模で、それでもかなりマックス見ながら取っていこうと思いましたが、それでは地域の要望には応えられない状況だったわけです。それで私からそれならば乗せられないという事では地域の皆さんも収まらないでしょうし、したがって10ヵ年というのを15ヵ年という事にすることによって、これは地域にとってどうしても大事な道路で、将来どうしても整備しなければならないというものについて位置付けが見えてくるのではないか、という事で平成15年に「15ヵ年戦略」という形に切り替えたということです。
ところがその後もまだまだ公共事業に関する環境が悪くなってきているわけです。今度この戦略を見直すという事になりますが、私どもとしてはやはり三重県はまだまだ道路について十分整備が行われているとは言えない。大変遅れている部分でありますので、ここはしっかり対応していきたいのですが、国全体の状況の中でできる形でやっていかざるを得ません。その際にやはり緊急性とか、災害と関連した緊急性、あるいは地域のニーズからいくところの優先度、こういうものを十分反映して決めていく事が大事です。県としては当然市町のご意向を十分お聞きして、それを反映していく事が大事だと思いますので、そこは是非亀山市も県の方に十分お伝え頂きたいと思います。
ただ、問題なのはあれもこれも追加して、といっても結局は総量として制約がありますから、他の町のものをこれは必要ないからと切って、というのは難しい作業です。しかし、県全体で見た時の優先度というのも非常に大事な観点でありますので、場合によっては亀山市に限らず、全体的な調整の中でご理解頂かなければならないところもあると思います。概ね10年の間にその中の幹線基幹道路となるようなものについては、少し遅れすぎているきらいがありますから、こういうのは是非完成させていかなければならないと思います。第2名神だとか、あるいは東海環状、これは国の方針によるところが強くありますが、しかし、第2名神については大体の整備期間の提示がございました。それから北勢バイパス、中勢バイパス、関バイパス、こういったところの直轄国道の整備も未だにこれができていないというのは三重県にとっては非常にマイナスだと思っていますので、早くこれを完成させる事が大事だと思っています。したがって、そういう基幹的なものに関しましては概ね10年以内にできるようにしていきたいと思っています。直轄については負担の問題もございますし、県としては非常に苦しいところもありますが、やはりそこは選択と集中ということで対応しなければいけないと思っています。ただ、全体がそういうことでありますので、そのことの影響が県の単独事業などいろいろなところにでてきていて、これは本当につらい部分がありますが、やはり出来る範囲でしかできないという現状も厳しくありますので、ご理解頂きたいと思います。そういう意味では十分市町とも話し合いでの調整が大事だということがありますので、ご理解とさらに一層のご協力をお願いしたいと思います。
鈴鹿市長
鈴鹿市は伊勢湾に面した平野という関係で、非常に海抜の低い土地がたくさんあります。また、海岸に面している市町にとっては同じような津波とか雨水対策事業というものが喫緊の課題になっています。鈴鹿市は今、国管理の河川が2河川、県管理の河川が 18河川、市管理の河川が27河川となっております。その他一般の水路や過去の水害で改修事業を進めてきた水路もたくさんあります。ただ河川事業や雨水対策というのは非常にお金もかかりますし、それからなかなか住民の理解も大変難しいところがありますが、特にというので、私も住んでいる白子地域が約3万人の人口がありますが、ちょうどすり鉢状態の地形になっており、上流の雨水が流れてきて今でも浸水の被害がでております。昭和63年には白子の周辺で300戸の浸水、平成16年の台風21号では寺家地域で200戸の浸水という被害も出ています。この白子、寺家地域は県が管理して頂いております堀切川と釜屋川の流域になっております。放水はそこに全部集まりますので、この浸水対策のために市は調整池とか、貯留施設、ポンプ場などを作って排水の改良を行っておりますが、抜本的な解決を図るためには、どうしても両河川を改良・改修をしていく必要があります。
