「膝づめミーティング」(南勢志摩地域)の概要
1.開催日時
平成18年7月6日(木)
14:30~17:50
2.開催場所
ウェルサンピア伊勢
3.出席者
伊勢市長、鳥羽市長、志摩市長、玉城町長、度会町長、大紀町長、南伊勢町長、知事ほか
南勢志摩地域の「膝づめミーティング」
4.知事挨拶
今日はお忙しいなかお集まりいただきましてありがとうございます。
知事に就任しまして4年目になりました。就任してから膝づめミーティングをやらせていただいてまいりまして、今年は4年目、4回目ということになります。私にとりましても、市町の皆さんと一緒に県民の皆さんや、いろんな関係の団体、企業と県政を一緒に進めていきたいと思っており、その一番基本になるところでありまして、私としてもこういう機会をありがたいと思っております。今年も忌憚のないご意見をいただきたいと思いますし、特に今年は県の総合計画「県民しあわせプラン」の戦略計画の最終年度であり、その成果を出すとともに、同時に次期戦略計画の策定をしてまいりますので、是非ご意見をいただきたいと思います。
県政のことや国の財政構造改革などについて少し述べさせていただいて、後ほど皆さんからご意見をいただきたいと思います。
まず、南勢志摩地域についてでありますが、今後いろいろな大きな行事が続いてまいります。言うまでもなく式年遷宮があるわけです。これについては前回のお木曳きでは1日の参加者が1万2、3千人、今年は3万5千人、来年はそれを上回る方々に来ていただけるのではないかと思います。だんだん盛り上がりが出てきており、そういう意味では「文化力」に関係しますが、2013年戦略、実際には2014年をターゲットにして、「こころのふるさと三重」をテーマに全国に発信していけるようにしたいと思っています。2014年に仕上げのイベント、その5年前の2009年には前半のヤマを作りまして、大きなものについては県が主導的に行っていかなければならないことがあるわけですが、市町でもそれぞれ自主的にいろいろ事業を絡ませて県と協働して行っていただきたいと考えています。これについては、今年度中に今後の具体的な議論ができるような考え方をまとめてご提示できたらと思います。具体的な進め方は来年以降になると思います。
今年は11月8、9日に全国自然公園大会があります。伊勢志摩国立公園が指定60周年となり、ここのすばらしさを是非アピールしていきたいと思っています。エコツアーをはじめとする豊かな自然を観光資源にした集客交流を定着させる契機にしたいと思います。
また、同じ11月に第6回の新体操ワールドカップファイナルがあります。これは県営サンアリーナで開催するわけですが、4年後の2009年の第29回世界新体操選手権大会のプレ大会として位置付けしているものです。今、実行委員会では大会に向け準備を行っているところですが、最終的なポスター、大会のロゴマークなどが決まってきたところです。なお、このワールドカップファイナルについては、第13回世界新体操クラブ選手権が同時に行われるところであり、また、イオンカップがワールドカップファイナルを挟むかたちで行われます。その前に11月3日から5日は第59回全日本新体操選手権大会が行われます。したがって今年は新体操を伊勢志摩から世界に向けて発信していく、こういうことであります。国内外のトップアスリートが華麗な、すばらしい演技を見せてくれるということで、これを是非成功させたいと思います。
それから以前より宮川流域ルネッサンスについていろいろな取組みをしてきました。この流域の魅力的なフィールドをエコミュージアムとして創り上げていくという活動があり、その拠点として大紀町長のご協力をいただき旧阿曽小学校校舎を活用した「宮川流域交流館たいき」が4月12日にオープンしました。宮川流域ルネッサンス事業につきましては、近畿自動車道紀勢線が大宮・大台インターまで開通したということもございますので、さらに多様な主体が協働しながら魅力的な地域づくりを行う「新しい時代の公」の実践例として推進していきたいと考えています。
次に県の政策課題について申し上げます。まず資料1の「三重県政の新しいステージ」です。今、時代の流れとして、私たちの目指している社会は自主自立的な地域主権の社会であります。今の時代、私たちは地域で自立的に自主的に主体的に自らの地域を作っていくという、地域主権の社会を実現していくことが一番大きな将来の目標になっていると思っています。そういう意味で、旧来の県政の延長の中で新しい展開が必要だと考えております。そこで今、三重県政は新しいステージに入ってきていますので、県政の今の形を1枚の図にさせていただきました。県政の展開として県は県民の人生の舞台であり、誰のための県政であるかという基本に常に立ち戻って、これをあらゆる場面で考えながら三重県をどのようにつくっていくかという展開をしていかなければならない。従いまして、舞台の上では県民が主役であり、そして県民のみなさんにその舞台づくりに参加していただいて、協働で行っていく。そのためには私としては県職員にも県民の思いをしっかり受け止める感性を磨きながらやっていこうという3本柱の基本姿勢を掲げていこうと思っています。そこでどういう三重県を作っていくかについて、総合計画「県民しあわせプラン」の中で実施計画を策定しており、その中に重点プログラムなどを掲載し、数値目標を掲げているものであります。これにつきましては19年度の次期戦略計画に向けて、準備をしていかなければなりません。右側のどのようにということにつきましては、今の分権の動きなどをその中に書き表してあります。地域主権を作るということは、そのために分権化を国民に対して強く求めていかなければなりません。合わせて受け皿である県・市町が行政能力をしっかり高めて、自分たちの主体的な地域づくりを行うための十分な力をつけていくことが大事なことです。いつも県民の皆さんに申し上げているのは、地域主権の社会というのは一番大事なことはそれぞれ自分でできることは自分でやること。少なくとも行政に甘えるということを求めないでください。自分でできないことは家族・地域で助け合い、その上に基礎自治体である市町があり、市町でできないことを県が補完し、それを国が補完していくという、いわゆる補完性の原理というものをしっかり持っていかなければならない。そういうことに基づいてしっかりとした取組みがないとなかなか地域主権の社会ができません。三重県ではその行政能力を向上させていくという意味では、みえ行政経営体系でマネジメントシステムを構築して、その中で危機管理であるとか環境マネジメントシステム、あるいは経営品質向上活動など、絶えずベースにしながら全体最適化をしていこうと思っています。率先実行取組をご存知かと思いますけど、三重県ではマネジメントシステムのツールとして実践しながらそれぞれのミッションを具体的にどう取組んでいくか、それを職員とともに考え、それを明らかにして自分のマネジメントの進行管理を円滑にしていく。なお、最近は人材育成も非常に大事です。財政状況がだんだん厳しくなってきており、人員も削減しなければならない、その中でいかに能力を高め、それを発揮できるのかということが重要です。そういう中で三重県の新しいステージにおいては、ベースになるものが二つあります。一つが「新しい時代の公」であり、もう一つが「文化力」です。「新しい時代の公」はどのようにやっていくのかという行政運営の仕組みのベースになるものです。旧来のコラボレーションといったことをうけ、行政そのものをガバメントからガバナンスに持っていこう。これについては平成16年度から実際に取り組みを始めていますけれども、さらに磨きをかけて、県や市町、県民、団体、企業などと連携しながら公を担っていこうという考え方でございます。
次に「文化力」というのがあります。「文化力」につきましては次のページをご覧ください。文化力指針というものを先般5月9日に策定しました。この「文化力」の考え方ですが、今、時代が非常に変わってきた。特にこれから人口減少時代になります。これまでの社会のシステムや価値観まで変化してくるという時代ですから、一方で社会のひずみが顕在化している。ニートの問題であるとか、子どもの問題であるとか、こういうことを考えると、行政がこのような変化に対して、あるいはひずみの解決に対してうまく対応できていない。そういう限界を皆さんも感じられると思います。そういうときに対処療法的な施策ではなかなか解決できません。社会の体質改善なり、社会を健康にするには、中長期的に漢方薬的なものが必要ではないかということで、私は「文化」というものに着目しました。文化といいましても、それは「生活の質を高めるための人々のさまざまな活動及びその成果」と人の生き方・竦カき様を含む非常に広い意味でとらえたものです。その「文化の持つ、人や地域を元気にし、暮らしをより良くしていく力及び人や地域が持っている人々を引きつけ魅了する力」を文化の持つ総合的な力として「文化力」ととらえ施策に生かすことができないかと考えたものです。そして「文化力」を三つの側面に分けて考えました。それは心豊かに生きるための一人ひとりの力「人間力」、たくさんの人の力が集まって、地域の魅力や価値を高める力「地域力」、さらに、人間力や地域力の源泉になる、新しい知恵や仕組みを生み出す力「創造力」、この三つの側面に着目して、これをすべての政策のベースに位置づけていきたいと考えています。これまではスピード、改革、こういったことばかりが強調されましたが、そういった経済的な価値ともいえるような判断だけではなくて、経済的な考え方とバランスを持って文化的価値にも着目して政策を生み出してバランスのとれた政策へ転換していくということであります。
一番下にも書いてありますように、三重はすばらしい資源を持っているわけで、そういう三重県を「文化力」で人々の心を元気にし、地域を元気にし、そして産業まで元気にしていく、その結果、歴史と文化のいきづく「三重の未来」というものを作ってまいりたいと考えています。
次のページですが、ここには文化力指針別冊のポイントを用意してあります。書いてありますように職員向けの政策ツールとして、職員の意識改革、政策を考える際の発想の転換のツールとして作ったものであります。点々の枠の中にありますように、私たちはさきほどの三つの力と同時に三つの「わ」というものに着目しました。すなわちストックの活用・循環、あるいは交流・連携、多様性と調和、この三つの「わ」に着目をしまして下の表にようにマトリックスでその政策を考える際のヒントとして九つのものをあげてあります。これを職員のツールとして活かしながら次期戦略計画においては、職員のあらゆる政策についての質的な変化を目指していこうというものです。考えてみますと、今行財政改革が余儀なく進められてきており、旧来的な行政の発想ではなかなか対応できません。これまでは形とか仕組みの行財政改革であったと思いますが、これ以上財源も人員も削減していく中でどのようにしていくのか。そこで一つは質の行政改革であり、「文化力」は政策を質的にもう一度考え直すという質の行政改革ということになるのではないかと考えております。私たち県の職員の政策ツールとしていますけれども、「文化力」そのものの考え方は県民の皆さんと共有していかなければならないと思っていますので、市町におかれましてもいろいろとご意見をいただきたいと思います。
次の次期戦略計画策定方針について説明申し上げたいと思います。基本的な考え方として「新しい時代の公」と「文化力」という考え方を2本柱として進めることにします。総合計画は10年間を見通したかたちで16年からスタートしております。そのとき基本政策の5本というのは、この2つを基本にしているということであります。
