警戒避難活動を支援する情報提供
三重県では,いなべ市藤原町などに雨量情報など警戒避難に役立つ情報の提供を行っています。
また,これまでの土石流発生時の降雨状況と流域内の土石流発生メカニズムを分析し,「藤原岳周辺土石流発生基準雨量等検討委員会」(委員長:水山高久京都大学大学院教授)を設置して,指導を仰ぎながら藤原岳周辺流域での土石流発生基準の設定とその運用方法の確立に取り組んでいます。
土石流の発生をすばやくとらえる
渓流の上流に土石流の発生を検知するためのワイヤーセンサーや監視カメラを設置しています。土石流の流下によるワイヤーセンサーの切断などをとらえると,えん堤や町内に設置されているサイレンが鳴ります。
西之貝戸川の上流に設置 されている監視カメラ |
西之貝戸川の上流に設置されているワイヤーセンサー ※写真では黄色に着色しています。 |
局地的な雨への対応
藤原岳周辺だけに強い雨が降ることがあることから,周辺に雨量計を設置して,局地的な雨量の把握を行うとともに,その情報を藤原町に提供しています。
土石流発生基準の設定と情報の提供
「藤原岳周辺流域土石流発生基準雨量検討委員会」の提言を基に,
- 藤原岳周辺流域では,短時間に降る大雨で土石流が発生しやすいため,10分間雨量を土石流発生の指標として用いています。
- 土石流は地表面を流れる水だけではなく,地中に浸透する水による影響を強く受けているため,「タンクモデル法」という評価手法もあわせて用いています。
そして、これらの情報を藤原町に提供しています。
※タンクモデル法:
斜面や渓流における雨の浸透流の変化を追跡する方法です。雨が地中に浸透,貯留,流出する状況を,タンクに設定した流出孔の位置,大きさと数段のタンクの組み合わせで表現するモデルで,タンクの貯留高によって土石流の発生基準を評価します。藤原岳周辺流域では3段のタンクを用いています。
小滝川1号えん堤の警報機
委員会で提言された土石流発生基準
委員会で提言された土石流発生基準は,10分間雨量が17mm,タンクモデル法による3段タンクの合計貯留高が110mmでした。
平成15年8月の土石流は,それぞれ19mm,104mmに達したときに発生していることから,この規準は藤原岳周辺流域によく適合しているものと考えられます。
平成15年8月8~9日の藤原町の対応
8/8 | 7:40 | 無線放送:台風接近に伴い気象情報を放送。避難勧告に備える体制をとること |
8/8 | 10:00 | 土石流対策会議開催 |
8/8 | 14:55 | 無線放送:坂本・大貝戸地区に気象情報を放送 |
8/8 | 15:10 | 無線放送:坂本・大貝戸地区に自主避難情報を放送 文化センター,坂本・大貝戸公民館を開放 |
8/8 | 15:50 | 気象情報:三重県北部大雨洪水波浪警報発令 |
8/8 | 15:55 | 災害対策本部設置 |
8/8 | 16:00 | 無線放送:坂本・大貝戸地区に自主避難情報を放送。避難所開放中との連絡 |
8/8 | 16:23 | 無線放送:15:50に警報発令を放送 |
8/8 | 16:55 | 無線放送:気象情報連絡 |
8/8 | 17:00 | 気象情報:三重県北部大雨洪水暴風波浪警報発令 |
8/8 | 17:00 | 無線放送:坂本・大貝戸地区に自主避難情報を放送。文化センター,公民館を開放連絡 |
8/8 | 18:02 | 〃 |
8/8 | 19:55 | 〃 |
8/8 | 20:15 | 無線放送:避難情報を放送 |
8/8 | 20:30 | 無線放送:坂本・大貝戸地区に深夜に避難勧告発令の可能性ありとの連絡 |
8/8 | 21:40 | 無線放送:気象情報を放送 |
8/8 | 22:32 | ワイヤーセンサー切断 1回目(小滝川,西之貝戸川) |
8/8 | 22:55 | 無線放送:避難勧告発令の連絡 |
8/8 | 22:57 | ワイヤーセンサー切断 2回目(西之貝戸川) |
8/8 | 23:22 | 西之貝戸川の土石流が2号えん堤で止まっているとの連絡あり |
8/8 | 23:30 | 小滝川の水量が増加したとの連絡あり |
8/8 | 23:40 | 立木1本が小滝川仮設橋にひっかかっているとの連絡あり |
8/9 | 0:26 | ワイヤーセンサー切断 3回目(西之貝戸川) |
8/9 | 6:30 | 西之貝戸川で伏流水が川になったとの報告あり |
8/9 | 9:27 | 小滝川の土石流が越流したものが堆砂しているとの連絡あり |
8/9 | 10:30 | 気象情報:警報から注意報に切替 |
8/9 | 10:53 | 水量減少との報告あり |
8/9 | 12:00 | 避難勧告解除 |
ワイヤーセンサーのはたらき
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