この雨水の流入の軽減をするために、自然の災害というのは農家の田んぼに全て守ってもらっているという状況であります。そういう事を考えますと、現在の堀切川は高潮対策という関係で昭和 63年から事業を始めて頂いて、ほぼ本年度で暫定的に完成するというところまできました。これは県の事業として感謝を申し上げます。ただ、高潮対策であり、高潮がなければポンプはあまり活用出来ないという部分がございますので、そういう意味ではどういう時期に高潮の対策事業が稼働するのか、私どもも心配をしております。むしろ近頃、白子の住民が望んでいるのは堀切川・釜屋川の排水能力のアップをぜひ引き続き進めて頂きたいと思っていますし、またこの事業も県の方も計画をして頂いていますが、ぜひ一つは鈴鹿市も全体の雨水・排水の対策事業等を地域で計画して、今年から事業の展開をさせて頂きますので、県の河川改良等と共に地元の雨水対策と合わせた協議しを頂いて、より能力アップができるような取り組みをお願いしたいと思います。
それからもう一つ、最近は集中豪雨で80~90ミリという雨が降ることがあります。この国の基準か県の基準かわかりませんが、この河川改修ですと雨量65ミリというひとつの基準がありました。それによって改修されていますが、今はもう80~90ミリという集中豪雨がでていますので、是非そのあたりも見直しをして頂いて、これからの河川改修・雨水対策を進めて頂きたいと思います。
知事
堀切川については暫定改修を平成12年度までかかってやっているところでありますが、その後高潮対策事業という事で展開をしております。伊勢湾台風の当時に作った高潮堤防が不十分であるという事で、全体の高潮対策については昭和63年からかかっているのですが、何しろ膨大な経費もかかる、長い期間もかかる事業の中で、この堀切川についても対応しているところです。鈴鹿市長もご存知だと思うのですが、私はここのところについて担当の方から聞いて参りましたが、防潮水門であるとか、それから県のポンプ場の設置を重点的に行っていこうということで、どうしても下よりも上流の方からということで、それで今年ポンプ場については暫定的に完成を予定しているということで順次河口の方へ、すなわち亀山市の改修についても今後やっていく予定です。市のポンプ場もあるということも寄与していまして、そんな中で、今後より連携を図りながらやっていこうと思います。
それで地元の豪雨での雨水対策ですが、今の基準でいくと60ミリということで、とてもつかないということですが、これを仮に高めますと、国全体の計画の見直しになって、多分国では対応できないのではないかと思います。ただ、最近こういう集中豪雨が頻繁に見られます。現在国の状況等がわかればよろしくお願いします。
鈴鹿建設事務所長
先ほど鈴鹿市長のおっしゃった雨量が最近多くなっているわけですが、雨量強度の見直しということですが、県も随時必要に応じて雨量の見直しを行っています。ただ、平成16年に大きな災害が南の方で起こりましたが、北の方はその時点でそれほど大きな雨は降っておりませんので今のところ見直しにまでは至っておりません。それから雨量強度も当然多くすれば、時間が相応にかかるということで、今の河川の改修の考え方は、段階施行といいますか順次段階的に段々能力をアップしていくというような整備の仕方をしておりますので、今後とも雨量強度に対応した整備を順次進めていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
鈴鹿市長
海岸部に住んでいますとすごい集中豪雨をうけますと災害ということが考えられるのですが、どちらかというと海岸線の住民から見ると、上流部が開発され住宅が建つとかになると被害が全部海岸部に来るという見方がございますので、是非その辺は変えて頂きたいなと思います。改修は是非出口からお願い致します。上流が良くても出口が詰まっていたら排水が出来ませんのでぜひよろしくお願いします。
知事
しかし白子の団地もすり鉢状の低くなっているところに何故団地ができたのでしょう。今、防災で出ているのはいざ地震がきた時に揺れやすいところ、あるいは津波にすぐやられるところという地域へなるべく住まない、人家を建てないというような基本をしないと、災害の時にまた同じような事が起きるという、教育大学の原田先生はそういうご指摘で、防災に強い町づくりというような発想が大事ですよ、ということも言っています。
鈴鹿市長
最近、海岸に住む人が増えています。今まで空き地だったところがまた開発されて、住む人が多くなってきます。これをこまめに制限するということはできません。
知事