二つ目に広域的な県土づくりの方向というのがあります。これは次期戦略計画において、より広域的な観点から県土づくりの方向を明らかにしていこうということです。その際にこれまでの生活創造圏のエリアは、市町を中心とした地域で担っていただくことになり、県はこれを支援するという役割を担います。県では中部圏とか近畿圏など、県境を越えた視点も含めてより広域的な観点から県土づくりの方向を明らかにしていきますが、それぞれの地域において県の事業・政策について、地域ごとにまとめた「地域編」というものを作成します。市町が中心となって地域づくりを担っていただく際に県の事業との連携をよりわかりやすくするために「地域編」を作成したいと思っております。
三つ目に計画の期間ですが、これまでの実施計画は3年間でしたが、次期戦略計画は4年としたいということです。
四つ目に今後のスケジュールですが、予定としては9月に計画の素案を出させていただき、11月に中間案を示してパブリックコメントにかけたいと考えています。
5ページ見ていただくとスケジュールが図示されています。来年度は県議会議員選挙、知事選挙等があります。従いまして最終的には春の統一選挙後の第二回定例会6月議会で決められるものであります。
最後に、国の財政構造改革と道州制について説明させていただきます。これについては今日の意見交換項目の中で「今後の国の財政構造改革について」というのがあります。後ほど担当の方からこれについて詳しい説明をさせますが、私の方からざっと触れさせていただきます。
平成5年に国会で地方分権推進が決議され、その後分権一括法ができまして分権の議論がいろいろと進んできたところです。地方の自主性をしっかり持てるような地方分権ということが本来の趣旨でありますが、その後の議論、特に三位一体の議論は本来の分権改革の議論と大きくかけはなれたものであり、今議論されているものも、交付税の改革にしろ、非常に心配であり危険性があると思っています。来週に全国知事会がありますが私も議論をしっかりやらなければいけないと思っています。何よりも今の改革につきましては、国が地方についてはこうあるべきだというような議論が多く出ておりますが、本来なら改革にあたっては地方自治を実践している地方公共団体の意見を十分聞き、それが反映されるということが大事であります。そういう意味ではこの三重県の地方6団体でも「今後の地方分権改革についての緊急提言」を決議し、国に提言を行う活動もやらせていただきました。いよいよ骨太の方針が出されるわけですが、今後の議論はいよいよ正念場だと思っています。また、これについても意見交換をさせていただきたいと思います。
道州制についても先般第28次地方制度調査会が道州制の導入が適当ということで答申をしているところです。しかし、私としては道州制の議論については目指すべきこの国のかたちというのを、国の役割、地方の役割をしっかり議論して描いていく必要があるのではないかと思います。そういう議論がないまま地域割りなどが提示をされるのはいかがかなと思っています。本当にこの国をどうしていくのかということについて中央政府はどう考えているのか。どれだけの心構えを持ってやろうとしているのかが明らかではありません。それから仮に三重県が道州制導入になったときに、三重県民からみてメリットは何だろう、デメリットは何だろう、というようなことがいろいろと出てくると思いますので、そういうことも明らかにしないと、県民、国民が道州制について考えていくことができないのではないだろうかと考えます。ことに道州制の導入は、国のあり方を含めて検討しなければならないにもかかわらず、地方制度の調査審議のために設けられている地方制度調査会に諮問したことは、その議論に限界があると思います。従いまして私どもは将来のあるべき選択肢の一つとして道州制はあるのだろうと思っていますけれども、まだ具体的に道州制ありきで議論を進めていくという状況ではないと考えています。
さきほど「新しい時代の公」と「文化力」と申し上げましたが、旧来手法の行政改革はもう限界があります。我々はそれでも人員を減らし、国のお金は、三重県も税収が200億円以上増えましたが、交付税で149億円減らされ、そして税源移譲で実質的に地方譲与税で来るものよりもたくさんの補助金が削減されていますから、差し引き結果的には税収が増えた分よりも国から多くカットされ、そのために三重県も引き続いて財政を縮減していかざるを得ません。努力したものが報われるというのは結局国がうそをつくとしか思えない。こういう厳しい状況の中でしっかり皆さんと思いを共通にしながら取り組みをしていきたいと考えています。
市町行財政室長
私の方から国の財政構造改革の動向につきましてご報告をさせていただきます。
お手元の資料2ですが、最近の国の改革の状況と直近の動きにつきまして説明いたします。
1ページ目ですが国の現在の改革の状況につきましては、先般本県におきましても総決起大会を開きまして緊急提言を行っているところですが、すでに御承知のとおり地方交付税の改革が構造改革の焦点となっており、地方交付税の削減が問題にされています。また、竹中総務大臣が先般5月10日に分権改革工程表を提唱しており、新型交付税導入や地方債の発行の自由化、再生型の破綻法制の整備が具体的に検討される見込みです。また、行政改革推進法という法律が5月に成立しており、公営企業金融公庫が平成20年度に廃止されるという状況です。地方6団体は「地方分権の推進に関する意見書」を出して、今後の分権改革についての提言を出している状況です。
次の2ページですけれども、直近の動きとしまして、明日7月7日に政府の骨太の方針が閣議決定される見込みです。その最終方針というのが6月26日に政府与党から示されている状況です。ポイントとしましては、人件費と地方単独事業を中心とする歳出削減努力は今後も地方に継続して要請したいということと、地方交付税につきましては地方側からの強い要請を受けて、現行法定率は堅持ということが明記されています。また、交付税の総額につきましては地方の財政収支の状況を踏まえて適切に対処するという旨が明記されています。また、交付税の配分につきましては、行政改革の努力を行っている団体や今後の地方税収の伸びが見込めない団体に対して配慮を行うといったことでありますとか、算定方法の簡素化といったものが記述されているところです。また、地方税については、今後の税源移譲を含めた配分の見直しにつきまして言及がされました。さらに地方分権を進めるための新分権一括法を早期に制定するといった、そういう方向性が示されているところです。
また、次の新型交付税ですけれども、人口、面積で配分するということで報道されておりましたが、地方側の強い懸念を受けまして6月16日に総務省が見解を出しています。まず交付税につきましては、従来の財源保障の機能でありますとか、あるいは交付税総額に影響を与えるような算定を変えるということはしないということが明言してあります。あくまでも人口・面積での新型交付税は算定方法を簡素化するという趣旨であるということです。
次の3ページ目ですけれども、具体的な制度設計につきましては今秋から設計を検討していく状況です。その際には離島、過疎市町村など真に配慮が必要な地方公共団体には適切に対応できる仕組みを確保するという旨がはっきりと明示されました。また、過疎債など国が約束をして交付税措置をするとしてきた地方債については、これまでどおりの交付税措置を継続するということです。今後の見込みとしましては、来年度から新型交付税が導入され、今後3年間で5兆円規模まで拡大していくという状況です。今後、各地方団体の来年度の予算編成のスケジュールを念頭におきながら、現実の財政運営に支障が生じないように具体的な制度設計を行うとしています。
また、公営企業金融公庫の廃止後の対応というところですけれども、平成20年度に公営企業金融公庫が廃止されることが法律で決まっておりますけれども、地方6団体が現在全国ベースの共同資金調達機関を設立することを提案しており、それを受けまして現在政府の方で地方公共団体が共同して資金調達するための新組織を設立する方向で法制度を整備する検討が進められています。ただ公営企業金融公庫が保有する財政基盤、約3.3兆円ですけれども、それを財政力の弱い地方公共団体の資金調達にかかるセーフティネットの構築のために活用するということが今折衝されていますが、その点の具体的な金額については未決着の状況です。
最後に再生型破綻法制ですが、先ほど説明しました政府・与党方針の中に再建法制の見直しが明記されています。総務省からも破綻回避のための早期の是正の仕組みですとか債務調整の可能性といった様々な課題を今後検討しまして今秋に制度の方向性が、3年以内に制度整備が行われるという見込みがでてきています。
5.意見交換
(1)県の政策課題について
伊勢市長
地域主権の社会を作っていくということで、是非こうありたいと思っています。それは基礎自治体をお受けする立場にあり、県の方からも権限移譲があるという流れが始まっていることも承知していますが、そういったときに、国・県・市町村の三層の役割論をどのように果たしていくかを考えてみると、地域主権の流れの中では基礎自治体がより力をつけ、サービスも担っていく立場になっていくのでないか、その流れが始まっていると思っています。そういった時に県職員のシフトがもっと具体的に表に見えてこないと、実質基礎自治体も支えきれないと思っている。その分権、人や財源も含めてパワーを基礎自治体にシフトされていかないと、なかなか地域主権、基礎自治体主権の自治システムになりにくいのではないかと感じています。役割論が論じられる中にあっては、パワーを持った中間を担う県の皆さん方が基礎的自治体とどう組むか、きちんと議論されなければいけないと思います。
基本になる「文化力」の話ですが、私自身も今度の選挙で掲げさせてもらったのが「わ」です。「わして共に明日へ」ということなのですが、この三つの「わ」があるんですけど、私の「わ」にあってここにあげられてないのが、「和式」ということなのです。日本の社会がいろいろ効率性とかスピードとかいうことでの社会基盤に対する継承とか見直しの中で、今新しいシステムを作らなければならないと思っているのですが、古来大事にしてきた日本の文化、まさに「文化力」だと思いますが、その「和式の文化」、「和式の力」が社会力といった方がいいと思います。この三つの「人間力」、「地域力」、「創造力」、この三つを足したら何になるのか。これを総合力で考えると「社会力」だと思うのです。時代・梠繧ナ社会の力は変わっていくと思います。そういった「社会力」という形でとらえたときに、日本がずっと培っていた「和」の文化、これがまさに「文化力」、今、改めて求められる「文化力」、そういったものにつながっていくのかなと思っています。バランスや調和しか出てきてないものですから、「和式」の見直し、「わ」の力があるのではないかと感じております。
