国際連合の教育科学機関であるユネスコに設けられた世界遺産委員会が定めた、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(通称 世界遺産条約)の締約国からの推薦に基づいて作成した「世界遺産リスト」に掲載された、人類全体にとって顕著で普遍的な価値をもつ文化遺産あるいは自然遺産又は両方の遺産価値を併せ持つ複合遺産を指します。
世界遺産条約の締約国は2023年1月現在194ヶ国からなり、日本は1992年に締約を受諾しました。締約国は、自国の世界遺産の保護はもちろん、大規模な災害や武力紛争、開発事業や自然環境の悪化などの事由で危機にさらされ緊急の救済措置が必要とされる世界遺産について、国際的な協力並びに援助を行ないます。
2023年1月現在で、1,157件あり、このうち文化遺産は900件、自然遺産が218件、複合遺産が39件となっています。日本国内の世界遺産は、現在文化遺産が「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」「古都京都の文化財」「白川郷・五箇山の合掌造り集落」「広島の平和記念碑(原爆ドーム)」「厳島神社」「古都奈良の文化財」「日光の社寺」「琉球王国のグスク及び関連遺産群」「紀伊山地の霊場と参詣道」「石見銀山遺跡とその文化的景観」「平泉ー仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群ー」「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉-」「富岡製糸場と絹生産遺跡群」「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」「ル・コルビュジエの建築作品 近代建築運動への顕著な貢献」「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」「百舌鳥・古市古墳群ー古代日本の墳墓群ー」「北海道・北東北の縄文遺跡群」の20件、自然遺産が「屋久島」「白神山地」「知床」「小笠原諸島」「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の5件の計25件あります。
世界遺産条約の締約国は、5~10年以内に世界遺産に登録するための推薦候補物件について記した暫定リストを世界遺産委員会に提出します。現在日本の暫定リストには、「古都鎌倉の寺院・神社ほか」「彦根城」「「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」「金を中心とする佐渡鉱山の遺跡群」「平泉ー仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群ー(拡張)」の5件が記載されています。
暫定リスト入りした物件が世界遺産登録されるためには、文化遺産の場合、まず世界遺産の資産となる区域(コア・ゾーンと呼ばれます)が、日本では国の有形文化財指定を受けるなど、文化財保護法等の国内法で保護され、さらにそのコア・ゾーンの周辺環境を保護する緩衝地帯(バッファ・ゾーンと呼ばれます)を設定し、法令などに基づいた保全措置を講ずることが前提になります。
その上で資産の価値、真正性を証明する内容を盛り込んだ世界遺産登録のための推薦書を作成し、ユネスコ世界遺産センターに提出し、推薦書の内容やイコモス(国際記念物遺跡会議)による現地調査などの審査を経て登録の是非が決定されます。