地域によっては輪中提を作っているところがあります。そこは確実に少しの雨で水に浸かるという事がわかっているところを民間の住宅業者が開発をして家を売ってしまうわけです。やはりそういうあり方について我々行政の方は、それによってどれだけまた余計なコストが必要になるかわからないということを反省材料にしていくべきだと思うのです。そうでないと、本当に災害に強いまちづくりにならないのではないかと思います。
鈴鹿市長
現実的には、ずっと住んでいます。伊勢街道などの関係でずっと住んでいる方がほとんどですので、そういう点では正しく拡大してきたとは思いますが、そこに責任を持っていくのは難しいのではないかと思います。
知事
行政はやはりそういう事を今後は考えて指導していくべきだということで、何かなければいけないということは今後の問題だと思います。
四日市市長
四日市市も地域課題が五万とあるぐらい多いのですが、特に話題になりました北勢バイパスについて認識を深めて頂けたらと思います。地域課題ということで、地域でいろいろとぶつかる課題になってきますが、四日市市にとって最大の課題が北勢バイパス道路の整備です。もちろんこれは久留部遺跡が発見されたりして少し遅れてしまっているのですが、先ほど知事の仰っていた緊急性、それから地域のニーズの優先度というのはすこぶる高いのではないかと思います。もちろんこれは県の負担を伴う直轄道路ですので、私の方もお願いをするという以外はないということですが、産業振興のための道路というよりも、四日市市は「8分消防、5分救急」を実現するのだと、安心安全のためにこれが非常に大事だということで、例えば、火が出た時に出火現場に8分以内に消防自動車が到着して消火作業に着手できれば重症とか人身事故が防げる確率が高い。あるいは5分以内に救急車が到着できれば救命率が一段と高い、そういう事では、どこからでも「8分消防、5分救急」を実現するというのが結局は安心安全、そういう観点から神前地区に仮の名前ですが中央分署というものを作って消防車や救急車、消防要員を増やすということで「8分消防、5分救急」をやるわけですが、一方では北勢バイパスが市内を貫通しますと、一気にこの問題の解決ができるということです。北勢バイパスが開通しない時には、消防車や救急車や消防要員を増やしてもなお実現できないということになってしまう。もちろんそのような贅沢なものを作るつもりはありませんので、隣接の市や町の皆さんと協力体制ができる広域消防体制をしないとだめですから、平成19年の4月1日から桑名市と共同運用を図るということで、通信指令システムを合意をしておりまして、四日市市、朝日町、川越町、桑名市、いなべ市、木曽岬町、東員町、これで53万人の通信指令体制を確立しようというふうにしておりますし、そういう意味では「消防活動の支援センター」も作るということです。知事の話も聞きまして将来的には県下一本になるのでしょうが、そういう下から着々と広域消防体制を作りつつあります。そういう中で、やっぱり北勢バイパス、中勢バイパス、これがいかに早くできるかということになりますので、その点を是非お願いしたいと思います。
知事
これについては私どももそうしていかなければならないと思っています。従って私もかなり国土交通省にも要望し、お願いしてきました。そのことについては随分国土交通省も三重県の状況というものを理解し、そして対応してくれているのではないかと思います。それにしてもまだ時間がかかるわけです。北勢バイパスや中勢バイパスの鈴鹿の部分については土地の取得の難しいところもあったのではないかと思いますし、過去にいろいろな事があったのではないかと思います。ただ、私も知事になって、何故こんなに遅れているのかということは、やはり相当な問題だと認識をしたところです。ただ、ちょうど時代がそういう中で予算が狭まっていく時代です。したがって一方で失うものもあるというところの覚悟はしておかないといけない。広域消防のお話がでましたが、例えば都市でも政令指定都市になると道路の整備とかそういうものには相当自由度が高まるのと、また効率性も高まるといわれています。そういう意味では三重県にはそういう政例指定都市というものがありませんので、県もその役割を果たしていかなければならないのですが、どうぞ地域のあるべき姿というものを考える時には、相当将来的な展望も含めて是非一緒に考えていけるようになればと思います。
知事
個別にまた地域課題についてはお聞かせ頂く機会があろうかと思います。いずれにしましても、今後とも皆さんに県の行政との連携をより太くして頂けるようお願い申し上げたいと思います。本日はありがとうございました。