さきほどの話へ戻りますが、基礎自治体の経営、自治の仕組みを作るときにトータルとして、国の役割、県の役割、そのほかにも道州制も制度上あるのかもしれませんが、県との関係を踏まえながら基礎自治体の中で今度は自治の役割、基礎自治体と組んでもらう、まさに「新しい時代の公」の部分だと思うのです。そうような自治の仕組みをどのように作るかが今課題です。これがないと基礎自治体の本当のパワーにならない。自治体も苦しいわけであり、そうそう担える仕事ばかりではない。そうすると自治体は逃げるところがないわけです。県の場合は市町村に振ればなんとかなりますが、私どもは行き場がない。そうすると本当の自治の力、それをどのように作り上げるかが課題になっており、やっていかなければならない。どうしても避けて通れないシステム作りだと思っています。是非、県の視点、県の仕事とすればその基礎自治体は今29市町あるわけです。29市町をどのように機能的に効率よく働かせるかというマネジメントを、立ち入る、立ち入らずに関わらず効率的に29市町が動かないと県の力にならないと思っていますので、そういった意味で29市町をどのように経営するかという視点は是非持っていただきたい気持ちがあります。
鳥羽市長
今日は膝づめミーティングを開催していただいてありがとうございます。
最初に地域主権ということで、先ほど「自分でできることは自分で」と説明があったわけですが、確かにそういった面と、国も県も市や町もより地域に密着したところが行政運営を行う、あるいはまちづくりを行う、そのような方向に向かうことが地域主権ではないかなと思っています。その中で国の方も県に対して、県も市町に対してより裁量の余地を大きくしていただくということがこれからは必要であると思います。また、市や町についても自治会等にそういう裁量の部分を増やすということが必要でないかと思います。先ほど伊勢市長が言われましたが、私たち基礎自治体は振るところがないという話の中で、私も強く感じたのは、例えば福祉関係のデイサービスでの食費の面です。今まで800円の弁当を国の補助300円、市の補助100円で、400円で利用していただいていました。しかし、国からの補助300円が切られてしまった。切るのは簡単ですが、基礎自治体としてはなかなか切れない部分があるわけです。それで逆に市の補助を200円に増やして、600円の弁当ということで我慢をしていただいたところです。基礎自治体としましても非常に厳しい面があるというところをご理解いただき、これからもこのような意味で県の方も市町と市民に密着した考え方を共にお願いしたいと思っています。
「新しい時代の公」、「文化力」の関係ですが、この中で経済的合理性とか効率性だけではなく、経済と文化のバランスをとらなければならない。このことについては非常にありがたいお考えだと思います。今までのB/C(ビーバイシー:費用対効果)の考え方からいうと、どんどん過疎になっていく地域はこれからなかなか予算が付けてもらえないということで非常に辛かったところがありますが、経済も文化もといっていただくとその点は非常にありがたいと考えております。ただその中で、次期戦略計画の策定もあるわけですが、こういう説明を聞かせていただいてからある程度時間も経って、そろそろ「文化力」をどのように具体的な施策に結びつけていくのか、具体的な説明あるいは具体的な実例等もしていただき、これから県民の皆さんが次期戦略計画に対して意見が言える下地が必要なのではないかと思います。漠然と「文化力」を活用するのはいいことだとわかっていても、それを現実的にどのようにすればいいのかが、なかなか解りにくいところがある。そういうところから実例を示していただくということを含めて今後は必要ではないかと思っています。
志摩市長
基礎自治体でいろいろな苦労があるわけですが、基本的にはこれからの仕事を責任感をもってしっかり行っていかなければならない時代だという自覚をしており、その決意も持っています。そのほうが住民の皆さんのためになると思っています。そういう中で若い人達を中心に、自立こそが基本的、最終的に自分たちのためになるのだという意識を持っている人たちが増えてきていると思っています。このようなことを含めて基礎自治体は、さらに自己責任を含めてしっかりとした行政経営を行っていかなければと、これからの地域づくりはなかなか難しいだろうと思っています。ただ、財政的なことに目を向けると、この頃の自治体は無駄な公共事業はほとんどありません。いろいろな事業をするときには財政的にも厳しく、特に予算編成をする際にはどうしても弱い立場の人の予算を切っていかざるを得ない、あるいは市単独で行うときに教育とか次代の子どもたちの教育環境を整える予算にどうしても手をつけていかなくてはいけないことがあり、そういう部分につきまして県の配慮、あるいは心配りをお願いしたいと思います。
「文化力」という捉え方についてはまったく正しいと思います。いろいろ言葉遣いが解りづらいということがありますけれども、「文化力」といったことも含めて、今、施策の方針が出される中で、いかに自治体として実践できるのか、やるかどうかにも係っていると思います。
先だってフランスのミシュラン社が、日本において初めて観光ガイドブックのミシュラン日本版を出すということで志摩市にきました。ミシュラン社の担当者がいろんな観光施設を見て回ったのですが、その中で一番興味を引いたのが安乗の人形芝居「安乗文楽」、それと仕事をする海女小屋の風景ということで、絶賛を浴びました。さらにその地域の文化であるとか、漁村文化あるいは伝統的な文化というものに非常に高い評価をしながら、かつ興味を持ってフランス人の観光客が来た時にいくら払えば見れるのかなど具体的な質問もあり、当初3ページくらいの予定を5ページくらいに増やすというありがたい評価もいただきました。
ドイツの哲学者ニーチェが「足元を掘れ、そこに泉が湧く」といっているわけですけれども、やはり地元にある生活文化をいかに地元の人たちが掘り起こしてそれを自分たちが楽しみながら外の方にも味わってもらうか、結びつけていけるかということが勝負だと思います。そういったことで志摩市においては三重県自治会館組合と地元をまわりながら、地元の人たちと協働して地元の生活文化、歴史文化を掘り起こす作業をしているわけですが、合併した自治体においては、この作業が大事なのではということを思います。このような施策を実践していくということ、そのような部分をやっていくのは市、町であるということですから、市も一生懸命やっていきますが、体系的に行う、あるいは人材の部分などについてご協力いただけるとありがたいと思っています。もっとやりたいのですが、財源的にも、人材的にも制限がありますから、そういったことで支援をお願いしたいと思っています。伊勢志摩地域はそういった文化という部分に照らし合わせると多様な文化を持っている所だと思いますので、私たちもそのような部分を再認識しながら施策を実践していきたいと思っています。
玉城町長
まさに単独の自治体での地域づくりには限界があると思います。また、そういう時代ではないと考えています。自治体がそれぞれ広域連携をしていくということが非常に大事なことだと思います。まさに県内の地方6団体による緊急提言はタイムリーで、骨太の方針が多少地方の提言を取り入れてきたのではないかと思っていますが、なかなか厳しい状況が予想されるという覚悟をしなければならないと思っています。いろいろ知事の方からお話がありましたように、行革はまさに質の改革をやっていかなくてはならないと思っています。さらに投資をして整備していくのはなかなか難しい部分がありますから、その中で地域の資源をいかに活かして地域づくりをしていくか、そんな中で補完性の原理に基づく県と市町が連携したシステムづくり、あるいは支援をいただくことが大事ではないかと考えています。そうしたことで、後の地域課題のところでも発言させていただきたいと思っていますが、やはりいかに連携をしながら、三重県南部の地域全体が盛り上がっていくかということに支援をいただきたいと思います。
度会町長
「文化力」ということでございます。度会町におきましても、合併ができなかった非常に小さい町として県内でも2、3番目の小さな町となりました。農林業が主体であり、経済的に一番弱い町であります。この中で「文化力」を進めながら、結局はお互いに住民との「わ」をもって交流を深めていくことを主体に考えております。なお、町におきましても、まず行政側から襟を正していくのが大事でないかということで、町職員についても課長をはじめ非常にすばらしいものであると感じています。これからこの「文化力」をやっていくことについて、公の方が先頭に立ってやっていくことは不可能と感じていますので、商工会等を中心として行政があと押ししながら物事を進めていきたいと考えています。さらに地域との交流、また他の市町村との交流を深め、進めていきたいと考えているところです。三重県を眺めましても、相当地域間の格差があると思います。北勢、中勢、南勢、伊賀の四つの地域を考えても、三重県の南勢地域が一番経済的、また文化的にもあらゆる面について若干弱いところが多いのではないかと思います。知事には南勢地域の考え方、市町の要望等を理解していただき、これを中心にとりあげながら地域の発展につなげていただきたいと思います。
大紀町長
「県民しあわせプラン」を推進していく上においては、「文化力」の向上と「新しい時代の公」の推進という二大テーマが理念であると思います。その政策に県政の発展のための政策を合わせていこうと思うと、一つの道路を整備する場合でも、この理念を踏まえていない所は、知事の考え方としてボツとするのか、「文化力」、あるいは「県民しあわせプラン」を進めていくうえにおいて、具体的にどのようにしていくのかなというのが実感です。「新しい時代の公」や「文化力」というのは理念だと思いますが、これをいかに実現していくかということになると、そういう問題にぶつかるのではないか。地域の視点とかコラボレーションとか県民が主役というのは早くから言われていることですので、私もあらたな選挙のときにはこれを掲げました。「住民が主体ですよ」と、協働で町政を運営していくことを掲げました。今もその方向で進めています。進めていく上では県民の意識を改革していかなくてはいけないと思っています。懇談会などを開催していますが、従来の政策論議が頭を持ち上げてきます。県民という幅広いものの考え方をするのならば、県民の意識を変えていくことが一番ではないか。「文化力の向上」、「新しい時代の公の推進」の中で県民の皆さんに理解してもらい協働で県土づくりをしていくんだと、まず第一に県民の意識改革が大事だと思っています。これは特に強調したい。「文化力」とか「新しい時代の公」はよく理解していますが、いかに実現していくかということになってくると、そのことがどうしてもネックになってくると思うんです。とにかく底辺は意識改革、それ以外にないと認識しておりますので、「文化力」、「新しい時代の公」という理念はりっぱなものであると受け止めていますが、それを推進していくとなると、いろいろな障害にぶつかりますので、住民の力が必要である。コラボレーションという言葉で私もずっと回ってきましたけど、この言葉も理解してない。そういう郷土を作っていくという意識改革が大事である。資料にも書いてありますが、人材育成というのも本当に大事なことだと思います。結局は町職員の意識改革、質の向上が大事なことだと思っています。
南伊勢町長
「文化力」、「新しい時代の公」大変すばらしいことと思っています。
最近、親を子が殺して、子を親が殺すというようなことが、毎日のように新聞やテレビで報道されています。なぜだろうと、いつも悲しい気持ちになります。私どもが子どものときは、「衣食足りて礼節を知る」ということわざがありましたけど、この頃は「衣食足りて礼節を知らん」という感じです。これは教育の問題が大事だと思います。この話に当てはまるかどうかわかりませんが、第11代天皇の垂仁(すいにん)天皇と田道間守(たじまもり)という召使の話で、垂仁天皇が病気のときに橘(たちばな)というみかんの一種を食べたいというのを聞いて、中国大陸まで船で取りに行ったのですが、帰ってくると垂仁天皇が亡くなっていた。田道間守は天皇の墓の前で死んでいくという一説でした。この精神を皆に学んでいただきたい。上の人を尊敬すること。この頃は滅茶苦茶です。このことも三重県だけでも根本的に教育からやり直さないといけないでしょうから。このような精神こそ「文化力」や「新しい公の時代」だと思います。このことこそ基本的に変えていかないとだめ、そんな人間性を作っていく三重県にしていただきたいと思います。
