総括
Q1.三重県交通安全条例(以下、条例という。)で義務化されることは何ですか?
「①自転車損害賠償責任保険等への加入」及び「②自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等」を義務化します。Q2.いつから義務化されますか?
「①自転車損害賠償責任保険等への加入」及び「②自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等」共に令和3年10月1日から義務化します。Q3.加入義務化される「自転車損害賠償責任保険等」とは何ですか?
条例では、「自転車損害賠償責任保険等」を「自転車の運行によって他人の生命又は身体が害された場合における損害を賠償することができる保険又は共済」と定義しています。具体的には、自転車向けの保険のほかに、自動車保険や火災保険、傷害保険の特約としての個人賠償責任保険(日常生活賠償保険)、PТA保険や各職域での団体保険、自転車安全整備士による点検を受けたことで加入できるТSマーク付帯保険、クレジットカードに付帯する保険などがあります。Q4.条例で規定される「自転車」とは何ですか?
条例では、「自転車」を「道路交通法第二条第一項第十一号の二に規定する自転車をいう。」と定義しており、具体例としては、マウンテンバイク、折りたたみ自転車、タンデム自転車等も含まれます。(参考)
【道路交通法第二条第一項第十一号の二(自転車)】
ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。
【道路交通法施行令第一条(歩行補助車等)】 (補足:道路交通法第二条第一項第九号中の歩行補助車等=道路交通法第二条第一項第十一号の二中の歩行補助車等)
道路交通法第二条第一項第九号の歩行補助車等は、次に掲げるもの(原動機を用いるものにあつては、内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)とする。
一 歩行補助車、 小児用の車及びショッピング・カート
二 レール又は架線によらないで通行させる車であつて、次のいずれにも該当するもの(前号に掲げるものを除く。)
イ 車体の大きさが他の歩行者の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当すること。
ロ 車体の構造が歩きながら用いるためのものとして内閣府令で定める基準に該当すること。
「①自転車損害賠償責任保険等への加入」関係
Q5.義務化される「①自転車損害賠償責任保険等への加入」の対象者は誰ですか?
以下の(ア)~(エ)が対象者です。(ア)県内において、自転車を運転する者(未成年者を除く)
(イ)県内において、自転車を運転する未成年者を監護する保護者
(ウ)県内において、人の移動、貨物の運送等の手段として自転車を事業の用に供する者(自転車利用事業者)
(エ)県内において、自転車を有償又は無償で、継続的に又は反復して貸し付ける事業を行う者(自転車貸付事業者)
Q6.なぜ「①自転車損害賠償責任保険等への加入」が義務化されるのですか?
全国で自転車が関わる事故に対する高額な損害賠償の請求事例が発生しており、被害者の保護と、自転車運転者が損害賠償責任を負った場合の経済的負担の軽減を図るため、自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化します。Q7.未成年の子どもも、自転車損害賠償責任保険等に加入しなければなりませんか?
保護者は、未成年の子どもが⾃転⾞を運転する場合には、保険等に加入しなければなりません。未成年の子どもは、単独で保険契約することができないため(保護者の同意が必要等)、本人の代わりに保護者が保険契約する必要があります。Q8.Q5回答中の「(ウ)県内において、人の移動、貨物の運送等の手段として自転車を事業の用に供する者(自転車利用事業者)」とは具体的にどういった者が該当しますか?
新聞配達店や宅配便等、県内において、主に自転車を利用して業務を行う事業者はもちろん、官公署、会社、事業所の業務で自転車を利用する者が該当します。(※ただし、交通事故の被害者救済、加害者の経済的負担の軽減を念頭に「道路(条例第二条四)」で利用する場合が該当となります。)(参考)
【条例第二条】
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~三 (略)
四 道路 道路交通法第二条第一項第一号に規定する道路をいう。
【道路交通法第二条】
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 道路 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
二~二十三 (略)
【仙台高裁昭和38年12月23日判決】
「一般交通の用に供するその他の場所」とは、現に一般公衆及び車両等の交通の用に供されているとみられる客観的状況のある場所で、しかもその通行することについて通行者がいちいちその都度管理者の許可を受ける必要のない場所をいうものと解するのが相当である。
Q9.業務で自転車を使用している場合、どのような自転車損害賠償責任保険等に加入すればよいですか?
事業者がその事業活動として自転車を利用するときは、事業活動における自転車の利用を補償する保険に加入する必要があります。 この場合、事業者向けに販売されている「施設賠償責任保険」等の名称の保険商品が自転車損害賠償責任保険等に該当します。Q10.自転車を貸し出している場合、どのような自転車損害賠償責任保険等に加入すればよいですか?
通常の事業者と同様に、事業活動での自転車利用を補償する「施設賠償責任保険」等への加入が必要です。しかし、通常の「施設賠償責任保険」の場合、借り受けた利用者の運転ミスによる事故は補償対象外となることが考えられます。そのため、保険会社と協議いただき、貸し出している自転車の利用全般を補償する保険への加入をお願いいたします。また、レンタサイクル業者だけでなく、業として、自転車を有償又は無償で、継続的に又は反復して貸し出す場合は、旅館やホテルなどにも「施設賠償責任保険」等への加入義務があります。「②自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等」関係
Q11.義務化される「②自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等」の対象者は誰ですか?
