中山間地域活性化シンポジウム『Satoyama Renaissance~里山を、もう一度見直す~』を開催しました
中山間地域等の条件不利地域が有する課題を共有し、地域が元気を取り戻していくためのきっかけとするために、「Satoyama Renaissance(サトヤマ・ルネッサンス)~里山を、もう一度見直す~」をテーマに『中山間地域活性化シンポジウム』を開催します。
開催趣旨
中山間地域の過疎化が進む要因の一つとして、地域が持つ価値に住民自身が気付いておらず、地域に対しての誇りや愛着・魅力が薄くなり、その結果として外(都会)へ出ていってしまっているのではないかと考えられます。
価値がないものとして見られているこうした中山間地域の価値を、もう一度見直し、住民自身が地域の素晴らしさを再認識し、地域への愛着、誇りを取り戻す「きっかけ」を、シンポジウムを通して提供できればと考えました。
◆日時
平成26年11月23日(日・祝)13:30~16:30
◆場所
三重県営サンアリーナ レセプションルーム(伊勢市朝熊町字鴨谷4383-4)
◆参加者数
133名
基調講演・1 『里山は日本を救う宝の山』
株式会社日本総合研究所 主席研究員 藻谷 浩介さん
全国の現場を訪れ、数多くの講演を行っている藻谷さんに、今の時代における里山(資源)の価値について講演をいただきました。
最初に里山資本主義的な取組の最近の例として、震災被害を受けて建てなおした岩手県住田町の役場の紹介から始まりました。林業の町ということで、7割を地元産の木を使っているのだそうです。
鉄筋コンクリートで作った建物は、年がたつと価値が落ちていくけど、木で作った建物は、古くなるほど価値が高まる。しかも鉄筋よりも安く建てられるし、維持費が抑えられる。木材に対しての評価が、昔と今とでは大きく転換してきていることが分かりました。
その後、人口動態分析に基づく三重県や県内市町の、今後の現役世代の増減と、高齢者の増減の様子について紹介がありました。漠然としすぎて危機感が持てなかった将来の変化について、具体的に知ることができ、今取り組むべき方向性が、すこしクリアになったような気がしました。
藻谷 浩介さんプロフィール
山口県生まれの49歳。平成合併前3,200市町村のすべて、海外59ヶ国をほぼ私費で訪問し、地域特性を多面的に把握。日本開発銀行、米国コロンビア大学ビジネススクール留学、日本経済研究所などを経ながら、地域振興や人口成熟問題に関し精力的に研究・著作・講演を行う。2012年より現職。近著に「デフレの正体」、第七回新書大賞を受賞した「里山資本主義」(共に角川Oneテーマ21)、「金融緩和の罠」(集英社新書)など。
基調講演・2 『心に響く里山の風景』
株式会社NHKエンタープライズ自然科学番組エグゼクティブ・プロデューサー 小野 泰洋さん
NHKBSで放送されている「ニッポンの里山」の事例を素材に、各地で取り組まれている人と自然が共生した活動について紹介されました。里山では、農作業や暮らしを通して定期的に自然環境が攪乱され、それが繰り返されることで多様な生態系が発達してきたのだそうです。
そして、里山を未来へつなげていくため、原体験として子どもにホンモノ体験させることが大切だと話されました。自然体験が豊かな子どもは、道徳観・正義感が身に着くと聞きます。
そして、最後にアーサー・ビナードの『里山』という詩の紹介がありましたが、そこで書かれている「里山は見に行くところではない、そこで人が作られているところ」という視点が、とても興味深く感じました。
小野 泰洋さんプロフィール
1958年静岡県生まれ。83年NHK入局。初任地は仙台局で、5年間、東北各地を取材。その後、東京・放送センター、名古屋局で科学番組を担当。現在、NHKエンタープライズ、自然科学番組エグゼクティブ・プロデューサー。主な作品に、NHKスペシャル「コウノトリがよもがえる里」、BSプレミアム「ニッポンの里山」、BSワイルドライフ「伊勢神宮 光降る悠久の森に命がめぐる」、東宝映画『日本列島いきものたちの物語』など。著書に『コウノトリ、再び』(エクスナレッジ)がある。
SATOYAMA対談
藻谷 浩介さん
小野 泰洋さん
講演の中で話し足りなかったことや会場からの質疑応答などを交えながら、里山の大切さについて、参加いただいている皆さんと一緒に、理解を深めました。
(進行 宮村 その美)
会場の参加者からも、大学生をどう地方へ呼び込むか、子どもの体験などについての質問をいただきながら、熱いトークを繰り広げました。
最後、時間が足らなくなってしまい終了時間を少し延長することになり申し訳ありませんでした。
お問い合わせ
三重県地域連携部地域支援課
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