知事
いろいろとご意見をいただきました。かなり共通したご指摘もありました。
こういう厳しいときであります。志摩市長がおっしゃったように財政的に無駄はありません。実感です。しかし、これについては小泉さんが「小さな政府」、「官から民」、これを徹底して推し進めてきたわけです。「小さな政府」というからには、行政サービスは切らざるを得ないが、限界があります。ですから今の改革の流れというのは、あれもこれも今までしていたからするんだという考え方では乗り切れないということです。それがだめだから「小さな政府」という根本が正しいのかということもしっかり議論しなければならない。今のスローガン政治というのはいかにもそれが正しい・謔、に見えていても、その背景が全然見えていない。大事なことは、私たちは国の財政難にも協力しなければならない、地域主権の社会を確立していかなければならないということ。そのためにいろいろな制度を直していかなければならない。しかし、改革の結果見える社会は何だろうかということが実は一番大事なことだと思います。今の政府の、何でもかんでも「小さな政府」、「官から民へ」。改革がまさに手段ではなくて目的化してしまい、その先に見える社会がない。したがって、これは本当に大変な部分だと思う。ただそうかといって今まで贅肉がなかったかというとそうではないですし、いろいろな無駄を指摘され、あるいはやり方によってより効率的にできる部分がありますから、無駄のない効率的な行政を追求するというのは、絶え間なく私どもは追求していかなければなりません。しかし、それがいつの間にか「小さな政府」、何もかも「官から民へ」という風潮になってしまった。そのために競争原理を持ち込み、当然競争原理を持ち込んだときに格差が生じる。特にパイが広がってきた時代には、パイが広がった部分を社会の隅々へ分配する。パイの分配ということが政治の大事な力の働きになったわけです。ところが、これまでのパイが縮まってくる。縮まっていくパイのどこを切るのか。さらにそれを勢いづけて「小さな政府」にしていこうということですから、当然所得格差とか地域間格差が出てきます。所得の再配分機能もなくなってきますし、例えば一番財源の必要な社会保障制度も縮めていくということにしかなりません。ただそういう前提があるということの思いで国との議論をやらざるを得ません。しかし、少なくとも国のそういう流れを国民は支持しているわけですから、我々はそれを受けざるを得ない。受ける中で、もちろん国との議論をやりながら、我々は一体この中でどうのようにやっていくのか。県の方で余裕があればいいのですが、県も余裕はありません。したがって、どのようにして我々が協働し、少なくとも市町と県との連携を求めていくのか、これも追求の仕方が大事だと思います。
例えばマンパワーについて伊勢市長からご指摘がありましたが、これは非常に大事なことだと思います。県でも人材育成ということで研修制度についていろいろと取り組みをしております。人事交流も大事です。総務部長が財務省から来ていただきました。すばらしい能力の人が県の中へ入っていただくことは、若い職員にも刺激になるし、また、県政の中にすばらしい知恵も出してもらえる。昔はただ単に大蔵省へ予算取りに行くのに、大蔵省につてがあって予算が取りやすい、そういうことがあったと思いますが、今はそういう機能の仕方は全くありません。だから我々としては、すばらしい人材に来てもらって、県の能力向上のために、それから予算よりも国の情報や意思の疎通をしていくということが大切ですから、そういう意味での人的交流は非常に大事だと思います。今は市町においても国の機関から助役に来てもらったり、助役制度や収入役制度も変化していきますけれども、そういう所へ国からあるいは県の方も要請があると出しておりますが、そのような交流もしながら自分のとこの市町の職員も磨いていくこと、これは大事なことだと思います。県職員の意識改革の中には、行政経営品質活動もやっています。こういう活動もはじめ人材育成やいろいろな政策研修のための研修は市町にもお送りしていこうということで、今年から研修のたびに、市町の職員の皆さんにも参加していただけるようにしております。
総務部長
昨年でございますけれども、知事から発案があり、県で行う研修、幹部職員向けの勉強の場に市町の職員、あるいは市町長の皆さんを交えた研修ができないかということで、今年の4月から県の職員研修センターにおいて、何度か市町の皆さんにも声をお掛けして参加いただいた研修会もあります。また、市町長の皆さんと知事はじめ県の幹部職員が共に学ぶ機会もあります。例えば10月あたりにも行政経営品質の関係で予定しており、すでにご案内しておりますので、是非この機会に参加いただければと思います。
知事
是非マンパワーについては、いろいろな交流連携において、市町の職員の皆さんと一緒に勉強できるような機会をということで、市町の職員の皆さんが来ていただいてもいいように少し大きめの会場にしながら開催しております。積極的にそういう機会をとらえて人を出していただいたらと思います。
度会町長が言われたように地域差があります。政府の今のやり方は東京が羨ましかったら東京へ移って来いという、それが「小さな政府」です。したがってそういうものをどう埋めるのか、ナショナルミニマムの考え方とか、ナショナルスタンダードというのはもうだめ。ナショナルミニマム、こういう考え方ができており、それを当然受けいれると地域差が出てこざるを得ない。それを止めない限りは非常に難しい。しかし、我々としては最大限、その中で工場誘致など難しい中で、少なくとも交流を盛んにすることによって、南の方での観光を通じた力を持てないかということを、私としては意識しながら地域の皆さんと努力していきたいと思います。
その中で「文化力」、「新しい時代の公」などいろいろ行っていますが、特に「新しい時代の公」はかなり実践しながら広がってきたと思っています。意識は行政を変えるだけでなくて住民の方にも変えてもらわないといけない。しかし住民側も今、「新しい時代の公」で政治的に参加してくる人は意識の高い人たちであります。そういう潜在的なものをより活発にしていく必要があります。
一方で指摘されますのは、住民の皆さんの意識よりも行政が意識の変化が出来ていないという側面が強くあります。県でも住民の方と協働でやろうと思うと、県の方は「住民との協働でこういうふうにやろう」と、最初からやり方やシナリオを持ってしまいます。住民の人と協働で協議をするが、違うことをいうと、NPOや団体などからすれば、行政と違うことをいうとその議論からはみだされてしまう。従って行政側はいつも、結論ありきというようなかたちで自分たちの考え方にはまってこないと協働ということが実質できない。そういうことがあり、県庁の職員もそれは本当の協働ではないということで、今それを変えようとしています。従って県庁の職員の意識改革ができるということが本当の県の「新しい時代の公」のシステムなのです。それは市町でもいえると思います。一方では県民の皆さんには個の確立ですよと、私は県民の皆さんに甘えてくださるなと、行った所、行った所で申し上げて県民の皆さんにも意識改革してほしいという思いで言っています。
伊勢市長から「和の文化」の話がありました。少し見解が違うのかなと思いますので、政策部長から説明してもらいます。
政策部長
「わ」というのは確かに日本風ということですが、むしろ多様性とか多文化共生というか、そういったところに集中する言葉として使わせていただきました。確かに字は同じですが少し観点が違うかと思います。そういった「文化力」、我々日本人ですから日本で培ってきた文化を大事にするというのは、もちろん文化力指針の中にはありますが、それが「心のふるさと三重」とか具体的に取り組んでいこうとしていますので、ご意見いただいたことについては実際の取り組みには反映していきたいと思っております。
知事
私達は戦後、ものが豊かになりたい、便利になっていくことを望み、そして、その基本に出てくるのは東京スタンダード、東京ナイズされていくことでした。従って東京スタンダードに自分達の生活を変えていくことによって、昔から培ってきた伝統、風習、地域文化、というものをずいぶん壊してきた。従って過去の「わ」の文化を復活するというのはここでいう地域にもともとある資源をもう一度発見し直して、もう一度それを活用し生かしていこうということではないかと思っています。
大紀町長
意識改革の話がありましたが、これは県自体が積極的に乗り出してもらわないといけないということです。地方分権での権限移譲において、権限移譲の中身は3500~3600ある。法律も160~170ある。そういうことを国から県へ、県から市町村へ当然出てくるわけですから、そういう面の研修とか意識改革が必要です。そのためにはこうあるべきだということは、市町村よりも国や県の重点施策の中に入れていかないと。権限移譲は、市町の役割や職員、住民の意識をかえよう、そういうことを優先するためにはこういうことをやっていかなければなかなか地方分権制度が生まれてこないと思う。私も職員もそういう意識が大事だと思う。松阪大学と提携したのはそれなのです。まちづくりよりも職員の意識改革はこれからの権限移譲に対応していかなければならないので、それぐらいの勉強はしていこうと思います。そのことを県も優先的に取り上げてほしい。
知事
私どもでできるのは今回の県からの権限移譲について、「県と市町との新しい関係づくり協議会」の中で権限移譲に関しての部会も設けて、一昨年からやっています。その中で担当者同士は議論を詰めながらやってきてるわけです。そういう意味では県としては他の県以上に自らの努力はしているつもりです。
伊勢市長の方から自分たちの市の中で地域の住民の自治の仕組みが必要とありました。まさにそうです。すでにその取り組みを名張市、伊賀市、松阪市、四日市市などで取り組んでいます。いわゆる地域内分権というものです。他には例えば松阪市は自治会改革もやっている。自治会の機能も変えてもらわないといけない。地域内自治、地域内分権のいろいろな参考事例があるので、伊勢市の中で分権の在り方を考える時に是非一回参考にしてみてはどうかと思います。かなり議論はしていると思うんです。うまくできないと合併した市町村の本当の効果が色あせてしまう可能性があると思います。またご相談いただいたら県の方もいろいろ情報を出したりして支援できることもあると思います。
鳥羽市長から地域主権というのは、地域に密着した地域づくりではないかとありました。私も同じ思いです。私の表現が適切かどうかわからないのですが、従って国や県よりも裁量も大きくすることが必要です。要するにそれは権限移譲です。従ってそれへいこうとするのですが、意外と市町長さんより職員の人が必ずしも仕事が増えることを喜んではいないという傾向があるかもしれません。そういう意味では、今は人員も減らせ、財源も減ってくるということですから、市町の行政に対する負担がどっとくる。その中で無理やりやれというのですから「小さな政府」を進めようとしている政府の方針に従えば従うほど、実は地域でも行政サービスを切らざるを得ないという現実が出ています。ここらがいわゆる去年の秋以降、格差論として本当に議論しなければならない、格差の問題ではなくて本当は適正な「小さな政府」とはどれくらいのものかという議論がきちっとできていないといけないのではないかと思います。