以下の(ア)~(イ)が対象者です。(ア)県内において、自転車の小売を業とする者(自転車小売業者)
(イ)県内において、自転車を有償又は無償で、継続的に又は反復して貸し付ける事業を行う者(自転車貸付事業者)
Q12.なぜ「②自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等」が義務化されるのですか?
新規の自転車購入者の多くは自転車小売業者から購入することが想定されることから、購入時に、自転車購入者に対して、自転車損害賠償責任保険等の加入状況の確認や、加入の必要性等について説明することは 、自転車損害賠償責任保険等 への加入促進に極めて重要であると考えました。また、自転車貸付事業者が、自らが加入している保険の内容について情報提供することは、借受人が条例に違反していないことの確認につながり、安心して乗車できることになります。Q13.「②自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等」とは具体的に何をすればよいのですか?
(ア)自転車小売業者の場合自転車購入者に対して、自転車損害賠償責任保険等の加入状況を確認してください。また、加入が確認できない場合は、自転車損害賠償責任保険等への加入に関する情報を提供してください。
(イ)自転車貸付事業者の場合
自転車の借受人に対して、自転車貸付事業者が加入している自転車損害賠償責任保険等の内容について情報を提供してください。
Q14.自転車小売業者による「自転車損害賠償責任保険等への加入の確認」はどのような方法で行うべきですか?
確認の方法については、保険証券などにより確認することが基本ですが、明示することが困難な場合や不明な場合には口頭による確認でかまいません。Q15.自転車小売業者が提供するとされる「自転車損害賠償責任保険等の加入に関する情報」とはどのようなものですか?
加入に関する情報とは、自転車損害賠償責任保険等の種類や特徴、その必要性、加入の義務化の内容などです。Q16.自転車小売業者は、「自転車損害賠償責任保険等への加入に関する情報」をどのように提供すればよいのですか?
県が作成するチラシなどを活用いただき、次の内容を説明してください。①多くの保険会社などから自動車保険、火災保険、傷害保険の特約として販売されている個人賠償責任保険(日常生活賠償保険)が、自転車損害賠償責任保険等の一種であり、契約者本人だけでなく、同居の家族や生計を一にする別居の未婚の子(親元を離れ、仕送りを受けて生活している大学生など)もカバーしているため、保険証券などをよく確認すること。
②自転車損害賠償責任保険等は、インターネットやコンビニでも広く販売されていること。
Q17.インターネット通販で自転車を販売している場合、どのように「②自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等」を行えばよいですか?
インターネット通販を行っている自転車小売業者の場合は、通販サイト内に確認画面を設けるなど、その特性に応じた工夫を行うことで足ります。また、情報提供については、次のような形で対応することが可能です。①県が作成した自転車損害賠償責任保険等への加入の必要性を説明するホームページへのリンクバナーを自社のホームページに設置する。
②自社のホームページの広告欄に、特定の保険会社や商品を推奨するような記載ではなく、単に損害保険会社のリンクバナーを設置する。
③自社のホームページ内において、保険加入の必要性を説明するページを設け、一般的な説明として、Q16の内容を説明する。
Q18.自転車小売業者が保険に関する情報を提供することは、保険代理店でない者が保険契約の募集を行うことを禁じた保険業法に違反しませんか?
県が作成するチラシなどを活用して、一般的な自転車損害賠償責任保険等の種類や特徴、その必要性、加入義務化の内容などを説明していただく場合は違反になりません。その他
Q19.義務化される「①自転車損害賠償責任保険等への加入」及び「②自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等」を行わなかった場合、罰則はありますか?
罰則はありません。Q20.なぜ罰則を設けないのですか?
罰則を設けようとする場合、自転車を個別に特定して、加入状況を管理していくことが必要となりますが、自転車損害賠償責任保険等の種類は多岐にわたり、加入状況の一元管理が困難です。また、保険証券を自転車運転者等に常時携帯していただくことは実施不可能と考えられます。なお、自転車損害賠償責任保険等は、「車体にかける保険」と「人にかける保険」の2種類がありますが、「車体にかける保険」は自転車の車体番号の管理が難しいこと、「人にかける保険」は、特約として付帯される個人賠償責任保険のように様々な保険商品が存在し、利用者個人を管理していくのは困難であると判断しました。したがって、罰則は設けておりません。Q21.自転車損害賠償責任保険等はどこで加入できますか?
個人賠償責任保険、共済、施設賠償責任保険等への加入に関しては、各保険会社や共済等の取扱店に確認してください。また、自転車向け保険の中には、コンビニで加入申し込みが可能なものもあります。その他、TSマーク付帯保険については、お近くの自転車安全整備士のいる自転車店にお問い合わせください。なお、個人賠償責任保険とは、個人が日常生活を営む中で起こした事故等により他人の生命や身体、または財産に損害を生じさせた場合、それを補償するもので、自動車保険等の特約になっているものや、個人単位、家族単位で加入することができるものがあります。また、TSマーク付帯保険の有効期間は1年間なので、更新忘れにご注意ください。Q22.自転車損害賠償責任保険等について、どれくらいの補償内容が必要ですか?
過去には約9,500万円の高額賠償事例がありますが、生活スタイルや予算に合わせて、保険商品をお選びください。(参考補償内容)
ア 賠償責任補償限度額が一億円以上
イ 示談交渉サービス付き
ウ 賠償補償の対象となる後遺障害の制限なし