「文化力」については具体的なものが見えないので、よくわかりにくいと言われますが、県の施策として次の実施計画、戦略計画に向けて我々職員の意識改革を含めたツールだということでまずは作っています。ただ、今年全く実例がないかというとそうではありません。今後、例えばさきほどお話しました2014年戦略、ご遷宮に絡んで「こころのふるさと三重」をどう打ち出していくのかという事業については、今後具体的な中身を示していきます。三重県の「文化力」を総合して発信していく、育てていく、こういうものに是非したいと思っています。
また今年行っているものでもう1つ、新しい図書館のあり方、未来型図書館像の検討会をやっています。県立の図書館につきましても今後知識集約型の社会構造へ切り替えていく、あるいは知識集約型の産業構造へ切り替えていく、そういう中で、そういう拠点として図書館というものがあるのではないか。表現をかえますと「文化力」という言葉を使うのであれば「文化力」を引き上げていく中の拠点みたいな位置付けもできる。ニューヨークやいろいろな所の図書館の例を見習いながら市町における図書館の連携であるとか、産業との連携であるとか、いろいろな結びつきを検討しながら新しい図書館像を示していこうとしています。これもこれからその姿が見えてくるわけですので、見えてきた段階ではわかりやすくなってくるかなと思います。そういう意味では、まずは「文化力」につきましては具体的な事例は、もう少し見えるようにしていかなければいけないと思います。
大紀町長から理念というお話ありました。「新しい時代の公」も「文化力」も理念というと言葉遊びにみたいになってしまうのですが、私どもは考え方のベースというふうに言っています。理念というと例えば総合計画の理念は「しあわせ創造県を皆さんと一緒につくっていきましょう」というのが理念です。それをやるための仕組み、行政運営の県政運営のやり方のベースに「新しい時代の公」の考え方をおきます。三重県しあわせ創造県というものを作っていく各種の政策のベースに、考え方の基本に「文化力」をおきます。こういう考え方です。
南伊勢町長から子どもたちの問題について社会のひずみという発言があり、教育の問題について指摘がありましたけれど、教育は非常に大事、そういう意味では教育基本法についてもいろいろ議論があるところですが、しっかり国民的議論を巻き起こしながら進めていただきたいと思います。
しかし、子どもたちは学校だけの問題なのか、家庭の問題から社会全体の問題でもある。テレビから子どもたちにもたらされる情報はすごいし、今はインターネットです。そういうものが子ども達にどういう影響を与えているのか。私は教育の現場だけでなく、家庭の問題や地域の問題もあると思います。どんなことをしても子ども達の周りにいろいろな情報が入ってくるので、それを遮断することは難しい状況です。そういう中にあっても、やはり子どもたちを健全に育てていく、そのことは私は社会全体の体質、質を高めるとか、そういうことを考えていかなければいけないと思います。ですから、それを高めるための努力をどうするのか、「文化力」という言葉の使い方は難しいです。従って、伊勢市長が言われたように、伊勢力とか社会力、伊勢の力とか、いろいろな表現の仕方はあるというふうに思います。でもとにかく私達の社会全体の体質を改め、体質を改善して社会全体の力をあげていくのが「文化力」だと思います。
(2)今後の国の財政構造改革について
南伊勢町長
構造改革についてですが、いわゆる国民総生産が500兆円ですか、その中の公の部分が135兆円と聞いています。それが国、県、市町村とくしくも45兆円が3等分と聞いています。市町村合併がどんどん進む中で、道州制の話がありますけど、市町村合併の時にこんな意見を言ったことがあります。三重県を一つの市にしたらどうか、そうしたら県がいらなくなる。それでも横浜の2分の1で、横浜に特別日の当たらないところがありますかという話をしたことがあります。そういう話をして、小さな町でごちゃごちゃするより三重県を一つの市にして、県が要らなくなると135兆円の25%ぐらい節減できると思いました。税の部分で、国と地方が6対4。歳出については国と地方が4対6ですよね。
知事
今、大変問題になっています。国と地方の税収は6対4、ところが実際の仕事は4対6、税源もそのようにしなくてはいけない。しかしそれを税でちゃんとしないと再配分する分がないわけです。要するに所得保障、再配分機能を果たさないと、簡単にやったら国の思うつぼになる。落とし穴に入ります。
南伊勢町長
私は反対だと思うんですけど。
知事
補助金なしで、やっていけるんですかと、よりひどくなるということを、よほど解ってもらわないといけないと思います。地方6団体でそのあたりをよく現実に重ねながらやらないといけないと思います。知事会は考え方出しているんですけど。
「小さな政府」論が本当に皆がいいと思って理解しているのか。だから別に今ほうりつけてきた役割全部市町村が一番つらい部分だけを背負うことになる。
大紀町長
「文化力」「新しい時代の公」の2大テーマを実現していくうえで、直接県民に働きかけるということは大事だと思います。しかし、その中間的な役割は市町村だと思う。そういう面の意識をもっと持ってもらわないと対県民との対話の中で、なかなかそういうものはわからないと思う。
財政改革の問題ですが、知事さんがあちらこちらで話されていることには諸手をあげて賛成している。国に三重県知事の姿勢を示している。深く敬意を表したいと思っています。
私は絶えず、財政改革、交付税等がだんだんと減らされていくという現実をつかまえて、一体地方分権はどういうことなのか、権限も財政も地方分権推進法によって対等に分かち合うというのが趣旨だと思っていました。ところがふたをあけてみると、なかなか交付税法がものを言ってくる。交付税法というのは存外、国の権力が介入できる。いわゆる一括法とか地方自治法で地方自治の規律を育てるということは地方自治法の表門に関わっている。地方分権はそれに基づいてできたわけです。ところが現実にはそうではない。地方交付税は国によって加減できるという仕組みになっている。そういうことからすると、いろいろな仕組みの中で、交付税が平成19年度からだんだんと減っていく形になっていくのかなという思いは特にあります。財政構造改革に関する書などには、交付税は面積と人口によって減らせませんよ、過疎地域も含めて。ところがそのように書いてあるのですが、総額は維持されても現実にはでこぼこは多い。ですから結局は三重県の市町は減らされるという運命になる。開き直って地方自治法ではこうではないかと言ってみても、結局負けてしまうかたちになる。知事の言われるように、がんばっていただかないかんと。面積と人口だけで配分するのであれば、人口は戸籍人口にすべきである。我々は子どもたちを育てて大学行かせて東京へやっている。戸籍の人口なら本当に公平な配分ができる。
知事
総務省も単純な人口と面積だけというわけではありません。それはしかるべきいろんな配慮、特に離島だとか配慮します。ただ心配なのは具体的な制度で示されないと安心できないということです。これは油断できない。その額も率も変えません、そういう配慮もしますよといったら、今の交付税の算定の仕方と実質変わらない。竹中さんの趣味にあわせてそれ・スとか大事な部分を守ろうとすると、何で変えなければならいのかわからないようになる。竹中大臣と総務省、だましあいをしていて結局何も見えない。
大紀町長
合併したから優遇措置があるわけです。今後は交付税の算定替えがなくなっていき、私の所でも5億円ぐらい合併したことによって恩恵がありますがなくなってしまいます。
そうすると合併後の姿が大きく変わっていくんです。とにかく標準財政規模の少ないような所は、次のステップを考えるようになってくるのです。ですから一致した攻めをしていかないと立ち行かないようになる。
知事
約束の期間、10年間はね。5億円ぐらい違ってきますか。大変なことですね。人件費はどのくらいですか。
大紀町長
人件費は17、8億円。それを削らなければならない。
知事
それが合併効果でどこまでできるか。
大紀町長
地方分権が確立されて、権限移譲もしているのに集中改革プランとか、地方自治法の改正をして立ち入ってくる。こんなの懐へ手を突っ込んでいるのと一緒、けしからん。地方分権を損なう。我々のところはとにかく集中改革プランでも9.6%も減らしている。決して指摘されることはない。ところが言うことを聞かないと交付税を減らしますよと。そんな道理がまかり通っていく世の中になってきた。これは地方自治体が結束して向かっていかなければいけないと思います。
知事
やむを得ない結果です。これだけ必要なのに、これだけしか財源が集まらない。借金をし、今になって財政改革を行う。それも増税なしで行うのであればこの分縮めてやっていくのだから。
大紀町長
それは根本的に違うと思う。国が抱えている700兆円の借金をお互いに分担しようというならいいけど、制度の中で適当にごまかしが入ってくる。
知事
ちゃんとやらないから、増税なしで今までの赤字体制をぬぐっていこうということになったら、それは大紀町長の責任でもないし、三重県の責任でもない。国がやろうとしていること。我々としてそれがけしからんということを、やっぱり国にわからしめるようにしなければいけない。増税を出したら選挙に弱い、こういう図もできた。我々は、国民が選んだ国会がそういう意思に基づいてやっている以上どうしようもない。国が決めた方針である。
大紀町長
いずれにしたところで、合併後のかたちをどういうふうにという部分で、県の支援をお願いしたい。
度会町長
行財政改革、地方分権の問題、厳しい状況の中で我々もやってきています。各市町ともそういう考えの中で分権を進めていると思いますので、どんな厳しい時代がきても各市町長が中心となって、職員を指導してやっていけばまず大丈夫。財源が減るのは仕方がない、国もないのですから県もないです。県に一言仕事もお願いしたいけど、金のないところに言っても仕方がないとこちらもあきらめている。ですから、これはなんとしてもお互い理解して協力するしかないと思います。
玉城町長
ほとんどの地方自治体が生き残りをかけてやっている。それよりも何よりもまず国そのものの改革をしっかり進めてもらわないとだめだと思います。
志摩市長
国の改革を進めていかないとだめなのはもちろん、そのことと国民に対することとかいろいろ考えると、政治家が痛みを伴う部分、増税みたいなことを、選挙云々ということがあるのかもしれませんが、ある時点でそれを言い出してしっかりこういった福祉サ-ビスをちゃんとやりますと約束を言わないといけないのではないかと思います。ですから、市の予算も苦しいですし、大変なんです。このまま構造改革が進められるとしんどいと思いますし、志摩市も合併特例が切れると25億ぐらい減ると試算されていますけど、何とかやりくりはしていきたいと思いますが、根本の国の制度改革あるいは税金含めた改革をやらないと私は追いつかないと思います。
鳥羽市長
国に700数十兆円の借金ができた。これは私たちが子どもの分や孫の分まで食べてしまった。大変な状況になったということで、そのことを国民がわかってきて「小さな政府」にするということについて国民が支持しているという節がある。何とかしなければならないという気持ちが国民の中に現れてきた。そういう中で大紀町長が言われましたが、地方では子どもを育てて大学を出して、人材を都市部にとられて、酸素も地方で作っているわけです。それが全部都市部へいっている。そういう中で人口の多いところにだんだん負けていくという、民主主義の鉄則みたいなもので、私はある程度あきらめたところがあるのですが。やはり投票で決まれば都市が勝っていきます。人口もそっちが増えていくわけですから。鳥羽市では何もないんですけど、徹底的に無駄を省いて節約していくしかない。そういう方向でがんばっていきたい。離島や過疎市町村と書いてありますので、期待をしてがんばっていきたいと思っています。
伊勢市長
国の財政構造改革については、野呂知事を支援させていただきたい。是非一緒にやらせていただきたい思いがあります。
鳥羽市長が言われましたけど、地域を保持すること、国の姿として地域をどうやって維持していくか、そのために払わなければならないコストは国が持つべきと思っています。その再配分機能も残してもらわないと。是非その辺はよくわかっていただいていますので、あちこちでものをいっていただきたい。地方6団体の中では、機会がありましたらきちんとものをいっていきたいと思います。
「文化力」ですが、どこかで具体的な話がありましたが、私は切り口、哲学その辺のところにとどめてもらうことのほうがいいのかなと思います。具体的になるほど、全体の力が細かくなってくる気がします。これはもう考え方で、具体的なものにするのはそれぞれ別の施策で具体的にするということで、あくまで考え方の範囲なんだとした方がいいのかなという感じがしております。
文化のことですが、3ページの資料改めて見させていただきますと、それぞれよくわかるんです。三つの「わ」ですが、うまく日本が大事にしてきた、品格ある日本が持ち続けてきた教えと規範が述べられている気がします。もしかしたら「和式の力」なんでしょうということを申し上げたかった。「和式」をもっともっと出していいのかなと思っています。
知事
伊勢市長の最後のところは、おっしゃるとおりです。ここは少なくとも私たちが誇りを持てるような、そして私たちが愛着をより深めていけるような社会を作りましょう。そのために「文化力」という考え方のものさしをいれましょうかということです。多分一緒だなということはよくわかりました。
特に、三重県を1つのまちにしたらいいという話。実は導州制だとかそういう議論の中で、三重県には三重県の特色があります。例えば伊勢湾沿いには鳥羽から桑名まで巨大でないまちがずっと並んでいる。こういう県はなかなかありません。分散型の県土を構成している三重県が、もしも道州制に入っていった場合にどういう力が働いているか。たぶん津や四日市にぐっと引っ張られるような状況が三重県にはない。道州制がでてきたときに何百万というまちがあり、それに比較してたかが30万前後が、そしてそれよりずっと人口の少ない過疎の町がある。一体どうなるのか。だからいろいろこれからの議論の中で三重県らしさを維持できるような、そういう地域の仕方、追求の仕方を一緒に考えていきたい。そういう意味では、心を一つにしていこうではないかいう意思表示は、一つのまちにしていこうということなのかと思います。
(3)市町の地域課題について
伊勢市長
5月に行ってまいりましたお木曳き行事ですが、いろいろと皆さんにご参加いただきありがとうございました。おかげさまで全国から3万5千人の方が来ていただきました。この経済効果はこれから出てくると思うのですが、知事も「この地域では企業誘致は難しいよ」と言われていましたが、誘客による経済効果みたいなものがはっきり、皆さんの中でも見えるようになってきました。3万5千人の方の77%の方が宿泊いただき、その55%は鳥羽市へ泊まっていただきました。伊勢市には8%しか泊まっていただけなかったんですが、この地域が元気になるためということで積極的に来年も来ていただきたいと思っていますので、来年も是非来ていただきたいと思います。
地域的には南北格差がありますこの経済力ですが、県の中でどうやって補うかということで、観光施策は協働で進めさせていただきたいと思っています。是非この話はまた出されるかわかりませんけど、これは広域で一緒に取り組むという姿勢で効果についてもお話させていただきました。
企業誘致の話ですが、なかなか地理的には条件が悪いということはあるものの、それはそれといたしましてサンアリーナのところが、そういった意味では、前回のご遷宮の時の平成5年、その頃からもうすぐ15年以上たって20年になろうかというときにまだ今のところ先が見えなくて、放りっぱなしになっているということについては、企業誘致のみならず活用策を考えなければならないということを強く思っています。そういった中でせっかく企業誘致用地として、産業支援用地としてずっと県の方も同じ方向を向いてきていただいておりましたので、私どもそこへ産業支援センターを設置することを計画しております。是非この機会に協働して朝熊山麓への企業誘致について、県の用地も今あるわけですので、是非その辺も協働しながらやらせていただきたいと思っております。その辺がまずお願いしたいところです。協働というのはインフラ整備がなかなか十分ではありません。少なくとも情報ツールとして光ファイバーぐらいがきちんと引けていないと勝負にならない。近くのユーエルさんのところはなんとか自社でカバーしてきたわけですけど、県も市もそういった活用していく余地を持っているのですから、情報ツールのインフラ整備、あるいは排水ですとか、電気でありますとかそういうものがなかなか手をつけられなくて、産業支援用地と言っていても人が見に来てくれない。そうしてある程度方向付けをしながら取り組んでいきたいと思っておりますので、是非県の方も一緒になって取り組んでいただきたいと思います。
産業支援センターを作るわけですが、産業支援の事業を県は県でやっていただいていますが、その地域版、うちの地域でやることの方が、効果が高いものについては是非入っていただいて、その産業支援センターで、この地域の産業支援について力を貸していただけないかと思っています。
これに関連しましてサンアリーナのところのインターチェンジですが、これについても11月にはいろいろと調査もいただいたようであります。今年からはいろいろなイベントが始まってまいりますので、時期を失することなく、いろいろな事情があると思いますが、それを超えない限り次がないわけです。せっかく投資したものがずっと償却だけで老朽化が進んでいくことをきちんと考え評価しなければならないと思っております。是非アリーナインターにつきましては関連でお願いしたいと思います。
知事
新伊勢市になって、総合計画はどういう状況ですか。
伊勢市長
総合計画はこれからです。今は合併して新市建設計画で動いています。総合計画はこれから2年ぐらいかけて策定していきます。
知事
そういう中で、これの位置付けというのがしっかり整理されてくるというふうに思います。県としてもこれを是非うまく活用できるようにしていきたいと思っていますので、そういう協議の中で、是非県としての役割を出させていただきたいと思っています。例えば企業誘致の優遇制度について、税に関する優遇措置などがあるわけです。南の方では半島振興法やそれに基づいたものがありますが、ただ市町でもできることはやってもらいたい。例えば玉城町のインターのすぐそばの所で、いろいろと工場も新しく進出がありました。問題は、南の方は進出してやってもらう。企業はやはり利益を追求しますから、採算がとれるかどうか、どこが有利なのか、経済的に見ます。また引っ張っていく力、例えば、土地取得の時でも工業用地を安くできないか、鳥羽あたりはただでもなかなか難しい。松阪あたりは25%を市が土地の取得に対して支援をする。従ってそれだけ取得価格も下げるのだけどなかなか難しい。それでも松阪は大体埋まってきたみたい。そういうことも含めて市と連携を取りながらどのようにしていくのか、昔みたいに無理やくた工業団地を作って、そこへ工場をというのはよほどリスクがかかること。そういう点ではしっかりした構想を持っておかないとだめだということになるんではないかと思います。
インターチェンジについては今も大きなイベントのときは開放している。あれは有料道路として設置していることから、例えば料金徴収をやっておる、そのような位置付けだったのも、私も現場を見に行って、このようにしたらどうかと言ったんですが、それをやろうと思うとそれにかかる工事が必要になってくる。それができない部分もあるということも聞きました。しかし、今後も是非用地開放ということについては検討を進めていきたいと思いますので、いろいろ協議を続けさせていただきたいと思っています。
支援センターの方ですけど。支援センターを含めて全体の利用の仕方というもの、今後さらに協議をしていかなければならないと思っています。伊勢市でのいろいろな協議にすでにいろいろと参画してると思いますので、引き続き協議を進めていきたいと思います。
鳥羽市長
離島架橋ということについてお願いしたいと思います。このことにつきましては、今まで何回も訴えてきている状況でありまして、私も県議時代に3回、北川前知事、野呂知事に2回、中村現県会議員が野呂知事にということで一般質問させていただきました。その中、少しずつですけど積極的な答弁をいただいているのかなというふうに感じております。
5月12日に知事が離島へ来ていただきました。その中で、桃取町の主婦の方から父の介護をしている状況の中でどうしても橋が必要だと、こういう熱い思いがありました。それについて知事の方から、今までだと伊勢湾口道路と絡めた離島架橋という話が多かったわけですけれども、伊勢湾口道路よりも生活道路としての離島架橋が大事だと、こういう発言が知事からなされたということで、今回それに勇気づけられて地域課題とさせていただいた状況です。
私が言うまでもなく海に隔てられているということで、本当に島民の命に関わる問題ということになってきておりまして、経済的な効果だけでは議論できない問題ではないかと思っています。そういう中で広島とか長崎の方へ行きますと、本当に小さな島までほとんど橋が架かっている状況の中で三重県では離島架橋が一つもない。こういう状況の中でご理解いただきたいと思います。莫大な費用がかかるということでなかなか簡単にはと思っておりますが、これをお願いしたい。私も島民の皆様に言っていることは、私たちが発言するだけでなく、住んでいる人たちの熱意といいますか、そういう思いを伝えることが大事だと言わせていただいております。島民の皆さんもそういう気持ちになってきているということが言えるのではないかと思います。三重県の離島振興計画の中でも、「離島架橋建設については今後必要性及び方策等について鳥羽市と共に検討していきます」と記述もされており、今後共に検討していきたいと思っています。そして実現に向けて進めていただきたいと思います。新しい交付税のところでも僻地とか離島の関係の記述がありましたけれども、もし有利な方向が出れば実現に向けて、是非島民の命を守るという観点からお願いしたいと思っております。政治はやはり光の当たらないところに光をあてるというのが大事なことだと思っておりますので、先ほどは人口の多い所に負けると言いましたけれども、地域を大事にしていただくということが日本の国にとっても大事だと考えていますので、これについて検討していただき、また実現に向けてお願いしたい。
知事
この間答志島へ行きましたときにお答えした状況と変化があるわけではありません。今の時期、離島架橋について県も真正面からとらえながらいきたいと思っていますのは、来年には国土形成計画、全体計画が策定されて、再来年の20年度には広域地方計画というのが作られていきます。従いまして、今後こういった事業についてはその計画の中にどのように位置付けられていくのかということが非常に大事なことであります。県としては、そのために離島架橋も含めて今後広域地方計画のビジョンの中にどう三重県のいろんな事業を位置付けられるのか、ということで今年言い出そうということであります。離島架橋につきましては、当然鳥羽市と一緒にいろいろと検討させていただきたいと思っています。ただ、例えば広域地方計画について記載される項目の中で、「ひとつの都道府県と区域を越える広域の見地から必要とみられる主要な施策に関する事項」があります。これをどのように見るかというと、離島架橋について三重県内で限定した場合にはひとつの都府県を越える広域の見地からということに該当するのか、言葉どおり行くと無理です。そうなりますと伊勢湾口道路との関連性というものを、やはりおいた中で考えないとなかなか難しい状況もあります。今後いろいろとつきつめながらやらせていただくということになるのではないかと思います。私としては、将来の県として行う事業についての大きな項目の一つになりますので、しっかり検討させていただきたいと思います。
志摩市長
志摩市も多くの課題をかかええておるわけですけれども、県立志摩病院の産婦人科撤退といったこともありまして、子どもを産み育てる環境づくりについては、大きな課題であるということでございます。また県の方でも配慮をお願いしたいと思います。
今日は、志摩市の基幹産業でもある、また三重ブランドの真珠についてですが、低水温による大量へい死が発生しています。志摩地域の経済を支えてきた重要な基盤産業でもあり、また、文化的な意味合いにおいても百年の歴史をもって地域の特産物を担ってきた特産品ということで、これまでの観光という側面からも大きな役割を果たしてきている状況の中で、大量に死んでしまって、生産者は本当にどうするすべもないという状況でございます。三重県においては、大規模な漁業環境改善の試みであるとか、産業支援センターの皆さんによる地域結集型の共同研究事業などの英虞湾の環境再生に向けた取り組みをいただいています。志摩市としては、自然再生推進法に基づく自然再生協議会の立ち上げなどを図りながら、環境の改善に向けて地域が一体となって、今積極的に取り組んでいるところです。こういう中において、平成4年に有毒プランクトンである赤潮による被害、平成14年には今年と同じような低水温被害が発生しているということで、真珠養殖の形態、数が年々減少しておるということです。今日においても多くの若い人達が真珠養殖に従事しているということで、今回の被害については地域にも絶望感が広がっています。県会議員の方等ともいろいろ話をしているのですが、例えばより品質の高い真珠貝への移行であるとか、低水温に強い従来の日本産のあこや貝に切り替えてはどうかというような議論も生産者の中でも起こっているということです。なかなか今、制度的な融資を利用するというのは難しい状況ですので、例えば貝そのものを動産の担保にして融資が受けやすいような仕組み作りはできないのかといったことも相談しておるわけです。今回被害を受けた真珠養殖業者に対して、災害資金等による融資の対応や既存の借入金の返済猶予なども含めた事業継続に向けた積極的かつ効果的な支援策について、是非県においても検討をお願いしたいと思います。
知事
4月頃ですか、組合の方がみえまして、特に資金制度についての要請がありました。その時には今年の被害がでていませんでしたが、被害がでたのはその直後でした。実は新しい真珠ができ、これはものすごく品質がいい、これを別物にしていきたい。それの研究も大分進んでおり、明るいこれからのことを触れながら、そのときいろいろお話したのを覚えています。特に愛媛県であるとか長崎県も、形態はどんどん減ってきているんですが、実は今まで三重県はかつての真珠文化がずいぶん後退していたけれども、いよいよ販売金額だけは全国1位になった。1位を取り戻した、良かったなという思いで話を聞いていたのが、その直後、低水温で大変な状況になりました。
制度資金については、県の近代化資金にしても、農林漁業金融公庫資金にしても、災害資金のメニューがありますし、運転資金についてもいろんな融資があります。県単の融資制度もあるわけです。従って真珠養殖業者の皆さんから資金貸付の要請があれば、是非金融メニューについてもご紹介申し上げて、今の制度の中でずいぶん利用していただけるものがあるのではないかと思います。組合長に対してはすでに制度資金についての説明はさせていただいており、今後県としてはその時にも自動観測ブイの有効活用について、ご要望もふまえて、今後継続的にしていきたいというような思いで申し上げたところです。漁業共済への加入の問題であるとか、いろんな養殖についての課題がありますので、そういったことに対応できるような組織強化に県としても取り組んでまいりたいと思っていますので、これについても市とも連携しながら是非やらせてもらいたいと思います。
玉城町長
知事が大変ご尽力賜りまして、京セラ三田が来年の暮れには創業できるよう進めさせていただいております。松下電工の伊勢工場が来年の3月にも創設に向けて拡張しておるという状況でございまして、企業を誘致する皆さん方には大変ご尽力いただいてお礼申し上げたいと思います。
そんな中でおこがましいですが、玉城町の南勢地域における役割と申しますと、今昼間人口で約3500人程度が就業いただいており、そのうち15%ぐらいが玉城町の住民であり、まさにその周辺の地域から働きにお越しいただいているという状況でございます。インター周辺から宮川についての農道が3月に完成竣工、供用しているということ、あるいは明和町を抜けるとサニーロード優先の丘陵地、そういったところにさらに企業立地を進めていきたい、こんな考え方ができると思っていますものですから、いろいろな形の扱いなり、事務手続きなり、あるいは人的支援など、いろいろな支援をいただきたいと思っております。
もう一つ心配しておりますのが、半島振興法の中の不均一課税に伴う措置が時限立法で来年の3月切れるということで、これは延長してもらわないと、と思っておりますのでご尽力賜りたい。
これは予定にないので恐縮ですけれども、知事もご承知いただいておりますけれど、南北朝に北畠親房が田丸山に砦を築いてから670年を迎える節目の年なんです。玉城町に砦を築いてから670年なんです。田丸の城のこと、事前にお話申し上げてなかったんですけど、特に「文化力」のお話でも地域の資源を活かした地域づくり、特にこのあいだも知事から直接お話賜りましたけれども、伊勢志摩の振興、観光の振興の中でご承知のように伊勢路の起点は玉城ですから、熊野古道の伊勢路の追加を、働きかけていただくことができないかなと思っています。世界遺産への追加、これはかなり時間のかかる問題とは思いますけれども、歴史文化資源を生かしたかたちの地域づくりに取り組んでまいりたいという考え方も持っております。紀伊長島までの、玉城から大紀町さんまでの部分のエリアも県道沿いも含めたかたちで取り組みができれば非常に南勢地域の三重県の中での活性化につながるのでないかと思います。
もう一つは松阪の地域の中では松阪環状線というかたちの大きな幹線道路の開通が進んでいますけれども、伊勢のこのエリアの中では伊勢環状線といった、大きな幹線道路の計画がないということですから、将来にわたってそういう計画も取り組んでいかなければならないかと思っています。
知事
産業振興については町で誘致交渉から一連の道路整備まで、企業の立地にがんばっておられ、県としても玉城町の取り組みは高く評価しております。玉城町はまだまだチャンスを持っていると思いますので、是非それについてはしっかりしていただきたいと思います。
なお、半島振興法についてですが、立地企業から見ても大きな点があろうかと思います。特に不均一課税に伴う措置、これの期限が19年3月31日ということでございます。県の方も要望をいたしておりまして、協議会でも要望いたしておりますが、今後も適用期限の延長に向けて取り組んでいきたいと思います。
熊野古道に絡んで田丸城、玉城あたりを世界遺産への追加というお話がございました。これについては、私の方からこういう指示はしております。おっしゃるように熊野古道そのものについては今後の展開の中で、伊勢と熊野古道を結びつけていくことが非常に大事です。従って伊勢、玉城、それからずっと紀伊長島へ向けてのつながりを、何とかきちっとしていきたい。その中に熊野古道へ追加できる状況は求められないかということも申しております。ただ紀伊長島以南と比較しますと古道として残っているところも非常に少ない、玉城から多気へ行くところの女鬼峠が一部残っているところがあるんがですけど、また途中のいろいろな遺跡でももちろんあるんですけれども、古道を世界遺産として登録できるだけの状況がそろうかどうかも含めて調査するようにということは申しております。ただそのことだけではなくて伊勢と熊野古道を結びつけるということは非常にこれからの観光面でもそうでありますけれども、地域をPRしていくうえで大事なこと。そこはしっかり認識をしながらやっていきたいと思います。その中でまたご相談して協力できることはしていきたいと思います。
伊勢環状線という話は今まで伺っていないのでよくわからないのですが、そういうものがある程度イメージできているのかどうなのか。まずはそれを近隣の市町も含めて県にもご相談いただく中で将来構想として作るならば、そういうものをまずイメージとして考えていただかなければと思います。だからまず広域でのそのような協議の中で地域にとって必要な伊勢環状線というようなものがイメージできるのかどうか、そのうえで具体的に県としてそれは評価をさせていただくということになります。
伊勢市長
今の広域環状道路については、全体としては前からのイメージがあるんです。でも具体的に見えてない部分があります。今おっしゃったのは玉城と伊勢を結ぶ橋がない、サニーロードから度会橋まで橋がないものですから、例えば高速道路の出入口ぐらいで県道として結ばれると、2本しかない橋が真ん中でもう1本できるとずいぶん様子がちがってくるということで、玉城町の方で広域で産業担っていただいて、ほとんど伊勢の住民の皆さんがそこへ稼ぎに行く状況もありますので、そういう視点なんです。
知事
是非実現可能性というものを十分踏まえていただいて、特に財政状況がこんなときですから国等の支援が得られるかたちで、こういったものも含めて議論をつめていただきたいと思います。
度会町長
県におきまして、検討会議の方では大変お世話になっておりますけれども、私ども、伊勢南島線、伊勢大宮線、志摩玉城線、3つの県道をいただいております。今日まで野見坂峠初め県道改良が大体順調に進まさせていただいて、すでに南島の方の野見坂峠は済んだところでございます。ところが内城田大橋につきましては、伊勢の中で本年ようやく土地買収は話し合いがついた。内城田大橋の左岸の取り付けでございます。県の方にも話をさせていただきましたら、できれば本年度中に完成という話をいただいています。その取り付け道路だけ早くお願いしたいと思います。
それと度会玉城線ですが、昨年の災害台風でございましたが、各県道が全部浸水し、県道が通行不能となった日があったわけですが、その時に唯一の県道として通行できたのが岩坂峠です。伊勢から全部玉城を回って岩坂道路を通って大宮、南島へ帰っていただたいということです。大変岩坂峠は狭うございます。改修等をお願いしてるわけですが、県も事情等あってまず内城田大橋の取り付け道路が完成した後で、県道の改修をやろうという話を前から進めていただいていたわけで、ようやくその解決がつきまして、非常に厳しい時代でございますが、すぐに工事にかかるのは大変だと思いますが、現地調査、測量だけでも早くお願いできないかと思います。うちの方からは岩坂峠のトンネル化、このような陳情をさせてもらっています。ところが果たして岩坂峠のトンネル化が出来るのか、あるいは現道の改修でできるという判断になるのか、その辺もお願いしたいと思います。
県土整備部
質問の件でございますが、度会玉城線ですけれども、起点が伊勢南島線の川口から玉城町の伊勢谷までの間の7.9kmが度会玉城線です。その中でも改良率でいいますと、一応2車線確保されておりますのが99.5%で、なかなか、カーブがきつい所がございますけれども、うち80m間だけが用地の関係で、そういうことからも、内城田大橋がようやく今年完成になっておりますので、今のところは県といたしましては着工の予定は困難な状況でございます。しかし先ほど言われましたように、伊勢南島線につきましては度会町を南北に縦断する重要な路線でありますので、2工区については早期の完成を目指して、防災工事につきましても重点的に整備をしていく予定でございますのでどうぞよろしくお願いいたします。
度会町長
玉城町長が言われたように約3,500人がそれぞれの会社に勤めてみえます。岩坂峠は、昭和35年頃は大体1日に通るのが3、4台が精一杯でしたが、今は、私はそこで生活していますが、うちから出ようと思うと車が来て出られないくらい危険なところです。現在8時前後というと1分間に何十台も通る状況になっていますので、できるだけ早く岩坂峠改修ということも考えてください。
知事
相続上の問題で土地買収が難しいのですか。
度会町長
それは内城田大橋の取り付けだけです。
県土整備部
岩坂峠の80m間につきましても相続の問題でだめになったと聞いております。その後80m間につきましては、一応5mは確保できておりますので、改良は終わっているという判断ですけれども。今言いましたようにその80mを未改良といたしましても5メートル確保している中で99.5%の改良率を確保しておりますので、今のところは着工については非常に難しい状況です。
大紀町長
先程、行財政運営の支援をしてほしいという話をしましたが、私どもの奥伊勢地域は、面積から申しますと大体600m2、これは県土の10分の1以上を占めている。三重県全体を眺めてみますと、平成16年の統計で県民1人あたりの所得が北勢地域は370万円、その次は伊賀と中勢がならんでいるんですが、その次が南勢地域、奥伊勢地域は東紀州に入るのか南勢地域に入るのか定かでありませんが、大体東紀州は100万円ぐらい所得が少ない。大変遅れをとっているんです。特にその狭間と申しますか、県が力を入れて東紀州地域の活性化に取り組んでいる。問題は観光の3大ポイント。観光連盟なんかの役員をしていますが、毎年判を押したように伊賀、伊勢志摩、東紀州をあげています。ひがんでいるわけではないですが、奥伊勢地域は県の施設が1つもありませんし、県民所得も下位に位置付けされている。今回組織改正で東紀州対策局と観光局を設置したわけです、東紀州活性化のために。観光面においてもかなり力を入れておるのに、なぜか奥伊勢地域をとんでいくんです。そういうことからすると、いろいろなデータからしても遅れをとる原因は、県政の目が行き届かないということがずっと続いてきている。知事さんのお父さんが国会議員しているときからの課題です。奥伊勢地域そのものは10分の1も面積を占めているのに県の施設もほとんど何もない。ですからそういうことからするといろんな活性化対策は生まれてこないはず。拠点が何もない。ただ単なる通過点にすぎないので、この機会にあえて注文申し上げますが、私どももシャープの工場があったんです。ところが多気にシャープ工場ができたものですから引き上げた。かなりの所得をあげていた。平成12年の統計ですが、大宮町だけでも伊勢電子も含めて大体年間の売上高は480億円ぐらいだった。これは度会郡多気郡あわせても4番目だった。多気町、玉城町、御園村、小俣町より進んでいたのが、今や最下位になってしまっている。奥伊勢の位置づけが十分でないということによって。これはもう県政の問題ではないかと思います。格差の是正どころか開いていく一方、そういう面で多少県政に、そういう面での不満を持っている。振興策を考えていただいたらどうか。それぐらいの思いでおりますので、郷土をよくすることは我々の大切な理念だと思いますから是非よろしくお願いします。
それから、奈良にダムを作った。景観を損ねるからダムをとってくれと申し上げたことがある。これは田川知事の時代に言ったことがある。本来メインになっている観光地にダムができると邪魔。大宮地域にとってはメリットがない。景観は損ねている。税金は入らない。大台町へ入ってくる。要はそういう施設はあるんですがメリットを得るものは何もない。当然何かをすべきでないかという議論をお願いします。
政策部理事
町長さんとはいろいろお話をさせてもらっていますので、私の考え方をある程度ご理解いただけると思うのですが、松阪紀勢生活創造圏の中で、大紀町もご一緒にこれからの地域づくりを進めさせてもらって、ミルキーウェイ構想というものもある中で、地域づくりの取り組みも進めていただいている。そのほかには宮川流域ルネッサンス事業の中でも地域づくりのモデル事業として取り組みさせていただいてきたわけですけど、残念ながら時代の流れの中で奥伊勢地域の活性化がなかなか進まなかったという状況はありました。先程も知事の話の中にもありましたが、宮川流域ルネッサンス事業の中では、大紀町長さんのご尽力によって交流館もでき、このたびは紀勢線の大台大宮ICが出来上がってきているなかで、これから奥伊勢地域が発展の方向を考えていただくチャンスかな。そのチャンスを地域の方々が自らどう取り組むかにかかる。ないものねだりの時代からないものさがしの時代へ。地域のよさを地域の方が気づいていただいて、それを外へ発信していただく。よってほかの利用客に結びつける。そういう取り組みを地域の皆さんともどもやっていきたいと考えています。
大紀町長
地域おこしは地域でやっている。他町村に比べても進んでいる。この間のあじさいの祭りでも、愛知県・岐阜県からバス6台、あじさいと温泉と、地域おこしは結構やっている。地域は地域で動いているんです。今の協働の理念、そういうことは精一杯やっている。それを見向こうとせずにもっとしっかりやってもらわないとあかん。ミルキーウェイなんかとっくに消えている。ルネッサンスも効果ないわけで。そういう理念をもっと理解してほしい。地域おこし、今の時代とんでもない。協働という精神で動いていかないと町はよくならない。そのことはよくわかっている。現実に実態をもっと理事は知ってもらわないと、視察してもらわないと困る。
南伊勢町長
南伊勢町は2町合併で、同じような町が合併しました。今、狭間という話が出ましたが本当に地域的には狭間で、工場誘致などとんでもない。1次産業の振興だと思っています。1次産業も魚価が低迷。42%を輸入に頼っている。発展途上国から輸入で、そこへきて真珠もやっておるわけですが、またいろいろ意見がまとまったら志摩市長と県へお願いに行こうと話しています。なんといってもこの選挙戦を通じて1次産業を大事にしていかないと、今そういう状況で大変苦しんでおりますが、近い将来地球規模で人口爆発起こるといわれています。そんなときに中国の経済発展もあります。必ず一次産業は見直される時代がくるんだ。今は本当に苦しいわけです。先般も原油の高騰で鰹船の船主がどんどん倒産していくようなことで、何とか行政としても手助けできないかということを考えています。また融資の問題などで知事さんにお願いしに行くつもりでおりますが、なんといっても1次産業と観光、商工を含めた一体的な地域づくりをしていくんだということで訴えてまいりました。そういうことで苦しいながらもその方針でがんばっているところでございますので、どうぞ県として、そのような状況を理解していただいて、できるだけの支援を心からお願いする次第です。
もう1点。藤坂峠の話ですけど、途中まで大宮町の時代からきてるんです。15カ年戦略に入れていただいたんですけど、これも野見坂峠の交流ふれあい整備事業で国の予算を入れていただいて野見坂峠を開通させていただいた。このときにもどっちに持っていくかで議論もあった。ずいぶんこの話もあったんです。生活道路として伊勢が、こういう形で野見坂峠を改修していただいたんですけど。旧南島町の願望であり、せっかく入れていただきましたので1日も早く整備促進をお願いしたい。
知事
水産業の話。これも切実で大変なことです。三重県の漁協合併等、推進して体力をまず業者につけていただくことだと思います。いろいろな取り組みで南島あたりでも合併前には各港施設の問題、なかなかすぐに進めない困難さがあって非常に大変だと思います。第1次産業について今、観光という側面から、第1次産業は非常に広いので、そこらと絡めながらいろいろなやり方、知恵を出していくべきだと思います。情報ばかりでなく、中国がより魚を食べるようになってきた。従って今日本の魚を買いにきている話があります。従ってこれから魚を取り巻く環境も変化の兆しがあるのではないか。ですから商売の仕方もまだまだあるんではないかと思います。
旧南勢町は体験型観光で1次産業と結びついている。県民といろいろなやり方で直接接して、いろいろ聞いておりますけれども。そのときに非常に関心するのが南勢町で展開してきた体験型観光です。大阪、関西等へPRも行ってどんどん進化しています。山の方でやったり漁業関係も加わったり、いろいろなかたちでやってますから、あれは南伊勢町になったので旧南島でもやれることではないかと思いました。
藤坂峠については今の道路戦略計画では期間内着手区間になっている。コストの問題とかありますから、念頭におきながら検討していこうと思います。この道路整備計画についても多分いろいろなお話があるかと思いますが、平成15年に見直ししてそのときに15ヵ年の計画にしたわけですけど。それから5年たちますので来年また見直しになって、従って来年見直しするときにまた新たにいろんな観点から旧来のものより優先してやってほしいというのがあると思います。もちろんそれは検討の中で同意しながらですが、またそのときに議論させてもらったらと思います。ただ公共事業の方は全部おさえていきますから、今までより原資がなくなっているのは一方でつらいところです。
伊勢県民センター所長
観光地における人権施策についてという資料について報告させていただきます。
伊勢志摩国立公園の観光客が非常に減ってきたということで、おもてなしの心が不足しているということを言われております。
そのような中で、旅館の案内所等で身体障害者の宿泊を断ったり、盲導犬の同伴を断ったり、観光施設で養護学校の生徒の食事について予約を拒否したりという事例がでました。盲導犬については、盲導犬協会を通じて話があり、インターネットによる情報発信という状況までいきかけました。
このような状況があり、旅館の従業員などへの研修にも取り組んでおるところでありますが、各市町長の皆さんにおかれましても、人権意識の高揚についてよろしくお願いいたします。
知事
これは市町長のところへ実態が入っていないといけないので、人権問題は施設だけでなくて地域全体の問題となりますので、人権問題への取り組みをしっかり取り組んでいただくようお願いしたい。全体の評判を落としてしまいますので、是非これ大事なことです
本日はありがとうございました。